<ビリー・クリフォード side>
6
翌日。
オレは仕事を休んで、ルークと二人新しい住まいを探す為、朝から不動産めぐりに精を出した。
今までオレが住んでいた部屋は1DK。
小さな吹き抜けのある部屋でそこに付随するロフトも気に入っていたが、さすがに兄弟二人で住むとなると荷物もそれなりに増えるし狭くなる。
ならば二人で快適に住める部屋を探そうと、不動産のオッサンを従えて物件めぐりをしているのだが、これがなかなかよい部屋が見つからなかった。
今日だけで、回るのはこれで5件目だ。
「こんどこそ、お気に召すと思いますよ」
何かに付けては、両手を揉み手するオッサンは、額に脂汗を浮かべながらも、オレの耳元で囁いた。
何度となく聞こえてくるセリフだ。
ホントなのか?
ついツッコミたくなる所だが、そう思う度に横でルークのヤツがオレを睨むものだから、実際行動に移さないでいる。
間もなく、不動産屋のオッサンが運転する車がとあるマンションの前で止まった。
「とっておきのお部屋は、ここですよ」
オッサンは、今までよりさらに声を一オーブターブ声を上げて言った。
さっそく車を降りて、マンションの建物を仰ぎ見と、横から見る白いマンションは、2階まで広く、その上の階から階段状に幅が狭まって建っていた。
台形のようにも見える建物の台形のプロポーションは、周りの緑に建つ要塞のようだった。
悪くない。
河の側に建つマンションは、河川敷に添って伸びている道路のせいか、確か「道路斜線」というモノで建物の高さが規制されているのだなと解釈しながらオレは建物に入った。
「ここの213号室なんです。ここはスペシャルなお部屋なんですよ。なんたって河に向かって広いルーフバルコニーがあるんです。まあ、いうなればプライベートな庭、空中庭園ですね」
不動産屋のオッサンは、もみてしながら2階への階段を先に上がり部屋へと誘導した。
片側がオープンになった廊下の一番奥の部屋までいくと、オッサンは鍵束から一つの鍵を取り出す。
スッキリしたデザインの玄関ドアを見ると、213と洒落たステンレスのヘアライン加工されたルームナンバープレートが、なんだかとてもしっくりきた。見とれていると、オッサンの訝しむ声が聞こえた。
「あれ? おかしいですね」
「どうしたんですか?」
ルークがオッサンに尋ねると、不可思議な顔のまま、ぼそりと呟いた。
「いや……鍵が開いているんです。まさか泥棒……」
いや。泥棒って。誰も住んでいなければ、何も取られるモノもないだろ。
オレは心の中でツッコミをいれたが、オッサンは一人蒼くなっていた。
オッサンは恐る恐るドアを開けて玄関に入るので、オレとルークも従につくと、、大理石の玄関三和土の床の上にキチンとそろえられた靴が2足あった。小さいけれど、部屋の奥の方で誰かの話し声が聞こえた。
どうやら泥棒ではなさそうだ。
「すいません……どなたか先に来てたのですか?」
オッサンが中に向かって声を掛けると、声に気づいて、若い男が部屋から出てきた。
to be continued……