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オプション講座①~W杯の優勝オッズ
オプション講座②~コール・プット・ストライク・期間・プレミアム

第3弾はオプション価値について。

オプションの価値は、「本質的価値」と「時間的価値」がある。
このうち、「時間的価値」の方が圧倒的に大切なのだが、まずは「本質的価値」を説明する。

本質的価値とは、いわばストライクの価格と原資産(例えばドル円)の現状の価格との関
係から成る価値である。

例を出して考えてみよう。
今のドル円の水準が77円だとして、3つのストライクのドル円のコールオプション(ドルコール)について考えてみる。

A.72円
B.77円
C.82円

今、ドル円は77円でコールオプションを買う場合(期間は1ヶ月としよう)、上記3つの中ではどれが一番有利か?
もちろん、Aである。1ヵ月後のドル円の水準はわからないが、買う方とすれば82円で買うよりも72円で買うほうが良いに決まっている。
ただし、マーケットには美味しい話はないわけで、もちろんAのストライク72円のオプションが最も高い。つまり、高いお金を出して買わなければいけない。

極端な例を出すと、現状のドル円が77円、期間1ヶ月のコールオプションを買うとして、ストライクを10円と300円のケースを考えてみよう。
期間1ヶ月でドル円が10円や300円になるなどほぼ不可能だ。
なので、ストライク10円のオプションの価値はものすごく高いし、300円のオプションがほぼ0に近い価値になる。

このような、原資産の現状の水準とストライクの価格との関係から成る価値の事を「本質的価値」と言う。

次に「時間的価値」を考えよう。
なぜ、「時間的価値」がより重要かと言うと、「時間的価値」は「本質的価値」ほど単純ではないからである。
マーケットで取引をするということは、今自分がどの程度のリスクを持っていてどの程度儲かっている(もしくは損している)のかを把握できなければいけない。
「時間的価値」には様々な要素があり、これを理解せずにオプションを取引してしまえば、もはやただのギャンブルをやっているのとなんら変わらないことになるだろう(どうなったら儲かるのか、損するのかを理解することができない)。

詳しい説明は次回のリスク指標の回で書くとして、今回は時間的価値をざっくりと説明する。

例を使って考えてみよう。
現状のドル円は77円であり、ストライクが80円のコープオプションを買うとする。この時、満期に80円を超えていればこのオプションを買った人は勝ちで、80円を超えていなければ負けとなる。

では、1日後に80円を超えている可能性と、1ヵ月後に80円を超えている可能性はどちらが高いだろうか。
ドル円が1日で80円を超えるよりは1ヵ月後に80円を超えている可能性の方が高いだろう。
このように期間が長い方がオプションの価値は高くなる。

また、ボラティリティといって原資産の価格の変動率が高いものと低いものを比べた場合、ボラティリティが高い方が満期にストライクを超えている可能性が高いので、オプションの価値は高くなる。

こういった、「本質的価値」以外のところで決まる価値を「時間的価値」と言う。

少しもやもやが残るかもしれないが、オプション価値の算出方式にはブラックショールズというちゃんとしたモデルがある。余力があればBSの説明もするが、とりあえずはざっくりイメージのまま話を次回に進めていこうと思う。