銀行株が上がらない理由
マニアックな読者の皆様、こんにちは…前記事にも述べた様に、3~4月は一段の下落が予想され、ゴールデンウイーク前には12000円近辺まで底値を試す最悪のパターンも念頭に入れておくべきでしょう。その理由には無論ウクライナ情勢悪化懸念や中国経済失速リスクと言った外部要因も挙げられますが、テクニカル的にも非常に厳しい状況がある事も憂慮すべき問題です。テクニカルと言ってもチャート上のテクニカル指標やモーメンタム指標ではなく、将来の売り圧力買い圧力を判断する上で欠かせない指標が信用倍率になり、僕も個別株を見る上では最も重要視する指標の一つです。詰まり、昨年と比べて殆どの優良株の信用倍率が上昇しているので、上げ相場でも循環物色を主体とするデイトレーダーは我慢する事無く利益が少しでも出れば躊躇なく売り決済をするので売り圧力が強くなり上値が抑えられる。信用倍率が5倍前後なら上昇相場であれば、決済売りが一巡するのに期間を要さないが10倍を超えると、厳しい状況になる。信用取引で買っているという事は、証拠金を担保に借金をして購入している訳だから、金利が安いとは言っても費用が嵩む。それ故に、信用取引は短期売買(デイトレード)の温床になる訳だ。※また、空売りは株式を借りて売るので基本的に貸し株料金が発生するが、場合によっては日歩で相殺、又は受け取り金利が多くなるケースもある。空売りに関しては説明するには複雑なので今回は割愛したい。上記を踏まえた上で、質問の中で最も多い銀行株が上がらない理由を考えてみよう。例)三井住友FG 直近10年チャート2006年には13900円を付けている…リーマンショック後に冴えない動きなのは致し方ないにしても、他業種がリーマンショック以前の株価に戻している中で余りにも出遅れている。また、PBRは0.8倍PERは7.55倍と超割安水準で、比較的PERが過小評価される銀行株と雖も単純に考えれば7000円前後が適正価格になる。 直近6カ月チャートまた、6か月チャートから直近では窓を開けて4400円を割り込んでいるので上値が軽いと判断し、デイトレーダーの多くも恐らくこの様な財務諸表やチャートテクニカルを参考にして買っているのは間違いない。その証拠に以下の信用倍率の推移を見れば一目瞭然である。過去の4本値過去10年間の株価信用残逆日歩・貸借残投資収益率資本イベント日付信用売残(解説)信用買残(解説)信用倍率(解説)2014/3/14387,80011,669,10030.092014/3/7453,20010,547,20023.272014/2/28395,50011,109,00028.092014/2/21666,5009,108,30013.672014/2/14496,0009,990,40020.142014/2/7557,0009,683,90017.392014/1/31687,0009,908,90014.422014/1/24792,3007,445,7009.402014/1/171,016,3005,278,6005.192014/1/101,054,9005,571,6005.282013/12/271,098,5005,537,1005.042013/12/201,246,0005,252,5004.222013/12/13998,0006,418,6006.432013/12/61,133,7006,909,3006.092013/11/291,431,7007,312,4005.112013/11/221,660,1006,214,3003.742013/11/151,971,1005,272,5002.672013/11/8858,5007,160,4008.342013/11/1932,6007,337,0007.872013/10/25944,5008,040,0008.512013/10/181,257,4006,295,0005.012013/10/111,093,6006,587,5006.022013/10/41,155,8006,312,3005.462013/9/271,312,4005,979,8004.56昨年末の御祝儀相場でさえ5倍前後であった信用倍率が現状では30倍を超えている。三井住友に限らず、三菱UFJ等は50倍を超えている…これでは、投機筋が買い上がっても銀行株は殆ど上昇しない。逆に、チャート上では売られ過ぎと思っていても、まだまだ底は深く相場下落時には一番最初に売り込まれるパターンに入っている。今月初旬にも少し触れたと思うが、銀行株を買ってはいけないと言ったのは単純な相場観ではなくこの様な絡繰りがあったからで、健全な財務諸表や業績云々とは全く別の問題である。銀行株は確かに配当金は相対的に高いので、配当を狙うと言う心理は分からないでもないが、結局法人税課税後の利益の中から配当を出すにも拘らず、20%もの課税…要は二重課税になるので、本来は配当金を少なくして利益を繰り越した方が株価に於いても企業業績に於いてもメリットが大きい訳だ。加えて、配当落ち株価が配当金以上に下落したのでは全く意味がない…これが所謂タコ足配当である。証券マンや銀行の窓口は「高配当銘柄なら間違いないですよ。」等と、決まり文句で銀行株や商社株を勧めるが、インカムゲインよりキャピタルロスが大きい高配当銘柄を買うのは間違った行動であるという事を推して知るべしである。兎に角、「割安に買い無し」と言われる様に株価が上がらないのには理由がある。 naniwa335