昨日のエントリーで欧州危機の次なる課題について書いた。

1.(PIIGSの)国債金利を上げないようにする
2.財政収支を改善させる

である。

このうち、1.(PIIGSの)国債金利を上げないようにするという課題で重要な役回りを担うのはECBではないかと考えている。つまり、金融緩和である。

10月6日にECB会合が控えており、マーケットでは25-50bpの利下げ観測が浮上している。10月の会合で利下げが行われるかどうかは未知数ではあるが、方向としては金融緩和の方向に向いていることは間違いない。

僕は欧州危機を解決するためには、ECBの「利下げ」と「バランスシートの拡大」が効果的だと考えている。いわゆる欧州版QEだ。
とりわけ、イタリア・スペインにとって「利下げ」と「バランスシートの拡大」は大きなサポートとなるだろう。
欧州版QEは、直接的な金利低下効果に加えて通貨ユーロの下落により輸出競争力が増して経常収支の改善が期待できる。

EFSFの拡充はあくまでも外科的な治療でありEUの命を取り留めるためのものであり、欧州版QEは術後治療のようなものでEUを再浮上させるものになるのではないだろうか。


しかし、「物価の安定」という単一のマンデートを掲げているECBにおいて、バランスシートの拡大を正当化する理由を見出すのに苦労しそうだ。



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前から書いているように、ギリシャのデフォルトは避けられない問題であり多くの人はそのことを認識し始めていると感じている。

最近では、ギリシャ国債をヘアカット50%(デフォルトに相当)とし、痛んだ銀行を救済するために公的資金を注入するといった報道もされている。
これが実施されれば、ギリシャ問題は落ち着きを取り戻すだろう。

では、これで欧州危機は去っていくのだろうか?

おそらくその答えはNOである。

では、ユーロにとってのギリシャの次の課題を考えてみよう。

まず、なぜ欧州がギリシャにこれほどまで苦しめられたのか?
それは、簡単に言ってしまえばギリシャには借金がたくさんある一方で収入がないので、借金を返せなくなってしまったからである。

しかしこれは正確には誤っている。
借金がただあるだけなら切迫した問題にはならないのだが、ギリシャの場合は借金の返済期限が迫っているにもかかわらず返すお金を手当てできないから問題になってしまったのだ。

つまり、重要な点は借金の返済期限、すなわち国債の満期(償還日)である。
では、PIIGSと言われる国々(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン)の今後の国債の償還スケジュールを見てみよう。

photo:01


photo:02


(出所)Bloomberg (単位)百万ユーロ

2012年末までに償還をむかえる国債の残高である。
これを見ると、イタリア・スペインの残高が多いことがわかる。
最近ギリシャに次いでイタリアやスペインが攻撃の矛先になっているのはこのためである。
逆に、同じPIIGSでスペイン・イタリアより財政が悪いアイルランド・ポルトガルがあまり話題に上らないのは、この2国は国債の償還が直近でないためである。

ここから導かれる、欧州にとってのギリシャの次の課題は、大きく2つに分けることができる。

1.(特にイタリア・スペインの課題)国債金利を上げないようにする
2.(特にアイルランド・ポルトガルの課題)財政収支を改善させる
※もちろん、すべての国が両方の課題に取り組まなければいけない

では詳しく説明していく。
1.国債金利を上げないようにする
借金を返すためにはお金が必要だが、このお金は基本的には国債を発行して調達する(一般の人からするとそもそもこれがおかしいと思うだろうが・・・)。
返済期限が迫っているスペイン・イタリアは現状の金利だとなんとか国債を発行できて市場からお金を調達することができているが、これ以上金利が上がるとギリシャのように、市場からお金を調達できず返済資金を手当てできない状態になってしまう。

現状(2011年9月27日)のPIIGSの10年金利は以下の通りである。

スペイン:5.1%
イタリア:5.6%
アイルランド:8.2%
ポルトガル:11.38%
ギリシャ:21.9%

10年金利で6%を超えると市場調達が難しくなると言われている(もちろん厳密なターゲットはない)。

スペイン・イタリアはこれ以上金利が上がるとマーケットから退場を突きつけられる恐れがあるので、なんとしても阻止しなければいけない。ECBがスペイン・イタリア国債を買い支えているのもこのためである。

この金利を見ればわかる通り、すでにアイルランドとポルトガルは市場からの調達ができない水準にいる(マーケットから退場させられている)。
しかし、この2国は直近で借金の返済しなければいけない額が少ないので、大きな問題ではない。
しかし、いつまでも放置していてはギリシャの二の舞になるのが目に見えているので、次の課題が浮上してくる。

2.財政収支を改善させる
アイルランド・ポルトガルの財政収支(GDP比)は以下の通りである。

アイルランド:▲32.4%
ポルトガル:▲9.1%

アイルランドで言えば、GDPの32.4%分の額が毎年借金として増えることを意味する。
財政収支を改善させないことには、国債金利も下がらない上に、借金が増え続けてしまう。

アイルランド・ポルトガルの2国は、緊縮財政を推し進め、市場からの信頼を取り戻し一刻も早くマーケットへ復帰することが求められる。

借金の返済期限が迫る前に、市場復帰を果たせなければこの2国は将来のギリシャになるだろう。


最後に、これらの課題は決して当該国だけの問題ではなく、ユーロ共同体となっている今EU全体で取り組まなければいけない課題であり、グローバリゼーションが進んだ世界を考えると、EU以外の国も決して他人事ではない問題である。

ちなみに、日本の財政収支は▲8.14%、公的債務はGDP比166.94%とEU圏に属していたら間違いなくPIIGSの仲間入りする数字である。
公的債務の95%を国内投資家が保有しているという理由でギリシャのようになっていないが、放置していれば必ず爆発する問題であることは間違いない。


ギリシャ関連のエントリー
1.ギリシャ問題まとめ①
2.ギリシャはデフォルトする、EUは不滅
3.ギリシャ問題UPDATE~周辺国への波及~
4.ギリシャのデフォルト時期はわからない
5.欧州危機~ギリシャの次の課題


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オプションとは権利の売買である。
つまりオプションの買い手は行使する権利を持っていて、売り手は行使する義務をおっている。

では、買い手はいつ権利を行使できるか?オプションは権利行使できるタイミングによって3つに分けることができる。

① ヨーロピアンオプション
権利行使できるのはオプションの満期日のみ。

② アメリカンオプション
満期日までならいつでも権利行使できる。

③ バミューダンオプション
満期日までのある決められた期日(複数回)にのみ権利行使できる。

バミューダンオプションとは、ヨーロピアンオプションとアメリカンオプションの中間的な性格を持っているので、その名前はアメリカとヨーロッパの中間に位置するバミューダ諸島からきている。

ちなみに、通貨オプションディーラーが取引するのはほぼヨーロピアンオプションである。理由はいくつかあると思うが、一番はアメリカンオプションはプレミアムが高いからであろう。

故に、このブログでもオプションと言えば基本的にはヨーロピアンオプションのことを指していると考えて頂きたい。






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と言っても、僕は株に関しては門外漢なので株価の予想はわからないけど、auがiPhoneを取り扱うのは企業経営としてはあまり良い戦略とは思えないな、と言うのが個人的な見解でありタイトルの真意である。


以前の記事でdocomoからiPhoneが販売される可能性は限りなく低いことを書いた。
その主な理由が、iPhoneではimodeを使うことができず、docomoの収益性が毀損するから、というものだった。

同じように、auもiPhoneを採用することで収益性が落ちると思われる。
iPhoneの販売契約については明らかになっていないが、かなりapple優位の契約と言われている。真偽を確かめる方法はないが、おそらく真実だろう、少なくともこのエントリーでは真実として扱う。

つまり、携帯キャリアにとってみたら、ガラケーやアンドロイドで顧客と契約する場合よりもiPhoneで契約する方が、得られる収益が少なくなり利益率が下がることになる。

この点では、auもsoftbankも変わりはないわけだが、KDDIの利益性や債務残高を鑑みるとiPhoneの取り扱いがKDDIにとって良い戦略とは到底思えない。

では、KDDIとsoftbankの財務データ(2011年3月決算時のデータ)を見てみよう。
・営業利益率
KDDI 約13.64%
Softbank 約20.94%

・ 長期借入金
KDDI 約8,230億円
Softbank 約7,750億円

営業利益率に関してみると、auの利益率は既にiPhoneを採用しているsoftbankに比べて遥かに低い。iPhone効果により利益率低下が想定されるので、KDDIのキャッシュフローは現状より細ることが予想される。

また、softbankは債務残高が多いとよく言われるが、実はKDDIの方が残高自体は多い(softbankは自己資本も小さいので、資本に対する債務の割合は圧倒的に高い)。

iPhone採用により利益率が低下しキャッシュフローが細るKDDIは負債の返済能力が落ちることが予想される。

日本の携帯電話市場自体が飽和状態の中、iPhoneを取り扱っただけで契約者をdocomo以上に増やせるわけでもないのだから、auでiPhone販売というKDDIの戦略は、ただ利益率を落とすだけの無駄な戦略になるのではないだろうか。

それに、少し前にandroid au のキャッチフレーズでスマフォ戦略を打ち出した矢先にiPhone導入という長期的経営のビューのなさも非常に不安感を煽られる。


以前のエントリーでも指摘したように、Appleは日本において以前から独占契約を結んでいない。通信規格の面でもauは以前からiPhoneを扱える立場にいたが、これまで扱ってこなかったのは収益性が落ちることを懸念していたからであろう。
ここにきてiPhone導入の選択をしたKDDIは相当携帯電話事業で追い込まれていたに違いない。迷走して散々あがいた末に、藁をも縋る思いでiPhone導入を決断したのだろうが、おそらくこの決断も目立った結果を残すことはないだろう。

KDDIの残された使命は、softbankに協力(softbank“と”協力ではない)しdocomoの牙城を崩すことではないだろうか。




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前回までのリンク
オプション講座①~W杯の優勝オッズ
オプション講座②~コール・プット・ストライク・期間・プレミアム

第3弾はオプション価値について。

オプションの価値は、「本質的価値」と「時間的価値」がある。
このうち、「時間的価値」の方が圧倒的に大切なのだが、まずは「本質的価値」を説明する。

本質的価値とは、いわばストライクの価格と原資産(例えばドル円)の現状の価格との関
係から成る価値である。

例を出して考えてみよう。
今のドル円の水準が77円だとして、3つのストライクのドル円のコールオプション(ドルコール)について考えてみる。

A.72円
B.77円
C.82円

今、ドル円は77円でコールオプションを買う場合(期間は1ヶ月としよう)、上記3つの中ではどれが一番有利か?
もちろん、Aである。1ヵ月後のドル円の水準はわからないが、買う方とすれば82円で買うよりも72円で買うほうが良いに決まっている。
ただし、マーケットには美味しい話はないわけで、もちろんAのストライク72円のオプションが最も高い。つまり、高いお金を出して買わなければいけない。

極端な例を出すと、現状のドル円が77円、期間1ヶ月のコールオプションを買うとして、ストライクを10円と300円のケースを考えてみよう。
期間1ヶ月でドル円が10円や300円になるなどほぼ不可能だ。
なので、ストライク10円のオプションの価値はものすごく高いし、300円のオプションがほぼ0に近い価値になる。

このような、原資産の現状の水準とストライクの価格との関係から成る価値の事を「本質的価値」と言う。

次に「時間的価値」を考えよう。
なぜ、「時間的価値」がより重要かと言うと、「時間的価値」は「本質的価値」ほど単純ではないからである。
マーケットで取引をするということは、今自分がどの程度のリスクを持っていてどの程度儲かっている(もしくは損している)のかを把握できなければいけない。
「時間的価値」には様々な要素があり、これを理解せずにオプションを取引してしまえば、もはやただのギャンブルをやっているのとなんら変わらないことになるだろう(どうなったら儲かるのか、損するのかを理解することができない)。

詳しい説明は次回のリスク指標の回で書くとして、今回は時間的価値をざっくりと説明する。

例を使って考えてみよう。
現状のドル円は77円であり、ストライクが80円のコープオプションを買うとする。この時、満期に80円を超えていればこのオプションを買った人は勝ちで、80円を超えていなければ負けとなる。

では、1日後に80円を超えている可能性と、1ヵ月後に80円を超えている可能性はどちらが高いだろうか。
ドル円が1日で80円を超えるよりは1ヵ月後に80円を超えている可能性の方が高いだろう。
このように期間が長い方がオプションの価値は高くなる。

また、ボラティリティといって原資産の価格の変動率が高いものと低いものを比べた場合、ボラティリティが高い方が満期にストライクを超えている可能性が高いので、オプションの価値は高くなる。

こういった、「本質的価値」以外のところで決まる価値を「時間的価値」と言う。

少しもやもやが残るかもしれないが、オプション価値の算出方式にはブラックショールズというちゃんとしたモデルがある。余力があればBSの説明もするが、とりあえずはざっくりイメージのまま話を次回に進めていこうと思う。
毎日記事を連投するつもりはなかったが、たまたま昨日書いたベーシススワップ絡みでニュースが出たので、フォローという形で簡単にエントリーしようと思う。

昨日のニュースは以下なお通り。

「ECB:ユーロ圏の銀行にドル資金供給へ-FRBや日銀などと協調」

ECBが各国中銀と協力してユーロ圏の銀行にドル資金を供給するというもの。
ユーロ圏の銀行は、ドル資金の調達が困難になっている可能性があるので、ECBが事前に手を打った形。

このニュースはユーロ圏の銀行のドル資金調達がしやすくなるわけだから、もちろんベーシスは縮小(チャートが上方向にシフト)するはず。
実際に見てみよう。

photo:01


10bps以上縮小しています。

以上。




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最近、以下のような報道を受けて仏系銀行の株価が乱高下した。

*仏BNPパリバ幹部:もはやドル建てで借り入れできない-WSJ
*仏BNPパリバ株が急落-資金調達懸念やソブリン債リスクで
*仏銀BNPパリバ:ECBからドル資金借りない

マーケットでBNPパリバがドルを調達できないので資金繰りに支障をきたすのではないか、という噂が流れてBNPパリバ株は急落した。

最後の、「ECBからドル資金を借りない」というのは、通常金融機関はマーケットでドルを調達できなければ中央銀行(ECB)に駆け込みドルを借りるため、パリバはECBからドルを借りないと言う事で、資金繰りに問題はないということを示した格好となる。

そもそもマーケットでドルを調達できないとはどういうことなのか。

金融機関というのは、余分に現金を金庫に置いてても利息がつくわけではないし保管コストがかかってしまうため、基本的には余分な現金を持たないようにしている。
しかし、数日後にまとまった金額の利払い等が発生するため、その場合は利払いに間に合うように現金を手当てする必要がある。

そういう時に他の金融機関からお金を借り入れてくる(例えば、三菱東京UFJ銀行が100億円の現金が必要になり、その時たまたま三井住友銀行では100億円現金が余っていてそれを持っていてもしょうがないので、三菱東京UFJ銀行に利息をつけて貸してあげる)わけだが、BNPパリバはギリシャ国債を大量に持っていて経営が危ないかもしれないという理由で他の金融機関がBNPパリバにお金を貸さない、つまりBNPパリバは必要な資金を手当てできていないんじゃないか、という噂が流れたわけである。
パリバが潰れてしまったらお金を貸した銀行にしたらお金が返ってこないことになるので、貸したくないのは当然である。

今回はドル資金の借入ができない、という話であった。
世界で最も流通している通貨はドルであり、世界経済の見通しが不透明になると投資家は現金、特に安全資産といわれているドルを手元に置いておきたいと考えるので、世界中でドルのニーズが増している中、パリバはドルの調達ができていないのでは、という話が出てきたのである。

前置きが長くなってしまったが、今回はドルの資金調達ニーズの強さを知るための一つの指標を紹介する。
ベーシススワップというものだ。
※ ベーシススワップとは厳密には変動金利同士の交換のことを指すのだが、今回は異なる通貨の変動金利の交換のこととする。←意味不明な人は無視してください。

ベーシススワップとは、異なる通貨の変動金利の交換、例えば、ドルの変動金利とユーロの変動金利の交換のことを指す。変動金利のことをここではLibor(ライボー)とする。

また、スワップとは交換という意味だが、当たり前だが等価値のものが交換される。つまりドルLiborとユーロLiborが交換される場合は、それらが同じ価値になるように以下の式で調整されるのだ。

ドルLibor = ユーロLibor - α

このαを俗にベーシスという。

では、実際にユーロのベーシスを見てみよう。
photo:01



現状の値は▲70.9175である。
上の式に当てはめると、

ドルLibor = ユーロLibor + 70.9175bps

ということになる。
ドルとユーロを交換するのに、ユーロは+70.9175bpsも上乗せしないと交換できないということだ。

リーマンショックの時や現在の欧州危機のように、危機意識が高まるとドルの調達意欲が高まり、ベーシスはチャートの下方向、マイナス方向に拡大する傾向にある。つまり、上乗せ分をたくさん払わないとドルを調達できないということである。

現状は、まだリーマンショック時のパニック的に下落した水準には至っていないが、じわりと下落幅は拡大してきている。

金融機関同士の資金の貸し借りがスムーズに行われなくなると、資本の薄い銀行などは資金繰りができず最悪の場合は破綻に追い込まれることもあるので注意が必要である。




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着なくなった服をカンボジアに寄付すること。
ノートをカンボジアに寄付すること。

これらは国際貢献になり得るのだろうか?

国際貢献になるに決まっているじゃないか、という声が聞こえてきそうだ。
たしかに、そういった善意が世界の平和に繋がるのだと思う。そして、そういった物資の支援も立派な国際貢献に違いない。

しかし、国際貢献に興味のある人にはこんな考え方も理解して欲しい。

カンボジアにだって服を作っている人がいる。
カンボジアにだって服を売っている店がある。
カンボジアにだってノートを作っている人がいる。
カンボジアにだってノートを売っている店がある。

そう、カンボジアにも産業がある。

たしかに、日本から服などを持っていけば、その服をもらえる人は幸せな気持ちになるだろう。
しかし、それではカンボジアの産業は発達しない。それどころか、カンボジアの産業の発達を阻害する行為にもなりかねない。

本当に貧困を解決させたければ、カンボジアのGDPを持続的に上昇させるための行動が必要なのだと思う。

国際貢献に興味を持つならば、その善意を単純な行動に移すのではなく、まずは何をすれば途上国のGDP向上に繋がるか、ということを考えることから始めることも大事なのではないだろうか。

そういった意味で、経済学という学問の基本を学ぶことは非常に大切なことだと思う。



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以前の記事で、ギリシャはデフォルトするが時期はまだ先だろう、と書いた。
しかし、最近の情勢を見ていると年内にもデフォルトする可能性が高まってきた。

しかし、正直なところ、ギリシャがいつデフォルトするかはわからない。
正確には、マーケットを見ていてもギリシャがいつデフォルトするかなんて言い当てることができない。
なぜなら、もはやギリシャはマーケットから退場させられてしまった国だから。

photo:01


(出所)Bloomberg

これはギリシャの一年金利である。数字が100を超えているが価格ではなく利回りを表している。

もはやこの数字にほとんど意味はない。こんな金利ではギリシャはマーケットから資金を調達することができない(今に始まったことではないが…)。
ギリシャはすでにマーケットから資金調達ができないのだから、ギリシャの金利がどんなに上がろうがそれはギリシャには関係ないことなのだ。(厳密にはギリシャの銀行などがギリシャ債を持っているので、金利が上がれば評価損になり悪影響はあるが、ギリシャ債の多くは外国人が保有している。)

ギリシャが生きながらえることができているのは、マーケットからの資金調達ではなく、EU当局・ECB・IMF(3者を合わせてトロイカと呼ばれている)からの融資があるからなのだ。
乱暴に言ってしまえば、どんなにマーケットでギリシャ国債が売られようと、トロイカが融資を続ければギリシャは生き延びることができる。

なので、いくらマーケットの数字を追いかけてもギリシャがいつデフォルトするかなど分かるわけではなく、ギリシャのデフォルト時期はトロイカの政治判断で決定されることなのだろう。

「いつ、どのようにデフォルトさせるのがトロイカにとって最も被害が少ないのか」
ギリシャのデフォルト時期はこれに尽きる。

なので、逆を言えば、FXなどをやっている人にとっては、もはやギリシャの金利をチェックする必要はあまりないだろう。
それよりも、ギリシャ問題が周辺国へ波及することがEU・ECBにとって最悪なシナリオなのだから、イタリアやスペインの数字に注目するべきだろう。


ギリシャ関連のエントリー
1.ギリシャ問題まとめ①
2.ギリシャはデフォルトする、EUは不滅
3.ギリシャ問題UPDATE~周辺国への波及~
4.ギリシャのデフォルト時期はわからない
5.欧州危機~ギリシャの次の課題


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9月9日金曜日、オバマ大統領は雇用についての演説を行い、僕はそれをインターネットのストリーム動画で見ていた。もちろん同時にマーケットの動きも追っていた。
そのときに感じた意見を書いてみたいと思う。

結論から書いてしまうと、

(やや極論的だが)資本主義の世界で生きる限り、全ての行動はマーケットによって評価されている

と感じた。


オバマ大統領は国会(?)のようなところで演説を行った。
日本時間午前8時に映像を見始めると、オバマ大統領の姿はまだなく、議員や関係者がまるでパーティに参加しているかのように、各々挨拶をしていた。

10分か15分後くらいに大きな喝采と共にオバマ大統領が登場した。主役の登場に会場は盛大に盛り上がった。
オバマ大統領のスピーチは、独特の間があり彼が力強い発言をすると、そこでも拍手が起こった。

僕はその映像を見ていて、まるでオバマ大統領がみんなのヒーローであり、会場で彼の話を聞いている議員たちはオバマ大統領の全ての発言に興奮する熱狂的なファンのように見えた。
何も知らない人が見たら、オバマ大統領はすごい演説をしたんだと思うに違いない。

かたやマーケットの反応はというと、一部で期待されていたHIAに対する言及はなく、一時的にドルが売られた。
もっともその動きも一日の値動きからすれば大した動きではなく、オバマ大統領の演説は特段驚くべきことはなく終わった、というのがマーケットの反応だろう。

マーケットでは、オバマ大統領の演説に熱狂した人は誰もいない。
さらに言うと、オバマ大統領の登場を拍手喝采で迎え入れるほど期待していた人もいないだろう。


そこで感じたのは、資本主義のルールの下では全ての行動に対する解はマーケットの評価なのだと思った。
それが正しいのかどうかはまた別の問題だろうが、マーケットが評価してくれなければどんな対策を出そうが全く意味がない(今回の対策が無意味といっているわけではない)。

典型的な例は、欧州問題だと思う。
EU当局、ECBはEUの存続を希望しており、ギリシャをユーロ圏に留め今後も安定的な運営をしていきたいと、様々な対策を打ち出した。もちろん莫大なお金も投じている。

しかし、マーケットはEU当局の行動を長期的に支持することはなく、ギリシャから出てくる声明を信じることはなく、ギリシャのCDSは拡大の一途をたどった。ギリシャの金利は上昇の一途をたどった。
当局の考えとは裏腹に、ギリシャはデフォルトが避けられない状況に追い込まれ、おそらく年内にもデフォルトするだろう(確かではないが…)。


マーケットは全てなのだ。企業の行動だって、株価という形でマーケットに評価されている。

一方で、マーケットに評価されるということはとてもフェアなことだと思う。
どんなにお金を持っていようが、権力を持っていようが、一人でマーケットを操作することなどできない。
先日の日本の為替介入を見ればわかるとおり、GDP世界3位の大国日本が4.5兆円のお金を使っても、日本の思惑通り円安にすることはできなかった。

マーケットは究極の民主主義(多数決)なのだ。

今のルールの下で生きていくには、新聞やテレビニュースなどを見るのではなく、最もらしい意見を言うご意見番の意見を聞くのではなく、マーケットを見ることが一番手っ取り早いのではないだろうか。