花茶で巡る四季 京都上七軒『汲古 花花茶会』の福 | 俳茶居

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       煌々と唐十郎の夏帽子 (呑亀〉

花茶で巡る四季 京都上七軒『汲古 花花茶会』の福

 

蝋梅龍頂 ジュレ仕立て

 

 2024年3月20日、京都上七軒にある『茶空間 汲古(きゅうこ)』で行われた「花花茶会」に参加、素晴らしいおもてなしに寛ぐことが叶った。開室一周年と銘打って開かれた茶会。ご亭主堀井美香氏が時間を掛け練り上げた精緻な茶席で、工夫を凝らして作られた花茶7種を頂くこととなった。私たちは春にいながら四季の自然を、茶席に届くお茶から体験することとなった。こんな風におもてなしを受けると、毎年伺いたくなる想いが湧いてくる茶会となった。堀井氏とスタッフの皆様に感謝の気持ちを伝えることとする。そして同席したお客様方との一期一会に心より謝意を伝えたい。

八朔の牛乳寒天

 

 堀井氏にはこれから忙しい日が続く。まず5月に、「茶摘み&坂本餅茶作り」の催事が待っている。最澄が唐から持ち帰ったお茶の種が由来とされる日吉茶園の茶葉で、陸羽の時代の餅茶作りを再現する。そして秋にはそのお茶を頂くお茶会の催事と繋がって行く。6月、吉田山大茶会では、「留香茶藝」のリーダーとしてブースを仕切られることとなる。又、大津サロンでは、中国茶の教室を運営されていて、多くのお弟子さんと研鑽の日々を大切にされている。そんな忙しさの中で、一年をかけて今回の花茶を仕上げられた胆力に、頭が下がる思いである。堀井美香氏の今後のご健闘を心より祈ることとする。

白瑞香のグラス

 

 花花茶会 茶譜 ~花茶で巡る四季~

         (2024年3月20日 京都上七軒『茶空間 汲古』)

 

立春 【蝋梅龍頂】   蝋 梅 × 開化龍頂 ジュレ仕立て

啓蟄 【梅花龍井】   紅白梅 × 銭塘龍井

春分 【白瑞香】香檳  沈丁花(瑞香)× 白牡丹

立夏 【橘花香烏龍】  八朔の花 × 文山包種

夏至 【黄枝香銀針】  梔 子 × シルバーニードル

秋分 【桂花香烏龍】  金木犀 × 黄金桂

立冬 【玫瑰花紅茶】  玫瑰花 × 祁門紅茶

  茶菓子 白加賀梅ドライ 八朔の牛乳寒天 紫芋酥

*大津サロンの「香りの庭」で四季折々に咲く花の香りを、厳選した茶葉に封じ込めました。花の香りとそれぞれの茶葉との相性もお楽しみいただければ幸いです。

       

紫芋酥 (右は水をかけると立ち上がる紙おしぼり)   

  

 

 今回の京都への旅は、一周忌を迎えた茶友への鎮魂の旅でもあった。経営されていた茶館の前で合掌し、心の中で故人と言葉を交わすことが叶った。

 京の春吾唯足知と蹲に (俳茶居)

                      2024年3月31日 俳茶居