欧州格付け会社であるフィッチ (Fitch) 社は 9 19日、メキシコ合衆国の格付け引き上げを

発表した。  同社が新たに付与したメキシコの格付けは、

長期    て  債務  BBB +  ←  既存 BBB

長期 自国通貨建て債務   A -    ←  既存 BBB +

フィッチ社によると同国格付け引き上げの理由として、先週議会で可決となった税制改革

法案が今後メキシコの財政収支に改善をもたらすためとしている。

この税制改革法案は、2008年から最低法人税を 16.5 % に設定。 さらにこれを 2010

までに 17.5 % へと引き上げることを筆頭に、ガソリン税の引き上げ、20 % の賭博税の設定、

25,000ペソを上回る預金に対する利子に 2.0 % の配当税などを設ける反面、現在歳入の

50 % を占めている国営石油会社であるペメックス (Pemex) 社からの利益吸い上げを

減額することを格子としている。 ペメックス社は利益の半分以上を国庫に収めている

こともあり、この法案可決で来年 300億ペソの資金を新たな油田開発や設備投資への

使用が可能となる。

またこの税制改革により税収が増加。 現在対 GDP 比で約 10.0 % 前後の歳入が、

同国対 GDP 比で + 2.5 % 相当の追加歳入となる見通しだ。

さらにフィッチ社は、今年 3月に施行された公務員年金改革法案に続き、今回の税制改革

法案は財政収支の改善を示すことだけではなく、両法案がスムーズに議会を通過したことで

メキシコの政局安定を示すものだとし、カルデロン政権信認の証明と、同国が如何に財政

赤字削減問題に真剣に取り込んでいるかを実証していると述べている。

また石油収入に依存していた同国財政は、構造改革による経済成長の促進。 さらに

ペメックス社への納税軽減が新たな投資資金を呼び込むことになり、新油田開発が可能に

なることで、付随産業の成長も見込まれる。 中期的観点からすると非石油歳入増の増加で

インフラ整備が増加することになり、メキシコ全体の経済成長が徐々に拡大すると見られている。

昨日のメキシコ金融市場、おとといの米国 50 bp の利下げに続くフィッチ社の格付け引き上げの

両好材料を素直に好感。 メキシコ株式市場はやや軟調であったものの債券市場は一段高。

2年国債は 2.1 bp利回りを落とし 7.53 % と、この 2日間で 9.0 bp の利回り低下。 10年国債も

6.0 bp 買い込まれ、7.72 % と、こちらもこの 2日間で 10.0 bp その利回りを押し下げるという、

活況の中一日を終えている。


またペソも対ドルで堅調。 米国利下げに伴い新興市場全体の通貨が大きく反発したことに

肩を並べ、今週月曜日対ドルで 11.140 で始まったものの、昨日引けは 10.990 と、1.35 %

強含んで推移中。

ペソは対円でも回復を示しており、週初の10.33円から、現在は 10.55円と反発している。


 昨日メキシコでは 8月上旬 ( 8/01 8/15 ) C.P.I. が発表になった。

 8月上旬 C. P. I. + 0.20 % (MM) / + 4.10 % ( YY) (7月上旬 + 0.25 % / + 4.08 % )

8月上旬のメキシコ CPI は前月比 + 0.20 % 7月同期の + 0.25 % を下回った。 

8月は電力料金の引き上げ、および学生の新学期を向かえ、教育関連商品の購買が旺盛と

なったものの、食料品の下落がそれを相殺。  

これは 7月天候不順の影響で生鮮食料品である野菜やトマト、および果物の価格が

急騰したが、8月に入り徐々に落ち着きを取り戻したことで 8月のCPI低下に寄与した。

なお食品価格全体の前月比ベースの数値は、7月上旬の + 0.52 % から、8 + 0.26 %

へと半減となっている。 その他衣料、サービスなど、同国 CPI を構成する大半の項目は

横ばいないし下落を見せており、唯一ハウジングが + 0.15 % から、+ 0.20 % へ上昇

しているのが目立っている。

ただ前年同月比ベースで見ると、 8月上旬のメキシコ C.P.I. + 4.0 % と、7月の

+ 4.08 % から若干上昇。 メキシコ中銀のインフレ・ターゲットの上限である + 4.0 %

なお超えていることもあり、市場関係者のあいだでは金利引き上げを見込む声もあるが、

その大半は据え置きを予測しており、本日のメキシコ中銀 政策決定会合で、政策変更が

なされることはないものと思われる。

メキシコ中銀の最新の見通しでは、今年の同国 C.P.I.  今年第 4四半期に

+ 3.25 % + 3.75 % へと下落し、2008年末には + 3.0 % へと到達。 メキシコ中銀の

インフレ・ターゲットのミッド・レンジ数値と同じ水準まで下落すると見ており、シーズンに入った

ハリケーン襲来による野菜などの作付け不作が見られないようであれば、メキシコのインフレは

低下すると見られている。


                                     - to be continued -




上から  ↓


一方議会ではもう一段の構造改革が与党内で着々と進行中。今回の改革法案は税収増を

狙ったもので、現在の同国総税収額は対 D.D.P 比で約 + 10.0 % であるが、これをあと

+ 2.6 % + 2.8 % 程度の増額を目標としている。  具体的策はまだ発表されていない

ものの、ひとつの方法として法人税減税により資本・設備投資を促進、景気浮揚に伴う

税収増も狙っているようだ。

来年度予算作成のため、構造改革法案は 9 8日までに草案完成をしなければならず、

まもなくその全概要が判明すると思われる。可決になれば、同国格付け引き上げにも影響を

与えるとの期待も多い。

今週のメキシコ金融市場、米国サブ・プライム問題の余波を受け急落したものの、米国

利下げ後から急回復を見せており、落ち着いた推移が続いている。

米 ド ル/対 円 :  116.05円 + 0.20   02年国債:  7.57 % + 1.0 bp

M ペ ソ/対 円:   10.48円 - 0.02    10年国債:  7.64 % - 0.3 bp

  ル/  : MXN 11.069 - 0.031   原油価格:   $ 69.83 + 0.57ドル

  ロ/  : MXN 15.007 - 0.056    金価格:  $668.40 - 0.30ドル







メキシコ金融市場にとって、昨日は苦難の一日であった。 まず BNPパリバがサブ・プライム

問題による混乱で正確な基準価格が計算できなくなり、 ABS関連のファンド 3本の凍結を

発表。 このあおりを受け米国連銀・欧州中銀・カナダ中銀が短期資金の供給を始めたことで

逆に信用不安が高まり、エマージング各国金融市場が軒並み下落。 特に先進主要国を含め

為替・株式市場の落しがきつく、 NYダウは13,270.68ドル -387.18 と前日比 2.83 %

大幅下落。 メキシコ・ボルサ指数も 29,883.96 -777.91 前日比 2.54 % の下落となった。 

ただ欧州市場の混乱のほうが大きかったため、メキシコ・ペソは対ドルで売り込まれたものの、

対ユーロでは前日比上昇するという変則的な動きを見せている。 またこれまで弱含み推移が

続いていた円はこれらサブ・プライム問題の影響がほとんど出ていないこともあり、結果円は

大幅独歩高を演じ、対ドルで前日比 1 75銭高、対ユーロに至っては 4 15銭もの

円高となっている。

昨日メキシコでは 7 消費者物価 ( CPI ) が発表になったが、

7月 C. P. I. + 0.42 % (MM) / + 4.14 % (YY) ( 6 + 0.12 % / + 3.98 % )

7月 C. P. I. (コア) + 0.34 % (MM) / + 3.77 % (YY) ( 6 + 0.30 % / + 3.70 % )

 

年率 + 4.14 % と、市場予測であった + 4.08 % を上回り、今年 3月の + 4.21 % に次ぐ

水準にまで上昇している。 CPI 構成品目を前月比ベースで見てみると、CPI構成ウェイトの

22.7 % を占める食品価格が 6月の – 0.25 % から + 0.99 % へと大きく上昇している

のが目立っており、その他項目の伸びは穏やかなものとなっている。

7月メキシコでは穀物価格の上昇から、それを付随利用する食肉、卵、ミルクなどの価格が

上昇しており、トマトなどの生鮮食料品価格も同じく上昇したことが 7月の CPI に響いている。

なお今年年初、トウモロコシ価格の急騰からメキシコの主食であるトルティーヤの価格も

上昇。カルデロン政権は更なる価格上昇を避けるために今年 1月からトルティーヤ価格の

統制を行ってきたが、8 15日に期限を迎える。 これはトルティーヤの小売販売価格を

1キログラム当たり 8.5 ペソを上限とする臨時法案で、政府は逆鞘となる中小のトルティーヤ

製造企業約 100社に対し 3億ペソ ( 21億円 ) を補助金として支出。 ただ穀物価格

全体が高止まりしていることもあり、昨日メキシコ経済省は、この価格統制の延長を計画

していると公表している。

いずれにせよメキシコ中銀インフレ・ターゲット上限である + 4.0 % を再び越えてしまった

メキシコのインフレ。 トルティーャ価格統制の延長が決まれば年末にかけて 4.0 %

割り込むとメキシコ中銀は予測しているようだ。

昨日のメキシコ債券市場、米国サブ・プライム問題再燃と 7 CPI の予想以上の上昇が

悪材料となり、メキシコ国債は長・短期金利とも前日比 5.0 bp 上昇して引けている。

またペソも終日軟調。 東京時間対ドルで 10.940 で推移していたものの、午後

BNPパリバのファンド凍結のニュースが流れたあたりから値を落とし始め、結局メキシコ時間

引けは 11.02 と安値でクローズしている。

米 ド ル/対 円:  117.90円 - 1.75    02年国債:  7.62 % + 5.0 bp

M ペ ソ/対 円:   10.70円 - 0.25    10年国債:  7.80 % + 5.0 bp

  ル/  : MXN 11.012 - 0.085    原油価格:   $ 71.59 - 0.56ドル

  ロ/  : MXN 15.081 + 0.044    金価格:  $652.70 13.50ドル



31日、メキシコ中銀は同国四半期経済・金融報告書を公表。 それによると、今年第 3四半期

インフレは上昇すると思われるものの、年末にかけて下落。 中銀インフレ・ターゲット上限である

+ 4.0 % を下回る可能性が強いと述べている。

メキシコ中銀の見通しによると今年 7月上旬 + 4.08 % となった同国インフレは、第 3四半期

+ 3.75 % + 4.25 % のレンジでやや高止まり推移。 しかしながら今年第 4四半期は

3.25 % 3.75 % のレンジへと低下し、2008 年末には中銀が目標としているミッド・レンジの

+ 3.0 % に到達すると予測。

その理由として、現在メキシコ中銀の金融政策は引き締めスタンスを採っており、現在の環境が

大きく変わらなければ、来年末にかけて同国インフレは + 3.0 % の目標にまでに押し下げられる

としている。 また食品とエネルギー価格を除くコア・CPIはすでに低下局面に入っており、今年末は

+ 3.5 % と試算。

ただカルデロン政権の構造改革実施に伴い、今後ガソリン、タバコなどが増税され、販売価格が

上昇する。 これが同国 CPI の上昇圧力となるため警戒感は崩さないとし、今後も慎重な

金融政策運営を採り続けるようだ。

7月上旬の CPI は年率 + 4.08 % ( 6 +3.98 %5 + 3.95 % ) と、インフレ・ターゲットを

上回る数値となった。 メキシコ中銀によるとこれは諸物価全体が上昇しているのではなく、

主に食品価格が上昇。 特に穀物価格および、天候不順による生鮮食料品価格が上昇

( トルティーャ、ミルク、特にトマトの価格が大幅上昇) したことが影響し、全体の数値が

一時的に跳ね上がったという。 すでにコア・インフレは低下トレンドに入ってきていることから、

これら食品価格が落ち着いてくる今年下半期にかけて、同国 CPI は順次低下すると見ている。

また同国 GDP に関し、今年第 1四半期 + 2.6 % と低調な数値となったが、第 2四半期は

+ 3.0 % へと上昇。 今年下半期は景気回復が予測され、今年全体で + 3.0 % + 3.5 %

経済成長達成が可能と見ている。

メキシコ政府の見通しでは、今年第 2四半期の同国経済成長は + 2.8 % 。今年全体で

+ 3.3 % と試算しており、中銀予測が政府予測を上回るという珍しい現象だ。 メキシコ政府が

慎重な予測をとっている主な理由として、同国の主な輸出先である米国経済の鈍化がメキシコ

経済に影響を及ぼすと見ているとしている。

因みに2006年全体のメキシコの経済成長率は + 4.8 % であった。

米 ド ル/対 円:  118.90円 + 0.90    02年国債:  7.57 % + 2.0 bp

M ペ ソ/対 円:   10.86円 + 0.09    10年国債:  7.74 % + 4.0 bp

  ル/  : MXN 10.947 + 0.046   原油価格:   $ 76.53  1.68ドル

  ロ/  : MXN 14.959 + 0.069    金価格:  $675.90 - 3.40ドル



23日のメキシコ金融市場、5月の Retail Sales の発表がなされたが、

  5月 小売販売 + 0.18 % (MM) / + 1.9 % (YY) ( 4 + 0.7 % / + 0.7 % )

5月小売販売は年率で + 1.9 % と市場予測を上回ったものの、今年に入ってから + 2.0 %

下回った月が 5ヶ月中 3回もあり、依然低調な水準が続いている。 これは米国を主体とする

景気鈍化で輸出が伸びず、企業活動も停滞気味。 結果個人消費を落ち込ませる要因として

働いており、今年メキシコ政府が見込んでいる + 3.3 % の経済成長達成に黄信号が

灯り始めたようだ。

ただメキシコペソは堅調推移。 金曜日対ドルで 10.793 で引けているが、昨日の引けは

10.7675 と一転買いが先行。 これは今週末開催されるメキシコ中銀 政策決定会合で、

政策金利は 7.25 % に据え置かれると見る向きが支配的である。

メキシコでは景気の頭打ちが出始めている反面、6月の CPI が年率で + 3.98 % と、中銀の

インフレ・ターゲット上限である + 4.0 % ぎりぎりに停滞。 7月も原油価格の上昇と穀物価格

上昇に伴うミルクや鶏肉価格の引き上げに歯止めがかからず、メキシコの CPI は当面高止まりと

する予測が多く、金融当局はインフレ動向にかなりの注意を払っている。 さらに 7月に入り

トマトの値段が 30 % 近く上昇しているのも懸念材料の一つとなりつつある。

さらにこれからハリケーン・シーズンを迎え、メキシコでは毎年数個の大型台風が上陸。 昨年も

農産物の被害が大きく、野菜などの生鮮食品価格が急騰し同国 CPI + 4.0 % 以上に

引き上げた経緯もあったことから、今後季節的要因も影響してくる可能性が高い。

ただロイター社が興味ある調査結果を発表している。 著名金融機関 25社に、「将来メキシコ

中銀の次の一手は金融緩和か引き締めか ?  という聞き取り調査をしたところ、25社のうち

12社が 「金融緩和  を予測し、8社が  金融引き締め 」。 残り 2社が  直ちに 25 bp

金融引き締め 」と予測しており、こと市場において、将来のメキシコ中銀による金融政策は

利下げと見る向きが依然高いようだ。

昨日は金利据え置き予測がペソ買いへと結びついたが、平行してメキシコ債券市場では

短期債が売られる要因にも働いており、2年国債利回りは 3.0 bp 上昇し 7.53 % 。 

反面 10年債利回りは 7.64 %と、前週末比変わらずで引けている。

米 ド ル/対 円:  121.05円 - 0.35    02年国債:  7.53 % + 3.0 bp

M ペ ソ/対 円:   11.24円 - 0.03    10年国債:  7.64 % - 0.1 bp

  ル/  : MXN 10.765 + 0.007   原油価格:   $ 74.89 - 0.90ドル

  ロ/  : MXN 14.861 + 0.044    金価格:  $681.50  3.20ドル



7 2日、米国格付け会社である S&P社は、メキシコの長期外貨建て債務格付けを

BBB  に据え置きながらも、その見通しを「 Stable 安定的  から  Positive 良好」へ

引き上げた 2つの理由をレポートにて公表している。 同報告書によるとメキシコは、

1) 構造改革によって変更された国家公務員年金改革法案が、今後メキシコの財政収支を

改善させ、政府の税制基盤をより強固なものへと導く。

カルデロン政権による政策運営が財政改革の早期議会可決をもたらし、結果反対派

勢力の力を削ぎ落とすことで政局が暗礁に乗り上げることを避けている。 さらに

柔軟性のある政策態度を示すことで、一時的な原油価格下落による歳入減の衝撃を

吸収している。 非原油価格以外の税収増はメキシコの財政基盤の強化を徐々に示す

ことになり、結果メキシコの格付け引き上げへと繋がっていくであろう。

2) 政治面以外では、メキシコの格付け引き上げに少し木になる点がある。 それは経済成長が

低いことかもしれない。 メキシコの GDP は約 3.0 % 4.0 % の成長がトレンドとなって

いるが、この成長率は充分持続可能な数値であり、かつ徐々に同国債務の減少をもたらす

ことになろう。

米国経済市場へのより積極的な参入と、同国産業のインフラ整備を進めるのであれば、

メキシコの経済成長はより加速するであろう。

とし、今後に課題が残るものの概ねカルデロン政権の構造改革による財政赤字削減と

税収増を評価。 また経済社会の構造改革がもう一段進めば、メキシコの格付け

引き上げは可能との評価を下している。

週明けのメキシコ金融市場は、月曜日およびニュースに乏しいことで終日閑散。 金曜日

発表になった 5月鉱工業生産が 前月比変わらずとなり、 4月の + 1.1 % から大きく

下落。 この影響でペソがやや軟調推移。 月曜日もその基調を引き継ぎ、ペソは対ドルで

金曜日の10.760 から 10.780 へと小幅下落して引けている。

  債券市場も同意付くことなく、ほとんど横ばい、気持ち軟調地合いでクローズ。

米 ド ル/対 円:  121.90円 - 0.05    02年国債:  7.53 % + 0.5 bp

M ペ ソ/対 円:   11.30円 - 0.03    10年国債:  7.69 % + 1.0 bp

  ル/  : MXN 10.782 - 0.021   原油価格:   $ 74.15 + 0.22ドル

  ロ/  : MXN 14.850 - 0.019    金価格:  $666.30 - 1.40ドル



ヤマカン副総裁が任期満了で退任となったあと、4ヶ月間空席であったメキシコ中央銀行

副総裁ポストの後任として ロベルト・デル・クエト氏 ( Mr. Roberto del Cueto ) 

新副総裁として就任することが昨日のメキシコ議会・金融委員会で 賛成 28、反対 7 の

多数決によって承認された。

これでメキシコ中央銀行法に基づく 1名の総裁、4名の副総裁、合計 5名の政策決定委員が

そろったことになり、今後同国の金融政策の舵取りを担うことになる。 各メンバーは下記のとおり。

総  : Guillermo Ortiz Martinez

副総裁:  Everardo Elizondo Almaguer

副総裁:  Guillermo Guemez Garcia

副総裁:  Julian Sidaoui

副総裁:  Roberto del Cueto

デル・クエト新副総裁は現在 56歳。 1973年から 1994年までメキシコ中銀で主に銀行・

証券委員会部門に在籍。 その後 1994年から 1998 4年間、シティ・グループの

一つである Grupo Financieo Banamex社やメキシコシティ大学で法務の教鞭をとったあと、

現在のメキシコ証券・銀行委員会にて銀行規則・監視委員委員長を担っていた。

デル・クエト副総裁の任期は7年半。 2014 12月までその責務に就く。

メキシコ金融市場の関係者の間では、デル・クエト新副総裁は過去主に法務関係の仕事が

中心であったこともあり その技量は未知数、かつタカ派であるのかハト派に属するのかは

今後の手腕を精査してみないと判断できないとする意見が多い。

ただこのところ同中銀が公表する金融・経済報告書などにおいて、経済の先行き見通しや

表現方法に違和感を覚える言い回しが時としてあり、さらに 4 27日、突然 25 bp の金利

引き上げが同報告書の内容と一致していなかったことも含め、メキシコ中銀の正確性を

デル・クエト新総裁に期待する向きもある。

同氏のコメントが聞けるのは、夏休みに入った頃になりそうだ。

昨日のメキシコ為替・債券市場、米国が独立記念日で祝日だったこともあり、終日閑散。 

唯一 6月の消費者信頼感指数が発表になったが、



   6月 消費者信頼感指数  105.2  ▲ 2.1  ( 5 107.3 )

前月比低下が響きペソが軟調推移。 これに会わせてメキシコ国債利回りも小幅上昇して

引けている。

米 ド ル/対 円:  122.65円 + 0.15   02年国債:  7.50 % + 1.5 bp

M ペ ソ/対 円:   11.40円 + 0.04   10年国債:  7.64 % + 1.9 bp

  ル/  : MXN 10.757 - 0.019   原油価格:  米国祝日で休場

  ロ/  : MXN 14.648 + 0.016    金価格:  米国祝日で休場



702日、米国格付け会社の一つである S&P社はメキシコの

外貨建て    長期対外債務格付け   BBB 」、

外貨建て    短期対外債務格付け   A-3 」、

国内自国通貨建て 長期債務格付け   A

国内自国通貨建て 短期債務格付け   A-1

に据え置くとしながらも、その見通しを  Stable 安定  から「 Positive 良好  へと

引き上げた。

その引き上げ理由として、カルデロン政権が 6 20日に公表した税制改革法案が正式

可決となった場合構造改革が一層進み、同国財政収支が改善。 対外債務の縮小に繋がると

述べている。

S&P社の試算によると、同国の債務圧縮が計画通り進むのであれば、2004年経常収支内の

77 % を占めていた対外債務は、今年 50 % にまで減少すると見ている。 また対外純債務も

42 % から 15 % へと減少すると見ている。

さらに原油高からもたらされる販売収入増と好調な製品輸出増から、外貨準備に占める対外

債務の借り換えニーズは、2004年の 91 % 強から 2007年には 64 % にまで減少すると

試算されている。

一方メキシコに対する信用力が増していることで、長期債や超長期債の発行が可能になり、

国内債券市場 (債務年限) の平均残存年数は、 2006年の 2.6年から、今年は 4.0年に

伸びるとしている。

S&P社によるメキシコの見通しによると、今後税制改革法案が暗礁に乗り上げるかどうかは

カルデロン政権の議会における手腕と同国経済改革の行動次第としている。 

同時にメキシコは 2004年に原油産出がピークを打ち、徐々に減少傾向に入っている。

よって原油価格が乱高下した場合 同国歳入に大きな影響を与えるため、財政収支に占める

原油売り上げのウェイトを引き下げ、一般経済活動からの税収で補う構造改革を評価。

将来同国の財政基盤をより確固たるものにするとし、結果対外債務の見通し改善に繋がる

と述べている。

ただ仮に今回の構造改革に失敗し、かつ原油価格の下落に見舞われた場合、カルデロン

政権の信頼は崩れ、高水準の財政支出が続く中 原油売り上げ収入減から来る財政悪化は

避けられないこととなる。 よってメキシコの三藤氏引き下げも考慮しなければならないとし、

今後の税制改革法案可決を見守りたいと結んでいる。

                                    - to be continued -




上から ↓


なお S&P社は今回のメキシコの見通し引き上げと同時に、同国国営石油会社である

ペメックス社 ( Pemex ) およびその関連会社であるPemex Funding Master Trust 社の

見通しを、「 Stable  から  Positive  へ引き上げている。 

上記 2社の「 BBB  の現行格付けは据え置き。

週明けのメキシコ金融市場、ドル大幅安にペソは買い進まれ、対ドルで 10.800 から 10.750

高値引けとなったが、同時に円高が顕著になったことで対円では小幅安の 11.37円。

また債券市場は米国金利低下とS&Pの同国見通し引き上げが手伝い、10年債は約 1ヶ月

ぶりの 7.64 % 、前週末比  6.0 bp 金利低下で 軽やかに引けを向かえている。

米 ド ル/対 円:  122.30円 - 0.75    02年国債:  7.49 % - 1.4 bp

M ペ ソ/対 円:   11.37円 - 0.04    10年国債:  7.64 % - 5.9 bp

  ル/  : MXN 10.753 + 0.042   原油価格:   $ 71.09 + 0.41ドル

  ロ/  : MXN 14.645 - 0.032    金価格:  $659.20 + 8.30ドル