うれしはずかし恋愛生活 東京編 (1)あたしの新たな生活 | 超自己満足的自己表現

うれしはずかし恋愛生活 東京編 (1)あたしの新たな生活


ayanotopapa
 3月になってあたしの彼そして婚約者の弐條雅和さん(実は総理大臣の二男!)は大学進学のために港町神戸を離れ、進学先の慶応義塾大学がある東京に旅立った。


 あたしはこの神戸に残って遠距離恋愛を始める予定だったんだけど・・・。


「え?パパ。なんて言ったの?」

「また転勤だ。」

「今度はどこ?」

「陸上幕僚監部。市ヶ谷だよ。いきなり総監に呼ばれたと思ったら栄転だって言われてね・・・。パパは幕僚副長に任じられた。どうする?ここに残るか?それとも東京に行くか?」


あたしはもちろん行くって答えたわよ。これで遠距離恋愛しなくていいもんね・・・。


急に言われたもんだから、適当な家が見つかるまで、市ヶ谷三宿官舎で住むらしいけど、よく考えたら、あたしの学校はどうなるんだろう・・・。


パパは途中編入できるいろんな私学に電話してくれて、なんとか見つけた数件の女子高。そこには慶応義塾女子高校もあった。偏差値は77の超ムズイところかも・・・。うちの学校あの灘高よりも少し落ちるくらいだから、65くらいなんだろうか・・・。もしかしたらかすりもしないかもしれないけれど、まあ、うちの学校とそこの学校は理事長さんが仲良しみたいで、特別に編入枠を設けてくださったみたい・・・。あとは試験・・・。今までずっと弐條さんが、家庭教師みたいなことしていてくれたから、以前よりはましかもしれないけれど、春休み入ってすぐに試験のため東京に行ったの。もちろん弐條さんには内緒で・・・。面接とかはないから筆記のみ・・・。ああドキドキする。ここさえ受かれば弐條さんと同じ大学へいけるわけだし・・・私は必死に勉強したわよ。試験の日の午後に結果が出て、結果は・・・編入OK!なんとか編入許可が下りた。私って運だけで生きてるのかしら・・・。 編入が決まったその日に手続き、制服の採寸とか、忙しくって、パパも大変なのに付き合ってくれた。制服は神戸の学校のような可愛いものではないけど、まあこんなものかなって感じ。校風は神戸の学校と違って自由が多いし、あまり厳しくないそうだから、まあいっかな・・・。


でも官舎から通うのは結構遠い。東急で渋谷まで出て、JRで田町まで行くのが一番簡単なのかな?パパは高輪から新宿の間でいいとこないか物件を物色しているんだけど、なかなかいいとこなくって、苦労しているみたい。見つけたと思ってもまだ完成していなくって、入居はゴールデンウイーク明け。・・・。まあそこに決めて完成を待つ。場所は麻布。結構閑静な住宅街なのよね・・・。近くに有栖川記念公園があって、その近くの新築分譲マンション。パパと二人暮らしだから、小さめの2LDK。もちろん自転車通学。パパは車で通勤。早く完成しないかなってパパは言っていた。


三宿の官舎は結構古いつくりだけど、近くに病院もあるし、駅近。パパの市ヶ谷駐屯地まで送迎バスが出ているけれど、パパは幹部だから、自家用車で通勤。もちろん送迎車があってもいい立場なんだけど、あまりパパは好きじゃないから、断ったらしい。


でもびっくりしたのは何で清原さんまで転勤???同じ官舎???三等陸佐の清原さんはパパが転勤だと聞いて、何でもいいから市ヶ谷に行かせてくれと頼んでパパも転勤の条件として清原さんを連れて行きたいといったらしいのよね・・・。防衛部防衛課勤務。以前のようにパパの側にいれないけれど・・・。なんなんだろこの人は・・・。パパも毎朝のように清原さんに運転させて出勤しているのよ・・・。


新しい学校での生活が始まって半月経った頃、あたしは久しぶりに弐條さんに電話をかけてみた。きっと東京にいるって聞いたらびっくりするだろうな・・・。


「弐條さん、あたし。」

『綾乃かあ・・・。ちゃんと学校行ってるの?今どこ?』

「今東京にいるよ。会えないかな・・・。」

『え???東京???今講義終わったところだから、どこで会える?今どこ?』

「三田だよ。」

『三田????僕は日吉なんだけどな・・・。じゃあ渋谷で会えるかな・・・。』

「うん、帰宅途中の駅だからいいよ。どこがいいかな・・・。」

『それなら・・・渋谷の東急の改札でいいかな・・・。今からだったら30分くらいで着くからさ。ついたら電話する。』


結構驚いていたな・・・。あたしはJRに乗って、渋谷に急いだ。新しい制服で気づくかな・・・弐條さん。本当に一月半ぶりの再会だから、とっても嬉しい。色々考えながら、東急渋谷駅の改札前で待った。改札ってここだけだったかな・・・。すると電話がかかってくる。


『もうすぐ着くけど、どの改札?』

「田園都市線のハチ公方面の改札にいるけど。」

『わかった。』


すると改札から弐條さんが出てくる。そしてあたしを探してた。


「弐條さん!こっち!」


弐條さんは気が付いて、あたしのほうに走ってきた。


「あれ?その制服・・・・。慶応女子・・・。何で?」

「パパの転勤で編入したんだよ。びっくりした?したよね?ずっと秘密にしてたんだ。」

「そっか、そっか・・・・。遠距離恋愛しなくていいんだね・・・。でもね・・・僕は三田キャンパスじゃないよ。3年からは三田だけど・・・。」

「え~~~~!せっかくがんばって慶応女子に入ったのに・・・。会えないんだ・・・。」

「でも系列の学校にいてくれるだけでも嬉しいよ。どうする今から。」


あたし達は渋谷駅を出て、お茶しにいった。やっぱり弐條さんは大学に入ってからますますかっこよくなって、惚れ惚れしちゃった。さすが慶応ボーイ・・・。結構もてるんだろうな・・・。弐條さんはお爺様に合格祝いとして広尾にマンションを買ってもらったそうなんだけど、5月末まで完成しないらしいのね・・・。だから今は総理公邸から通学しているらしい・・・。


「あたし、5月中旬になったら南麻布に住むんだよ。そうしたら近いね・・・。」

「うんそうだね・・・。おじいちゃんったら、これから先のことを考えて3LDKのマンションを買ってくれてね、将来結婚したらそこに一緒に住むんだよ。今から完成が楽しみなんだ。」

「そっか・・・。いいところなんだろうな・・・。うちなんか普通のマンションだよ。南麻布ってだけで結構高かったんだから・・・。」

「お父さんと一緒に住んでいるんなら安心だね・・・。これからちょくちょく渋谷や六本木で会えるね・・・。」

「うんそうだね・・・。」


そんなこといいながら、色々話していたんだけど、早く家に帰らないといけないから、急いで帰ったのよ。だってパパと清原さんの夕飯を作んないといけないから・・・。何で清原さんの夕飯まで?って感じでしょ。まあ二人も三人も一緒だけどね・・・。


でも弐條さんは元気そうでよかった、よかった・・・。


さあ始まったゴールデンウイーク・・・。でも弐條さんは相変わらず官邸でバイトしてる。少しでも会えるかなって思ったんだけど、無理・・・。あたしはパパと思ったより早く完成した新しいマンションに行き鍵を受け取って中を見に行ったの。やっぱり新築はいいね・・・。色々サイズを測って、秋葉原に行ったりして真新しい電化製品を買ったりしたの。官舎ではすぐ引っ越すのがわかっていたから、最低限の荷物しかなかったし、家具も持ち込まなかった。色々不自由があったけど、新しい家具も買ってもらって、無理行ってゴールデンウイーク中に揃える事が出来たの。神戸の家は古くて妹と同じ部屋だったけど、こっちはちゃんと自分の部屋がある。あとは官舎にある食器とかを運ぶだけなんだよね。それはパパが休みを取れない時に丁度非番の清原さんがわざわざ運んでくれて助かった。ああこれで大混雑の電車通学から開放される。何回も痴漢にもあったしね・・・。もううんざり。


「わざわざ非番なのにありがとう、清原さん。」

「ん?いいよ。一人で家にいても体がなまるしね・・・。でも寂しくなるね・・・。綾乃さんのおいしいご飯も食べられなくなる・・・。」

「なら、まとめてご飯作って冷凍してパパに渡しておくね。」


あたしは清原さんに珈琲とケーキを出して色々話した。やっぱり清原さんは色々助かるな・・・。こうしてあたしが出来ない力仕事をしてくれるし・・・。パパも信頼しているのもわかるわ・・・。


あと近所にパパの代わりに挨拶に行って近所のナショナル麻布スーパーに買い物に行った。ここは結構変わった食材があるから嬉しい・・・。もちろん清原さんにもついてきてもらって、買い物をした。そしていっぱい買い込んでしまった。たくさん作って、密封容器に入れて清原さんに持って帰ってもらったの。


「帰ったらすぐに冷凍庫に入れてくださいね。一食分ずつ小分けしてあるから、電子レンジでチンして・・・。」

「ありがとう助かるよ。綾乃さんはいいお嫁さんになるよ。弐條さんも幸せだ・・・。」


いいお嫁さんか・・・。はじめてそんなこといわれちゃった・・・。嬉しいよね・・・。


さあ明日からはここから自転車通学!もうちょっとしたら弐條さんも近所に引っ越してくるから、ホントに楽しみだよね。




【作者からの一言】

いったことはあるけどまったく知らない東京・・・。土地勘のある人や関係者は申し訳ありません。さらっと流してください。また実在の場所、学校などが出てまいりますが、実際とは異なります^^;もちろんフィクションですから・・・。



今回の挿絵は綾乃パパと綾乃です。まだまだ勉強しないと。顔の輪郭やバランスが・・・・。結構時間はかかったんですけれど・・・・。恥ずかしいです。


もちろんフィクションです。