うれしはずかし恋愛生活 東京編 (1)あたしの新たな生活
3月になってあたしの彼そして婚約者の弐條雅和さん(実は総理大臣の二男!)は大学進学のために港町神戸を離れ、進学先の慶応義塾大学がある東京に旅立った。
あたしはこの神戸に残って遠距離恋愛を始める予定だったんだけど・・・。
「え?パパ。なんて言ったの?」
「また転勤だ。」
「今度はどこ?」
「陸上幕僚監部。市ヶ谷だよ。いきなり総監に呼ばれたと思ったら栄転だって言われてね・・・。パパは幕僚副長に任じられた。どうする?ここに残るか?それとも東京に行くか?」
あたしはもちろん行くって答えたわよ。これで遠距離恋愛しなくていいもんね・・・。
急に言われたもんだから、適当な家が見つかるまで、市ヶ谷三宿官舎で住むらしいけど、よく考えたら、あたしの学校はどうなるんだろう・・・。
パパは途中編入できるいろんな私学に電話してくれて、なんとか見つけた数件の女子高。そこには慶応義塾女子高校もあった。偏差値は77の超ムズイところかも・・・。うちの学校あの灘高よりも少し落ちるくらいだから、65くらいなんだろうか・・・。もしかしたらかすりもしないかもしれないけれど、まあ、うちの学校とそこの学校は理事長さんが仲良しみたいで、特別に編入枠を設けてくださったみたい・・・。あとは試験・・・。今までずっと弐條さんが、家庭教師みたいなことしていてくれたから、以前よりはましかもしれないけれど、春休み入ってすぐに試験のため東京に行ったの。もちろん弐條さんには内緒で・・・。面接とかはないから筆記のみ・・・。ああドキドキする。ここさえ受かれば弐條さんと同じ大学へいけるわけだし・・・私は必死に勉強したわよ。試験の日の午後に結果が出て、結果は・・・編入OK!なんとか編入許可が下りた。私って運だけで生きてるのかしら・・・。 編入が決まったその日に手続き、制服の採寸とか、忙しくって、パパも大変なのに付き合ってくれた。制服は神戸の学校のような可愛いものではないけど、まあこんなものかなって感じ。校風は神戸の学校と違って自由が多いし、あまり厳しくないそうだから、まあいっかな・・・。
でも官舎から通うのは結構遠い。東急で渋谷まで出て、JRで田町まで行くのが一番簡単なのかな?パパは高輪から新宿の間でいいとこないか物件を物色しているんだけど、なかなかいいとこなくって、苦労しているみたい。見つけたと思ってもまだ完成していなくって、入居はゴールデンウイーク明け。・・・。まあそこに決めて完成を待つ。場所は麻布。結構閑静な住宅街なのよね・・・。近くに有栖川記念公園があって、その近くの新築分譲マンション。パパと二人暮らしだから、小さめの2LDK。もちろん自転車通学。パパは車で通勤。早く完成しないかなってパパは言っていた。
三宿の官舎は結構古いつくりだけど、近くに病院もあるし、駅近。パパの市ヶ谷駐屯地まで送迎バスが出ているけれど、パパは幹部だから、自家用車で通勤。もちろん送迎車があってもいい立場なんだけど、あまりパパは好きじゃないから、断ったらしい。
でもびっくりしたのは何で清原さんまで転勤???同じ官舎???三等陸佐の清原さんはパパが転勤だと聞いて、何でもいいから市ヶ谷に行かせてくれと頼んでパパも転勤の条件として清原さんを連れて行きたいといったらしいのよね・・・。防衛部防衛課勤務。以前のようにパパの側にいれないけれど・・・。なんなんだろこの人は・・・。パパも毎朝のように清原さんに運転させて出勤しているのよ・・・。
新しい学校での生活が始まって半月経った頃、あたしは久しぶりに弐條さんに電話をかけてみた。きっと東京にいるって聞いたらびっくりするだろうな・・・。
「弐條さん、あたし。」
『綾乃かあ・・・。ちゃんと学校行ってるの?今どこ?』
「今東京にいるよ。会えないかな・・・。」
『え???東京???今講義終わったところだから、どこで会える?今どこ?』
「三田だよ。」
『三田????僕は日吉なんだけどな・・・。じゃあ渋谷で会えるかな・・・。』
「うん、帰宅途中の駅だからいいよ。どこがいいかな・・・。」
『それなら・・・渋谷の東急の改札でいいかな・・・。今からだったら30分くらいで着くからさ。ついたら電話する。』
結構驚いていたな・・・。あたしはJRに乗って、渋谷に急いだ。新しい制服で気づくかな・・・弐條さん。本当に一月半ぶりの再会だから、とっても嬉しい。色々考えながら、東急渋谷駅の改札前で待った。改札ってここだけだったかな・・・。すると電話がかかってくる。
『もうすぐ着くけど、どの改札?』
「田園都市線のハチ公方面の改札にいるけど。」
『わかった。』
すると改札から弐條さんが出てくる。そしてあたしを探してた。
「弐條さん!こっち!」
弐條さんは気が付いて、あたしのほうに走ってきた。
「あれ?その制服・・・・。慶応女子・・・。何で?」
「パパの転勤で編入したんだよ。びっくりした?したよね?ずっと秘密にしてたんだ。」
「そっか、そっか・・・・。遠距離恋愛しなくていいんだね・・・。でもね・・・僕は三田キャンパスじゃないよ。3年からは三田だけど・・・。」
「え~~~~!せっかくがんばって慶応女子に入ったのに・・・。会えないんだ・・・。」
「でも系列の学校にいてくれるだけでも嬉しいよ。どうする今から。」
あたし達は渋谷駅を出て、お茶しにいった。やっぱり弐條さんは大学に入ってからますますかっこよくなって、惚れ惚れしちゃった。さすが慶応ボーイ・・・。結構もてるんだろうな・・・。弐條さんはお爺様に合格祝いとして広尾にマンションを買ってもらったそうなんだけど、5月末まで完成しないらしいのね・・・。だから今は総理公邸から通学しているらしい・・・。
「あたし、5月中旬になったら南麻布に住むんだよ。そうしたら近いね・・・。」
「うんそうだね・・・。おじいちゃんったら、これから先のことを考えて3LDKのマンションを買ってくれてね、将来結婚したらそこに一緒に住むんだよ。今から完成が楽しみなんだ。」
「そっか・・・。いいところなんだろうな・・・。うちなんか普通のマンションだよ。南麻布ってだけで結構高かったんだから・・・。」
「お父さんと一緒に住んでいるんなら安心だね・・・。これからちょくちょく渋谷や六本木で会えるね・・・。」
「うんそうだね・・・。」
そんなこといいながら、色々話していたんだけど、早く家に帰らないといけないから、急いで帰ったのよ。だってパパと清原さんの夕飯を作んないといけないから・・・。何で清原さんの夕飯まで?って感じでしょ。まあ二人も三人も一緒だけどね・・・。
でも弐條さんは元気そうでよかった、よかった・・・。
さあ始まったゴールデンウイーク・・・。でも弐條さんは相変わらず官邸でバイトしてる。少しでも会えるかなって思ったんだけど、無理・・・。あたしはパパと思ったより早く完成した新しいマンションに行き鍵を受け取って中を見に行ったの。やっぱり新築はいいね・・・。色々サイズを測って、秋葉原に行ったりして真新しい電化製品を買ったりしたの。官舎ではすぐ引っ越すのがわかっていたから、最低限の荷物しかなかったし、家具も持ち込まなかった。色々不自由があったけど、新しい家具も買ってもらって、無理行ってゴールデンウイーク中に揃える事が出来たの。神戸の家は古くて妹と同じ部屋だったけど、こっちはちゃんと自分の部屋がある。あとは官舎にある食器とかを運ぶだけなんだよね。それはパパが休みを取れない時に丁度非番の清原さんがわざわざ運んでくれて助かった。ああこれで大混雑の電車通学から開放される。何回も痴漢にもあったしね・・・。もううんざり。
「わざわざ非番なのにありがとう、清原さん。」
「ん?いいよ。一人で家にいても体がなまるしね・・・。でも寂しくなるね・・・。綾乃さんのおいしいご飯も食べられなくなる・・・。」
「なら、まとめてご飯作って冷凍してパパに渡しておくね。」
あたしは清原さんに珈琲とケーキを出して色々話した。やっぱり清原さんは色々助かるな・・・。こうしてあたしが出来ない力仕事をしてくれるし・・・。パパも信頼しているのもわかるわ・・・。
あと近所にパパの代わりに挨拶に行って近所のナショナル麻布スーパーに買い物に行った。ここは結構変わった食材があるから嬉しい・・・。もちろん清原さんにもついてきてもらって、買い物をした。そしていっぱい買い込んでしまった。たくさん作って、密封容器に入れて清原さんに持って帰ってもらったの。
「帰ったらすぐに冷凍庫に入れてくださいね。一食分ずつ小分けしてあるから、電子レンジでチンして・・・。」
「ありがとう助かるよ。綾乃さんはいいお嫁さんになるよ。弐條さんも幸せだ・・・。」
いいお嫁さんか・・・。はじめてそんなこといわれちゃった・・・。嬉しいよね・・・。
さあ明日からはここから自転車通学!もうちょっとしたら弐條さんも近所に引っ越してくるから、ホントに楽しみだよね。
【作者からの一言】
いったことはあるけどまったく知らない東京・・・。土地勘のある人や関係者は申し訳ありません。さらっと流してください。また実在の場所、学校などが出てまいりますが、実際とは異なります^^;もちろんフィクションですから・・・。
今回の挿絵は綾乃パパと綾乃です。まだまだ勉強しないと。顔の輪郭やバランスが・・・・。結構時間はかかったんですけれど・・・・。恥ずかしいです。
もちろんフィクションです。
うれしはずかし恋愛生活 (6)卒業&送別旅行
卒業シーズンの2月はじめごろ、あたしはだめもとでパパに聞いてみた。
「パパいいでしょ・・・。堀川さんも一緒だし・・・・。」
「だめだめ!まだお前は高校1年だ。いくら婚約しているといっても世間体が悪いだろ!」
もちろんうちのパパは世間体をすごく気にする。昨日、学校で弐條さんが、あたしに言ったのよ・・・。
「もうすぐ卒業だろ・・・進路も決まったし、3月に入ったら、準備のためにあっちに行くんだよ。近場でいいから、旅行に行きたいよね・・・。もちろん響貴や鈴華ちゃんと一緒だけど・・・。お父さんに聞いててくれる?」
昨日もパパに説得していたんだけど、いい返事は来ない・・・。もちろん気持ちはわからないでもないけど・・・。でもこれを逃すといつ会えるかわからないし、思い出作りもしておきたい。するとパパの携帯がなった。パパは急に直立不動になって言葉も変だ・・・。きっと上官かそれ以上・・・。
「は、はい!承知いたしました。ではこれで・・・。」
何を承知したのだろう・・・。するとパパは不機嫌そうにいったのよね・・・。
「わかった、許す。」
「え?どうしてパパ。」
「さっきの電話は弐條さんのお父さん直々の電話だ・・・。京都に部屋を取ったっていうんだよ。もちろん2部屋。総理直々に言われて宿まで押さえたといわれたら承知するしかないだろう・・・。ああパパは胃が痛いよ・・・。いいな、決して弐條君と同じ部屋はだめだぞ!いくら婚約しているといっても、同じ部屋はだめだ。結婚するまではな!」
まあパパに許してもらったから、よかったけど・・・。パパは演習視察のため、お迎えの車に乗って溜め息をつきながら岡山に行った。後から清原さんに聞いたんだけど、演習視察中も、ずっと溜め息ついて上の空だったらしい・・・。相当ショックだったんだろうな。
今日はついに卒業式。弐條さんのお父さんは偶然昨日大阪で公務があって今日午前の卒業式に出席することになった。やっぱり首相が出席するということで、うちの学校も珍しく混乱している。だって、マスコミをシャットアウトしないといけないでしょ。臨時にたくさんの警備員が集められて、校門前とか、講堂前に陣取って、関係者以外を排除している。卒業式が行われる講堂は大学の敷地にある。講堂に全校生徒が入りきらないから、卒業式の出席は事前先着登録制。もちろん弐條さんが卒業してしまうってことで、ファンの子達が、詰めかける。もちろん入る事が出来なかった子たちは講堂前で待っているんだよね・・・。あたしは堀川さんのおかげで何とか入る事が出来たの。 大学の校門前で騒がしくなったと思ったら弐條さんとお父さんが車に乗って講堂近くまで、やってきた。それはもう大騒ぎで、あたしは二人を遠くから眺めるだけ。でもお父さんと目が合って、お父さんは会釈してくれたんだ。あたしと弐條さんの婚約はまだ身内だけのことで、学校も知らない。みんなも仲がいいとしか思っていないんだよね・・・。だってずっと堀川さんたちと行動を共にしているし・・・。友達以上恋人未満って感じかな・・・・。だから未だに諦めていない子達が多い。その筆頭が土御門桜。勝手に婚約者と思い込んでいるんだよね・・・。
厳粛は雰囲気で卒業式が始まって、総代として弐條さんが壇上に立って、卒業の挨拶をして代表で卒業証書を受け取った。在校生の子達が悲しさのあまり泣く子が多い。式典が終わると記念撮影に入る。弐條さんは学校関係者に呼ばれてどこかに行ったのよね・・・。後から知ったんだけど、マスコミからの要望で、お父さんとマスコミ向けの記念撮影をしたみたいだよ・・・。やっぱり公人は違うよね・・・。お父さんはそれが終わると公務のために次の公務先福岡に向かって空港に向かっていったんだよね・・・。ホントにお忙しい方だよね・・・。でも弐條さんはお父さんが卒業式に出てもらってすごく嬉しかったみたい。弐條さんは戻ってくるといろんな人と写真を撮って、最後に私と堀川さんのところへやってきたの。
「わ!いっぱい花束とかもらったんだね、弐條さん。」
弐條さんは苦笑してあたしを見ていたけど、あたしの肩に手を置いて、響貴さんに写真を撮ってもらった。よく考えたら、これが初めての二人の写真・・・。一生物の宝物・・・。携帯のカメラでも撮ってもらって、待ち受けにするんだ・・・。
2月末の期末テストが終わってすぐの土曜日、朝早くJR三宮駅に集まって、電車で行くことになったの。はじめは車で行くつもりだったんだけど、やっぱりわいわい言いながら行きたくなって、駅のキオスクでお茶とかお菓子とか買って、米原行きの新快速に乗り込んだ。弐條さんはあたしの荷物を持ってくれて、荷物置きに乗せてくれた。
「さあ座って・・・。窓際のほうがいいだろ?」
「ありがとう・・・。」
ボックス席だから、四人向かい合って座って、話をする。朝早いからあまりわいわいとは出来ないけど・・・・。でも弐條さんが隣にいるから、自然に楽しくなっちゃうんだよね・・・。周りの人はあたし達を見てどう思うかな・・・。仲良し4人組に見える?弐條さんは全国的に総理の息子として顔が知れてるから、弐條さんを見て色々言っている人もいる。声をかけたりもする。今のところ歴代最高支持率の総理だから、弐條さんも注目されるんだろうね・・・。車のほうがよかったのかな・・・。
京都に着くと、党京都支部の人が迎えに来ていて、観光タクシーを用意してくれたみたい・・・。あまり弐條さんは特別扱いをされるのが苦手のようだから、苦笑していたけど。タクシーの運転手さんも、口の堅い人を頼んだみたい。
一通り観光地を回って、夕方に京都ホテルオークラに着くとまた京都支部の人が待っていて、チェックインから全部してくれる。行ってみるとジュニアスイート。京都支部の人は普通の部屋が空いてなかったって言ってたけどきっと気を使っていい部屋を押さえたんだろうな・・・。あたしは堀川さんと一緒に色々話しながら、外を眺めていたの。
「お兄ちゃんとね、昨日話していたんだけど、綾乃ちゃんはこの部屋で弐條さんと過ごしたら?私はおにいちゃんと一緒の部屋でいいから・・・。だって、婚約しているんでしょ。同じ部屋でいいじゃない・・・。」
「でもパパと違う部屋で寝るようにって言われたし・・・。」
「わかんないよ。ね。」
するとチャイムが鳴って、響貴さんが、弐條さんを連れて部屋に入ってくるのよ・・・。二人っきりにさせると、さっさと部屋を出て行く二人・・・。あたし達は向かい合って苦笑しながら、ソファーに座った。
「あの二人にやられたね・・・。父さんも部屋は別にしなさいって言ったんだ。それを条件に色々手配してくれて・・・・。で、夕飯何食べる?夜は別行動になったから・・・。」
「何でもいいよ。」
「じゃあ、2階で食べようか・・・。」
あたし達は2階にあるテラスレストランに行くことになって、レストランと同じ階にブライダルサロンがあって、つい飾ってあるウエディングドレスの前に立ち止まって、見つめてしまった。いずれこんなのを着て弐條さんと結婚するのかなって・・・。弐條さんはあたしの腰に手を回して一緒に眺めていた。
「綾乃、きっとこんなの着たら似合うだろうね・・・。早く綾乃のウエディングドレス姿を見たいな・・・。大学卒業したらすぐにでも結婚しようか・・・。」
「そうだね・・・。」
「学生結婚でもいいかな・・・。でもそれはきっと綾乃のお父さんが怒りそうだよな・・・。」
あたし達は微笑みながら、レストランに行って食事をする。本当においしい食事で、色々この先のこととか話しながら楽しい時間が過ぎたの。
食事後やっぱり外に行こうってことになって、部屋に戻ってコートやマフラーとかを取りに行ったの。いっぱい着込んで鴨川のほとりに行く。噂どおり等間隔でカップル達が座って愛を語り合っている。あたし達も丁度いいとこを見つけて、河原に腰掛けたの。やっぱり2月の京都は寒い上に、もうすぐ3月というのに雪がちらつきだした。
「雪か・・・寒いと思った・・・。綾乃もっと側においでよ・・・。」
「うん・・・。」
あたしは弐條さんにもたれかかってじっと雪を眺めてた。ホントにいい雰囲気だよね・・・。今日は門限も気にすることないし、こうしてゆっくり弐條さんといる事が出来るんだもん・・・。今日は急いで帰らなくってもいいし、部屋も同じ・・・。
「綾乃・・・。」
やっぱり周りに触発されてか、弐條さんはあたしにキスしてきた。いつもと違って、ホントに長い長い優しいキスだった。
「綾乃、今日こそいいかな・・・。」
「え?」
はじめ何の事かわかんなかったけど、部屋に戻ると弐條さんに押し倒されちゃって、ベッドでキスされながら、マフラーとかコートのボタンとかはずされていくんだよね・・・。ああそういうことかって思って覚悟しようと思ったんだけど、良く考えたら今日・・・・。
「弐條さん、今日はだめ!」
「え?」
あたしは急に起き上がって、真っ赤になりながら、弐條さんに言ったの。
「今日はだめなの・・・。だってあたし今日「あれ」なんだもん!」
「あれ?」
「せ、生理なの・・・。だから今日はだめ・・・。」
「そっか・・・じゃあだめだよね・・・。」
弐條さんは真っ赤な顔をして下を向いたの。ああこういう表情好きだわあ・・・。
ホントに今日に限って生理になっちゃって、朝から億劫だったのよね・・・。つい今日楽しすぎて自分が「あれ」だって事忘れてた。弐條さんはテレながら、優しくキスしてくれて、はじめて同じお布団の中で寝ることにしたの。 シャワー浴びてパジャマに着替えると先にシャワー浴びて待っていた弐條さんのベットの中に潜り込んだの。
「あったかい・・・。」
弐條さんは微笑んでくれて、あたしは弐條さんに腕枕されながら眠ったの。本当に嬉しいような恥ずかしいような思い出に残るはじめての旅行だった。次の日響貴さんは何もなかったあたし達に呆れていたけど・・・。いつになったら初体験できるのかな・・・。
(終)
【作者からの一言】
番外編第2部終了!ホントこの二人は運悪く(?)初体験が出来ないんですよね^^;でもラブラブだからね・・・。うらやましい・・・・。
さてさて冒頭のイラスト・・・。一応雅和と綾乃の制服姿。Pコート着ています。まだ絵が下手なもので、ポーズはモデルみたいね・・・・。まあ広告見てデッサンしたもので^^;何も見なくても出来るようになりたいものです。ああ、綾乃の顔嫌そうな顔^^;本当はもっと身長差があります。雅和は180センチ、綾乃は165くらいのつもりだったんですけど・・・。
うれしはずかし恋愛生活 (5)清原の恋愛?~清原三等陸佐の恋~
俺は陸上自衛隊に勤めている。防衛大学校、陸上自衛隊幹部候補学校、そして幹部学校を、俺が言うのもなんだが、いずれも首席で卒業という出世街道まっしぐらな人物なのだ。
この俺と親子ほど離れた上官で、陸上自衛隊中部方面隊ナンバー3である源陸将補の補佐役としてのお役目をちょうだいしている。本来であれば、中隊長という身分なのだけれども、源陸将補に頭脳を認められて部隊を持たず、側に置いて頂いているのである。幹部学校を卒業後すぐになぜか海外に防衛駐在員に派遣されて、今日に至るまでずっと源陸将補と共に自衛官生活を過ごしてきた。
この源陸将補という方は、相当頭のきれるお人で、昨年まで階級に合わない防衛駐在員をされていたのだが、その前は結構な経歴の持ち主で、幹部自衛官の中でも異色中の異色といわれている。陸上自衛隊の中でも賛否両論のある方だが、きっと陸上幕僚長いやそれ以上まで登りつめられるお方だと信じている。厳しい反面、家に帰ると1男2女を持つお父上、俺よりひとつ年下の源一等陸尉のことはいいとして、二人のお嬢様に関して相当マメで、家族思いの方なのだ。
その15歳高校1年生のお嬢様が超可愛い。今で言う「萌」。ちゃらちゃらした今時の女子高生ではなく、名門学園の制服がよくお似合いになる清楚で笑顔が明るくて純粋なお嬢様。きっと陸将補殿の教育がよかったのだろうね・・・。もちろん海外赴任先で、よく家にお邪魔してたからお互い顔は知っているし、お母上がいらっしゃらないから、赴任先では炊事洗濯掃除をお父上と共にやっていた。だから15歳で結構家事は完璧で、まあ言う理想的な女の子かな・・・。
話は戻るけれど、防大に入るやつは二つに分かれる。源陸将補や源一等陸尉のようにお国のために!って考えて入る者と、軍事、戦略、武器、制服などの趣味、いわゆる「オタク」といわれるものたち・・・。大体この二つに分かれる。この俺は・・・まあ言えば後者のほうかな・・・。俺の場合は軍事戦略と制服・・・。防大に入る前から、一通りの軍事戦略ゲームはやってきたし、色々好きでネットオクとかで制服グッズを集めたんだよね。でもやっぱり実際本物を着て働いてみたいとか思って自衛隊入隊に希望したいと思ったんだけど、やっぱり戦略とかに興味あるから、防大に入って、幹部候補、そして幹部学校に入るのが一番理想だったので、一生懸命勉強してここまで来た。やっぱりゲームで鍛えたこの頭脳。役に立つかなあって思ったら別・・・。やっぱり全然違うって痛感させられたけれど、源陸将補に拾われて、司令部関係の部署に配属されて理想的な環境で働かせてもらっている。趣味で給料をもらえるほどうれしいことはない・・・。
やっぱり防大に入るまで家に籠もってオタクやっていたから、全然出会いや女性経験ないし、興味もなかった。そんな俺が女性に目覚めたのは海外に赴任して、源陸将補のお嬢様と出会った時だ。すごく可愛いし、こんな俺にも優しくしてくれて、長い黒髪を可愛く結んで、そして微笑む姿なんか、本当に萌だよ・・・。10歳も歳が離れているのが悔しい・・・。手を出したら犯罪だよな・・・・。あとお父上の源陸将補が怖い・・・。そしてあのシスコンの兄源一等陸尉がうるさい。先日も用事で第3師団のある伊丹の千僧駐屯地に行ってあのシスコン一等陸尉に偶然会ったんだよね・・・。俺はあのシスコンの一年先輩に当たるし、結構防大でも仲のいいほうだったし、あのシスコン一等陸尉が配属されて、同じ独身同士で同じ官舎住まいであったから、よく近所の居酒屋とかで飲んでいた。
「源君、今日も一杯飲みに行こうか。今日は定時に帰る?」
「はい!いきましょう。どこに行きます?」
「そうだな・・・。総監部西門前の焼肉屋に行こうか・・・。一度着替えに戻ってから集合しよう・・・。7時頃なんかどうだろう。ちょっと話もあるし・・・。」
「はい!7時ですね!今日は日曜ですから、店のほうに予約入れておきます。」
「頼んだよ。」
「はい、では失礼します。」
本当に有能な後輩だ・・・。話というのはやはりあいつの妹のこと。次の非番の日が彼女の誕生日だから、ご飯を食べながら色々聞き出そうと思ったのだ。
さっさと仕事を定時までに切り上げて、愛用の自転車に乗り、官舎に戻る。 この官舎は家族で住んでいる事が多い官舎で、一人もんの俺やあいつは寂しいもんだよ・・・。よく西門近くのスーパーで色々買いこんで自炊しているけれど、やっぱり一人もんは一人もん同士集まってよく持ち寄りの飲み会をしたりするんだよね・・・。この時は階級を気にせず同年代で鬱憤を晴らしているから結構楽しい。最近結婚するものたちも増えて、続々と一人もん同盟が減ってきているのも事実。飲み会回数も減って、結局あいつとどっかに食べに行くんだよな・・・。
約束の焼肉屋まで自転車で5分かからない。最近自転車も飲酒で引っかかると聞いたから、歩いていくことにした。焼肉屋に到着するともうあいつは席についていた。
「先輩!こっちですよ!」
「おう!」
早速俺たちは生中を頼んでグイっと飲むと、焼肉盛りAを頼む。肉を焼きながら、色々話す。
「清原先輩、なんですか聞きたいことって?」
「ん?あのさ、今度の木曜日、お前の妹の誕生日だろ。」
「はい。綾乃ですよね。」
「何かプレゼントをしようと思ったんだけど、何がいいかなって思って・・・。何か好きなものとかあるのかな?」
あいつは疑いの眼差しで俺を見ていた。やはりあいつは噂どおりのシスコンだ。
「何で先輩が綾乃にプレゼントを・・・?」
「そりゃそうだろう。お父上の陸将補殿にはお世話になりっぱなしだし、それぐらいは当然だろ。」
「そうですかあ?怪しいな・・・。親父に聞いたほうが早いと思いますよ。俺は最近綾乃と久しぶりに会ったばかりだし・・・。」
「そんなこと聞いたら殺されるぞ!この前、家にお父上を迎えに行ったときにちょっとお前の妹と話していただけで睨まれたよ。」
あいつは苦笑しながら彼女のことを話し出した。なんとなくデータは集める事が出来た。
「なあ源、妹さんの好きなタイプってどんなんだろう・・・。」
「まあ、先輩みたいのはタイプじゃないと思いますよ。そうだな、背が高くて、優しくて、尊敬できて、なおかつ顔がいい。綾乃は結構面食いだから・・・。まあ先輩じゃないのは確かです。」
確かに俺の身長は170ちょっとだし、顔は普通・・・。でも誠意はあるぞ!地位も同年代の輩よりは金もある。何のために安い官舎に住んでいるのか・・・。これでも結構俺は貯蓄家だ。最近はパソコンの買い替えも控えて、欲しいゲームも買わず、ボーナスも手をつけず、実家にも帰っていない。もうすぐで高級乗用車くらいは買えるくらいになった。
「で、付き合っている人とかいないのかな・・・。まああのお父上ならいないか・・・。」
あいつはなぜか苦笑して俺を見ていた。
(後から聞いてびっくりしたけどね・・・。)
「妹に手を出したら怒りますよ。親父もきっと・・・。」
食事を終えて、俺たちは官舎まで、なんだかんだ言いながら歩いた。適度にアルコールが入って、本当に気持ちがいい。年明けから半月、今年こそ彼女に告白しようと初詣の日、決意した俺・・・。十歳の年の差なんてなんだ!俺は彼女が好きなんだ!あいつが隣にいるからそんなこといえなかったけど、彼女の誕生日、その日は決戦だ。行動に移す!
家に帰ると早速パソコンを立ち上げて、データ収集・・・。こういうのは得意な俺・・・。悲しい性・・・。オタクってこんなもんさ・・・。そうだ服も買わなきゃ。彼女の前ではいつも制服か防衛駐在員の時のスーツのみ。私服姿など見せた事がない。小洒落た服でも買いに行かないと・・・。近所のスーパーに行くときのようなカッコではだめだしな・・・。やっぱ予算からしてユニクロ?コムサ?いやせっかくだから、いいもの買おう!非番の日、まず神戸に行く前に梅田に行って何か揃えよう。ついでにプレゼントも・・・。
決戦当日、俺は朝一に梅田に出て、今日着る服を上から下まで揃え、プレゼント探し。やっぱりオタクの性か・・・。ヨドバシカメラに行ってしまう。今時の高校生って何が欲しいんだろう。でもなかなかなくって、しょうがないから一度帰って着替えてから三宮に行くことにした。商店街をぶらぶら歩いてもなかなかなくって、結局元町に・・・。そういえば、あいつが言ってたことを思い出したんだ。彼女は今ビーズ細工で出来た可愛い小物を集めてるって・・・。ふと百貨店でいい物を見つけた。スワロフスキービーズって言うものでできた可愛いクマの置物・・・。結構高い・・・。手のひらサイズなのに・・・。まあこれに決めて、きちんとプレゼント包装・・・。もちろん花も買った・・・。時間を見るとやばい下校時間・・・。 昨日この日のために散髪をして、朝から気合を入れて髪の毛を整えた。服も何度も何度も鏡とにらめっこしておかしくないかチェックした。普通の俺が、なんとなくかっこよく見える・・・。
校門前のガードレールに腰掛けて、彼女が出てくるのを待った。いろいろな生徒がじろじろ俺を見ながら通り過ぎていく。どっか変なのかな・・・。今までこんなことをした事がない俺は恥ずかしくてしょうがない。すると遠くに見える彼女の姿。やっぱり可愛い。他の女生徒がくすんで見える。でも隣にいるでかいイケメンは誰だ?俺より10センチ近くでかい・・・。そしてモデルのような顔つきと、体形・・・。すると彼女は私服の俺に気が付いてくれた。
「あ、清原さん!」
「誰?」
すると側にいる男が不機嫌そうな顔で俺を見る。
「この人はね、パパの部下の清原三等陸佐。制服と違うから、誰かと思ったんだ。どうしたの?今日非番なんだあ・・・。」
「え、ちょっとお願いがありまして・・・。時間いいですか?」
彼女はうなずいてくれてほっとした。
「じゃ、綾乃、先帰るね・・・。」
「うん、弐條さん。今晩ちゃんと6時までに来てね。」
「んん・・・。」
なんなんだこの男は・・・。彼女を呼び捨てに・・・。俺をじろじろ見るなよな・・・。やっぱりいいとこのお坊ちゃんなんだろな・・・・。お迎えの車で帰るんだから・・・。
俺は彼女の手を引いて、校門から離れて、プレゼントと花を渡す。
「あ、これ・・・今日誕生日とだと思って・・・・。」
「え、覚えてくれてたんですか?うれしい!!!」
満面の笑みの彼女を見て、ホントに心底惚れてしまった俺・・・。萌を通り越す!いい感じだ!
「で、清原さん。お願いってなんですか?」
「え?あ、ああ・・・。実はもうすぐ母さんの誕生日で、何をあげたら言いか、迷って・・・。一緒に選んでもらえると嬉しいかなって・・・。」
もちろん口から出任せだよ。くにの母の誕生日は最近終わったとこ。一緒にいたい口実・・・。
「いいよ。ちょっと家に電話するね・・・。清原さんも、今晩のあたしの誕生会来る?もちろんパパもお兄ちゃんもいるけど。」
「え?いいの?」
「うん。じゃあ電話しとくね。」
彼女は携帯を取り出して家に電話をしている。これで数時間は一緒にいられる。嬉しい!彼女とデートだ!後はきちんと気持ちを伝えるだけ・・・。元町で色々物色して、彼女が選んだものを購入・・・。はあ・・・母の日にでも贈るかな・・・。お礼にお茶でもしようと三宮そごう内の店に入る。
「ねえ、清原さん、プレゼント開けていい??」
「どうぞ。」
彼女は包みをそっと開けて中身を取り出すと、すごく気に入ったのか、満面の笑みで俺を見つめる。
「これ欲しかったんだ!何でほしい物がわかったの?」
「実はお兄さんに聞いたんだ。ビーズ細工の小物を集めているって聞いたから。」
「そうなんだ・・・ありがとう、大事にするね!」
俺はエスプレッソを飲みながら、嬉しそうに眺めている彼女を見つめる。何でだろ、今日に限って苦いエスプレッソが甘く感じるのは・・・・?恋ってこんなものなのかな・・・。いつ気持ちを伝えようかと悩みながら、彼女を家まで送る。長い坂の途中、アイスクリーム屋があるのを見つけ、入ってアイスもご馳走した。店内2Fの椅子に腰掛けながらここで告白しようと俺は決心した!
「あのさ、俺・・・。」
「何?」
「俺さ、君の事が好きなんだ・・・。」
「え?またまた冗談を・・・。10歳も歳が離れているのよ・・・。」
俺はなんか照れてしまってこう言ってしまった・・・。
「ごめん、ごめん、冗談だよ。ちょっといってみたかったんだよね・・・。こういうとこ入るのは初めてだし・・・。ごめん気にしないで・・・。ただの冗談だから・・・。」
「だと思った。だって清原さんがあたしを好きなことありえないよね・・・。清原さんはホントにお兄ちゃんみたいな人だもん。」
やっぱり彼女は俺のことそういう風に見てたんだな・・・。彼女が20歳くらいになったら俺の気持ちわかってくれるかな・・・。その時俺は30か・・・。それまで待つしかないかな・・・。複雑だ・・・。これ以上気まずいのは嫌だし、まあいっか・・・。
店を出るとすっかりまわりは暗くなって、彼女の家に急ぐ。家のガレージには源陸将補殿の車が止まっているということはもう帰宅されているんだね・・・。上官である源殿に俺の気持ちを知られたらまずいな・・・。
「さ、入って・・・もうみんな揃っていると思うから・・・。パパ~!清原さん来たよ!」
源陸将補殿が出てきて俺を見る。一緒にいた事情を知っているのか、嫌な顔ひとつせず俺を招き入れてくれた。彼女は俺からプレゼントをもらったことを告げると、源陸将補殿は俺にお礼を言って来た。
「いえ!いつも陸将補殿にお世話になっておりますので、当たり前です!」
ダイニングに招かれた俺は校門で見かけたあのイケメンと目が合う。何でここにいるんだろうと思いつつ、椅子に座り、彼女が着替えから降りてくるのを待つ間、あのイケメンに視線が俺に突き刺さっているように思える。
「清原君、彼とは初対面だね。紹介しよう。彼は弐條雅和君、綾乃の婚約者だ。」
(えええええええ!!!!!)
「彼の父は内閣総理大臣なのですよ。まだ二人の間柄は公にされていないから、清原君、内密に頼むよ。まあ言えばこれは国家機密情報だよ。それは言いすぎかな・・・。」
そういえば去年の外遊の際に総理の側にいた。そういえばこの男、総理に似ているよな・・・。それにしても彼女はもう婚約しているなんて・・・・。まだ高校生だぜ!庶民の俺には理解できないよな・・・。 俺はショックで何はなしたか、何食べたかさえ覚えていない・・・。覚えているのは確か彼女とあの総理の息子が、すごく楽しそうに話している姿かな・・・。 俺の遅い初恋は木っ端微塵に砕け散った・・・。またオタクな生活が始まる・・・。いつになったら俺にも春が来るんだろうか・・・・。いっそのこと陸将補殿に縁談でも頼もうかな・・・・。ああ、初めて知った失恋・・・。やっぱり相当辛いんだね・・・。明日無断欠勤しそうな雰囲気だよな・・・・。まあ結局普段どおりに出勤したけどさ・・・・。
追伸:誕生日プレゼントの中に、総理直筆の手紙が入ったプレゼントがあったのにはびっくりした・・・!やっぱ本当だよな・・・・。
【作者からの一言】
綾乃のパパの部下 清原三等陸佐の恋の話を書いてみました。25歳で三等陸佐になれるかはわかりません。ま、フィクションですから・・・。清原さんはこの先出てくる人です。ああ、自衛隊の詳しい人に突っ込まれそうやわ・・・。
そうそう、陸上自衛官のイラストを書いてみました^^;ちょっとソフトの使い方がわからず、小さいです^^;
うれしはずかし恋愛生活 (4)サクラサク?
夏休みが終わって、結局弐條さんは慶応義塾大学法学部政治学科のFIT入試を受けることにしたようで、一次選考の結果が今日判ることになっているの・・・。発表は現地または大学の発表サイト・・・。現地では10時から、サイトでは10時半からなの・・・。あたしは10時から弐條さんの家にお邪魔して、時間が来るまで弐條さんのノートパソコンに張り付いていたの。ほんの30分のことなんだけど、すっごく長くって・・・。
「もし一次がだめだったらすぐに早稲田の政経を・・・。書類選考ってのはやっぱり苦手だね・・・。選考員の好みっていうのもあるじゃない?」
「そうなの?」
「当たり前じゃないか・・・。大学の教育方針とか、色々考慮して書かないといけないんだよ。だから、官邸とか、党本部に通って、出身者の人に色々書き方を指導してもらって、書類を書いたんだから・・・。これが通っても、2次はグループ討論とか、プレゼンがあるんだよ・・・。一言が命取りになる。小論文とか、普通の記述式問題のほうが楽だよ・・・。」
「さあ、秒読み開始だ!」
サイトの入り口に学部学科コード、受験番号、誕生月日を入れて、電波時計を見ながらカウントダウンを始める。3!2!1!0でクリック!あたしは自分の発表じゃないのに、ドキドキして目を開ける事が出来なかった・・・。もちろん弐條さんもそうだったらしい・・・。
「さあ見るぞ!」
「やだ・・・見れないよ・・・。」
あたしは弐條さんの胸にうずくまって、見ないようにしていたのよね・・・すると弐條さんはあたしの背中を叩いていって言ったのよ。
「通ったよ!やっぱり夏休みの官房長官の役職について色々学んだこととかをレポートに書いて提出したからかな・・・。それとも・・・志望理由?親の七光りって思われたくはないけど・・・。」
「よかったね・・・。来週は2次試験だね・・・。がんばってね・・・。」
「響貴も通ってるかな・・・。響貴はああ見えても頭いいからな・・・。」
弐條さんは堀川さんのお兄ちゃんに電話してた。表情でわかる。きっと響貴さんも通ったんだろうな・・・。
「そっかそっか!もしあれだったら、公邸に泊まればいいじゃん。父さんも喜ぶよ・・・。一緒に行こうな!じゃあな!」
やっぱりね・・・。弐條さんは早速お父さんの携帯にメールを入れていた。執務がないのかな、折り返し電話がかかってきて、とても嬉しそうな顔をして話してたよ。2次選考の発表はお父さんが時間を空けてくれるみたいで、一緒に見に行くんだって・・・。ホントに別居しているけど、仲のいい親子なんだなって思ったの。とりあえずほっとしたみたいで、あたしに抱きついてきたのよね・・・。きっと発表の時、慶応は大騒ぎだね・・・。
「絶対合格して見せるからね!早く受験生って言う立場から開放されて、綾乃とゆっくりしたいよ。」
「受かったらね・・・。でも受かったら長距離恋愛になるんだね・・・。」
「うん・・・。でも僕の気持ちは変わんないから・・・。」
「それまでいっぱい神戸での思い出を作らないとね・・・。もうこっちに帰ってこれるかわからないんでしょ。」
「そうかもね・・・。卒業したら叔父さんの秘書をすることになっているし・・・。25になったら衆議院に出馬するかも?しっかり勉強して、一人前になって綾乃と結婚するんだから・・・。」
弐條さんはソファーにもたれながら、FIT式、AO式の受験対策の参考書を読んでいた。
「じゃ、帰ろうっかな・・・。」
「え、もう帰るの?せっかく今日二人でゆっくりしようと思っていたのに?」
「だって来週の日曜日でしょ。勉強しないといけないでしょ。あたし邪魔だしね・・・。」
あたしはそのまま帰ったのよね。別に何かを期待していたわけじゃないけど、弐條さんはなにかに夢中になるとまわりが見えなくなる性格だから、あたしがいると邪魔なだけだもんね・・・。受験が終わるまで我慢だもん・・・。
結局2次選考の前日に弐條さんは響貴さんと一緒に新幹線に乗って行く事になったのよね・・・。あたしと堀川さんで、新神戸駅まで見送りに行ったの。お昼前の新幹線だったから、もちろんお手製のお弁当を持参してね・・・。ちゃんと響貴さんの分も作って・・・。ホームで私は弐條さんと響貴さんにお弁当を手渡したの。
「あ、これ新幹線の中で食べてください。もちろんカツサンドですけど・・・。」
「んん、ありがと綾乃。綾乃の料理はおいしいからね・・・。」
「噂の綾乃ちゃんの手料理か!毎日お弁当を持参して屋上で一緒に食べてるあれね・・・。では遠慮なく!鈴華も綾乃ちゃんを見習って、料理のひとつくらい覚えろよな。」
「もう!おにい様ったら。早く乗らないと乗り遅れるわよ。」
弐條さんたちはひかりの8号車に乗り込んで、東京に向けて旅立ったの・・・。東京駅にはお迎えの車が待ってくれているらしいし、今晩は公邸に泊まるって聞いた・・・。明日は遅刻厳禁だから、渋滞に引っかかってはいけないからって、東京メトロの永田町駅から乗って試験会場の駅まで行くらしい。昨日も学校の進学クラスで討論やプレゼンなどの対策特別授業をしたらしくって、夕方までがんばってたもん・・・。きっといい結果が出るって信じてる。 いつものように欠かさないメールのやり取りではなんか満足できなくって、あたしは弐條さんに電話をかけてみた。
「弐條さん?あたし・・。」
『あ、綾乃。どうしたの?こんな遅く。』
「寝てた?」
『ううん・・・もうすぐ寝るところだよ。何?』
「ちょっと声が聞きたくなって・・・。明日がんばってね・・・。」
『んん・・・ありがと・・・。』
「もう眠たい?ごめんね・・・じゃあ切るね・・・。」
『んん・・・綾乃、好きだよ・・・。じゃあお休み。終わったら連絡するから・・・。明日の飛行機で帰ると思うよ。』
最近の弐條さんなんだか変わったみたい・・・。言いたいことちゃんと言えるようになったというか・・・。気持ちを伝える事が出来るようになったっていうか・・・。最近よくあたしに好きだとか、愛してるとか言うようになったんだ。ホントに電話越しでも照れてしまうのよね・・・。きっとプレイボーイな響貴さんの入れ知恵なんだろうけど・・・。でもその一言がなんだか嬉しいんだよね。 朝早速起きたよメールから始まって、今永田町駅、今渋谷駅ついた。東急東横線乗った。日吉に着いた・・・。大学ついたよ。などと事細かくメールが入ってくる。大学に入った途端メールはなくなったけど、大体のタイムテーブルは知っているから、かかってこない携帯を眺めてた。電話がかかってきたのは休憩時間みたい・・・。
『もしもし、綾乃?あとプレゼンで終わりだよ。』
「で、模擬講義とか、レポートとか、グループ討論とかはどう?」
『んん・・・。試験会場はホント女の子ばっかりで困った困った・・・。四分の一しか男がいないんだよ・・・。模擬講義は現代政治と世界協力についてだろ、まあそれはレポートできたと思うけど、グループ討論が、民主主義とこれからの政治動向についての討論・・・。ちゃんと出来たかどうかはわからないけど、プレゼンがね・・・。聞いた話によると、自分がこれまで行ってきた活動や入学後の目標と構想を表現しないといけないらしい。夏休みに官邸でやってきたことでも話すかな・・・。これが吉と出るか凶と出るか・・・。まあいずれ政治家を目指すんだったらこれくらい出来ないといけないんだろうけど・・・。じゃ、時間が来たから切るね・・・。』
「じゃあがんばってね。」
本当に夏休みの研修が役に立っているみたいね・・・。あれで苦手な表現力と説得力が身についたっていうし、本当に祈るような思いで、終わったよメールが入るのを待ったのよね・・・。まあなんとか感触はよかったようだけど、芦屋の自宅に戻った弐條さんは疲れているにも関わらず、あたしに電話をくれて、これがだめならセンターだ!って叫んでた。あたしは当分ゆっくりしたらって声をかけておいたけど・・・。来週の月曜日に結果発表だって聞いたから、それまできっと弐條さんは落ち着けないんだろうな・・・・。
丁度発表の日は創立記念日ってことで、あたしもついて行くことになった。弐條さんのお父さんは私のためにキャピタル東急ホテルの部屋まで取ってくださって、公邸であたしを優しく迎えていただいた。本当に発表の日の朝の公邸内は緊張でいっぱいの様子だったの・・・。この日のために午前中の執務をすべてキャンセルされて、朝一緒に朝ごはんを食べた。
「雅和、いよいよ今日だね。感触はどうかな・・・。」
「ん、んん・・・。ちゃんといえたと思うけど、どうだろね・・・。僕は筆記のほうが得意だし、苦手なプレゼンがね・・・。」
9時になると、公邸前に黒のエルグランドが止まって、秘書やSPたちがざわめいていた。プライベートだから、数人のSPしか付かない。秘書によってドアが開けられて、弐條さんのお父さんと、弐條さん、そして私が乗り込んだの。その後SPの人と橘さんが乗って、発表会場に向かった。やはり車の中は緊張感がいっぱい・・・。すると橘さんがいったの。
「総理、慶応に着いたら覚悟しておいてください。先ほど情報が入りまして、マスコミが数社張っているようですので、綾乃様は車内で待機を・・・。一応先ほど大学のほうに連絡は入れておきました。車は裏門から職員駐車場のほうに入れてもいい事に・・・。綾乃様はカメラが見つかり次第、身を隠してください。フラッシュをたかれると映りますので・・・。ですから私の指示を・・・。」
結局10時は混むという理由から少しずらして見に行くことになった。本当に大変よね、ただの合格発表が・・・。道が混んでいたからか、着いたのは10時をまわっていた。一応裏門には誰もマスコミはいなかったけれど、橘さんが車を降りて大学の職員と話をして様子を見に行ったの・・・。そして大学職員の人と共に、弐條さんたちを迎えに来たの。
「さ、今なら空いています。どうぞこちらへ・・・。」
大学職員が声をかけると、弐條さんは制服を、お父さんはスーツをきちんと調えて緊張した表情で、合格発表者が張ってある掲示板まで、小走りで向かっていったの。もちろんお父さんの周りにはSP2名がついて・・・。あとから聞いた話、やっぱり掲示板のところにマスコミがいて、バシバシと写真を撮られたらしい・・・。弐條さんの番号があったからいいものの、もしなかったらどう扱われるんだろうな・・・。各局のテレビ局もきていたみたいで、お昼のニュースやワイドショーの話題になっていた。あたしは待機中、先に見に行った橘さんから結果を聞かされ、喜びのあまり、泣いてしまったよ・・・。学校側と橘さんの配慮で、なんとかあまり混雑はなかったようだけど、書類の入った封筒を手に持って戻ってきた弐條さんを見て、ほっとしたわ・・・。車に乗ると早速お父さんはおじい様に電話をかけていた。
「サクラサク」ってね・・・・。
帰りの車の中で、お昼のニュースやワイドショーを見ながら、三人で笑ってた。やっぱりお父さんは嬉しいのか、テレビの中のかしこまった顔ではなくって、目を潤ませて本当に親の顔をしていたのよね・・・。 あたしと弐條さんは、その日のうちに別の飛行機で家に戻ってきたの。弐條さんは響貴さんの結果が気になったみたいで電話をかけたら、響貴さんも合格だったんだって。結局最高30人のところ、合格者は28人で、そのうち男が4人というホントにすごい数字あった・・・。弐條さんも、響貴さんも正直驚いたみたいよ。 これで弐條さんは第一志望が通って、晴れて受験から開放されたのよね・・・。
「サクラサク」 ホントいい言葉よね・・・。
私はいつ桜が咲くのかな・・・。
弐條さんがテレビに総理の後継者として出ちゃったからますます表立って会えないじゃない・・・。受験が終われば映画とか、買い物とか行きたかったのに・・・。二人で行くのは無理だよね・・・。しょうがない、響貴さんと堀川さん兄妹を誘って、四人で行くしかないのかな・・・。
うれしはずかし恋愛生活 (3) 東京へ・・・
あたしは約束どおり、ポートライナーに乗って神戸空港に行ったの。遅れそうになったけど何とか3時に間に合った。JALの出発口まで行って弐條さんを探したの。やっぱり1日2便しかない羽田行き。夕方は一番混雑するときだから、人でいっぱい。どこにいるかわかんなくって、立っていたら、肩を叩かれた。
「ここにいたの?綾乃。」
「弐條さん!」
弐條さんは今日黒のスーツをきちっと着て、ネクタイなんかもしちゃって、高校生には見えないよね・・・。どこかのビジネスマンかと思ったのよ・・・。
「お茶でもしよっか・・・。まだ時間があるし・・・。」
「うん・・・。」
あたし達は3階の上島珈琲でお茶して時間をつぶしたの。羽田行き搭乗案内のアナウンスが流れると店を出て、2階出発口まで行った。
「じゃあ行ってくるね・・・。」
「いってらっしゃい・・・。」
あたしは弐條さんに抱きつくと弐條さんはあたしをぎゅっと抱きしめてくれた・・・。名残惜しかったけど、出発の時間が近づいてあたし達は別れたの・・・。
もちろん毎日のメールは欠かさなかった。電話はやっぱりまずいから控えてたけど・・・。弐條さんは官房長官の後ろで見習い秘書として動いているみたいで、ニュースとかでチラッと映ってたりしたな・・・。なんか忙しそうに見えたけど、はつらつとしていたから安心しちゃった。
『今日の夜のニュースに映ってたよ~~~!』
『え、マジ???恥ずかしいな・・・・。』
『元気そうであたし安心しちゃった・・・勉強はかどってる?』
『うんまあね・・・。今度うちの父に会ってくれるかな・・・・。今度航空券送るから・・・。』
今日のメールはなんだか・・・。まあいずれお父様には会わないといけないんだけど・・・。数日後、パパ宛に秘書の橘さんの名前で現金書留が来た。中には航空券と、手紙が入っていたの。パパは何かと思って手紙を読んだら、とてもびっくりしていた。なんと、パパまで呼び出し!パパは次の日、上官に相談した上、指定された日前後に休みを取って、あたしと一緒に東京の総理公邸に行くことになっちゃった・・・。上官はいくらプライベートとはいえ、総理大臣に会うというから公邸を訪れるときだけ制服を着用するように言われたらしく、前日おばあちゃんがきちっとアイロンあてたりなんかして、恥ずかしくないように準備してた。あたしもおばあちゃんと一緒に、元町に服を探しに行ってきたの・・・。本当に大騒ぎ・・・。弐條さんに理由を聞こうとメールしても、返事が返ってこないし、パニクったまま、伊丹空港の昼間の便で羽田まで飛んだのよ・・・。
「ホントに綾乃は偉い人の息子とお付き合いをしたものだ・・・。」
「だってはじめ知らなかったんだもん・・・。」
パパはこれ以上何も言わなかったけれど、相当困り果てた顔であたしを見ていたの。 羽田に着くと、橘さんが迎えに来ていて、早速手配してくれたキャピタル東急ホテルに到着・・・。上層階の部屋に案内されて、部屋の窓からはばっちり総理官邸と公邸が真下に見えた。ああ、あそこに今晩行くんだなって思って、緊張しちゃった・・・。
「6時にお迎えに来ます。」
「わかりました。橘さん、総理とはどのような話をすればいいのかな・・・。」
「私の口からはなんとも・・・。」
食事も一緒にすることになっているから、本当に緊張・・・。テレビでは毎日のように弐條さんのお父様を見ているけど、実物はどんな人だろう・・・。
あっという間に時間が来て、パパは制服を取り出して、身支度を始めたの。
「総理にはお詫びをしないといけないことだらけだろうね・・・。綾乃とは不釣合いだろうし・・・。」
もちろんパパのいうことに一理ある。政治家一家と軍人一家の恋愛問題なんだから・・・。きっと世間に波風が立つんだわ・・・。きっと怒られちゃったりするのかな・・・。
そのうち橘さんが迎えに来て、ホテルの玄関に横付けされた車に乗り込む。公邸は目と鼻の先だから数分で到着。数人の黒服集団がドアを開けて、あたしとパパは公邸玄関前に降り立った。パパは被っていた制帽を脱ぎ、脇に持つと、緊張した表情で公邸内に入っていく。 応接間に通されたあたし達はほんの数分が何時間に感じられるくらい緊張してた・・・。
「今執務を終えられてこちらに向かわれているところです。少々お待ちを・・・。」
「は、はい!」
パパは去年総理外遊の際仕事で会った事があったのに、とても緊張して・・・。扉が開いて、数人の人たちに囲まれた弐條さんのお父様が弐條さんと入ってきた途端、パパは立ち上がって、弐條さんのお父様に一礼して挨拶をするの・・・。
「急に呼び出してしまって、すまないね・・・。お久しぶりです、源陸将補殿。今日しかゆっくり話せる日がなくてね・・・まあ座ってください。」
パパは緊張した表情で座わったの。あたしもきちんと挨拶をしたけどね・・・。
「以前雅和から紹介したい人がいると聞いていたのだけど、先日こういうものが入ってきましてね・・・。手をまわして止めたからいいけれど・・・。」
橘さんが、封筒を持ってきてパパに渡したの。その中には雑誌の原稿が入っていて、あたしの弐條さんの事が書かれていた。
『総理大臣後継者の次男Mさん(17)、熱愛発覚!お相手は陸上自衛隊幹部の娘Aさん(15)。』
この写真って神戸空港の見送りに行った日の写真!仲良くお茶しているところとか、手をつないで歩いているところとか!極めつけは別れ際のハグ・・・。高校生の恋愛にマスコミが邪魔しないでよね!!
「色々調べさせてもらいました。雅和は真剣に付き合っているといったのですが、普通のご家庭の娘さんならいい。しかしあなたの家は代々軍事に携わるご家庭だ・・・。心配しすぎかもしれないが、自衛隊をよく思わない国民も多いことだし・・・。まあ雅和はこのような清楚で可愛いお嬢さんを選んだことは嬉しいこと・・・。」
パパは弐條さんのお父様に平伏して謝ってた。弐條さんのお父様も驚いていたけど・・・。
「何か勘違いしていませんか、源さん。別に私は雅和とお嬢さんの仲を引き裂こうとしているのではないのですよ。もちろん真剣なお付き合いなら大賛成ですよ。お嬢さんとお付き合いを始めてから、成績も断トツに上がった上に、こうして私の後継者としてやってくれることを承知してくれたのだから・・・。今回の件は世の中には出ません。だから安心してください。雅和ももう軽はずみなことはしないといっているのだから・・・。雅和、源さんに言いたいことがあったんだろ、この機会に言ってしまいなさい。」
弐條さんはパパに横に立って土下座をするとこういったの。
「綾乃さんのお父さん、綾乃さんと結婚を前提のお付き合いをさせてください!結婚はまだまだ先のことですが、大学を卒業して、父のもとで秘書として修行して一人前になったら、綾乃さんと結婚させてください!」
パパは驚いて、固まっていたけど、微笑んで弐條さんとの結婚前提のお付き合いを承諾してくれたの。あたし結婚なんて全然考えていなかったけれど、押し切れちゃったって感じで、まだ早いけど弐條さんの婚約者になっちゃったのよね・・・。(まだ正式じゃないけど・・・。)
まだ15なのに、婚約者が出来たなんて・・・。嬉しいやら恥ずかしいやら・・・。でも世間には認められていないけど、親に二人の関係を認められたんだもの・・・。喜ばないとね・・・・。
そのあとお食事会になったんだけど、弐條さんのお父様とパパは舞い上がっちゃって、お酒を飲み交わして、楽しそうに食事をしていたわ。食事のあとまだまだ話したりない様子で、話してたっけ・・・。パパはここに来たときとは一変して、ほろ酔い気分で嬉しそうに用意された車に乗って、ホテルまで帰ったのよね・・・。
両家公認の仲になった二人・・・。しかし半公人の雅和君はデートするのも大変ですね・・・。綾乃も大好きな雅和君との仲を認められて嬉しいのですが、普通の高校生同士の恋愛は出来ません。まあ雅和君が真面目でイイコだからよかったんですけど・・・。
ありえない設定に 恐縮しています。^^;
FAVO コミックパックを買っちゃいました^^
突然絵が描きたくなって・・・。もともと漫研出身の私・・・。今はこういうものがあるのですね^^;
スクリーントーンとかもできるんですね・・・。到着が楽しみです。下手ですけど、挑戦してみようと思います。
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うれしはずかし恋愛生活 (2) うれしはずかし彼のおうち
終業式が終わった週末、あたしは弐條さんの家に行くことになった。初の訪問です。弐條さんは一緒に勉強しようっていってくれて、あたしは最近買ったお気に入りの服を下ろしてお気に入りのカバンに宿題一式を詰めて、おばあちゃんが手土産にもって行きなさいって言ったから、その包みを持ってお迎えが来るのを待ってたの。だって調べたら家の場所くらいわかるけど、パパは早々すねてどっか行っちゃったし、お兄ちゃんは朝早くから、新しく住む自衛隊官舎に行って電化製品とかを揃えに走り回っているし・・・。
弐條さんの家まで送ってくれる人は誰もいないのよね・・・。するといつもの運転手さん(SPじゃない人)が迎えに来て、あたしを乗せて行ってくれたの。
「おはようございます。源様。」
「おはようございます。藤原さん。お久しぶりです。」
藤原さんはあたしに微笑んで、そっと車を走らせた。ホントに運転上手いのよ、藤原さんって。一度テレビで見たけど、運転席の前にコップを置いてこぼれないように運転する練習をするんだって、こういう人は・・・。無駄な動きはだめってことよ。だから動いていても止まってもあまり無駄な動きがないの。席に物を置いていても落ちるって事がない。何時間乗っていても疲れないって感じ。
いつの間にか弐條さんの家の前に着いた。ホントでっかい家。周りの家も結構大きいけど、ここの家は一番でかいかも。門にはやはり総理の自宅だからか私服警官が護衛していて、門が勝手に開いて、車が入っていくけど、まだ玄関が見えない。生い茂った森を抜けるとやっと玄関にたどり着いた。玄関前には弐條さんが待っていた。弐條さんの私服、はじめて見たんだよね・・・。ホントに普通。ジーンズにポロシャツ。でも着こなしは抜群・・・。モデルさんのようだった。弐條さんってホントモデルになれるよ。
弐條さんの家族はお父様、お兄様、お爺様、弐條さんの男ばっかり四人家族。でもお父様は東京の公邸住まいでしょ。後はお手伝いさんがいて、こんな大きなお邸に静かに暮らしている様子だった。お爺様って元総理大臣でしょ。どんな人かなって結構緊張したけど、すごい人当たりのいい気さくな人だったの。あたしの訪問にすごく喜んでくれたの。おばあちゃんから預かった手土産を渡すとすごく喜んでくれたのね。
弐條さんはあたしの手を引いて弐條さんの部屋を案内してくれた。部屋はきちんと整頓されていてやっぱり二部屋くらいになっているの。やっぱり男の子の部屋って感じで、ダークなイメージで揃えられていたの。
「雅和坊ちゃま、お茶をお持ちいたしました。」
「光子さんか・・。そこに置いておいてよ。」
やっぱりばあやって言う人がいるんだね・・・。ずっと生まれた頃から弐條さんの側で働いていて、母親代わりをしていたらしい。とても品のある初老の女性。運転手の藤原さんとご夫婦なんだって。
あたしたちは出されたお茶菓子をつまみながら、夏休みの宿題をはじめたの。わからないところは弐條さんに手伝ってもらっちゃった。もちろん弐條さんの教え方は上手だから、宿題がはかどっていくのよ。弐條さんはもう今日までに夏休みの宿題を終えたらしい。今は受験勉強をしている。あたしの真横で黙々と勉強している姿はホントにかっこいいよね・・・。
「うんまあね・・・。進学クラスは期末が終わったら夏休みの宿題を配られるし、受験勉強が宿題のようなものだから・・・。」
「やっぱり東京行っちゃうの?第一志望は東大?」
「もうどこでもいいよ。一応推薦で慶応の法学部と早大の政経は受けるけど・・・。滑り止めに明治かな・・・。東大文一は一応受けるけど、センターとか受けるの面倒だから、慶応が受かったらもう受けないかも・・・。」
やっぱり受験生らしく、赤本なんか買ってせっせと勉強している。まあ弐條さんは今月の模試でベストの成績を出したらしくって・・・。私学で一番難しい慶応の法学部もさすがのA判定・・・。やっぱりすごいわ・・・。私は偏差値60そこそこだからね・・・。おんなじ学校なんて行けないよ・・・。
「やっぱり政治家を目指すの?」
「わかんないよ。小さい頃から政治家の英才教育をされてたから、当たり前に思ってたけどね・・・。父も政経関係に行けって言ってたし・・・。慶応はお爺様も、父も出身大学だから・・・。まあ兄さんがならないって言ったら僕しかうちを継げないだろ・・・。嫌でも政治家かな・・・。」
「勉強好きなんだね・・・弐條さんって・・・。」
「嫌いじゃないよ。でも好きでもない。もう習慣っていうのかな・・・。響貴みたいに遊んでばっかりって言うのも嫌いだし。毎日綾乃と会って話したりするのが今一番楽しいかな・・・。」
そういうと弐條さんはあたしの顔を見つめて、微笑んだのよ。
「こんな気持ち初めてだよ。綾乃と出会ってから勉強もはかどるし、目標が出来たからかな・・・。」
「目標?」
「内緒。また頃合を見て話すから・・・。」
弐條さんは真っ赤な顔をしてあたしを見つめてた。そしたら弐條さんったらあたしに顔を近づけてきて、キスしてきた・・・。その後押し倒されて・・・・。
「綾乃、いいかな・・・?」
ちょっと待ってよ!まだ気持ちの整理が・・・弐條さんの唇は徐々にあたしの唇から耳元、首筋に・・・。ちょっと待ってってば!!!あたし達また付き合って数日しか・・・。
「弐條さん・・・。まだあたし達・・・。高校生だよ・・・。」
そりゃ世間では高校生で初体験をしている子っているけど、あたしはまだまだだった思ってた・・・。やっぱり厳格な家に育ったから、結婚するまではって言うのが普通だと・・・。今時珍しいかも・・・。
「ご、ごめん・・・。綾乃の事が好きだから・・・。いいかなって思ってたから・・・。」
その後気まずい雰囲気が漂ったけど、弐條さんは黙々と勉強をしだした。あたしはそれどころじゃなくって、張り裂けそうな胸をなんとかするのに精一杯だった・・・。もちろん弐條さんの気持ちは嬉しいけど・・・正直怖い・・・。
「ごめん・・・本当に・・・明日から夏休みいっぱいまで東京に行くから会えないと思うと、いてもたってもいられず・・・。綾乃の気持ちを考えないで・・・。」
「会えなくなるの?」
「うん・・・。父と約束したからね・・・。昼間は党本部とか、総理官邸でバイトして、夜は受験勉強。今から後継者見習いってことかな・・・。」
そっか明日から会えないんだ・・・。寂しくなるな・・・。 結局今日だけで結構宿題が出来て、あともう少しで終わる。夕飯もご馳走になっちゃって、お爺様と一緒に食べたの・・・。
「雅和、明日の準備は出来たのか?」
「ん、んん・・・。」
「スーツは?着替えは?」
「必要最低限以外はもう送っておいた。」
男のみの家庭の食卓って、こういうものなのかな・・・。お兄さんはもう夏休みに入っているから、東京にいったんだって・・・。お爺様はあたしのこととても気に入ってくれたらしくって、色々と家のこととか家族とか聞いてくるし・・・。まあいいんだけど・・・。 食事のあと、あたしはお爺様にお礼を言って、帰る準備をしたの。弐條さんは同じ車に乗って、家まで送ってくれることになったの・・・。
「一緒に来てくれると嬉しいけどね・・・。また遊びにおいでよ・・・。」
「う、うん・・・。何時発の飛行機?」
「JAL1348便、神戸空港16時35分発 羽田行き・・・。」
「じゃああたし空港にいくね。三時に出発口に待ち合わせね・・・。」
「3時だね・・・。わかった・・・。」
なんとなく黙ったまま家まで送ってもらって、そのまま別れたの・・・。
ホント私の想像で書いているので、もし現実的に無理があっても突っ込まないでくださいね^^;
あくまでもフィクションですから・・・。
初めてのおうちです。ホントドキドキものですよね・・・。それも個室だし、雰囲気が良くなれば流れ的に・・・・
綾乃も結構奥手な子なので、まあこれでいいかも?もちろん今までがりべん君の雅和も初めての女の子ですので、ドキドキ・・・。もちろん雅和君は遊び人の堀川響貴君に恋愛のレクチャーを受けているので、ちょっと焦ってる?
さてこの二人はどうなる?書いていてわけわからなくなったので、読み手もそうかもしれませんね。
ではでは・・・。
うれしはずかし恋愛生活 (1)うれしはずかしあたしの父兄との初対面
あたしは初恋一目ぼれを成就してなんと総理大臣の次男と付き合うことになったのよ。あたしよりも二歳年上の高校3年生弐條雅和。わけあって東京の首相公邸には住まず、神戸の超セレブな学園に通っているのよね・・・。弐條さんのおうちは政治家一家で、お爺様も総理大臣経験あり。叔父様も国会議員。お父様は戦後史上最年少での総理大臣って言うことですごく話題になっていたらしい。お兄様は政治家になるのが嫌で、学校の教員になるために一生懸命勉強しているし、頭のいい弐條さんは後援会の人たちに後継者として期待されているんだって・・・。(本人は嫌がっているけど・・・。)偶然の出会いからあの転落事故まであたしは片思いだと思っていたんだけど、なんと両想いで、恋愛でも定番の体育館の裏で初キスしちゃったの。
朝ちゃんと起きられるように目覚ましをかけたの。ちゃんと起きられたわよ。だって今日から弐條さんと一緒に登校するんだもん。朝6時に起きてお風呂入って・・・。パパはすっごく驚いてたわよ。
「あれ、綾乃。今日は早いじゃないか?夏なのに雪が降るかもしれないね・・・。」
「いいじゃない・・・。たまには・・・。学校があるときはこの時間に起きるから起こしてねパパ。」
「いいけど・・・。」
パパは不思議そうな顔して身支度をしていたのよ。
「パパ急がないと遅れるよ。阪神高速渋滞だってテレビで言ったたし・・・。した道走ったほうが早いかもね?」
「そうだね・・・。」
すると玄関ブザーが鳴ったの。
「綾乃~~~。弐條さんよ。」
っておばあちゃんがあたしに言ったからあたしは急いでカバンを持って玄関に向かったら、丁度パパが扉を開けたところだったの。パパと弐條さんは目があっちゃって弐條さんは苦笑しながらパパに言ったの。
「おはようございます。はじめまして。山の手学園高等部三年の弐條雅和といいます。」
「おはよう。君は綾乃の何?」
「僕は綾乃さんとお付き合いをさせていただいています。よろしくお願いします。」
「そうか、私は急ぐから・・・。」
パパは不機嫌そうな顔をしてガレージに止めてある自家用車に乗って出勤していったの。そりゃ自衛官の制服を着たパパに睨まれたら誰でもビビルわね・・・。特にパパの制服は幹部の制服だから結構厳つい。まあ弐條さんなら見慣れているかもしれないけど・・・。
「おはよう弐條さん。あれ?今日は車じゃないの?」
「初めて電車通学をしたよ。阪急芦屋まで送ってはもらったけどね。三宮で降りてここまで歩いてきた。結構きついねここの坂・・・。」
「SPなし?」
「うん、自分の身は自分で守ることにしたから・・・。他に守らないといけないものも出来たしね・・・。2学期に入ったらきちんと定期買って電車で通学するよ。さあ行こうか。」
あたしはそっと弐條さんの手を握ったら、弐條さんは握り返してくれた。本当にこんなに楽しい通学は初めてよ。色々話していたら、あっという間に学校についたわよ。学校のみんなは弐條さんが歩いて通学しているのを見てすっごく驚いていたし、側にあたしがいるでしょ。それも手をつないでいるもんだから・・・。
「みんな見てるよ・・・。」
「いいよ。僕が好きなのは綾乃だけだから。」
ホントに恥ずかしいやら・・・相変わらず視線が痛いよ・・・。弐條さんはわざわざ教室まで送ってくれて、一緒に帰る約束もしたのよね・・・。堀川さんはすごく驚いて、あたしに話しかけてきたわよ。
「やっぱり本当だったんだ・・・。お兄様がね、弐條さんは綾乃さんの事が好きでどうしたらいいか色々相談していたらしいのよ。弐條さんは初めて女の子を好きになったらしいし、お兄様はいろんな女の子と付き合いあるから・・・。すごいじゃない!あの弐條さんと付き合っているなんて!私も彼氏欲しいよ。ねえ、あの清原さん紹介してくれないかな・・・。」
「清原三等陸佐でしょ。10歳も上じゃない。」
「なんかね大人って感じがして・・・。素敵じゃない?」
「まあ、将来うちのパパみたいに出世コース間違いなしの人だからね・・・。でも私連絡先知らないよ。パパの部下ってだけだから・・・。」
へ~~~堀川さんって清原さんが好きなんだ・・・。まあいい人だけどね・・・。するとね変な集団があたしめがけて近づいてくる。その先頭を歩いているのは土御門桜。一部上場企業で元財閥の上、元華族の超お嬢様。そういえば初登校の日、弐條さんを引っ張って行ったあの子ね・・・。後ろにいるのは取り巻き?弐條さんとは幼馴染で、お父さんは弐條さんのお父さんの後援会長。
「あなたが源綾乃さん?あなたわたくしの雅和様を盗らないでくださる?」
「はい?」
「ちょっとあなた、外部から来たくせに生意気よ。雅和様とわたくしは親同士が決めた仲なのよ。将来私は雅和様の良き伴侶になるんだから・・・。あなたのようなどこの馬の骨かわからないような子なんておじ様は相手なさらないわ!身を引きなさい!」
「何いってんの?あたしんちは代々源家として宮中に近衛の武官として仕えてきた家よ!曾お爺様は陸軍大将にまでなったのよ!お爺様は戦時中近衛軍の若き総長として皇居をお守りしていたし、パパは陸上自衛隊中部方面総監部で幕僚副長しているんだから!うちのお兄ちゃんは陸上自衛隊幹部学校にいるのよ!うちは筋金入りの軍人一家よ!あなたんちは元華族かも知れないけど、なんだって言うの?弐條さんはあんたのことどう思っているのか知ってるの?」
家柄ではうちは負けるけど、口では勝てるわ!所詮お嬢様。半泣き状態で教室を出て行ったわよ。
「すご~~~い!綾乃さん見直したわ・・・。」
「そんなことないよ。家のこといわれるのが一番むかつくのよ!ホントにうちは筋金入りの軍人一家よ。」
「ええ!お兄様がいたの?今度あわせて・・・。」
「今目黒にいるの。幹部学校はパパも卒業してるし、清原さんもよ。来年当たり戻ってくるよきっと・・・。清原さんより1歳年下。写真もあるよ・・・。」
丁度持っていたお兄ちゃんが防衛大学入学式の写真を堀川さんに見せたの。丁度あたしはその頃東京に住んでいたから、一緒に写してもらってたの。亡くなったママも写っている思い出の写真。ママはこのときとびっきりの着物を着て、パパは通常礼装に白手袋、お兄ちゃんは礼装制服、あたしたちは学校の制服を着て、防衛大学の前で取った写真。このとき、お兄ちゃんは新入生代表で挨拶をしたっけ・・・。この頃が一番幸せだったな・・・。もちろんお兄ちゃんは主席で卒業して、久留米の幹部候補生学校も主席、配属先の上官に推薦されて今幹部学校に行っている。この前会ったのはいつだったかな・・・。防大2年の時?ママが亡くなったときだ・・・。お兄ちゃんは全寮制だから許可を得て、実家に戻ってきて、パパもお兄ちゃんもきちんと制服を着てママを見送ったっけ・・・。それ以来会っていないな・・・。あの後パパは防衛庁に願い出て特別に防衛駐在員として派遣されてこの春まで海外を転々としてた。
「やっぱり綾乃さんのお兄さまもかっこいいね・・・。ご両親も素敵な方ね・・・。」
「パパもママも駆け落ち寸前までいった仲だったからね・・・。すごく仲がよかったんだよ。」
「理想の家庭って感じだね・・・。」
「そうかな・・・。(ママが生きていればだけど・・・。)」
まあ湿っぽい話はこれくらいにして、あのうっとうしいお嬢様をぎゃふんと言わせてすっきりしたわよ。
放課後の部活の後、あたしは弐條さんと一緒に帰って、家まで送ってもらったの。すると家の前に一台のタクシーが止まって、人が降りたの。なんとそれはおにいちゃん!!!何年ぶりに会うんだろ・・・。あたしはお兄ちゃんが大好きだから、お兄ちゃんに飛びついちゃったの!
「お兄ちゃん!」
「綾乃か!女の子らしくなったな!」
弐條さんは驚いた表情であたしたちを見ていたんだ。お兄ちゃんは陸上自衛隊の通常制服を着て、いつもどおりの笑顔で笑ってた。お兄ちゃんはちょっとシスコンっぽいところがあるから、弐條さんを見て少し嫌な顔をしていた。
「どうしたのおにいちゃん!」
「学校を卒業して、こっちに配属になったんだ。総監部じゃないけど、第3師団の中隊長さ。で、あの男は誰?」
「あの人は弐條雅和さん。あたしの彼よ。同じ学校の3年生なの。」
「そう・・・。」
お兄ちゃんは弐條さんの前に立つと、弐條さんの前に手を出したの。
「はじめまして。私は綾乃の兄、源博雅です。今日から陸上自衛隊中部方面第3師団中隊長として派遣されました。よろしく。弐條だなんて珍しい名前だね・・・。お父さんは何しているの?」
弐條さんはおにいちゃんと握手して微笑んでいったの。
「はじめまして。僕は弐條雅和です。父は・・・内閣総理大臣をしています。」
お兄ちゃんはさすがに固まっていたわよ!内閣総理大臣は防衛庁のトップみたいなものよ・・・。上下関係に厳しくて、権威に弱いうちの家系はびっくりするわよね・・・。お兄ちゃんは態度が一変して弐條さんを家に招きいれようとしたんだけど、弐條さんは今日車じゃないからって、丁重に断って、帰って行ったのよ・・・。もちろん後メールでフォローしておいたわよ・・・。もうおにいちゃんったら変なとこ嫉妬して・・・。馬鹿じゃないの?
あの後お兄ちゃんは色々弐條さんのことを聞いてきたけど、付き合って日の浅いあたしは困ったわよね・・・。まだ弐條さんについてわからないことだらけなんだもん。家にさえ行ったことないし・・・。でも今度の週末にご招待を受けたから、何を着ていこうか悩んでいるのよね・・・。
次回作のお知らせ
すみません・・・。実は番外編として書いた「優しいキスは放課後に・・・」を書いているうちに続編を書きたくなって、今ももうすごいペースで書いています。続編は6年先まで書きすぎています。とりあえず、次回作は主人公の彼氏が卒業するまでのことを書きます。
書いていて本当にだらだらという悪いくせが・・・。
続編のうち、主人公が一部変わる章もあります。ホントに私は横道ばかりそれてしまうんですよね^^;
本編は平安時代なのに、番外編は現代版・・・。現代版は難しいですよね・・・。
実在の場所が出てきますが、フィクションですので現実とは異なりますので、ご了承ください。
実在の場所などを使ったほうがわかりやすいかなって思っただけなので、深く追求はしないでくださいね^^
では題名です・・・。
「うれしはずかし恋愛生活」
という題名です。
私は題名を考えるのがすごく苦手でして、ご期待に沿えるような内容ではないと思います。
まあこれは番外編から生まれたシリーズになりそうな気配ですので、よろしければお付き合いください。
では人物設定を・・・。
主人公格:源綾乃・・・高校1年生 弐條雅和・・・高校三年生 綾乃の彼氏
一部主人公:清原さん・・・陸上自衛隊中部方面隊総監部に勤める三等陸佐
その他:堀川鈴華、堀川響貴、源博雅など・・・。
かわいそうな清原さんをちょっと主人公にしてしまった^^;まあさらに続編にもちょくちょく出てきて活躍してくれますが・・・。まあよろしくお願いします。
追伸:コメントを頂きたいのはやまやまなんですが、恋愛ものを書くと必ずエッチ系サイトなどのスパム等が書き込まれ、迷惑していますので、受け付けておりません。
優しいキスは放課後に・・・ (4)事故と告白
(4)事故と告白
毎日のように朝と寝る前はメール交換しているの。別に付き合っているって事ないけど、挨拶程度。弐條さんってまめなのよね・・・。メール送ったらすぐ返ってくるし・・・。最近なんか弐條さんから「今何しているの?」って送ってくるの。「弐條さんは?」って返すと、「暇なんだ・・・電話かけていい?」って・・・「いいよ」って返したら即かかってくる。大して話すことはないんだけど、なんとなく世間話とかして切るんだよね・・・。
最近あたしは自転車通学を始めたの。すると弐條さんは通学経路じゃないのにあたしを見つけるとわざわざ車を止め、窓を開けて「おはよう」って声をかけてくれるんだよね・・・。学校でもそう、あたしを見つけると、まず声をかけてくれる。そのためかわからないけれど、最近陰口ばっかりなのよね・・・。陰口ならまし。ロッカーを荒らされたり、机も・・・。もういやになっちゃう。こんなこと弐條さんに相談できないじゃない・・・。だからあたしついひどいこと弐條さんに言っちゃった・・・。
「弐條先輩!あたしに構わないでください!迷惑です!」
もちろん本心じゃないけど、そんなこと言っちゃった・・・。もちろん弐條さんは悲しい顔をしてそれっきりメールも電話もなくなったのよ・・・。一応部活は一緒だから顔を合わすことになるけど、以前のように声をかけてくれなくなった。普通の先輩後輩のようになったの・・・。
「綾乃さん。最近弐條さん元気ないと思わない?お兄様も心配しているのよ。」
「そうかな・・・。」
「最近綾乃さんとも話さないじゃない?何かあったのかな・・・。」
「さあ・・・。」
きっとわたしがひどいこと言ったからなんだと思ったのよ。もちろんそうだと思う。今までやさしく接してくれていた弐條さん・・・。あんなこと言わなきゃよかった・・・。この前も弐條さんは先生に呼ばれてつい聞いちゃったのよ・・・。
「最近どうかしたの?先月の模試、すごく悪いわよ。今年に入って急激に伸びてトップ10入り間近だったのに・・・。これは何?この調子じゃ東大どころか神大も無理よ・・・。」
「すみません・・・。」
「しっかり勉強しないと、お父様が悲しまれるわよ。お父様は東大や慶応、早稲田をご希望なのですよ。このままじゃひとつも通らないかもしれないわね・・・。もう部活の両立は無理ね・・・。」
やっぱりあたしのせいなんだ・・・。あんなこといったのは先月の全国統一模試前だし・・・。謝らないといけないかな・・・。
すると事件(事故?)が起きちゃった・・・。あたしはやっと期末試験が終わって階段をぼおっと降りていたのよね・・・。すると後ろから押されるような感覚があって階段の一番上から・・・。
「危ない!!!」
弐條さんは転げ落ちる寸前であたしを受け止めて、そのままあたしと一緒に転げ落ちてしまったの!!!もちろん周りは悲鳴だらけ・・・。あたしは弐條さんのおかげで、かすり傷程度で済んだけど、弐條さんはあちこち打って、一応用心のため救急車で兵庫医大に運ばれたの。あたしは弐條さんに付き添って救急車で一緒に病院に行ったの。どうしてこの病院になったかというと、ここの医大病院には超がつく特別個室があって、床はじゅうたんで敷き詰められて、トイレバスつき・・・。部屋は二室。病室に応接間兼付添い人の部屋・・・。噂によると病院食も違うらしい・・・。ここ専用に看護師が数人付いて、個人情報の漏れない徹底した管理がされているの。この特別病棟は政治家をはじめ、有名芸能人や有名スポーツ選手なんかも極秘で入院したりするときに使うのよね・・・。
弐條さんは一応検査入院をすることになったの。ホントに申し訳なくて・・・。私なんか放っておいてくれたほうがよかったのに・・・。
「弐條さん、ごめんなさい!私のためにこんなこと・・・。」
「当たり前じゃないか・・・。」
弐條さんはあたしと話したい事があるって言うから、SPや家の使用人を隣の控え室に行くように言って人払いをしたの。
「だってさ、綾乃ちゃんのような可愛い顔に傷を付くたくないしね・・・。僕は綾乃ちゃんを守りたいんだよ。」
「え?」
「僕は綾乃ちゃんが大好きだよ。大好きだから綾乃ちゃんを守りたいんだ。」
そういうと、弐條さんはあたしの腕を引いて抱きしめたの・・・。それでキスしようと弐條さんが顔を近づけたとき、いきなりドアが開いたの!いい感じだったのに!!!
「お坊ちゃん!大丈夫でしたか!!!」
入ってきたのは弐條さんのお父さんの第一公設秘書、橘晃さん・・・。学校から総理公邸に連絡が入って飛行機ですっ飛んできたらしいのよ・・・。
「と、突然入らないでくれる?もちろんお父さんはこれないだろうね・・・。」
「当たり前です!いま臨時国会中ですので、私が代わりに・・・。もちろん総理には書面にて報告は・・・。で、どうなんですか?」
「なんともないよ。打撲と脳震盪らしいけど・・・。二、三日念のため検査入院するだけだから・・・。心配しなくていいよ・・・。」
秘書の橘さんはあたしをじっと見ていったのよ・・・。
「お坊ちゃん、この方は?」
「僕の後輩で・・・。お父さんは陸上自衛隊中部方面総監部にお勤めらしいよ。もともといい家柄の子だから安心すればいいよ。」
「はじめまして。弐條さんの部活の後輩の源綾乃といいます。」
橘さんは嫌そうな顔をして弐條さんに言ったの。
「マスコミに気をつけてくださいよ。世間一般人はお坊ちゃんの顔を知りませんが、マスコミは知っています。総理に恥をかかせたり心配させるような行為はお控えくださいよ。それでなくても後継者のことで悩んでおられるのに・・・。」
「わかってるよ・・・。夏休みは東京の公邸に行くから、そうお父さんに伝えておいてよ・・・。」
「わかりました・・・。今日はこちらに待機させていただきますので・・・。」
「そうだ、橘、綾乃ちゃんを家まで送って行ってやってくれないかな・・・。」
「はいわかりました・・・。」
私は自分で帰れるからってお断りして病室を出たの。もちろん帰り方ぐらいわかっているけど、パパに電話したらちょうど帰る前だからちょっと待ってなさいって・・・。病院まで迎えに来てくれることになったのよ。パパの勤め先はここから武庫川沿いを走ってちょっとそれたとこだから近いといえば近いんだよね・・・。車で20分くらいのとこかな・・・。約束した外来棟の正面入り口の車止めの前で待っていたの。するとパパの車が入ってきて、助手席に座ったの。
「兵庫医大に何か用事があったのかい?」
「あのね、私が階段から落ちそうになったときに先輩が助けてくれて・・・。私は擦り傷ですんだけど、先輩は打撲と脳震盪に・・・。今は念のため検査入院に・・・。」
するとパパは駐車場に車を止めて私を引っ張っていったの。
「それならパパからお詫びをしないと!さあいくぞ!」
パパは私の手を引いて弐條さんのいる病室まで連れて行かせたの。パパはドアを叩くと中から橘さんが出てきた。パパは制服の帽子を脱いで、頭を下げて橘さんに言ったの。
「私はここにいる綾乃の父、源将直と申します。ぜひこの私からお詫びを・・・。」
「お断りいたします。こちらは世間の目を気にする立場ですのでね・・・。」
「しかし、私の気持ちが晴れません。」
「ではどうぞお入りください。」
パパは応接間に通されて橘さんと話し出す。
「坊ちゃんのお父上は仕事上こちらには参れませんので、私が伺います。」
パパは丁寧に挨拶とお詫びをして帰ろうとすると、橘さんが父に言う。
「もしかしてあなたは昨年度までイギリス日本大使館防衛駐在官では?」
「はいそうですが・・・。」
「総理がヨーロッパ外遊の際、護衛官の中にお見かけしたような・・・。」
「もちろん、昨年の外遊の際はずっと総理と行動を共にしておりましたが・・・。」
「やはり、その時の源殿でしたか!なんとなく見た事があるなと思いましたよ。私は総理大臣弐條常康様の第一秘書橘晃と申します。その節はお世話になりました。身を挺して総理をお守りした源殿・・・。覚えめでたく昇進されたと聞きましたが、なんとこちらに配属されたのですか・・・。お嬢様は坊ちゃんと御学友とは・・・。」
「そういえば、外遊中に総理は大変な目に遭いましたね・・・。さすがに私も驚きましたが・・・。」
なんだか二人は盛り上がっちゃって・・・。家に帰ったのは8時をすぎてたわ・・・。急いで宿題をしようと思ってかばんを開けたら、間違って弐條さんのかばんを持ってきちゃって・・・。急いでメールしたら、弐條さんも驚いたみたい・・・。気が付いたら、明日は土曜日で学校休み・・・。お見舞いがてらにかばんを取替えに行くことにします・・・。でも恥ずかしいよね・・・・学校のかばんを持って電車に乗るの・・・・。まあ明日ちょうどパパが休みって聞いたから、送ってもらうことにしたけど・・・。私って本当に馬鹿・・・。
弐條さんは結局異常が見つからなくって、月曜日に普通に登校してきた。弐條さん命の女の子たちはみんな弐條さんの周りにかたまって、怪我の様子を伺っている。そういえば、金曜日の返事をしていなかった。でもよくわからないのよね。友達としての大好きなのか、恋人としてなのか・・・。中途半端な別れかたをしたから、はっきりわからないけど、でも抱きしめられて・・・未遂だったけどキス・・・・。これはもちろん恋人としてだよ・・・。あたしは直接聞けないから、携帯を取り出して弐條さんの携帯にメールしてみた。
『金曜日の大好きって友達として?それとも???』
送信したらすぐに後ろで弐條さんの携帯の呼び出し音。すると今度はあたしの携帯がなった。メールじゃなくって通常着信音。
「もしもし?」
『そのままでいいから聞いて・・・もちろん後者だよ。また返事聞かせてよ。放課後待っているよ。』
「う、うん・・・。」
「誰と話しているの?弐條さん!」
「誰?」
「教えないよ。僕の大事な人で守りたい人だから・・・。」
「え~~~~~!」
前を歩いているあたしに丸聞こえだよ・・・。あたしはさすがに照れちゃいました。
昼休みに弐條さんからメールが入りました・・・。もちろん放課後の約束・・・。放課後5時に体育館の裏・・・。うんうん5時ね・・・。でもなんだか不安がよぎったのよね・・・。よくドラマとか漫画であるでしょ。いいところのお坊ちゃんが暇つぶしに女の子を落とせるかって言う賭け・・・。もしかしてそれじゃないのかな・・・。弐條さんに限って・・・。それなら怪我してまで私を守る?騙されたっていいやって思って時間どおりに指定の場所に行ったのね。すでに弐條さんが来ててね、あたしの顔を見るなり満面の笑みで私を迎えてくれたの。
「来てくれてよかった・・・。来てくれないのかなって思ったよ・・・。」
あたしは誰かが隠れていないか確認して、弐條さんに抱きついたの。もちろん弐條さんはあたしをぎゅっと抱きしめて・・・。あたしは目を閉じた。もちろん・・・。夢じゃありませんように・・・。夢じゃないよね・・・?恐々目を開けると・・・夢じゃなかった・・・。初キスの味は色々噂で聞くけど、緊張していてそんなことわからないよ・・・。嬉しかったのかわからないけど、不思議と目が潤んで一筋の涙が・・・・。
「泣いているの?キスしちゃ悪かったかな????」
「ううん・・・初めてのキスだから・・・。」
「僕もだよ・・・。」
そういうと弐條さんは再びあたしに優しくキスをしてくれた。キスって人柄が出るって聞いたけど、ホントだね・・・・。
あたしたちは手をつないだまま校門まであるいていったの。みんな私たちをじろじろ見ていたけど、もういいんだもん。もちろん弐條さんは校門まであたしのカバンを持ってくれてね・・・。すると突然の夕立!弐條さんはお迎えの車に乗ろうとしていたんだけど、雨に気が付いて、走ってあたしのほうにやってきたの。
「綾乃!今日歩きだろ!送って行ってあげるよ!」
そういって、あたしが濡れない様に弐條さんのカバンを頭にのせてくれてそのままは一緒に車まで走って乗せてもらったの。SPの人が用意したタオルで、弐條さんはあたしを拭いてくれた。
「弐條さん風邪引いちゃうよ。」
「いいよ、綾乃のためなら風邪くらい・・・。」
その時気が付いたんだけど、今まで綾乃ちゃんって呼んでくれていたのが綾乃になっていた。弐條さんの彼女になったんだって実感しちゃって、うれし笑いをしちゃった・・・。弐條さんも普段見せない顔で、あたしを見て笑ってたのよ。いつも硬い表情をしているSPさんたちも、なんだか頬が緩んでいたの・・・。
家につく頃には雨は上がって晴れ間が出ていい夕焼けが見れた。あたしは車から降りてSPさんたちの送ってもらったお礼を言ったら、初めてSPさん達は笑ってくれたんだ。
「弐條さん、じゃあ明日学校で・・・。」
「うん!明日から毎日家に迎えに来るよ。明日からは寝坊厳禁だよ。」
「了解しました!」
あたしは弐條さんに向かって敬礼をした後、手を振って弐條さんの車が見えなくなるまで見送ったの。今頃になって弐條さんの唇の感触が甦ってきちゃって・・・。もううれし恥ずかしい!あたしは無意識のうちにスキップして家に入っていったの。
「優しいキスは放課後に・・・」(完)
さて次はこの続編をひとつ・・・。
もっつややこしくなるし表現がこのはなしより大人っぽくなります。ちょっとだけど・・・。