日本肺癌学会の肺癌診療ガイドライン2022年版より、非小細胞肺癌術後化学療法についての推奨に関する記載のまとめです。

 

 肺癌術後補助化学療法は、テガフール・ウラシル配合剤療法(ユーエフティ)、シスプラチン併用化学療法に加え、EGFR-TKIのオシメルチニブと、シスプラチン併用化学療法後のアテゾリズマブについての記載が追加されています。

 

 新しい術後補助化学療法で、提案となったのは、PD-L1強陽性例に対するシスプラチン併用化学療法後のアテゾリズマブ投与(IMpower010)のみでした。

 

 オシメルチニブ(ADAURA)とPD-L1弱陽性例に対する(IMpower010)は無再発生存期間に有意差を認めたものの、全生存期間(OS)に有意差を認めなかったため、推奨度判定不能になったようです。OSは今後観察期間が長くなっても有意差は付かなさそうなのでこのままですと”提案”や”推奨”に格上げにならないかもしれません。

 

 ASCOのステートメントとは異なる推奨度となっていることに注意が必要です。 

推奨

・腫瘍径2㎝を超えるIA-IIA期症例に対するユーエフティ

・IIB-IIIA期症例に対するシスプラチン併用化学療法

 

提案

・PD-L1強陽性IIB-IIIA期の症例に対するシスプラチン併用化学療法後のアテゾリズマブ

 

推奨度決定不能

・EGFR陽性IIB-IIIA期の症例に対するシスプラチン併用化学療法後のオシメルチニブ、およびシスプラチン併用化学療法なしのオシメルチニブ

・PD-L1弱陽性IIB-IIIA期の症例に対するシスプラチン併用化学療法後のアテゾリズマブ

 

       CQ27.

病変全体径>2cmの術後病理病期ⅠA/ⅠB/ⅡA期(第8版)完全切除,腺癌症例に対して,テガフール・ウラシル配合剤療法を行うよう推奨する。

〔推奨の強さ:1,エビデンスの強さ:A,合意率:85%〕

CQ28.

病変全体径>2cmの術後病理病期ⅠA/ⅠB/ⅡA期(第8版)完全切除,非腺癌症例に対してテガフール・ウラシル配合剤療法を行うよう提案する。

〔推奨の強さ:2,エビデンスの強さ:C,合意率:100%〕

CQ29.

術後病理病期Ⅱ-ⅢA期(第8版)完全切除例に対して,シスプラチン併用化学療法を行うよう推奨する。

〔推奨の強さ:1,エビデンスの強さ:A,合意率:95%〕

CQ30.

  • a.EGFR遺伝子変異陽性の術後病理病期Ⅱ-ⅢA期(第8版)完全切除例に対して,従来の術後補助化学療法後に,EGFRチロシンキナーゼ阻害薬による治療の追加を勧めるだけの根拠が明確ではない。

      〔推奨度決定不能〕

  • b.EGFR遺伝子変異陽性の術後病理病期Ⅱ-ⅢA期(第8版)完全切除例に対して,プラチナ製剤併用療法の代わりとして,EGFRチロシンキナーゼ阻害薬による治療を勧めるだけの根拠が明確ではない。

      〔推奨度決定不能〕

CQ31.

  • a.術後病理病期ⅡB-ⅢA期(第8版)完全切除例,腫瘍細胞におけるPD-L1発現50%以上例に対して,シスプラチン併用化学療法後にアテゾリズマブ単剤療法を行うよう提案する。

      〔推奨の強さ:2,エビデンスの強さ:C,合意率:53%〕

  • b.術後病理病期ⅡB-ⅢA期(第8版)完全切除例,腫瘍細胞におけるPD-L1発現1%以上50%未満例に対して,シスプラチン併用化学療法後にアテゾリズマブ単剤療法を行うよう勧めるだけの根拠が明確でない。

      〔推奨度決定不能〕

生会兵庫県病院呼吸器外科、呼吸器内科

 

 

兵庫県神戸市北区藤原台中町5丁目1-1

常勤医師(入院担当):

呼吸器内科:金城、湯村

呼吸器外科:吉村、伊藤、木村

外来診察日(2022年10月1日より)         

曜日  月
呼吸器外科 伊藤
木村
吉村 富山  伊藤 吉村
木村
     
呼吸器内科 金城
山本
湯村 湯村 金城  小林/
高宮
     

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