茲許の金融マーケットは欧州からの様々な憶測に振らされて、ひどい荒れ様となっている。
昨日までは23日のEUサミットで具体策が発表されるとのことだったので、この荒れ相場も一旦落ち着くとみられていたが、ここにきて26日にも追加でサミットを開くという話になってしまった。ポジションを持つ人にとっては悩ましい相場展開が3日も伸びてしまってさぞ憂鬱だろう。
EUサミットが開かれる週末を前に、一度このサミットで何を議論しているのかを整理してみよう。
マーケットの焦点となっているのは以下の3つである。
①ギリシャ救済に際しての民間負担
②欧州系銀行の資本増強
③EFSFのレバレッジ
特にEFSFのレバレッジに関して難航を極めており、マーケットも注目している。
以下で詳しく整理しよう。
①ギリシャ救済に際しての民間負担
これまでは民間負担は21%と想定されていたが、これは引き上げられるだろう。
マーケットの見方としては50-60%必要だという見方が大勢だが、30-40%に留まるという報道もある。
30-40%であれば、個人的にはネガティブサプライズというか、またしても大甘なEUということになるのだろう。
②欧州系銀行の資本増強
これはTire1比率9%以上にするというものだ。
欧州が過去2回実施した銀行に対するストレステストにおいては、Tire1比率5%以上が合格要件だった。
Tire1比率9% 以上という数字にはマーケットも異論はないだろう。
では、Tire1比率9%以上に資本増強するにはどのくらいの額が必要なのだろうか。
一部では2,000億ユーロ以上、一部では数百億ユーロで大丈夫との報道がある。実際のところは3回目のストレステストを行い明らかになるのだろう。
また、資本増強にはその規模とは別に、方法に関してもマーケットは注目している。
これに関しては、バローゾ委員長が言っていた、銀行が自力で資金調達→各国の公的資金→EFSFの活用というステップとなりそうだ。
③EFSFのレバレッジ
これが最大の焦点であり、フランスが主張するECBを活用する案とドイツが主張するものライン保証型レバレッジで対立している。
それぞれの説明は過去のエントリーでしてあるが、要点を再度まとめよう。
ちなみに以前の記事で、ドイツ案のモノライン保障型レバレッジでは、利払いと元金の一部を保障すると書いたが、報道では10-20%の元金を保証するようだ。基本は10%で危機が波及しては困るイタリア債に関しては20%まで保障するというものらしい。
フランス案:EFSFが銀行となりECBによる信用供与(レバレッジ)を行う
・ ドイツ案に比べてより機能強化ができる。
・ ドイツ・ECBが強い反対をしている
ドイツ案:債務不履行となった問題債券の利払いと元金の一部を保障する
・ ソブリンのクレジット悪化が小さい
・ フランス案に比べて機能強化が弱い
・ 運用が難しい
レバレッジに関してはこの2つ以外にも方法が話し合われている模様で、ウルトラCが出てくればマーケットはポジティブサプライズだろう。
フランスはEUの中で最もPIIGSのエクスポージャーが高いので、より強いセーフティネットを望んでいる。
ここまでが簡単なまとめである。
さて、最後に少しだけ欧州経済の今後について書いてみる。
今議論されていることは、全てセーフティネットであり欧州の財政問題を根本から解決する方法ではない。
ただし、強いセーフティネットが張られれば、信用不安が払拭されマーケットは一時的に好感する可能性は十分にあろう。
ただし、今後待ち受けているのは「デレバレッジ」、つまり欧州系銀行の資産圧縮である。
資産を圧縮して銀行の安全性を高めるということは、これまでリスクを取ってお金を投入していた先からお金を吸い上げることとなる。
ここで考えなければいけないことは、
. 経済が縮小するであろうこと
. 欧州マネーが入っている新興国はお金を引き上げられるリスクがあること
. 引き上げられた国は、資金流出に耐えられるかどうか
これまでは、新興国と一括りに考えていたが、これからは外国資本への依存度が高い新興国と自力がある新興国とで二分されていくだろう。
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昨日までは23日のEUサミットで具体策が発表されるとのことだったので、この荒れ相場も一旦落ち着くとみられていたが、ここにきて26日にも追加でサミットを開くという話になってしまった。ポジションを持つ人にとっては悩ましい相場展開が3日も伸びてしまってさぞ憂鬱だろう。
EUサミットが開かれる週末を前に、一度このサミットで何を議論しているのかを整理してみよう。
マーケットの焦点となっているのは以下の3つである。
①ギリシャ救済に際しての民間負担
②欧州系銀行の資本増強
③EFSFのレバレッジ
特にEFSFのレバレッジに関して難航を極めており、マーケットも注目している。
以下で詳しく整理しよう。
①ギリシャ救済に際しての民間負担
これまでは民間負担は21%と想定されていたが、これは引き上げられるだろう。
マーケットの見方としては50-60%必要だという見方が大勢だが、30-40%に留まるという報道もある。
30-40%であれば、個人的にはネガティブサプライズというか、またしても大甘なEUということになるのだろう。
②欧州系銀行の資本増強
これはTire1比率9%以上にするというものだ。
欧州が過去2回実施した銀行に対するストレステストにおいては、Tire1比率5%以上が合格要件だった。
Tire1比率9% 以上という数字にはマーケットも異論はないだろう。
では、Tire1比率9%以上に資本増強するにはどのくらいの額が必要なのだろうか。
一部では2,000億ユーロ以上、一部では数百億ユーロで大丈夫との報道がある。実際のところは3回目のストレステストを行い明らかになるのだろう。
また、資本増強にはその規模とは別に、方法に関してもマーケットは注目している。
これに関しては、バローゾ委員長が言っていた、銀行が自力で資金調達→各国の公的資金→EFSFの活用というステップとなりそうだ。
③EFSFのレバレッジ
これが最大の焦点であり、フランスが主張するECBを活用する案とドイツが主張するものライン保証型レバレッジで対立している。
それぞれの説明は過去のエントリーでしてあるが、要点を再度まとめよう。
ちなみに以前の記事で、ドイツ案のモノライン保障型レバレッジでは、利払いと元金の一部を保障すると書いたが、報道では10-20%の元金を保証するようだ。基本は10%で危機が波及しては困るイタリア債に関しては20%まで保障するというものらしい。
フランス案:EFSFが銀行となりECBによる信用供与(レバレッジ)を行う
・ ドイツ案に比べてより機能強化ができる。
・ ドイツ・ECBが強い反対をしている
ドイツ案:債務不履行となった問題債券の利払いと元金の一部を保障する
・ ソブリンのクレジット悪化が小さい
・ フランス案に比べて機能強化が弱い
・ 運用が難しい
レバレッジに関してはこの2つ以外にも方法が話し合われている模様で、ウルトラCが出てくればマーケットはポジティブサプライズだろう。
フランスはEUの中で最もPIIGSのエクスポージャーが高いので、より強いセーフティネットを望んでいる。
ここまでが簡単なまとめである。
さて、最後に少しだけ欧州経済の今後について書いてみる。
今議論されていることは、全てセーフティネットであり欧州の財政問題を根本から解決する方法ではない。
ただし、強いセーフティネットが張られれば、信用不安が払拭されマーケットは一時的に好感する可能性は十分にあろう。
ただし、今後待ち受けているのは「デレバレッジ」、つまり欧州系銀行の資産圧縮である。
資産を圧縮して銀行の安全性を高めるということは、これまでリスクを取ってお金を投入していた先からお金を吸い上げることとなる。
ここで考えなければいけないことは、
. 経済が縮小するであろうこと
. 欧州マネーが入っている新興国はお金を引き上げられるリスクがあること
. 引き上げられた国は、資金流出に耐えられるかどうか
これまでは、新興国と一括りに考えていたが、これからは外国資本への依存度が高い新興国と自力がある新興国とで二分されていくだろう。
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