9月9日金曜日、オバマ大統領は雇用についての演説を行い、僕はそれをインターネットのストリーム動画で見ていた。もちろん同時にマーケットの動きも追っていた。
そのときに感じた意見を書いてみたいと思う。

結論から書いてしまうと、

(やや極論的だが)資本主義の世界で生きる限り、全ての行動はマーケットによって評価されている

と感じた。


オバマ大統領は国会(?)のようなところで演説を行った。
日本時間午前8時に映像を見始めると、オバマ大統領の姿はまだなく、議員や関係者がまるでパーティに参加しているかのように、各々挨拶をしていた。

10分か15分後くらいに大きな喝采と共にオバマ大統領が登場した。主役の登場に会場は盛大に盛り上がった。
オバマ大統領のスピーチは、独特の間があり彼が力強い発言をすると、そこでも拍手が起こった。

僕はその映像を見ていて、まるでオバマ大統領がみんなのヒーローであり、会場で彼の話を聞いている議員たちはオバマ大統領の全ての発言に興奮する熱狂的なファンのように見えた。
何も知らない人が見たら、オバマ大統領はすごい演説をしたんだと思うに違いない。

かたやマーケットの反応はというと、一部で期待されていたHIAに対する言及はなく、一時的にドルが売られた。
もっともその動きも一日の値動きからすれば大した動きではなく、オバマ大統領の演説は特段驚くべきことはなく終わった、というのがマーケットの反応だろう。

マーケットでは、オバマ大統領の演説に熱狂した人は誰もいない。
さらに言うと、オバマ大統領の登場を拍手喝采で迎え入れるほど期待していた人もいないだろう。


そこで感じたのは、資本主義のルールの下では全ての行動に対する解はマーケットの評価なのだと思った。
それが正しいのかどうかはまた別の問題だろうが、マーケットが評価してくれなければどんな対策を出そうが全く意味がない(今回の対策が無意味といっているわけではない)。

典型的な例は、欧州問題だと思う。
EU当局、ECBはEUの存続を希望しており、ギリシャをユーロ圏に留め今後も安定的な運営をしていきたいと、様々な対策を打ち出した。もちろん莫大なお金も投じている。

しかし、マーケットはEU当局の行動を長期的に支持することはなく、ギリシャから出てくる声明を信じることはなく、ギリシャのCDSは拡大の一途をたどった。ギリシャの金利は上昇の一途をたどった。
当局の考えとは裏腹に、ギリシャはデフォルトが避けられない状況に追い込まれ、おそらく年内にもデフォルトするだろう(確かではないが…)。


マーケットは全てなのだ。企業の行動だって、株価という形でマーケットに評価されている。

一方で、マーケットに評価されるということはとてもフェアなことだと思う。
どんなにお金を持っていようが、権力を持っていようが、一人でマーケットを操作することなどできない。
先日の日本の為替介入を見ればわかるとおり、GDP世界3位の大国日本が4.5兆円のお金を使っても、日本の思惑通り円安にすることはできなかった。

マーケットは究極の民主主義(多数決)なのだ。

今のルールの下で生きていくには、新聞やテレビニュースなどを見るのではなく、最もらしい意見を言うご意見番の意見を聞くのではなく、マーケットを見ることが一番手っ取り早いのではないだろうか。