俳茶居

俳茶居

       義仲寺や秋立つ空に塚二つ (呑亀〉



早春の茶席 (2022年2月撮影)



昴の茶事設え(2019年12月7日撮影)
          

暑の茶事設え(2018年6月2日)



東風の茶事設え(2019年3月1日)


雛の茶事設え (2018年3月3日)



2017年秋の設え



竹の子に囲まれた野点茶会2015年4月



阿部克彦氏の「第9回 秘蔵の普洱茶を愉しむ会」開催御礼

 

 2024年8月24日(土)、「第9回 秘蔵のプーアル茶を愉しむ会」が人形町『ティーハウス茶韻館』で開催され、ご常連のお客様始め今回が初めての方も含めほぼ満席となった。おいで頂いたお客様に、心より感謝の気持ちを伝えることとする。小生今回もスタッフとして参加、雰囲気の違う二つの茶席をお客様と共に愉しむことが叶った。茶葉の提供・呈茶を担当された阿部克彦氏の見事な技量に、今回も敬服させられた。阿部さんの呈茶について何度も触れているが、それは「自在の茶」なのである。例えば私が茶席でお客様に呈茶をする時、お客様は4~5人位、呈茶は3~4回がせいぜいである。ところが阿部氏は、10人のお客様に一つのお茶を10煎近く繰り返し淹れ、それを4つのお茶で繰り返し淹れるのである。40回に及ぼうとする呈茶に乱れはない。私にはとても真似することはできない。あっと言う間の2時間、その後も余韻の残るのが良き茶席かもしれない。一期一会で出会った方々が楽しく語らう姿は、スタッフ冥利である。阿部様、席主松田様、スタッフK様お疲れさまでした。

 

 

  茶 譜

①   2011年 大益 熟茶8592 餅茶   西双版納 勐海県 勐海茶廠

 

②   1999年 今雨軒千年古茶樹 餅茶     昆明市 今雨軒

 

③   2016年 六亀原生茶樹 紅茶       台湾高雄市六亀

  (スペシャルティー)

 

④    90年代下関 班禅緊茶        大理市下関茶廠と推察

               

 茶菓子:干菓子類 手作りパウンドケーキ 

 

六亀原生茶樹 紅茶

 

90年代班禅緊茶 柄の部分は飲んでしまった

 

*班禅緊茶について(パンチェン・ラマ10世の生涯のことなど) 

 雲南省大理の下関茶廠で作られていた班禅緊茶は、キノコ型(心臓の型とも)をした緊茶で主にチベット向けに作られていた。1967年国策により製造が中止となり、代わりにレンガ状の長方形磚茶となった。文化大革命の時期と重なり大量生産、輸送の利便さが優先されたのではと推測される。チベットの人達は長く親しんでいた形(実際黴が生えにくい利点もあったとのこと)のお茶が飲めなくなる時代が始まった。

 「班禅」とは「班禅喇嘛(パンチェン・ラマ)」というチベット仏教2番目の位の高僧名(1番はダライ・ラマ)のことである。チベット現代史を紐解くと当時闇に隠されていた話が次々と明るみに出てくる。興味のある方は是非お調べ頂ければ幸いである。

 1951年の中国人民解放軍によるチベット制圧、1959年ラサ市民蜂起の後、ダライ・ラマ14世はインドに亡命する。パンチェン・ラマ10世はチベットに留まった。共産党政府は彼を傀儡として要職を与え政治的に利用したのである。

 1986年10月 全国人大常委会副委員長として第十世班禅喇嘛(パンチェン・ラマ10世)がチベットから下関茶廠を訪問した時、1967年以降作られていなかったキノコ型緊圧茶復刻版を大量に注文し、お茶は「班禅緊茶」と呼ばれその年の12月生産されたとある。このことを始めパンチェン・ラマ10世の言動は、共産党政府の意に反するようになっていく。

 1989年、パンチェン・ラマ10世は演説で、北京政府の用意した原稿を無視し、チベットの過去30年の実状を、チベット人民の立場で訴える自説を述べた。このことは政府の逆鱗に触れた。発言の5日後、彼は不審死の姿で発見されたのである。享年50歳であった。

  「TON・KLAMI(トン・クラミ)」ライブに心舞う。

トン・クラミ

   2024年7月6・8日、フリージャズ・ユニット「TON・KLAMI」が再結集ライブを開催した。彼らを始め日本のフリージャズをオーガナイズした副島輝人氏没10年に当たる今年、故人の弟副島恒次氏企画・プロデュースによりライブは実現した。

   メンバーの姜泰煥(カン・テファンas)、佐藤允彦(p)、高田みどり(pc)は、ユニットの中心的活動期間の90年代から久々の結集となった。場所は埼玉県越生「山猫軒」(2024年7月6日)、そして東京渋谷の「公園通りクラシックス」(2024年7月8日)の二か所、私は渋谷にて久々フリージャズの濃厚なセッションを堪能した。企画した副島恒次(カポネ)氏と久々の対面、と言うか古いフリージャズファンが会場に溢れたといった方が良い情景であった。

   演奏終了後、佐藤允彦氏とも言葉を交わすことが出来た。2018年「公園通りクラシックス」で沖至(tp)・佐藤允彦のライブがあり、それがパリで亡くなった沖至の日本での最後のライブであった事を話した。佐藤氏も記憶に留めており、2018年50年ぶりに邂逅した(ジャズライブコンサート「邂逅」 ―― 沖至・佐藤允彦それぞれの軌跡 | 俳茶居 (ameblo.jp))二人の思い出を語ってくれた。

司会も務めた副島恒次氏

 

 何もかもが記憶の中で急がされ通り過ぎていく。青春という時代に手に入れその後長く連れ添った大切な音楽たち。その夜の「公園通りクラシックス」には、演奏者と聴衆全員の膨大な音の記憶が会場いっぱいに、自由に舞う姿があった。 

                 2024年7月22日  俳茶居

 

斬新なアイデアの表演茶藝の席

 

 2024年6月29日(土)、所属する日本中国茶普及協会認定インストラクター会主催による「天空茶会第二十二葉」が、中央区京橋の明治屋7階「明治屋ホール」にて無事開催された。おいで頂いたお客様に心より感謝の気持ちを伝えることとする。また明治屋ホールのスタッフの皆様に大感謝である。日本中国茶普及協会理事の皆様のご鞭撻に謝意を伝えたい。そしてそれぞれの役割を見事に果たしたスタッフ各位と天空茶会の無事の開催を喜びたい。

 天空茶会の茶席は、二人の淹れ手が順番にそれぞれのお茶を淹れるスタイル。それは最初の時から変わっていない。ベテランと組んだ新人の淹れ手デビューの試金石でもあるからだ。勿論中堅とベテランたまにベテラン同士のペアもある。今回も淹れ手デビューされた方が何名かいた。何度も見てきた光景だが、始まるまでの緊張感と無事務め上げた達成感が茶会の前後の表情に表れる。そんな新人達の光り輝く笑顔は誠によき眺めである。淹れ手デビューした人たちは最早新人ではない。研鑽を積みやがて後輩を指導する立場になって行く。「天空茶会は会派の背骨である」と言っているのは、その継続性のことを指しているのである。

爽風の席

 

 天空茶会は2011年6月に第一葉が稲荷町江戸からかみ「東京松屋」さん4階催事場でスタート、それから毎年6月と11月に同会場で開催され回を重ねてきた。コロナ禍で中断を余儀なくされた辛い時期もあった。そんな状況にも協会及びインストラクター会役員スタッフの強い結束力で乗り越えることが出来た。会場が今回から明治屋ホールになったことも大きな転換期を示唆しているように思える。6月初旬、浅草かっぱ橋にある中国茶のお店に天空茶会の宣伝葉書を置かせてもらいに行った時、その足で稲荷町の東京松屋さんに立ち寄りご挨拶することが出来た。ご夫婦ともお元気に一階でお店番をされていて、天空茶会の新しい開催場所など話をすると、それはよかったと喜んで頂けた。14年間21回の天空茶会の会場を提供してくれた松屋さんに感謝の気持ちを伝えることが叶い安堵した。

萌葱の席

 

 天空茶会の新時代がスタートしたと実感した。開催場所が変わったことが大きい。東京のど真ん中から天空茶会の新時代が発信され続けることを祈ることとする。インスト会役員そして今回のスタッフの皆様お疲れ様。

                 2024年7月2日   俳茶居

 

謝山泉の席

 

  天空茶会で私が淹れたお茶について

 今回小生はYさんとペアを組み「謝山泉」の席で「困鹿山普洱散茶」を呈茶。設えは相方Yさん、絶妙なサポートで安定した呈茶か叶った。お茶の産地は雲南省普洱市寧洱ハニ族イ族自治県困鹿山、2022年春茶。普洱茶の奥深さに魅了されて暫く経つ。今回のお茶、樹齢200年以上と言われる小葉種の木から作られた散茶。淹れたお茶を口に含むと、その答えが伝わって来る。それは静かな果実香であったり、枯草や仄かな乳香となり、お茶の生まれた森の自然を茶席に届けてくれるのである。煎を重ねると水色に光沢が増し、さらにすっきり感が伝わり衰えることを知らない。普洱茶の不思議を愉しんで頂けたら幸いである。

 

     天空茶会第二十二葉 茶譜

席1【蘭亭序】(らんていじょ)

老白茶      白茶 原料2009年 中国福建省寧徳市     東塚 洋子

阿里山金萱烏龍茶 青茶 原料2024年2月 嘉義県阿里山      鈴木 康子

 

席2【爽 風】(そうふう)

金毛猴       青茶 2022年福建省武夷山         安齋祐三子

白牡丹      白茶 2024年福建省福鼎           茶 米

 

席3【一期一会】(いちごいちえ) 

福寿梨山     青茶 2023年春 台中市梨山村福寿       中尾 結葉

日月潭紅玉紅茶  紅茶 2023年春 南投県日月潭        圓 心

 

茶席4【天 青】(てんせい)              

九曲紅梅     紅茶 浙江省大湖山              山川 幸代

鳳凰単欉 八仙   青茶 2019年春 広東省潮安県烏崠山大庵    原 泉

 

茶席5【萌 葱】(もえぎ)

凌雲白毫    緑茶 2024年春 広西壮族自治区百色氏凌雲県   國枝 ゆか

東方美人茶    青茶 2024年 新竹県峨眉郷          渡邉 誠

 

茶席6【謝山泉】(しゃさんせん)

都江堰珍眉     緑茶 2024年春 四川省成都郊外都江堰      横倉志津子

困鹿山普洱散茶  黒茶 2022年春 普洱市寧洱ハニ族イ族自治県困鹿山 佐藤 正夫

 

*表演茶藝                         演者 中山 理恵

 

*セミナー                         講師 川谷眞佐枝 

     セミナーⅠ:「台湾紅茶の歴史を学びながら楽しむ」

     セミナーⅡ:「ダージリンティー茶産地訪問報告会‐最新情報2024」

 

 ―― 又村統 「時間空缶」-廃材レリーフ、コラージュ 展 ――

     (或いは小雨の相模原、ブリキ人形の幻影)

 

                   人形 S画伯像

 

 作家又村統氏の個展が、2024年5月7日(火)~18日(土)まで相模原市の「ギャラリー誠文堂」で催されている。

(平日 10:00~18:00 、日曜日休廊、土曜は13時より、5月18日は17時迄)

 作家在廊日 5/7(火) 9(金) 11(土) 13(月) 15(水) 17(金) 18(土)

 

 作家と知り合って40年以上が経つ。後半10数年を除けば30年近く、毎週新宿の某居酒屋で遭遇していた。示し合わせて呑むわけではなく、居合わせてしまうのである。又村画伯は親友で油絵科同級のS画伯と飲み歩くことが多く、金曜日遅く遭遇する時は大抵二人一緒であった。

 

 幾星霜、S画伯が還暦後少しで物故され、氏はその後一人で夜の街を彷徨うこととなった。今回の個展で、S画伯の人形作品を配置した。そこには作家の静かだが確かな情がこめられているのである。古来より、人は人形をつくり息を吹きかけ命を授けた。そして作家は今もS画伯の人形に息を吹き続けているのである。(作家はブリキの人形をいくつか作っている。嘗て唐十郎・「状況劇場」の怪優大久保鷹の人形であったり、劇団「新宿梁山泊」の芝居「唐版・風の又三郎」で、大久保鷹が大立ち回りの演技で使ったブリキの風見鶏などは、今も強く印象に残っている。)

 今回の諸作品、嘗ては作家の余技に見えた時期もあったが、今は決してそう思はない。芭蕉晩年の句作態度「軽み」を体現しているような作品群に思えるのである。良き歳を重ねた証の作品は温かい。      2024年5月8日   俳茶居

 

*個展とは関係ないが、一昨日唐十郎の訃報が届いた。半世紀以上続いた新宿花園神社での紅テント公演。又村画伯と一緒に出かけたこともあった。私達は、その仕掛人を失うこととなった。又村画伯やS画伯らと過ごしたグッド・オールドデイズがまた一つ遠くなった。 

 

  第八回 秘蔵のプーアル茶を愉しむ会 ――「金達磨」10年の感動と青さ

 2024年4月27日(土)、「第八回 秘蔵のプーアル茶を愉しむ会」が人形町『ティーハウス茶韻館』で開催され、ご常連のお客様始め今回が初めての方も含め予約で満席となった。おいで頂いたお客様に、心より感謝の気持ちを伝えることとする。小生今回もスタッフとして参加、雰囲気の違う二つの茶席をお客様と一緒に愉しむことが叶った。茶葉の提供・呈茶を担当された阿部克彦氏の見事な技量に、今回も敬服させられた。阿部さんの呈茶について何度も触れているが、それは「自在の茶」なのである。例えば私が茶席でお客様に呈茶をする時、お客様は4~5人位、呈茶は3~4回がせいぜいである。ところが阿部氏は、十人のお客様に一つのお茶を十煎近く繰り返し淹れ、それを四つのお茶で繰り返し淹れるのである。40回に及ぼうとする呈茶に乱れはない。私にはとても真似することはできないのである。

 大切な一煎目、淹れ手と同じく客も茶淹れに集中している。そして抽出されガラスの茶海の茶湯の輝きと、漂い始めた茶の香りに安堵するのである。お茶により濃淡は違うが、良き茶に共通するのは茶湯の発する輝きであり、透明感である。今回一番時間が経過した茶葉は、1986年以前に作られた餅茶。その茶葉の持つ力は、私を茶葉の生まれ育った40年前の西双版纳の山にタイムスリップさせてくれたのである。夢心地の茶会から現実に戻るには時間が必要となる。今回も余韻の長い茶席となった。

 

 二番目のお茶「金達磨 2013年製生茶・今雨軒」には特別な感動があった。まだ10年のお茶で茶葉も青みが残る。あと10年・20年後どんなお茶になっているのか楽しみなお茶であった。人には寿命があるが、お茶には無いように思えてならない。

 阿部さん、茶韻館亭主松田さん、そしてスタッフのKさんお疲れ様でした。阿部さんとのプーアル茶の旅は続く。

                  2024年4月30日   俳茶居

 

  

   茶 譜

皇上皇 普洱  1999年以前 雲南省  原料に貴重な芽を使用した美しい茶葉

 

金 逹 磨    2013年 生茶  雲南省  景邁山など優れた産地・製茶場を茶山に置

               今雨軒  く・原材料を古茶樹に限り他からの混入が

                    皆無・優れた人材の確保、これらの条件を

                    保ち高い志を持って今雨軒が作っている最

                    高品質の普洱茶

 

餅 茶  1986年以前 生茶 西双版納 40年近い時を経て熟成が進んだ勐海茶廠

               勐海茶廠 の生茶

 

スペシャルティー 徐耀良茶園の東方美人 2016年冬茶 (非売品)

茶菓子      干菓子・いちごのクラフティ・冷菓等

  

  

 

会長賞作品「不安感の記憶」

 

 2024年4月7日 上野東京都美術館で開催中「第74回モダンアート展」(4月3日~4月16日)に出かけた。友人松林眞澄氏の同展覧会会長賞の作品を鑑賞することが叶った。

 氏は数年来、ジクレー(デジタルリトグラフ)技法による版画に傾倒し、その作品群を私たちに開示してくれていた。昨春府中での個展は、作品の真価が発揮された重要な個展であった。そして今回は彼女の現在を協会賞(一等賞)として展覧会が認めたのである。その栄誉に心より賛辞を贈ることとする。又、長き友人として共に慶びたい。

 会場には、氏と同じジクレー技法による作品は無かったように思えた(私個人の見解)。それだけに日本の現代アート関係者には、エポックメイキングな出来事であったのではないだろうか。一躍時代の先端に立つこととなった友人にこちらも大きな勇気を頂くこととなった。上野の山の満開の桜も彼女を祝福していた。

*昨春の個展に関する拙ブログ『松林眞澄の心象風景版画展』或いは二つの捻じれた国旗について | 俳茶居 (ameblo.jp)

                            俳茶居

上野の桜(2024年4月7日)

 

花茶で巡る四季 京都上七軒『汲古 花花茶会』の福

 

蝋梅龍頂 ジュレ仕立て

 

 2024年3月20日、京都上七軒にある『茶空間 汲古(きゅうこ)』で行われた「花花茶会」に参加、素晴らしいおもてなしに寛ぐことが叶った。開室一周年と銘打って開かれた茶会。ご亭主堀井美香氏が時間を掛け練り上げた精緻な茶席で、工夫を凝らして作られた花茶7種を頂くこととなった。私たちは春にいながら四季の自然を、茶席に届くお茶から体験することとなった。こんな風におもてなしを受けると、毎年伺いたくなる想いが湧いてくる茶会となった。堀井氏とスタッフの皆様に感謝の気持ちを伝えることとする。そして同席したお客様方との一期一会に心より謝意を伝えたい。

八朔の牛乳寒天

 

 堀井氏にはこれから忙しい日が続く。まず5月に、「茶摘み&坂本餅茶作り」の催事が待っている。最澄が唐から持ち帰ったお茶の種が由来とされる日吉茶園の茶葉で、陸羽の時代の餅茶作りを再現する。そして秋にはそのお茶を頂くお茶会の催事と繋がって行く。6月、吉田山大茶会では、「留香茶藝」のリーダーとしてブースを仕切られることとなる。又、大津サロンでは、中国茶の教室を運営されていて、多くのお弟子さんと研鑽の日々を大切にされている。そんな忙しさの中で、一年をかけて今回の花茶を仕上げられた胆力に、頭が下がる思いである。堀井美香氏の今後のご健闘を心より祈ることとする。

白瑞香のグラス

 

 花花茶会 茶譜 ~花茶で巡る四季~

         (2024年3月20日 京都上七軒『茶空間 汲古』)

 

立春 【蝋梅龍頂】   蝋 梅 × 開化龍頂 ジュレ仕立て

啓蟄 【梅花龍井】   紅白梅 × 銭塘龍井

春分 【白瑞香】香檳  沈丁花(瑞香)× 白牡丹

立夏 【橘花香烏龍】  八朔の花 × 文山包種

夏至 【黄枝香銀針】  梔 子 × シルバーニードル

秋分 【桂花香烏龍】  金木犀 × 黄金桂

立冬 【玫瑰花紅茶】  玫瑰花 × 祁門紅茶

  茶菓子 白加賀梅ドライ 八朔の牛乳寒天 紫芋酥

*大津サロンの「香りの庭」で四季折々に咲く花の香りを、厳選した茶葉に封じ込めました。花の香りとそれぞれの茶葉との相性もお楽しみいただければ幸いです。

       

紫芋酥 (右は水をかけると立ち上がる紙おしぼり)   

  

 

 今回の京都への旅は、一周忌を迎えた茶友への鎮魂の旅でもあった。経営されていた茶館の前で合掌し、心の中で故人と言葉を交わすことが叶った。

 京の春吾唯足知と蹲に (俳茶居)

                      2024年3月31日 俳茶居

畲(シェ)族の茶に烏龍茶の萌芽

石古坪烏龍

 

 2024年3月9日横浜中華街駅近く「中国茶文化空間・香流」で開催された

麗香茶課主催、田中優伊先生によるセミナー

「単叢講座第二弾 崬山・石古坪・嶺東へ茶旅をしよう」

に参加した。タイトルに出てくる町の名前にまず惹かれた。コロナ禍の前、中国への茶旅を重ね、潮州での楽しい旅の思い出が蘇ってきた。潮州のお茶と言えば、すぐに鳳凰単叢を思い浮かべるが、今回田中先生のお話で、鳳凰単叢以前の事も含め、烏崬山・石古坪・嶺東への旅が叶ったのである。

 

「茶の民族史」1998年発行

 

 松下智先生は、名著「茶の民族誌」で閩南を現代の地域名「広東省潮州・汕頭、福建省厦門・泉州あたり」としている(安渓も含まれると推測する)。さらに閩南の少数民族畲(シェ)族こそ烏龍茶(松下先生は「烏竜茶」と表記)の生みの親ではないかと提起されている。そして私たちはセミナーで、その「石古坪烏龍」と対面し頂くことが出来たのである。発酵度(10%位)は低く、味・香りが強く押し寄せる感じはない。逆にこちらの身体器官を全開にして感じ取る必要があるお茶であった。煎を重ねると味蕾に少しずつ甘味が増えていくようで、ゆっくりと烏龍茶の淵源に近付いていくような、静かな感動を得ることとなった。希少なお茶を届けてくれた田中優伊先生に感謝である。次回のセミナーを楽しみにしている。

 

セミナーで頂いたお茶

石古坪烏龍

紅茵

鳳凰浪菜老叢

蜜蘭香紅茶

茶虎

*当日会場で沢山の茶友と再会がかない嬉しかった。皆コロナ禍を耐え抜き、新たな活動を始めているようである。多謝 再見

とよす茶会グループ「春節茶会」開催御礼

  春節の茶会の余韻いく日も

 

春節茶会 奇萊山茶設え とよす茶会G撮影

 

 とよす茶会グループの中国茶会「春節茶会」が2024年2月11日(日)人形町茶韻館で開催された。長いコロナ禍もあり、前回開催の2022年9月からほぼ一年半の時間が経っていた。前回は、受付で体温を測り、手の消毒。お客様と淹れ手との距離2m以上、茶杯は湯煎をしてお客様だけが触れられるように手配をしたり、お茶をいただくとき以外はマスクをお願いしたりとか、今思えば想像を絶するような対策の中でのお茶会であった。

鳳凰単欉八仙の茶杯と水色

 

 時が経ちほぼコロナ禍以前の形でお茶会が開かれたことを先ず喜びたい。おいで頂いたお客様、今回は来れなかったけれど、いつも応援していただいている方々に感謝の気持ちを伝えることとする。午前1回、午後2回、計3回のお茶席。お客様、淹れ手、お菓子担当、裏方スタッフも含め、皆幸せ感が溢れる茶会であった。そして茶会後のまったりとした余韻は今も続いている。とよす茶会グループ6人、それぞれの事情を抱えつつも見事なパフォーマンスが叶ったと思う。皆、次回の開催に向け確かな手応えを感じている。多謝再見

春節湯圓

 

黒糖生姜とナッツのパウンドケーキ、エッグタルト、ドライフルーツ

 

   とよす茶会グループ

   「春節茶会」茶譜 

<3種類のお茶とウエルカムティー、オリジナルスイーツ>

  

     ウエルカムティー 水出し貴妃茶

   1番目 奇萊山茶 2022年春茶   英国ティーリーフコンテスト軽焙煎部門金賞 

                  台湾南投県仁愛郷

 2番目 鳳凰単欉八仙 2023年   中国広東省潮州市鳳凰鎮ウードン村標高1200m

 3番目 天茯茶  2012年辰年   中国湖南省安化県 白沙渓茶廠製

  オリジナルスイーツ

  春節湯圓、黒糖生姜とナッツのパウンドケーキ、エッグタルト、ドライフルーツ

 

天茯茶の茶杯と水色

 

天茯茶1kgの包装

 天茯茶との出会いと呈茶

 お茶との出会いはいつも不思議だ。茶韻館亭主Mさんが12年前香港のお店で何げなく買ったこのお茶、干支で言えばひと回り12年の歳月が茶葉を育てたのだろう。淹れるお茶で苦労している私に天のお告げの様に届いた天茯茶であった。湖南黒茶は千両茶、茯磚茶が有名。天茯茶は初めて飲むお茶であった。湖南黒茶の師と仰ぐS先生に問い合わせ、改めて湖南黒茶の勉強をさせていただいた。

 中国茶の入り口に立つのは簡単だが、中に入るとその広さに驚く。そして長い時間静かに呼吸を続け成長・熟成を続けているお茶があることに驚愕させられるのである。今回の天茯茶、常滑の作家伊藤成二氏の急須で淹れることにした。一煎目を外さなければ、おそらく10煎は力を失わずに呈茶出来ると思えた。白湯から茶湯に変わる瞬間を一煎目に出来るようになると、あとは自然に煎を重ねることが出来た。白湯から茶湯、茶湯から苦湯になる湯の変化に淹れ手は敏感でなければならない。茶湯である時間は茶葉により違う。蒸らす時間の正鵠は自ら体得するしかないのである。

 天茯茶との出会い、茶韻館亭主Mさん、安化黒茶の伝道師S先生に感謝である。呈茶に関して、不思議な普洱茶を愉しませてくれる「自在の茶人」A氏に謝意を伝えることとする。 

               2024年2月15日   俳茶居

 

 

 久々「とよす茶会・春節茶会」開催迫る。

「とよす茶会・春節茶会」設えイメージ

 

 2024年2月11日(日)人形町『茶韻館』にて、久しぶり「とよす茶会グループ」による中国茶会が開催される。設えの確認を兼ね茶韻館に足を運んだ。呈茶する茶器で練習もでき(写真)、良き感触を得ることが出来た。お客様は、若干名募集中とのこと。ネットでの予約または電話で問い合わせ受け中とのことである。

   茶会概要

期日:2024年2月11日(日)

場所:人形町「ティーハウス茶韻館」

会費:4000円

時間:①回目11:00~12:00

   ②回目13:00~14:00

   ③回目15:00~16:00

各回3種のお茶他、ウエルカムドリンク、手作りスイーツが楽しめます。

*予約申し込みは以下よりお願いします。

 https://reserva.be/chainkan

*問い合わせは 茶韻館 松田 ☏03-6206-2119 

住所:東京都中央区日本橋人形町1丁目10-6 日本橋SDビル 1F

最寄り駅:東京メトロ半蔵門線水天宮前駅徒歩2分 

     東京メトロ日比谷線人形町駅徒歩2分

     都営浅草線人形町駅徒歩5分

 

 中国茶関連の催事がいよいよコロナ禍前に戻った感が強い。昨年12月に開催された「地球にやさしい中国茶交流会(エコ茶会)」でも茶席コーナーが復活し、弾みがついたようである。

「とよす茶会・春節茶会」グループもいよいよ再開の時、当日お客様とお会いできるのを楽しみにしている。