職員室のあり方・雰囲気も、学校によって少しづつ違いがある。
まず思いつくのは、大職員室があってみんながそこにいるか、小さな職員室が何個かあるのかという違いである。
大職員室の方が、生徒にとっては先生に用があるときにどこに行ったらいいか考えなくてすむから楽だし、教員同士で連絡をとるのも楽だ。また、簡単な打ち合わせだったら会議室などに行かなくても職員会議で済むというのも利点である。
 ただし、高卒で就職する生徒が多い学校では、企業の人が大職員室に来ると気を使うしお互いに落ち着かないという面がある。
 その点にも配慮し、一応大職員室に全員の机があるが、進路部の部屋もあり、進路部の教員だけはそこにも机があって普段はそちらにいるという折衷的なやり方をしている学校もある。
それと、たいていの都立高校には体育科の部屋というのがある。体育の先生は概ねそちらにいて、大職員室に体育科の先生の机もあるのだがあまり寄りつかないという学校も多い。

課程別に見ると、当然のことながら定時制は教員の人数も少ないから、職員室が一個のところが多い(ただし全員が1つの部屋にいるものの、そんなに大きい部屋ではないので大職員室とは言いがたい。中職員室と呼ぶべきだろうか)。
全日制だと、大職員室はあるところとないところがあるし、あるところでも学校によって体育の先生とか進路の先生などが別の部屋にいることが多いかどうかという違いがある。

それと、体育科の部屋が人気があると言うか生徒(主に部活をやっている運動が得意な生徒)・教員がたまりやすいという学校だと、体育の先生が大職員室にいないことが多い。
 そこがちょっと気になるというか引っかかるという先生がいる場合もある。
 別に良からぬことを考えているのではないかと疑っているわけではないのだが、体育の先生というのは団結してなにかを提案してくることがあり、それが嫌なのだろうか。
なお、教員同士の飲み会でこういう話をすると笑いが起こるのだが、どうしてそこで笑いが出てくるのか一般の人に説明するのはかなり困難かもしれない。

同じ大職員室でも机の並べ方は学校によって違う。
大きくわけると分掌・学年ごとにしまを作るか、教科ごとにしまをつくるかという違いである。
 だいたい、教育困難校では分掌・学年ごとのところが多く、中堅校や進学校は教科ごとのところが多い。
それと、小さな職員室がいっぱいあるところでは、やはり分掌・学年ごとに部屋がわかれている学校と、教科ごとに部屋が別れている学校がある。全日制で担任を持っている先生は分掌を持たないというシステムの学校では、折衷的なやりかたとして分掌ごとに部屋が別れているが、担任の先生だけ教科ごとにわかれているという学校もある。
 どういうふうにするのがいいか一長一短あるが、管理職は大職員室の方がよく目が届いてよいと思っている人が多いようだし、自分の教科を大事にする人はなるべく個室に近い小さな部屋にいた方が落ち着いて物を考えられていいと思っている人が多い。
最後に、これは高校ではないのだが、高専(一言で言うと工業高校と大学の工学部の1・2年を合わせたような学校)では大学のように教員一人につきひと部屋ずつ研究室がある。高校の先生から見るとこれでよくちゃんと連絡がとれると不思議だ。事実生徒指導が手薄になる傾向があるようだが、しかし、それはそれでなんとかやっているようである。

それと、職員室については大職員室かどうかという物理的なことも大事だが、「生徒にとってどういう部屋なのか」という「職員室の雰囲気」も重要だ。
学校によって、「生徒が気軽に入って来られる場所か、それともキチンと挨拶して用事のある先生と必要な話をしキチンと挨拶をして出ていくような場所なのか」といった違いがある。
一般的に言うと、定時制など中学時代不登校だったような生徒が多い学校では気軽に入ってくることができる場所になっていて、中には職員室のテレビを生徒と教員が一緒に見たり、職員室のソファのところに新聞が置いてあってそれを見ながら生徒と先生が雑談したりするような学校もある。
中堅校以上の高校では見慣れない光景だが、そういうことが必要な生徒もいるというのが教員の間で暗黙の了解事項となっているようで、文句を言う先生はあまりいない。
 逆に中堅校・進学校だと職員室というのはキチンと挨拶をして入り、出るときも「失礼します」と一言言うような場所であることが多い。
職員室の雰囲気は、生徒の様子や教員の考え方・感覚によってなんとなくできていく部分が大きいし、大職員室があるかどうかというところは学校の建物のつくりによってあらかじめ決まっている。
 管理職が決めたり職員会議で決議されたりして決まることは少ないが、これも学校を考えていく上でなかなか重要な要素である。