朝日社説・2012年4月25日(水)付
 夏の節電―急げ、急げ、もっと急げ
 この夏は日本全体で節電に努める必要がある。時間はない。特に電力不足が心配される関西では、国と自治体が連携して直ちに作業にとりかかるべきだ。

 学者ら第三者による需給検証委員会が23日に開いた初会合には、電力各社からこの夏の需給見通しが示された。

 節電効果などを盛り込んだ結果、ピーク時の電力不足の幅は昨年11月時点の予想より大幅に縮小した。ただ、関西、九州、北海道の3電力は供給不足となる。なかでも関電の不足率は2ケタ台に及ぶ。

 一方で、関電・大飯原発の再稼働をめぐる国と周辺自治体との溝は一段と深まっている。

 きのうは橋下徹大阪市長と松井一郎大阪府知事が、藤村官房長官に再稼働手続きの見直しを求めたが、平行線に終わった。京都府、滋賀県とのやりとりをみても、再稼働への理解が得られるめどは立っていない。

 ただ、かりに大飯原発が動いても電力は8%以上、不足するという。再稼働と関係なく、徹底した節電対策が不可欠だ。

 電気が足りないといっても、1日じゅう困るわけではない。カギはピーク時の対策である。

 気象予報や企業活動の実績をもとにすれば、電力需要は前日にかなりの確度で予測できる。想定されるピーク時の情報を共有し、その時間帯に合わせて節電できる仕組みをつくれば、生活や経済活動に与える影響も小さくできる。

 関電は翌日の需給予想を3段階で発表するほか、当日に電気が不足しそうな場合、自治体を通じて一斉メールで節電を呼びかけるシステムがある。これをきめ細かく運用し、参加者を増やす必要がある。

 「ネガワット(節電)市場」も早く整備したい。

 電力会社が、事前に節電が必要な時間帯と量、基準価格などを情報公開する。使用量を減らせる企業などが、節電分と希望する売却価格を入札する。そんな仕組みだ。

 利用者は、電気代の節約だけでなく節電分を売った利益も手にできる。電力会社も供給の選択肢が広がり、中長期的にはよけいな設備投資をせずにすむ。

 大阪府・市も、こうした需要対策に前向きだ。ここは政府も自治体も歩み寄り、需要抑制へ知恵を絞るべきだ。

 そもそも節電策の必要性は、昨夏から指摘されていた。急な計画停電や電力制限令で苦労した企業には「この1年、政府は何をやっていたんだ」との不満が募る。このまま、「昨夏と同じ」では許されない。

 <コメント>
 わりあい常識的で当たり前の内容である。
 「ここは政府も自治体も歩み寄り、需要抑制へ知恵を絞るべきだ」というのが結論。
 具体案は、「自治体を通じて一斉メールで呼びかけるシステム」のことが書いてある。だが、これがどの程度役に立ちそうなのかは書いていない。
 また、「メガワット市場」というものについても簡単に触れているが、本当にそんなものができるのか今一つよくわからない。
 変なことは書いてないが、毒にも薬にもならない内容だと思った。