うれしはずかし恋愛生活 (6)卒業&送別旅行 | 超自己満足的自己表現

うれしはずかし恋愛生活 (6)卒業&送別旅行

雅和&綾乃 高校制服(冬)
 卒業シーズンの2月はじめごろ、あたしはだめもとでパパに聞いてみた。


「パパいいでしょ・・・。堀川さんも一緒だし・・・・。」


「だめだめ!まだお前は高校1年だ。いくら婚約しているといっても世間体が悪いだろ!」


もちろんうちのパパは世間体をすごく気にする。昨日、学校で弐條さんが、あたしに言ったのよ・・・。


「もうすぐ卒業だろ・・・進路も決まったし、3月に入ったら、準備のためにあっちに行くんだよ。近場でいいから、旅行に行きたいよね・・・。もちろん響貴や鈴華ちゃんと一緒だけど・・・。お父さんに聞いててくれる?」


昨日もパパに説得していたんだけど、いい返事は来ない・・・。もちろん気持ちはわからないでもないけど・・・。でもこれを逃すといつ会えるかわからないし、思い出作りもしておきたい。するとパパの携帯がなった。パパは急に直立不動になって言葉も変だ・・・。きっと上官かそれ以上・・・。


「は、はい!承知いたしました。ではこれで・・・。」


何を承知したのだろう・・・。するとパパは不機嫌そうにいったのよね・・・。


「わかった、許す。」

「え?どうしてパパ。」

「さっきの電話は弐條さんのお父さん直々の電話だ・・・。京都に部屋を取ったっていうんだよ。もちろん2部屋。総理直々に言われて宿まで押さえたといわれたら承知するしかないだろう・・・。ああパパは胃が痛いよ・・・。いいな、決して弐條君と同じ部屋はだめだぞ!いくら婚約しているといっても、同じ部屋はだめだ。結婚するまではな!」


まあパパに許してもらったから、よかったけど・・・。パパは演習視察のため、お迎えの車に乗って溜め息をつきながら岡山に行った。後から清原さんに聞いたんだけど、演習視察中も、ずっと溜め息ついて上の空だったらしい・・・。相当ショックだったんだろうな。


今日はついに卒業式。弐條さんのお父さんは偶然昨日大阪で公務があって今日午前の卒業式に出席することになった。やっぱり首相が出席するということで、うちの学校も珍しく混乱している。だって、マスコミをシャットアウトしないといけないでしょ。臨時にたくさんの警備員が集められて、校門前とか、講堂前に陣取って、関係者以外を排除している。卒業式が行われる講堂は大学の敷地にある。講堂に全校生徒が入りきらないから、卒業式の出席は事前先着登録制。もちろん弐條さんが卒業してしまうってことで、ファンの子達が、詰めかける。もちろん入る事が出来なかった子たちは講堂前で待っているんだよね・・・。あたしは堀川さんのおかげで何とか入る事が出来たの。 大学の校門前で騒がしくなったと思ったら弐條さんとお父さんが車に乗って講堂近くまで、やってきた。それはもう大騒ぎで、あたしは二人を遠くから眺めるだけ。でもお父さんと目が合って、お父さんは会釈してくれたんだ。あたしと弐條さんの婚約はまだ身内だけのことで、学校も知らない。みんなも仲がいいとしか思っていないんだよね・・・。だってずっと堀川さんたちと行動を共にしているし・・・。友達以上恋人未満って感じかな・・・・。だから未だに諦めていない子達が多い。その筆頭が土御門桜。勝手に婚約者と思い込んでいるんだよね・・・。


厳粛は雰囲気で卒業式が始まって、総代として弐條さんが壇上に立って、卒業の挨拶をして代表で卒業証書を受け取った。在校生の子達が悲しさのあまり泣く子が多い。式典が終わると記念撮影に入る。弐條さんは学校関係者に呼ばれてどこかに行ったのよね・・・。後から知ったんだけど、マスコミからの要望で、お父さんとマスコミ向けの記念撮影をしたみたいだよ・・・。やっぱり公人は違うよね・・・。お父さんはそれが終わると公務のために次の公務先福岡に向かって空港に向かっていったんだよね・・・。ホントにお忙しい方だよね・・・。でも弐條さんはお父さんが卒業式に出てもらってすごく嬉しかったみたい。弐條さんは戻ってくるといろんな人と写真を撮って、最後に私と堀川さんのところへやってきたの。


「わ!いっぱい花束とかもらったんだね、弐條さん。」


弐條さんは苦笑してあたしを見ていたけど、あたしの肩に手を置いて、響貴さんに写真を撮ってもらった。よく考えたら、これが初めての二人の写真・・・。一生物の宝物・・・。携帯のカメラでも撮ってもらって、待ち受けにするんだ・・・。


 2月末の期末テストが終わってすぐの土曜日、朝早くJR三宮駅に集まって、電車で行くことになったの。はじめは車で行くつもりだったんだけど、やっぱりわいわい言いながら行きたくなって、駅のキオスクでお茶とかお菓子とか買って、米原行きの新快速に乗り込んだ。弐條さんはあたしの荷物を持ってくれて、荷物置きに乗せてくれた。


「さあ座って・・・。窓際のほうがいいだろ?」

「ありがとう・・・。」


ボックス席だから、四人向かい合って座って、話をする。朝早いからあまりわいわいとは出来ないけど・・・・。でも弐條さんが隣にいるから、自然に楽しくなっちゃうんだよね・・・。周りの人はあたし達を見てどう思うかな・・・。仲良し4人組に見える?弐條さんは全国的に総理の息子として顔が知れてるから、弐條さんを見て色々言っている人もいる。声をかけたりもする。今のところ歴代最高支持率の総理だから、弐條さんも注目されるんだろうね・・・。車のほうがよかったのかな・・・。


京都に着くと、党京都支部の人が迎えに来ていて、観光タクシーを用意してくれたみたい・・・。あまり弐條さんは特別扱いをされるのが苦手のようだから、苦笑していたけど。タクシーの運転手さんも、口の堅い人を頼んだみたい。


一通り観光地を回って、夕方に京都ホテルオークラに着くとまた京都支部の人が待っていて、チェックインから全部してくれる。行ってみるとジュニアスイート。京都支部の人は普通の部屋が空いてなかったって言ってたけどきっと気を使っていい部屋を押さえたんだろうな・・・。あたしは堀川さんと一緒に色々話しながら、外を眺めていたの。


「お兄ちゃんとね、昨日話していたんだけど、綾乃ちゃんはこの部屋で弐條さんと過ごしたら?私はおにいちゃんと一緒の部屋でいいから・・・。だって、婚約しているんでしょ。同じ部屋でいいじゃない・・・。」

「でもパパと違う部屋で寝るようにって言われたし・・・。」

「わかんないよ。ね。」


するとチャイムが鳴って、響貴さんが、弐條さんを連れて部屋に入ってくるのよ・・・。二人っきりにさせると、さっさと部屋を出て行く二人・・・。あたし達は向かい合って苦笑しながら、ソファーに座った。


「あの二人にやられたね・・・。父さんも部屋は別にしなさいって言ったんだ。それを条件に色々手配してくれて・・・・。で、夕飯何食べる?夜は別行動になったから・・・。」

「何でもいいよ。」

「じゃあ、2階で食べようか・・・。」


あたし達は2階にあるテラスレストランに行くことになって、レストランと同じ階にブライダルサロンがあって、つい飾ってあるウエディングドレスの前に立ち止まって、見つめてしまった。いずれこんなのを着て弐條さんと結婚するのかなって・・・。弐條さんはあたしの腰に手を回して一緒に眺めていた。


「綾乃、きっとこんなの着たら似合うだろうね・・・。早く綾乃のウエディングドレス姿を見たいな・・・。大学卒業したらすぐにでも結婚しようか・・・。」

「そうだね・・・。」

「学生結婚でもいいかな・・・。でもそれはきっと綾乃のお父さんが怒りそうだよな・・・。」


あたし達は微笑みながら、レストランに行って食事をする。本当においしい食事で、色々この先のこととか話しながら楽しい時間が過ぎたの。


食事後やっぱり外に行こうってことになって、部屋に戻ってコートやマフラーとかを取りに行ったの。いっぱい着込んで鴨川のほとりに行く。噂どおり等間隔でカップル達が座って愛を語り合っている。あたし達も丁度いいとこを見つけて、河原に腰掛けたの。やっぱり2月の京都は寒い上に、もうすぐ3月というのに雪がちらつきだした。


「雪か・・・寒いと思った・・・。綾乃もっと側においでよ・・・。」

「うん・・・。」


あたしは弐條さんにもたれかかってじっと雪を眺めてた。ホントにいい雰囲気だよね・・・。今日は門限も気にすることないし、こうしてゆっくり弐條さんといる事が出来るんだもん・・・。今日は急いで帰らなくってもいいし、部屋も同じ・・・。


「綾乃・・・。」


やっぱり周りに触発されてか、弐條さんはあたしにキスしてきた。いつもと違って、ホントに長い長い優しいキスだった。


「綾乃、今日こそいいかな・・・。」

「え?」


はじめ何の事かわかんなかったけど、部屋に戻ると弐條さんに押し倒されちゃって、ベッドでキスされながら、マフラーとかコートのボタンとかはずされていくんだよね・・・。ああそういうことかって思って覚悟しようと思ったんだけど、良く考えたら今日・・・・。


「弐條さん、今日はだめ!」

「え?」


あたしは急に起き上がって、真っ赤になりながら、弐條さんに言ったの。


「今日はだめなの・・・。だってあたし今日「あれ」なんだもん!」

「あれ?」

「せ、生理なの・・・。だから今日はだめ・・・。」

「そっか・・・じゃあだめだよね・・・。」


弐條さんは真っ赤な顔をして下を向いたの。ああこういう表情好きだわあ・・・。


ホントに今日に限って生理になっちゃって、朝から億劫だったのよね・・・。つい今日楽しすぎて自分が「あれ」だって事忘れてた。弐條さんはテレながら、優しくキスしてくれて、はじめて同じお布団の中で寝ることにしたの。 シャワー浴びてパジャマに着替えると先にシャワー浴びて待っていた弐條さんのベットの中に潜り込んだの。


「あったかい・・・。」


弐條さんは微笑んでくれて、あたしは弐條さんに腕枕されながら眠ったの。本当に嬉しいような恥ずかしいような思い出に残るはじめての旅行だった。次の日響貴さんは何もなかったあたし達に呆れていたけど・・・。いつになったら初体験できるのかな・・・。


(終)


【作者からの一言】

番外編第2部終了!ホントこの二人は運悪く(?)初体験が出来ないんですよね^^;でもラブラブだからね・・・。うらやましい・・・・。


さてさて冒頭のイラスト・・・。一応雅和と綾乃の制服姿。Pコート着ています。まだ絵が下手なもので、ポーズはモデルみたいね・・・・。まあ広告見てデッサンしたもので^^;何も見なくても出来るようになりたいものです。ああ、綾乃の顔嫌そうな顔^^;本当はもっと身長差があります。雅和は180センチ、綾乃は165くらいのつもりだったんですけど・・・。