―― 又村統 「時間空缶」-廃材レリーフ、コラージュ 展 ―― | 俳茶居

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       義仲寺や秋立つ空に塚二つ (呑亀〉

 

 ―― 又村統 「時間空缶」-廃材レリーフ、コラージュ 展 ――

     (或いは小雨の相模原、ブリキ人形の幻影)

 

                   人形 S画伯像

 

 作家又村統氏の個展が、2024年5月7日(火)~18日(土)まで相模原市の「ギャラリー誠文堂」で催されている。

(平日 10:00~18:00 、日曜日休廊、土曜は13時より、5月18日は17時迄)

 作家在廊日 5/7(火) 9(金) 11(土) 13(月) 15(水) 17(金) 18(土)

 

 作家と知り合って40年以上が経つ。後半10数年を除けば30年近く、毎週新宿の某居酒屋で遭遇していた。示し合わせて呑むわけではなく、居合わせてしまうのである。又村画伯は親友で油絵科同級のS画伯と飲み歩くことが多く、金曜日遅く遭遇する時は大抵二人一緒であった。

 

 幾星霜、S画伯が還暦後少しで物故され、氏はその後一人で夜の街を彷徨うこととなった。今回の個展で、S画伯の人形作品を配置した。そこには作家の静かだが確かな情がこめられているのである。古来より、人は人形をつくり息を吹きかけ命を授けた。そして作家は今もS画伯の人形に息を吹き続けているのである。(作家はブリキの人形をいくつか作っている。嘗て唐十郎・「状況劇場」の怪優大久保鷹の人形であったり、劇団「新宿梁山泊」の芝居「唐版・風の又三郎」で、大久保鷹が大立ち回りの演技で使ったブリキの風見鶏などは、今も強く印象に残っている。)

 今回の諸作品、嘗ては作家の余技に見えた時期もあったが、今は決してそう思はない。芭蕉晩年の句作態度「軽み」を体現しているような作品群に思えるのである。良き歳を重ねた証の作品は温かい。      2024年5月8日   俳茶居

 

*個展とは関係ないが、一昨日唐十郎の訃報が届いた。半世紀以上続いた新宿花園神社での紅テント公演。又村画伯と一緒に出かけたこともあった。私達は、その仕掛人を失うこととなった。又村画伯やS画伯らと過ごしたグッド・オールドデイズがまた一つ遠くなった。