【BL小説】room number 213 ルーク・クリフォードside2 | 一期一会

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本も人の出会いも一期一会。時々読者、時々物書き。好きな本やコミック感想を中心に、日常のつれづれと共につぶやいていきます。

<ルーク・クリフォードside 2>



ボクはきょろきょろと辺りを見回し、また次の車両へと移動する為デッキに移ると、重い荷物がさらに重く感じられて大きいため息を一つついた。
はぁ。
この車両も空きはナシか……。
これで五両目だ。しょうがない。また別の車両を探そうかと狭い通路をUターンしようとしたところに、一人の青年と眼があった。
あれ? この顔。
金髪を短髪にして蒼い瞳。その上、すごい美形な顔立ち。まるで外人モデルと言っても過言ではない。歳はボクと同じくらい。相手もボクの顔が気になったのかじっと見つめていた。
無理もない。
だってボクらは鏡を見ているように、ソックリだった。
よく人間似ている人は世の中に三人いるとは言うが、もし、それが本当ならなんという偶然だろう。
一瞬声をかけようかと思うが、似ているからというだけで話は終わってしまいそうだ。
そのまま素通りしようとしたら、彼の横の座席に合皮のソフトケース入りのギターケースのようなものが鎮座しているのに眼が止まった。
「すいません、ここ空いてますか?」
気がつくとボクの方から声をかけていた。
「ああ……どうぞ。すぐにどけますので」
青年は軽く会釈をすると、座席にあったギターケースをどかす。
見かけに反してずいぶん流暢な日本語で受け答えをされて、正直ボクは驚いた。
「ありがとう」
とりあえず礼だけは言ってこう。
外見はどこから見ても日本人ではなさそうなのに。
ボクも、思わず日本語で話しかけたけれど、英語のほうがよかったのか? と、話しかけた後に少し後悔した。だが、正直言って、ボクは外見はまるっきり外人なのに、英語はあまり得意ではない。とりあえず、日本語が通じたのでよしとしよう。ボクに似た彼は、案外日本での生活が長いのかもしれないし、外見は外人でも、日本語漬けで育った環境なのかもしれない。。
まあ、いい。
ボクには関係ない。
たまたま上京する新幹線の中で、隣の座席になっただけなのだ。
ボクは荷物の鞄を座席の上の棚にしまうと、携帯片手に得意の早業で兄さんにメールを送った。
『新幹線に今乗ったよ!』
携帯の画面にはただそれだけ。
送信っと。ふふ……これでよし。ボクは少し笑みを浮かべながら送信ボタンを押した。
これでもうすぐ兄さんに会える。
ボクは嬉しくて仕方なかった。
「打つの早いですね」
横から声がしてボクは慌てて声の主を睨んだ。
「覗き見ですか」
「すいません。そんなつもりでは……貴方があんまり楽しそうだったのでつい……」
本気で怒ったわけじゃなかったのだが、青年は申し訳なさそうに謝った。青年が謝ると、なんだか自分に謝られている気がして、ボクは居心地が悪くなった。自分が自分に意地悪をしているような錯覚に陥る。
「別にいいけど……」
少しだけぎこちない空気が流れる。
気まずいなと思っていた所に、新幹線の車内放送時にかかる音楽がきらびやかに聞こえてくると、間もなく女性のアナウンスが流れてきた。


to be  continued……