こんにちは。 永松昌泰です。
ご紹介している書評を続けます。
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もちろん、こんな精神科医ばかりではない。
神田橋條治を始めとする4人の専門医による
「座談会 うつ病治療-現場の工夫より-」(メディカルレビュー社、1890円)
は、もっぱらうつ病治療に携わる人々に向けた著作だが、
一般の読者にも有益な智慧や情報が詰め込まれている。
一例をあげると、
うつ病という「病気になったからその人は気づけたんだとか、休めたんだ」
という思考の転換が語られる。
それを「うつ病になるという身の処し方」や、「うつ病になる健康法」
といった、一見突飛な表現に結びつけて、
論者たちはうつ病を根本的にとらえなおそうと試みるのである。
患者から、
「病気の前の状態に戻るんでしょうか?」
と尋ねられたら、
神田橋はこう答えるそうだ。
「人間のする経験には無駄はないから、
あなたはそこから学んだものを身につけて元の世界に帰って行くんだね」と。
彼はまた、
「自分の歴史の中に生じたことを、
自分にとって何らかのプラスの意味があったというように
意味づけて作られる物語が、人を支えると思うんです。」
とも述べている。
このように、うつ病という”タコツボ”から、
広い海に連れ出されるような快感が、本書にはあるのだ。
紙幅が尽きかけているが、
別の視点からのうつ病論を、もう一冊。
植木理恵著「ウツになりたいという病」(集英社新書 714円)では、
パニック症候群を克服した若手の臨床心理士が、
最近おおはやりの
”ポジティブシンキング”と「新型ウツ」との
意外な相関性を分析している。
「やっぱり」と思いつつ、
”目からうろこ”の感も抱いた。
引用ここまで。
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神田橋先生は、初めてお会いしたのが4年前でしょうか。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%9E%E7%94%B0%E6%A9%8B%E6%A2%9D%E6%B2%BB
鹿児島の堂園メディカルハウスの堂園晴彦院長
http://www.dozono.co.jp/
からご紹介いただきました。
とても感銘を受けた素晴らしい先生でした。
神田橋先生、また堂園晴彦院長については、
長くなりますので、また書きます。
人間の常ではありますが、
どの世界にも、素晴らしい方々もいらっしゃれば、
素晴らしくない方々もいらっしゃる、
ということです。