これは聞いた話なのだが、数人のギター講師で構成される、月額会費が5,000円もする高額なオンラインサロンがあるらしい。なんでも、コンテンツが一方的な動画配信のみとなっており、講師からレスポンスが欲しい場合は、さらに上乗せした会費を払わないといけないんだとか。もう聞くからに怪しいというか、典型的な情報商材詐欺である。今回はこの手の悪徳オンラインサロン(以下、悪徳サロン)の注意喚起と、その行く末について解説しよう。

 


1.オンラインサロンというビジネスモデル


 まず、ギター講師にとって、オンラインサロンビジネスがどのようなメリットをもたらすかを説明しよう。前提として大切な話である。ギター講師の大きな収入源の1つに「対面レッスン」がある。この時間で得られることのできるお金は「生徒の数×レッスン料金」となっているが、レッスンは基本マンツーマンのため、レッスン時間当たりの生徒の数は常に1人となる。ここから労働時間あたりの単価を上げることを考えると、レッスン料金を上げる他ない。

 

 

 しかし、アーティストでもない一端の講師がレッスン単価を上げて集客を維持するのは容易ではない。そう、知名度や集客力が微妙な多くのギター講師にとって、労働時間あたりの単価を上げる(ステップアップする)というのは、中々難しい現実があるのだ。

 


 そんななか、ギター講師達が目を付けた金鉱石が「オンラインサロン」である。月額料金を支払った会員が、Web上で講師が用意した教則や動画コンテンツを見ることが出来るシステムだ。オンライン雑誌の定期購読みたいなものだと思ってもらえればいい。

 


 そして、オンラインサロンでは、リアルタイムの対面レッスンとは異なり、生徒の数を無制限に増やすことが出来る可能性を持っている。ギター講師という職業のステップアップの手段としては、魅力的に映るだろう。

 


2.生徒から見たオンラインサロン


 何かとオンラインサロンが語られるうえで、対面レッスンと比較されるが、実はこれらは全く別物であり、比べるようなものではない。以前、詐欺師はとんちんかんな「二者択一」を迫ると説明したが、「オンラインサロン」と「対面レッスン」もその関係にあるため、注意してほしい。

 

 単に動画を見るだけの「一方通行」のオンラインサロンと、ギター講師が直接指導できる「対話型」の対面レッスンでは、「生徒の上達」視点で言えば、比べるのもアホらしいくらい対面レッスンの方が優れている。対面レッスンでは、生徒の悪い癖を的確に指摘することができ、生徒はレッスン時間の限り質問もできる。この他、講師は生徒のギターの調整状態も診ることが出来るのだ。単方向配信型のオンラインサロンではこれが不可能である。

 

 

 まぁでも、対面レッスンが効力を発揮するのは言うまでもなく、まともな講師である場合である。どこかの自称講師(詐欺師)は「自分のギター教室には10年以上通っている生徒がいる」等と、恥ずかしげもなく誇らしげに話していた。これは生徒が上達できず、レッスンを卒業させることができなかった無能、ド下手糞の証であり、10年に渡り詐欺行為を働いていた犯罪の告白なのだが、どうやら本人は犯罪の自覚が無いようだ。とんだサイコ野郎である。このことからも、スクール・講師選びがいかに重要なことであるかが分かるだろう。

 

 


3.詐欺集団の手口


 悪徳サロンは月額5,000円という価格設定である。オンラインサロンはオンライン雑誌の定期購読みたいな物だと言った。ゆえに5,000円が高額なのは分かるだろう。GIUの月額1,500円と比較しても3倍以上である。このように高額で、GIUのように催し物もない、ゲストもいない、ウリが全くないような状態の場合、集客は絶望的だ。これでは、客へのプロモーション目当てのスポンサー獲得すら難しい。オンラインサロンはギター講師の労働時間単価を上げるためのツールであり、顧客数増を期待するものであると言ったが、素人目に考えてもこれは無理筋である。

 

 

 そう、こいつら詐欺集団は、実は最初から多くの顧客数を獲得、コンテンツの拡大など考えてはおらず、特定の少人数から多くの金を巻き上げる魂胆なのだ。例えばオンラインサロン内の会員限定で高額な非公開オプションを設定し、それを生徒に買わせようと半ば強制的に誘導するのである。よく、「壺を買わされる」などと言うが、全くそんな感じだ。つまり、この月額5,000円という内容的に完全に相場を逸した価格設定は、騙されやすくて、絞りやすい、文句を言わない情報弱者(カモ)をおびき寄せるためのものなのである。

 


4.講師が多いほど信用度は下がる


 まず、講師が徒党を組んでサロンを経営する意味を考えなければならない。彼らは1人では集客力も、コンテンツを生む力もないから徒党を組んでいる信用のない連中なのだ。そして、頭数を増やすということはその分、分配も責任も少なくなるということである。

 

 

 前述では少人数の顧客から沢山搾取しようとしていると説明したが、それにも限りがあるだろう。分配する講師の人数が多ければ、バックはその分少なくなる。どのサロンでも発足時は会員が少ないので、ボランティア同然なのだが、いつまでたっても顧客数が増えないんじゃ仕方ない。労働時間あたりの単価はいつまでたっても横ばいである。

 

 

 こんな状態が続いてみろ。月に何回動画を配信するか分からないが、週1でやるのであれば、講師的には全然割に合わず「時間もネタもジリ貧」で続けることすら困難だ。そして、高額な料金をとっておきながら、それ以下の頻度の配信であれば、生徒からはヒンシュクを買うことは必至である。

 

 

そして、サロン講師はどんなに頑張っても、結局はサロン元締めに「知識・技術」という財産を切売りする形となる。こんな最初から破綻したシステムに、本気の教則など出せるだろうか?普通に考えて無理である。サロン講師は内心こう思っているだろう。「他の講師が頑張ればいいや」、「売上が少なくても自分の責任じゃない」とね。典型的な共産主義の堕落思考パターンである。信用などあったものではない。

 

 

 これは、逆に言えばサロン講師は少ない程、信用度は上がるということでもある。究極は1人だ。単価も集客も自分次第、全て自分の責任、全て自分だけの財産である。コンテンツとして爆発的に大きくすることは難しいかもしれないが、浅はかに徒党を組むような連中とは気概が別次元なのである。

 


5.「既存の教則にはない」は大ウソ


  複数の講師で構成された悪徳サロンは誇大広告を打ち、「既存の教則にはない」などとさもノウハウを持っているようにアピールすることが多い。まず、こういったものは基本的に大ウソであると言っておこう。

 

 

もし、そのような有益な情報を多く持っているのであれば、徒党など組まず、本でも書いて独り占めした方が稼げるのである。それをわざわざ、他の講師の利益になる様な勿体ない事をするのだろう?こんなのは、詐欺師が「儲け話があるんですけど?」と騙す手口と同じである。消費者は「じゃあ、なんでお前がその話で儲けないのか?」という至極当然の論理を常に頭の中に持っておかなくてはならないのだ。

 


6.オンラインサロンでは上達は難しい


 まず、そもそもの話だが、生徒は映像や本での教則で、自力で上達できないのであれば、オンラインサロンで上達できるとは思わないほうが良い。生徒がなぜ下手糞なのかというと、その殆どは、そもそもの弾き方が間違っているためだ。これは対話型のレッスンでしか矯正できない。ゆえにオンラインサロンで講師が、毎週その場しのぎで考えた練習フレーズを単方向配信して生徒に弾かせたところで、生徒は「練習フレーズを沢山知ってる下手糞」にしかならないのである。

 

 

 そして何故、ギター講師(詐欺師)は練習フレーズばっかり作るのかというと、分かりやすい成果物として提示することで、生徒に価値を享受した気にさせ、なおかつ長期間搾取できるようにしているからに他ならない。毎月ヤングギターを買って、DVD見て練習するのと何が違うのか?ということを今一度考えたほうが良いだろう。

 

 

 今回の要点を簡単にまとめると、単方向配信型のギター系オンラインサロンは、オンライン雑誌の定期購読の値段くらいが妥当であり、サロン講師は少ないほど、信用度は高いということである。悪徳サロンはこのどちらも持ち合わせないということを覚えておこう。

 

 

◎関連記事