【BL小説】room number 213 ビリー・クリフォードside 5 | 一期一会

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本も人の出会いも一期一会。時々読者、時々物書き。好きな本やコミック感想を中心に、日常のつれづれと共につぶやいていきます。

<ビリー・クリフォード side>



「ルーク、知り合いか?」
本当は、知り合いか? ではなく、双子がいたのか? と聞きたかったくらいだ。兄のオレよりも、こんなにルーク似ている男がこの世にいるなんて、信じられなかった。
ルークは鼻息も荒く、よくぞ聞いてくれたとばかり、口を開いた。
「ああ。ボクもビックリしたんだ。よく似てるよね。偶然同じ新幹線に乗っていて、席が隣だったんだよ」
ルークはさらりと言ったが、似ているってもんじゃない。もう一人のルークだ。
背丈から、髪型から、本当によく似ている。周りから見れば、よっぽどオレより兄弟に見えるだろう。
「……嘘だろ」
オレはルークの言葉をどこか上の空で聞いていた。
青年はまったくオレたちの心配をよそに、前で立ち止まると、ギターケースを軽く担ぎ直した。
「お疲れさまでした。この方がルークさんのお兄さんなのですか?」
はっきりとした日本語だった。てっきり、英語で話しかけられると思っていたオレは、虚をつかれたように目の前のルークによく似た青年に目を見張った。
「そうそう。これが兄です」
「初めまして」
ルークによく似た青年は、笑みを浮かべながら、軽く会釈した。
オレも軽く会釈をすると目があった。
あ。
違う。
蒼い。
蒼い瞳のルークだ。
「じゃ、お疲れさまでした」
「お互いがんばろうね」
蒼い瞳の青年は、挨拶だけするとギターケースを抱えたまま出口に向かう。
小さくなる足音と、後ろ姿までもルークそっくりな青年の後ろ姿を黙って見送った。
「あ、今の人もボクと同じ名前なんだって」
「ルーク……」
「どうしたの?兄さん」
「なんでもない……なあ、ルーク。お前達双子みたいにソックリだったぞ。まさかホントに双子じゃないだろうな」
「何を言い出すかと思ったら。もしそうなら、兄さんだって兄弟になるじゃない。死んだ母さんからは双子がいたとは聞いていないし。ボクも驚いたけれど、本当に赤の他人なんだって。彼は自分の音楽がやりたくて上京したらしいよ」
ギターケースを持っているのは、音楽をやっているからなのか。
オレは合点がいったが、蒼い瞳のルークが気になった。
……もう一人のルークか。
もう二度と会うこともないだろうが、音楽をやりに上京してきたのならば、成功して欲しい――。
再び小さくなるもう一人のルークの後ろ姿を見ながら、いつの間にかオレは祈らずにはいられなかった。
「それより兄さん、早く兄さんの家へ行こうよ」
ルークは寒そうに肩を縮めながら、口先を尖らせた。
「ああ……わかった」
オレはようやく我に返り、急いで帰路に就いた。


to be  continued……