今回は実際にオプション価値(所謂プレミアム)の算出方法について書いていく。

オプションのプライシングで一般的なモデルは「二項モデル」と「ブラック・ショールズモデル」である。

ただし、このブログでブラック・ショールズモデルを証明していくと、数式だらけのエントリーになってしまうのでそれは避け、二項モデルやブラック・ショールズモデルのベースとなる考え方を紹介したい。


今回は株のオプションを考えてみよう(株で債券でも為替でも考え方は同じ)。
例えば日経平均(先物)を原資産とするとして、今日経平均の価格は10,000円だとする。

この日経平均は1年後に10%上昇するか5%下落するかの2通りしかないとする。
また、無リスクで1%でお金を運用できる、もしくは借り入れることができるとする。

この状況で、日経平均(先物)を1年後に10,000円で買う権利(コールオプション)はいくらだろうか。

1年後の日経平均は10%上昇した11,000円か5%下落した9,500円なのだから、1年後のコールプレミアムは1,000円か0円のどちらかである。

では、次にこのオプションを売った場合、どのようにヘッジするのか考えてみよう。
仮に僕がこのオプションを売ったとしよう。

コールオプションを売ったのだから、日経平均が上がってしまうと負けである。なので、デルタ分だけ日経平均の先物を買えばデルタヘッジができる。

その時僕の手元には、オプションを売ったのでそのプレミアム分(以下C)の収益が入ってくる。一方、ヘッジのため無リスク資産の金利でお金(以下B)を借りて日経平均先物を買う。

つまり、現状の僕の手元は
C-10,000×⊿(デルタ)+B=0 ・・・・・・・①
という状況である。

これが1年後どうなるのか。

日経平均が上昇した場合
-1,000+11,000×⊿-1.01×B=0 ・・・・・・②
※ 日経平均が上昇すればコールプレミアムは1,000円となり、僕はオプションで損するが、⊿分だけ日経平均先物を買っていたので利益がでている。またお金を1%の金利で借りているのでその分が減る。


日経平均が下落した場合
0+9,500×⊿-1.01×B=0 ・・・・・・・・・・③
※ 日経平均の価格が下落すればコールプレミアムは0円となり、僕は当初受け取ったプレミアム(C円)だけ得をした。一方、ヘッジで買っていた日経平均は下落して損失となった。また、1%でお金を借りていた分も減少する。

さて、この①~③の式と中学レベルの数学の知識があれば、Cと⊿を算出することができる。

プットオプションの場合も同じ考え方で出せるし、プット・コールパリティの式を使えばコールプレミアムからプットプレミアムを算出することが可能である。

二項モデルやブラック・ショールズモデルはこの考え方をもっと深化させたものである。

ブラック・ショールズの一歩手前というタイトルにしてしまったが、この説明だと50歩くらい手前のような気がしてならないが、もっと深く知りたい人はブラック・ショールズに関して様々な本が出ているのでそちらを参照して頂きたい。

このブログではあくまであまり数学的知識を使わずにオプションを理解するというテーマなので、プライシングに関してはこのあたりでとめておくとする。



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