月経随伴性気胸は、女性で生理の決まった周期になると気胸を繰り返すまれな病気です。
月経随伴性気胸は30-40代のかたに多く、右側が多いとされています。閉経する年齢になると自然に治っていくのも特徴です。
その原因は子宮の内側にある子宮内膜の組織が胸の中まで流れ着くことと言われています。
もともとは子宮の中にあった子宮内膜の細胞が卵管を通じて腹腔の中に出る子宮内膜症という病気のがあり、子宮内膜がさらに横隔膜を超えて胸の中のすき間である胸腔まで流れ着いて肺の表面に生着するなどして起こるといわれています。
横隔膜にはもともと穴が開いている人があり、その穴を通じて子宮内膜が胸腔まで入り込むという説と、子宮内膜が横隔膜に生着し、生理の時に子宮内膜が脱落、その後再生という周期をを繰り返すうちに横隔膜に穴があくという説がありますが、どちらが本当なのか、主な原因なのかよくわかっていません。子宮内膜の組織が横隔膜に穴をあけるのであれば、なぜ同じような線維でできた膜である心膜や他の臓器には穴が開かないのか、という疑問もあります。前者は肺の表面に子宮内膜の細胞が生着して生理の時期に子宮内膜が脱落する際に肺の表面の胸膜に穴が開いて気胸になるとされ、後者は子宮から腹腔に入った空気が胸腔の中に入って気胸になるとされています。
胸腔鏡で手術を行った患者さんで、横隔膜を観察すると、穴が開いていることがあります。また、横隔膜や肋骨の内側や肺の表面などにブルーベリースポットという子宮内膜の病変が内視鏡で確認できることがあります。
治療は胸腔鏡手術で、横隔膜に穴が開いていれば縫合して閉じ、肺表面に穴が開いていればその部分を自動縫合器で切除したりします。
手術後の病理検査で肺や横隔膜などに子宮内膜の組織が確認できれば月経随伴性気胸と診断できます。
再発予防のためには手術のほか、女性ホルモンの投与で閉経した状態と同じにすれば肺の表面に子宮内膜が残っていても脱落しなくなることから、効果があるとされています。ただし、妊娠、出産を希望される方の場合にはホルモン療法は行えません。この他、薬剤による胸膜癒着術も行われることがあります。
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