フィリピンで働くシリアル・アントレプレナーの日記 -30ページ目

スタッフ個人にとっての成長の痛み

いままで、様々な成長の痛みについて書いてきた。
ただ、それらは、会社にとっての痛み。
これとは別に、スタッフ個人にとっての成長の痛みというものがある。

どういうことか。

会社を創業したての時は、スタッフ数がせいぜい2,3人。
マネジメント能力は当然要求されず、
誰かと意見調整する必要もない。
必要だと思ったことをガンガンやればよい環境。
実務能力は必要。
あと、まだちっぽけな会社にスタッフを集める口説き能力も要求される。

だが、会社が成長して、スタッフ数が20、30人になったとする。
階層構造をつくらないと管理できなくなるから、部下ができる。
当然マネジメント能力が要求される。
意見調整みたいな、コミュニケーション能力も要求される。

つまり、スタッフ2,3人のころと、
スタッフ20、30人のころでは、
要求されるスキルセットが全く異なる。
(200、300人になったらまた異なるだろう)

で、もし、何らかの事情で、
スタッフ数2,3人のころに活躍していた人が、
新しいスキルセットの習得に失敗したらどうなるか?

答えは、 「活躍の場が限られる」 

そのスタッフがいたおかげで、2,3人の会社が、20、30人の会社になった。
なのに、スタッフが2,3人のときの働き方しかできないと、
活躍の場がものすごく限られてしまう。
スタッフが20、30人の働き方ができる人の方が、活躍できてしまう。

なので、特に創業者たちは、
会社の成長スピードに負けないよう、
自分自身を成長させる必要がある。

というわけで、そんな恐怖と闘いながら、水面下で足をバタバタ動かし続ける毎日であります。

他人でもできることは他人に任せる

ミドルマネジメントの子にいったこと。

・・・・・

他人でもできることは他人に任せ、自分しかできないことをのみをしてほしい。

例えば、この仕事。
君なら、100の時間があれば終わるとする。

この仕事を部下にお願いしたら、200の時間がかかり、
かつ、君がチェックで20の時間が必要になるとする。

100:220

で、この場合でも、220の方を選んでほしい。
君はこの仕事を自分でやらず、部下にお願いしてほしい。

部下にお願いすれば、部下の時間を200使ってしまうが、
君の時間は80節約できる。

だとしたら、80節約できる方を選んでほしい。

君の時間の80の方が、部下の時間200よりも、会社にとっては貴重なアセットだ。
そして、君の部下は、200の時間をかけてやることで、
いずれ君同様に100の時間で仕事ができる人になる。

他人でもできることは他人に任せ、自分しかできないことをのみをしてほしい。

頭越しでコミュニケーションをしなくちゃいけない場合もある

マネジメント能力とは、次のようなものだと思う。

a) みんなの声を聞き、
b) やることを定め、
c) 定めた方向にみんなを引っ張っていく能力

なぜなら、

a) 話を聞けないと、効果的な意思決定が難しい
b) 状況を整理し、やるべきことを洗い出し、優先順位をつける必要がある
c) 方向性を共有し、問題があったらガンガン取り除いて成果を出す

で、ミドルマネジメントの人たちには、このマネジメント能力を持ってもらわないといけない。
だから、僕にはマネジメント育成能力が必要とされる。

その育成能力とは、下記をチェックしフォローアップする能力だと思う。

a) ミドルマネジメントが話を聞けているかどうか
b) タスクの優先順位付けがうまくできているか
c) 意思疎通がはかれているか、何かの問題でつまづいていないか

これがトップマネジメント層でできていないと、
ミドルマネジメントが十分な能力を発揮できず、
現場のスタッフたちが迷惑をこうむる。

というか、こうむった。

(bow)

なんでこうなったんだろうと考えているうちに、

頭越しのコミュニケーションをしなくちゃいけない場合もあるんだ、

と気付いた。


ミドルマネジメントを置いて以来、
僕がミドルマネジメントに言われ続けてきたのが、
頭越しのコミュニケーションを我慢しろ
ということだった。

ミドルマネジメントをおいたら、その下のスタッフとは極力話さない。
いったん任せたんだから、ぐっと我慢しろ。

そう言われた。
でも、今日、それじゃぁ、マネジメント育成はできないんだなぁと気付いた。

頭越しで指示は出しちゃいけない。
頭越しで、ミドルマネジメントの批判めいたことを口にしちゃいけない。
だけど、頭越しで、情報収集だけならしてもいいんだ。

頭越しで簡単でいいから情報収集をしないと、
ミドルマネジメントが大きく間違った方向に行っていないか、
わからない。

なので、完全に頭越しコミュニケーションをやらないのではなく、
ミドルマネジメントがうまくやれているのかのチェックは、
常に必要なんだと思った。

上達が10倍おそいのなら、10倍やる環境をつくろう

僕は、スポーツをやるのが好きだ。
サーフィンとか、ゴルフとか。

ただ、運動神経はよくない。
人よりも上達が10倍おそいと思う。

でも、いつも思っていること。
それは、
上達が10倍おそいのなら、10倍やる環境をつくろう
ということ。

中高の体育では、いろんなスポーツを季節ごとに順繰りにやる。
クラスの中には運動神経がいい人がいっぱいいる。
だから体育の時間はみじめな気持ちになることが多かった。

明らかに周りの方が、上達が早い。
明らかに自分は、ぶかっこうなままそのスポーツを終える。

だから中高では、体育はそんなに好きじゃなかった。

だけど、大学になり、マリンスポーツをやりたいと思った。
でも泳げなかった。
だから、まずは泳げるようになろうと思った。
20歳の夏に、スポーツクラブに通った。
ほぼ毎日泳いでいたら、2カ月で1キロメートル泳げるようになった。

僕は 「これだ!」 と思った。

泳げるようになったのは、ほぼ毎日泳ぎに行けたから。
ほぼ毎日行けたのは、風呂なし5畳の部屋に住んでいたから。

部屋に風呂がないから、毎日銭湯に行かなきゃいけない。
で、銭湯に行くんだったら、代わりにスポーツクラブに行けばいい。
洗面器の代わりに、スイムウェアとスイムキャップを持っていけばいい。

たったこれだけの変化。
でも、これだけで、毎日泳ぐ時間が確保できた。
1日1時間も泳いでいなかった。
短いときは10分で切り上げた。
平均すると30分くらい。
でも、これを2か月間やるだけで、
10メートルも泳げなかった僕が、1キロメートル泳げるようになった。
そして僕は、意気揚々とスポーツクラブを退会した。
で、サーフィンを始めた。


僕は、上達が10倍おそい人だが、あのとき僕は水泳を10倍やる環境を手に入れていたのだと思う。
その環境とは、風呂なし5畳だ。
お金がなくて、風呂付の部屋に住めなかった。
だからこそ、毎日ジムに行く理由ができた。
だから、泳げるようになった。


だから、僕は決めた。

上達が10倍おそいのなら、10倍やる環境をつくろう、と。
そうしたら、人に追いつける。
そうしたら、運動神経のにぶい僕でも、スポーツを楽しめる。



で、サーフィンを始めた。
始めたのはいいが、思い知ったのは、
サーフィンはスポーツの中で最も難しいもののひとつだ、ということだった。

例えばスノーボード。
動作はサーフィンと似ている。
でも、スノーボードの方が圧倒的に簡単。
その理由:
・スノボは立って始まるが、サーフィンは寝た状態から立たなきゃいけない
・雪面は常に一定。 波のように瞬時に崩れたりしない
ハードルが2倍高い。

運動神経の鈍い僕にとって、
そして20歳を過ぎてからサーフィンを始めた自分にとって、絶望的な状況だった。

6万円する板も買ったのに、ぜんぜんうまくならない。
立てない。

そんな状況が1年間続いた。

で、僕は思った。


どうやったら、サーフィンを10倍やる環境をつくれるのだろうか?

考えた末に出てきた結論は、「海辺に住む」 だった。
サーフィンで海に入っているのは、1回で約2時間弱。
東京から海に行くには、往復6時間。
東京に住んでいたら、どうしたって10倍やれない。

ただ、当時は実家住まい。
1人暮らしはお金がかかる。
海辺に住むのは無理だ。

どうしよう・・・

でてきた結論は、 「海外のサーフビーチに住もう」 と思った。

ちょうど、大学を卒業してから働くまでの間、1年間休学して海外旅行することに決めていた。
そして、旅行と言ったって、観光名所をぶらぶら巡っていてもつまらない。

で、いろんな紆余曲折があったが、
メキシコのサーフビーチ、Puerto Escondido というところに3カ月落ち着いた。
波がすごいところで、 Mexican pipeline と呼ばれている町だった。

3カ月毎日サーフィンをやった。
結果、さすがに安定して立てるようになった。
横にも滑れるようになった。
ボトムターンらしきものをマスターしようとしかけたときに、4カ月が終わって、日本に帰らなくてはならなくなった。

日本に帰ってからは、戦略コンサルタントの忙しい日々が始まった。
それを2年半続けた後、レアジョブを起業した。
もっと忙しい日々になり、サーフィンから遠ざかった。
今いけるサーフィンビーチは、マニラから夜行バスで8時間。
とても気軽に行けるところにはない。
僕のサーフィンは、メキシコでのレベルで止まっている。

でも、たまにサーフィンをしていて、
「楽しいっ!」
「生きてるっ!」
そう思える自分はいる。

スポーツを楽しむレベルになるために、10倍やる

という目標は、達成できたのだと思う。




最近、ゴルフを始めた。
うちの会社の人も、ぞくぞくと始めている。

で、僕はやっぱり下手だ。
周りから失笑されることもしばしば。
で、インターンのF君を始め、周りを見ていて、みんなうまいなぁ、と思う。

でも、そのうまい姿を見ていて思うこと。

僕は、人の10倍やろう。

マニラはスポーツするのにとても不便な場所。
でも、ゴルフは安くできる。
打ちっ放しは1球2円。
会社からタクシーで140円、10分もかからない場所にある。

東京に帰った時も、住んでいるマンションから徒歩1分のところに、
スポーツジムのゴルフシミュレーターがある。
30分1000円で打てる。

10倍やる環境がここにあるんだ、
と思う。

僕は、人の10倍やろうと思う。

NHK Worldでご紹介いただきました

NHK World でご紹介いただきました。

その模様は こちら  からご覧いただけます。


戦略コンサル辞めて起業している日記-nhkworld



動画が見れるリンク先
はしばらくすると消えてしまうと思うので、後で内容をここに書いておきます。


成果をよりコントロールできるようになる習慣

昨日法務の話で書いたが、
法務は、企業の予想可能性を高めるために現在行える投資だと思う。

予測可能性を高める、とは、
成果をよりコントロールできるようになる、ということ。

仕事の力を伸ばすことをつきつめると、

・なぜほうれんそうをすべきなのか?
・なぜ、「あの件いかがですか?」的連絡は、メールよりも電話ですべきなのか?
・なぜ、まっさきにリソースを用意する習慣をつけるべきなのか?

どれもつきつめると、
「成果をよりコントロールできるようになるから」
という答えがそこにある。

・ほうれんそうをしなくても大丈夫なときも多いが、しなかったら破滅的なときもある
・メールだけで十分な情報が得られるときもあるが、電話の方がより深い情報を得やすい。コネクションも深まりやすい
・あとからリソースを用意しても間に合うときもあるが、そうでないときもある。後から間に合わなくなったときの成果は破滅的。

仕事の力を伸ばすというのは、
成果をよりコントロールできるようになる習慣を身につけることだと思う。

つまり、適切な習慣さえ身についているかどうかで、年収が決まるわけで、
習慣の力ってすごいなぁと思う。

法務


法務は、つまんないルール合わせだと思ってた。
でも違う。
企業の予想可能性を高めるために現在行える投資だと思う。
つまり、長期的なリスクを現在のコストにおきかえる投資活動である
けっこうダイナミックだと思う。

量よりも頻度?

英語学習は、
「質よりも量では?」
と言い続けている。

一方、コミュニケーションそのものは、
「量よりも頻度では?」
と思っている。

例えばメールのやりとり。

僕は、忙しい。
だから、長文のメールが来ると困る。
でも、メールがそもそも来ないのはもっと困る。
何が起こっているのかわからなくなる。
メールの頻度は多くしてほしい。

量少なく、頻度多く、というのが理想的。

例えて言うと、
「何が起きているか、あなたの上司から奪わないでほしい」
という感じだろうか。

連絡が全くないと、深く突っ込んで知るチャンスは全くない。
連絡が長文だと、全てを深く突っ込んで知らないといけない。
深く知る選択権が、僕は欲しい。

情報量は短く。
でも頻度は多く。

これが一番望ましい。

フリーランチ

フィリピンオフィスでは、無料で昼食をスタッフに出している。

1品+ご飯+(たまに)スープ、位の簡単な食事。

でも、フルタイムスタッフが22名いるから、準備は大変。


戦略コンサル辞めて起業している日記-stafflunch



なんで無料で出しているかというと、スタッフのリテンションのため。

・フィリピン人スタッフのリテンションに最も効くのは、スタッフ同士の関係性。
 (キャリアアップでもなく、会社のビジョンでもない。)
・関係性を深めるのに、食事は重要。
・職場でご飯を出せば、喜んで食べてくれる。
・みんな一同に集まるから、自然に仲良くなる。
・また、おいしい食事をつくる人を雇うコストは非常に低い。
・だから、費用対効果がすごい良い

やってみて初めて気付いたんだけれど、スタッフの栄養状態も良くなった (=みんな多少太った 笑)

それまでは、
カップラーメンだけ、とか、
バナナ2本、とか、
缶詰+ご飯
で済ませていた人たち。

それが、昼飯だけとはいえ、まともなご飯を食べるようになった。

スタッフが健康だと、仕事が順調に回るので、会社にもメリットがある。

スタッフも大喜び。

みんなが楽しそうにご飯を食べている姿を見ると、
レアジョブ始めて以来、自分のナイスジャッジのうちの1つがこのフリーランチだなと思う。

鳴っている電話に手が届くか

自分の責任ではないが、誰かがやらなければならない作業というものがある。

例えば、鳴っている電話。
十中八九、自分宛の電話ではない。
いつも電話受付をしてもらっている人は席をはずしている。
自分がやらなくてもいい仕事だ。
だが、この電話の応対は誰かがしなくてはいけない。

このときに、四の五の考えず、すっと手が伸びるかどうか。
鳴っている電話に手が届くか。
これが重要だと思う。

鳴っている電話に手が届くか。
手を伸ばすか、ではなく、手が届くか。

この電話を取ると、自分のやりたい仕事が中断される。
この電話を取ると、相手に長話されてしまうかもしれない。
はっきり言って、何のトクもない。

けど、それは周りも同じ。
あなたが取らなかった電話は、周りの誰かが取る電話だ。

いつも手が届く人は、損な役回りを積極的に引き受けている人。
なにか困ったことがあれば、積極的に助けてもらえるだろう。

いつも手が届かない人は、「自分さえ良ければいい人」というレッテルを免れ得ない。
「いつもは助けてくれないから・・・」 ということで、積極的には助けてもらえないだろう。

いや、こんなことを四の五の考えるのもよくない。
条件反射で何も考えず、鳴っている電話を手にとれるようになるべし。

それがどう自分に役立つかとか、
そもそも自分がそれをやることは会社にとってメリットがあるかとかは、
手に取れるようになってから考えるべし。