今日の一曲!沼倉愛美「彩 -color-」【'18春アニメ・アニソン(切ない系)編】
【追記:2021.1.5】 本記事は「今日の一曲!」【テーマ:2018年のアニソンを振り返る】の第十二弾「春アニメ・切ない系」編です。【追記ここまで】
本記事では2018年の春アニメ(4月~6月)の主題歌の中から、「アニソン(切ない系)」に分類される楽曲をまとめて紹介します。本企画の詳細については、この記事の冒頭部を参照。
なお、『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』ED曲・レン(楠木ともり)「To see the future」(2018)については、過去に単独記事をアップしているのでそちらをご覧ください。
―
メインで取り上げる「今日の一曲!」は、『かくりよの宿飯』1st ED曲・沼倉愛美「彩 -color-」(2018)です。作曲はWEST GROUND、編曲はZAI-ON、作詞は沼倉さん自身が手掛けています。
今回の振り返りでは、これまでにもWEST GROUNDが携わったナンバーを二曲紹介していて、第十一弾では同作のOP曲である「灯火のまにまに」(2018)を、第八弾では別作品の楽曲「LOVE MEN HOLIC」(2018)を、それぞれレビューしています。このうち後者の記事では、文中に「彩 -color-」の名前を伏線的に出しており、関連する記述は本記事に於いても有効な内容であるため、長くなりますが以下にセルフ引用します(「注:」に続く文は補足です)。
(注:WEST GROUNDによる楽曲をいくつか提示した文脈で)それらに見られる要素も先取りして氏の音楽性を類推しますと、アレンジ面では「バックの疾走感」を、メロディ面では「Cメロの高揚感」を大切にしているというトラックメーカー像が浮かび、これらの要素は本曲(注:「LOVE MEN HOLIC」)にも認めることが出来るため、実にらしいナンバーであると得心がいった次第です。
(注:前者「バックの疾走感」に纏わる記述は省略)後者は文字通りCにあたるセクションの盛り上がりを指していて、"右手上げ手を振って"からの情報量の多さは、WEST GROUNDが得意とするタイプの「最高潮の演出」で好みです。これらと似たような感想は「イマココ」の記事(注:リンク)にも載せていて、後にレビュー予定の「彩 -color-」(2018)でも近いことを書くつもりなので、リファレンスとして例示しておきます。
ここまでが引用です。近いことを書くつもりと宣言している通り、ここに挙げたポイントを意識しながら読み進めていけば、以降の文章の説得力も増すだろうと期待します。
僕が本曲で最も高く評価しているのはCメロです。引用文中でも「Cメロの高揚感」や「最高潮の演出」などの言葉でもって、WEST GROUNDによる作曲の特徴についてふれていますが、本曲のCはまさにこの類の妙が遺憾無く発揮されたセクションだと言えるでしょう。
いきなりCから掘り下げるとややこしいので、その前に全体的な楽曲の感想を述べておきますと、メロディラインが抱くはち切れんばかりの熱量を、ドラムスとピアノとギターによる疾走感で未来志向に放出させた、旋律とビートの融合が見事なナンバーだと表現出来ます。またも引用文中の言葉を借りれば、これは「バックの疾走感」に寄与するアレンジ面での美点で、それも確かにWEST GROUNDの魅力のひとつではありますが、本曲の編曲を担ったのはZAI-ONである(というかMVを見るにバンド演奏である)ため、今回は副次的な産物としての理解です。
回りくどいクリエイター評となっていますが、ともかく本曲には「勢い付いた切なさ」があることをおさえていただければ御の字で、2番後の間奏で一度このモメンタムが落ち着きを見せてからの展開こそが真骨頂だと捉えています。2:55~の鍵盤の美しさに吸い込まれて、このまま静かなアレンジにシフトしていくのかと思いきや、3:00~のギターインでその予想は数秒しないうちに外れ、ここから更なる盛り上げに入るポテンシャルを感じさせるバッキングにまずゾクっとさせられました。
そして肝心のCメロへ。サビに宿るスピーディーさの立役者と言える、鼓笛隊然としたドラムパターンがここにも登場し、ビートメイキングによるダンサブルな趣が際立つ前半は、"ねぇ 転んでぶつけてケガをしても/手放したくないもの/やっと見つけられたの"という恐れを厭わない歌詞に、アレンジ面から説得性を付していると評せます。力強く繰り返されるシンプルなパターンに、自己の芯の強さを見た思いでいるといった意味です。
続く後半のメロディ展開は天才的だと思います。"終わらない終わらない気持ちが"の部分が、サビの"終わらない終わらない虹の先"のラインを彷彿させるように、「サビメロの変形で成り立っている」ところが実に技巧的です。突然既存の旋律が顔を覗かせてくる驚きと、とはいえ全く同じメロをなぞっているわけでもない意外性に同時に襲われ、初聴時には鳥肌が立ちました。これを受ける歌詞も"会いたい会いたい叫ぶから/羽ばたくあの日の虹を超えて"と、前掲のサビの歌詞に対応していて、ストーリー上の伏線回収も鮮やかです。
この手の「変形」は、作編曲のクレジットが本曲と一緒である同作のOP曲「灯火のまにまに」にも認められ、同曲でCにあたる"ひとつふたつ季節を重ね"の旋律は、サビメロの頭を思い起こさせるものとなっています。これが意図的なのか偶々なのかは定かでありませんが、『かくりよの宿飯』の主題歌として楽想が統一されている点にこだわりを見た気がしました。
ここまでの流れの中に上手く組み込めなかったので、最後に1番Aメロというか立ち上がりの良さについて言及します。先の全体評の中で「ドラムスとピアノとギターによる疾走感」といった分析を披露しましたが、ここに挙げた構成楽器のイントロダクションの役割を持った、「積み重ねによる巧みさ」が1番にはあります。
ギターとボーカルのみの静かな幕開けで、旋律の流麗さと歌詞の柔和さが立てられているA前半。ドラムスとピアノがインして、続く展開への助走をつけるA後半。Bメロ頭の"守"でボーカルに意識を引き付けられた後で、俄に存在感を顕にする各プレイヤー陣。ベースも入って漸く全体の音像が明らかとなり、サビへの期待値が一層高まる楽想。このじわじわとエネルギーを溜めていくシークエンスの存在を、全体評の「熱量を(中略)放出させた」という表現につなげた次第です。
―
続いて紹介するのは『宇宙戦艦ティラミス』ED曲・スバル・イチノセ(CV:石川界人)「DURANDAL」(2018)です。こちらをメインにしようかとも考えていたくらいには、'18春アニメではお気に入りの切ないナンバー。
実際はこうして2番手での紹介となるわけですが、それにはきちんとした理由があります。確かに同曲は分類するなら「切ない系」のアニソンとなるのですが、この裏には可笑しさが;有り体に言えばギャグ要素が含まれているため、メインで推すと「切ない系のアニソンが聴きたい!」といった素直なニーズを持った人を騙すことになりかねないからです。笑
『宇宙戦艦ティラミス』。このタイトルだけでも「ん?」と思える微妙な面白さが漂ってはいますが、同作は一見シリアスを装っていながらもその実態はギャグアニメで、「エースパイロットはなんかちょっとざんねんだった」というナレーション通りの、ギャップを活かした作風が魅力でした。
ギャグのテイストも個人的なツボと合致していて、10分枠アニメ(本編は6分強ほど)でありながら、笑っているうちに3分ぐらいの体感で毎話「えっ、もう終わり?」と思っていたので、かなり好みの作品だったのだろうと顧みます。同年秋クールには第2期『宇宙戦艦ティラミスⅡ』も放送されていましたが、そちらもクオリティを落とすことなく面白いままでした。『Ⅱ』のTV SPOTは一層シリアス詐欺になっていて、まともなアニメっぽい宣伝内容なのにギャグと化してしまう点が可笑しかったです。
この類の「真面目さが面白さにつながっている」ところを指して、本曲の切なさの裏には可笑しさがあると補足したわけですが、素直に楽曲だけを取り立てるならば、宇宙を駆けるパイロットの孤独にフォーカスした、ビッグスケール×メランコリーに胸を締め付けられる良曲と評せます。
その哀愁は歌謡曲じみたメロディラインによって、宇宙的な要素はイントロ~Aメロ裏のアレンジに顕著な電子制御の感によってそれぞれ表現されていて、この融合はなかなか斬新だと感じました。「テクノ歌謡」という言葉の存在は知っていますし、コンピ盤に手を出すほどには好きな音楽性のひとつですが、それは主に女性アイドルのナンバーに対する形容で、旋律はより甘酸っぱく、編曲はもっとわかりやすくピコピコしているものを指しているとの理解なので、本曲のアウトプットとはまた違う印象です。
アニメではサビの一部(歌謡曲らしさ全開のパート)しか流れていなかったため、初めてフルで聴いた時には先の「電子制御の感」による意外性に見事にやられました。表現の仕方が難しいのですが、イントロのバウンシーなサウンドが演出するグルーヴの心地好さや、Aメロ裏("溶けてゆく"まで)で断続的に聴こえるうねった音から醸される消化不良のワブリー感、コーラスを担うクワイアが終盤で主張を強めるところ(uhからwaへ)などの細かい点がツボでした。いずれにせよ、80年代よりは進んだ時代の手法に映るので、現代或いは未来の趣がある歌謡トラックと言えます。
あとは単純に石川さんの歌声が素敵です。本シングルのCMでも「意外と歌が上手かった」というナレツッコミが入っていましたが、迫真さが翻って笑いにつながるような絶妙な力の入りまたは抜け具合だと絶賛します。
"真っ暗なコックピット/孤独とため息が混ざりあい/宇宙(そら)に溶けてゆく/ここは僕の戦場で/心休めるオアシス/どうか 一人にしてほしい"は、実際は他者との交流を避けたい一心での引きこもり的な利用方法について歌っているにもかかわらず、重責を負ったエースパイロットゆえの苦悩と葛藤を描いているようにも思えますし、"もう帰らない/真っ暗な宇宙で/デュランダル デュランダル/永久に耀け"も、戦場に対する覚悟の現れというよりは、素直に一人で居たい気持ちを発露させているだけなんだろうなと解釈したほうが自然な仕上がりです。
まともな受け取り方の余地を残しつつも、作品を観た人からしたら笑えてしまうこの感覚は、勿論歌詞の言葉選びの巧さもあるでしょうが、石川さんの演技によるところも大きいと踏んでいます。余談ですが、今期('19冬)で石川さんが主人公の声を務めている某アニメも、たまにスバルがちらつくせいで真剣なシーンでも何だか面白い気がして困ります。笑
―
お次は『ひそねとまそたん』OP曲・福本莉子「少女はあの空を渡る」および「少女はあの空に惑う」(共に2018)をレビュー。振り返りの第十一弾では、同作ED曲「Le temps de la rentrée ~恋の家路(新学期)~」(2018)を紹介しているので、主題歌のセンスが良かった作品との評価をしています。
アニメを観ていない方でも曲名で察しがつくでしょうが、「渡る」と「惑う」は互いに関連のある楽曲です。僕が高く買っているのは後者についてなので、そちらだけをピックアップしても構わなかったのですが、前者の存在があってこそ後者の重みも一層増す;対を成している点を考慮し、きちんとステップを経た紹介にします。
まずは「少女はあの空を渡る」から。第1話と最終話は除いて、第7話までのOP曲です。オーケストラ調のアレンジに、悪い意味ではなく教科書的な正しいメロディライン、岡田麿里さんが手掛けた素直な歌詞に、福本さんのあどけなく透き通ったボーカルも相俟って、合唱曲に宿るような重ね合わせの美しさを、ポテンシャルとして感じさせる仕上がりになっています。
そして実際に、後にリリースされた同作のサントラには「(合唱)」のバージョンが収められており、そちらも福本さんのソロで予感した発展性をしっかりと受け継いだ素晴らしい出来でした。
この「発展性」こそがキーワードであるとして話を進めます。ここまでに示した通り、「渡る」の合唱アレンジもひとつの展開と見做していて、これは言わば「正方向への発展」だと捉えていますが、対して「負方向への発展」を担ったのが「少女はあの空に惑う」だと理解していて、向きが異なる分「惑う」に受けた衝撃のほうが大きかったです。
ということで、ここからは「惑う」のレビューに入ります。第8話~11話までのOP曲で、アニメでは初めに曲名が出る演出であったため、毎話律儀に画面の文字情報を読んでいた人は一足先に「あれ?」と思ったかもしれませんね。折り返し地点を過ぎて、多くの人が「渡る」に完全に馴染んだであろう段階での「惑う」の登場には、僕もご多分に洩れず不意をつかれました。
完全に違う楽曲が据えられていたのであれば、ここまで驚きを強調しません。たとえばクールの切り替わりでの主題歌変更は定石ですし、1クールアニメでも特殊OPや特殊EDによって一時的に別の曲になることは珍しくないからです。途中から2番になったり歌い手が変わったりする変化の付け方もありますが、それでも驚きの程度は並と言えます。
勿体を付けた書き出しをしていて恐縮ですが、「渡る」から「惑う」への変化がレアなのは、「サビだけが異なる楽曲の登場」である点で、これこそが主張の肝なのでした。歌詞を見れば一目瞭然ですが、「渡る」と「惑う」はサビ以外のセクションを共有しています。つまりBメロ終わりの"聞こえた"を経て、「渡る」の美しいサビメロが来ると期待していたら、"教えて空に果てはあるの?"という意味深な問いを抱く、翳った旋律に攫われてしまう仕掛けになっているわけです。この鮮やかな転身で、僕は一段と『ひそまそ』に引き込まれました。
独り善がりの感想を記しますが、破壊された街や曇った表情のキャラクターの描写が馴染むような、険しさと哀しさを孕んだビジョンが脳内に勝手に浮かんでしまうほどに、「惑う」のサビが醸している悲痛な趣が好みです。実際の作品内容とは異なる妄想を書いているだけなので誤解なきようお願いしますが、正直この「惑う」を聴いて、「ここから先は登場人物が死にまくるんじゃないか」と不安を覚えたことを白状します。だって歌詞が"たためぬ翼/与えて二度と戻らないよ/流れ星はまぼろし"ですよ?徒にキャラを減らすことを推奨したいわけではありませんが、このくらいの暗い展望を予感させてくれただけでも、「惑う」の果たした効果は大きいと称賛します。
―
ここからは「中身の濃いレビューには発展させられそうにない曲」をまとめて紹介します。こう書くとネガティブに聞こえるかもしれませんが、スペースを作ってまで紹介しようと思うくらいにはお気に入りの楽曲群であることに留意してください。「発展させられそうにない」のは、僕の技量不足&時間不足によるものです。
『こみっくがーるず』OP曲・ こみっくがーるず(赤尾ひかる、本渡楓、大西沙織、高橋李依)による「Memories」(2018)。通称「まっすろな未来」のおかげで、若干のギャグっぽさが独り歩きしている風潮は否めませんが、楽曲自体を冷静に判断するならば、明るさの裏に切なさを滲ませた、ガールズ奮闘記に相応しい良曲だと思います。
…と言いつつも、やはりかおす先生(赤尾さん)の舌足らずの発声は大きな魅力でした。冒頭の「まっすろな」もとい"真っ白な"もキュートですが、"「ああ、あんな風に」"のへにょへにょした感じも味わい深いです。かおす先生には応援したくなる類のどうしようもなさがありますが、赤尾さんの演技によってその面が一層光っていたので、ハマリ役だったと言えるでしょう。
これだと「可愛い系」の感想になってしまうので、きちんと「切ない系」の要素にもふれますと、サビの"きっと悔いのない青春の一歩!"の部分で、リズム隊のアレンジが広やかなものに変化するところがお気に入りで、マイペースでも前進していく姿勢や、開けた未来が想像出来るサウンドスケープである点が素晴らしいです。
―
『レイトン ミステリー探偵社 ~カトリーのナゾトキファイル~』1st ED曲・花澤香菜「大丈夫」(2018)。振り返りの第十弾では同作の1st OP曲である「チェンジっ!」(2018)を簡単にレビューしましたが、そちらが言わば「王道」のつくりであったのに対して、こちらは子供向けのアニメの主題歌としては「変化球」だと捉えています。
なぜなら、サビの旋律が切な過ぎるからです。放送時間帯が朝であることも考慮すると、ここまでセンチメンタルな趣を強めたのは攻めているなと思います。この良い意味で定石にとらわれていないところは、本曲の作詞作曲が槇原敬之さんによるものであることと無関係ではないでしょう。むしろ槇原さんのナンバーとして考えると、とても得心のいく切なさだと言えます。
"霧がすこしずつ晴れて"の後は明るいクロージングとなるので、「大丈夫」という曲名から翻って連想出来る不安を浮き彫りにするための、必要な「影の部分」であることは理解可能で、"霧"の語彙選択も含め、ロンドンを舞台とする作品内容にも寄り添っていて流石です。あとは右側で終始奏でられているギターリフも論功行賞ものだと認識していて、音程は変われど常に同じパターンを維持しているので、ダンスチューンらしいリズミカルさが生まれている点が好みでした。
―
『踏切時間』主題歌・駒形友梨「トマレのススメ」(2018)。坂井竜二さんによる歌詞がお気に入りのナンバーです。当ブログで坂井さんのお名前を初めて出したのはこの記事(「Endless Journey」の項)にてですが、リンク先には更に関連記事へのリンクを貼ってあるので参考になるかと思います。
「トマレのススメ」という曲名からして巧いですよね。踏切の待ち時間にフォーカスした作品内容にもぴったりで、前に'進む'ために一度歩みを止めてみることの大切さが'薦め'られています。サビの"立ち止まれば 見えて来る/目の前には キミの背中/ここからは未来しかない"では、停止=後退ではないことが説かれていて共感しましたし、冒頭の"“踏み切るためには 足を止めなくちゃ”"を、"何気ない瞬間の/何気ない哲学"と表しているところも文学的で素敵です。
―
『多田くんは恋をしない』ED曲・テレサ・ワーグナー(CV:石見舞菜香)「ラブソング」(2018)。アニメは観ていない…というか途中で切ったのを後悔している残念な状態でのレビューとなり申し訳ありませんが、この後悔の一因として本曲の素晴らしさがあることは否定出来ないため、回りくどいですが観ていないなりに作品と音楽を評価しているのだとご理解いただければ幸いです。
僕が本曲で絶賛したいのは、サビの"どんな君でも"の"も"の母音[o]が下降していくラインで、これがなかったら単に「綺麗な曲」の域を出ていなかったのではとさえ思っています。解説が後回しとなりましたが、本曲はサンボマスターが2009年にリリースしたナンバーのカバーで、同バンドおよび作詞作曲を担っている山口隆さんに抱くイメージまで含めて向き合ってみると、この[o]に究極の切なさが宿っているのにも納得です。
―
以上、【'18春アニメ・アニソン(切ない系)編】でした。更新が一週間空いてしまってすみません。年始の実質的な初週による慌しさもありますが、'19冬アニメも続々と始まっているので、新しい主題歌をインプットするほうにエネルギーを割いていました。残り6記事となりましたが、ピッチを上げないと1月中に書き終わらないので、なるべく早くアップするように努めます。
本記事では2018年の春アニメ(4月~6月)の主題歌の中から、「アニソン(切ない系)」に分類される楽曲をまとめて紹介します。本企画の詳細については、この記事の冒頭部を参照。
なお、『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』ED曲・レン(楠木ともり)「To see the future」(2018)については、過去に単独記事をアップしているのでそちらをご覧ください。
―
![]() | 彩 -color- (通常盤) 1,212円 Amazon |
メインで取り上げる「今日の一曲!」は、『かくりよの宿飯』1st ED曲・沼倉愛美「彩 -color-」(2018)です。作曲はWEST GROUND、編曲はZAI-ON、作詞は沼倉さん自身が手掛けています。
今回の振り返りでは、これまでにもWEST GROUNDが携わったナンバーを二曲紹介していて、第十一弾では同作のOP曲である「灯火のまにまに」(2018)を、第八弾では別作品の楽曲「LOVE MEN HOLIC」(2018)を、それぞれレビューしています。このうち後者の記事では、文中に「彩 -color-」の名前を伏線的に出しており、関連する記述は本記事に於いても有効な内容であるため、長くなりますが以下にセルフ引用します(「注:」に続く文は補足です)。
(注:WEST GROUNDによる楽曲をいくつか提示した文脈で)それらに見られる要素も先取りして氏の音楽性を類推しますと、アレンジ面では「バックの疾走感」を、メロディ面では「Cメロの高揚感」を大切にしているというトラックメーカー像が浮かび、これらの要素は本曲(注:「LOVE MEN HOLIC」)にも認めることが出来るため、実にらしいナンバーであると得心がいった次第です。
(注:前者「バックの疾走感」に纏わる記述は省略)後者は文字通りCにあたるセクションの盛り上がりを指していて、"右手上げ手を振って"からの情報量の多さは、WEST GROUNDが得意とするタイプの「最高潮の演出」で好みです。これらと似たような感想は「イマココ」の記事(注:リンク)にも載せていて、後にレビュー予定の「彩 -color-」(2018)でも近いことを書くつもりなので、リファレンスとして例示しておきます。
ここまでが引用です。近いことを書くつもりと宣言している通り、ここに挙げたポイントを意識しながら読み進めていけば、以降の文章の説得力も増すだろうと期待します。
僕が本曲で最も高く評価しているのはCメロです。引用文中でも「Cメロの高揚感」や「最高潮の演出」などの言葉でもって、WEST GROUNDによる作曲の特徴についてふれていますが、本曲のCはまさにこの類の妙が遺憾無く発揮されたセクションだと言えるでしょう。
いきなりCから掘り下げるとややこしいので、その前に全体的な楽曲の感想を述べておきますと、メロディラインが抱くはち切れんばかりの熱量を、ドラムスとピアノとギターによる疾走感で未来志向に放出させた、旋律とビートの融合が見事なナンバーだと表現出来ます。またも引用文中の言葉を借りれば、これは「バックの疾走感」に寄与するアレンジ面での美点で、それも確かにWEST GROUNDの魅力のひとつではありますが、本曲の編曲を担ったのはZAI-ONである(というかMVを見るにバンド演奏である)ため、今回は副次的な産物としての理解です。
回りくどいクリエイター評となっていますが、ともかく本曲には「勢い付いた切なさ」があることをおさえていただければ御の字で、2番後の間奏で一度このモメンタムが落ち着きを見せてからの展開こそが真骨頂だと捉えています。2:55~の鍵盤の美しさに吸い込まれて、このまま静かなアレンジにシフトしていくのかと思いきや、3:00~のギターインでその予想は数秒しないうちに外れ、ここから更なる盛り上げに入るポテンシャルを感じさせるバッキングにまずゾクっとさせられました。
そして肝心のCメロへ。サビに宿るスピーディーさの立役者と言える、鼓笛隊然としたドラムパターンがここにも登場し、ビートメイキングによるダンサブルな趣が際立つ前半は、"ねぇ 転んでぶつけてケガをしても/手放したくないもの/やっと見つけられたの"という恐れを厭わない歌詞に、アレンジ面から説得性を付していると評せます。力強く繰り返されるシンプルなパターンに、自己の芯の強さを見た思いでいるといった意味です。
続く後半のメロディ展開は天才的だと思います。"終わらない終わらない気持ちが"の部分が、サビの"終わらない終わらない虹の先"のラインを彷彿させるように、「サビメロの変形で成り立っている」ところが実に技巧的です。突然既存の旋律が顔を覗かせてくる驚きと、とはいえ全く同じメロをなぞっているわけでもない意外性に同時に襲われ、初聴時には鳥肌が立ちました。これを受ける歌詞も"会いたい会いたい叫ぶから/羽ばたくあの日の虹を超えて"と、前掲のサビの歌詞に対応していて、ストーリー上の伏線回収も鮮やかです。
この手の「変形」は、作編曲のクレジットが本曲と一緒である同作のOP曲「灯火のまにまに」にも認められ、同曲でCにあたる"ひとつふたつ季節を重ね"の旋律は、サビメロの頭を思い起こさせるものとなっています。これが意図的なのか偶々なのかは定かでありませんが、『かくりよの宿飯』の主題歌として楽想が統一されている点にこだわりを見た気がしました。
ここまでの流れの中に上手く組み込めなかったので、最後に1番Aメロというか立ち上がりの良さについて言及します。先の全体評の中で「ドラムスとピアノとギターによる疾走感」といった分析を披露しましたが、ここに挙げた構成楽器のイントロダクションの役割を持った、「積み重ねによる巧みさ」が1番にはあります。
ギターとボーカルのみの静かな幕開けで、旋律の流麗さと歌詞の柔和さが立てられているA前半。ドラムスとピアノがインして、続く展開への助走をつけるA後半。Bメロ頭の"守"でボーカルに意識を引き付けられた後で、俄に存在感を顕にする各プレイヤー陣。ベースも入って漸く全体の音像が明らかとなり、サビへの期待値が一層高まる楽想。このじわじわとエネルギーを溜めていくシークエンスの存在を、全体評の「熱量を(中略)放出させた」という表現につなげた次第です。
―
![]() | TVアニメ「宇宙戦艦ティラミス」主題歌 Breakthrough/DURANDAL 1,192円 Amazon |
続いて紹介するのは『宇宙戦艦ティラミス』ED曲・スバル・イチノセ(CV:石川界人)「DURANDAL」(2018)です。こちらをメインにしようかとも考えていたくらいには、'18春アニメではお気に入りの切ないナンバー。
実際はこうして2番手での紹介となるわけですが、それにはきちんとした理由があります。確かに同曲は分類するなら「切ない系」のアニソンとなるのですが、この裏には可笑しさが;有り体に言えばギャグ要素が含まれているため、メインで推すと「切ない系のアニソンが聴きたい!」といった素直なニーズを持った人を騙すことになりかねないからです。笑
『宇宙戦艦ティラミス』。このタイトルだけでも「ん?」と思える微妙な面白さが漂ってはいますが、同作は一見シリアスを装っていながらもその実態はギャグアニメで、「エースパイロットはなんかちょっとざんねんだった」というナレーション通りの、ギャップを活かした作風が魅力でした。
ギャグのテイストも個人的なツボと合致していて、10分枠アニメ(本編は6分強ほど)でありながら、笑っているうちに3分ぐらいの体感で毎話「えっ、もう終わり?」と思っていたので、かなり好みの作品だったのだろうと顧みます。同年秋クールには第2期『宇宙戦艦ティラミスⅡ』も放送されていましたが、そちらもクオリティを落とすことなく面白いままでした。『Ⅱ』のTV SPOTは一層シリアス詐欺になっていて、まともなアニメっぽい宣伝内容なのにギャグと化してしまう点が可笑しかったです。
この類の「真面目さが面白さにつながっている」ところを指して、本曲の切なさの裏には可笑しさがあると補足したわけですが、素直に楽曲だけを取り立てるならば、宇宙を駆けるパイロットの孤独にフォーカスした、ビッグスケール×メランコリーに胸を締め付けられる良曲と評せます。
その哀愁は歌謡曲じみたメロディラインによって、宇宙的な要素はイントロ~Aメロ裏のアレンジに顕著な電子制御の感によってそれぞれ表現されていて、この融合はなかなか斬新だと感じました。「テクノ歌謡」という言葉の存在は知っていますし、コンピ盤に手を出すほどには好きな音楽性のひとつですが、それは主に女性アイドルのナンバーに対する形容で、旋律はより甘酸っぱく、編曲はもっとわかりやすくピコピコしているものを指しているとの理解なので、本曲のアウトプットとはまた違う印象です。
アニメではサビの一部(歌謡曲らしさ全開のパート)しか流れていなかったため、初めてフルで聴いた時には先の「電子制御の感」による意外性に見事にやられました。表現の仕方が難しいのですが、イントロのバウンシーなサウンドが演出するグルーヴの心地好さや、Aメロ裏("溶けてゆく"まで)で断続的に聴こえるうねった音から醸される消化不良のワブリー感、コーラスを担うクワイアが終盤で主張を強めるところ(uhからwaへ)などの細かい点がツボでした。いずれにせよ、80年代よりは進んだ時代の手法に映るので、現代或いは未来の趣がある歌謡トラックと言えます。
あとは単純に石川さんの歌声が素敵です。本シングルのCMでも「意外と歌が上手かった」というナレツッコミが入っていましたが、迫真さが翻って笑いにつながるような絶妙な力の入りまたは抜け具合だと絶賛します。
"真っ暗なコックピット/孤独とため息が混ざりあい/宇宙(そら)に溶けてゆく/ここは僕の戦場で/心休めるオアシス/どうか 一人にしてほしい"は、実際は他者との交流を避けたい一心での引きこもり的な利用方法について歌っているにもかかわらず、重責を負ったエースパイロットゆえの苦悩と葛藤を描いているようにも思えますし、"もう帰らない/真っ暗な宇宙で/デュランダル デュランダル/永久に耀け"も、戦場に対する覚悟の現れというよりは、素直に一人で居たい気持ちを発露させているだけなんだろうなと解釈したほうが自然な仕上がりです。
まともな受け取り方の余地を残しつつも、作品を観た人からしたら笑えてしまうこの感覚は、勿論歌詞の言葉選びの巧さもあるでしょうが、石川さんの演技によるところも大きいと踏んでいます。余談ですが、今期('19冬)で石川さんが主人公の声を務めている某アニメも、たまにスバルがちらつくせいで真剣なシーンでも何だか面白い気がして困ります。笑
―
![]() | 福本莉子/少女はあの空を渡る(DVD付盤/2枚組) 1,622円 Amazon |
お次は『ひそねとまそたん』OP曲・福本莉子「少女はあの空を渡る」および「少女はあの空に惑う」(共に2018)をレビュー。振り返りの第十一弾では、同作ED曲「Le temps de la rentrée ~恋の家路(新学期)~」(2018)を紹介しているので、主題歌のセンスが良かった作品との評価をしています。
アニメを観ていない方でも曲名で察しがつくでしょうが、「渡る」と「惑う」は互いに関連のある楽曲です。僕が高く買っているのは後者についてなので、そちらだけをピックアップしても構わなかったのですが、前者の存在があってこそ後者の重みも一層増す;対を成している点を考慮し、きちんとステップを経た紹介にします。
まずは「少女はあの空を渡る」から。第1話と最終話は除いて、第7話までのOP曲です。オーケストラ調のアレンジに、悪い意味ではなく教科書的な正しいメロディライン、岡田麿里さんが手掛けた素直な歌詞に、福本さんのあどけなく透き通ったボーカルも相俟って、合唱曲に宿るような重ね合わせの美しさを、ポテンシャルとして感じさせる仕上がりになっています。
そして実際に、後にリリースされた同作のサントラには「(合唱)」のバージョンが収められており、そちらも福本さんのソロで予感した発展性をしっかりと受け継いだ素晴らしい出来でした。
![]() | TVアニメ「ひそねとまそたん」オリジナル・サウンドトラック(2枚組) 3,142円 Amazon |
この「発展性」こそがキーワードであるとして話を進めます。ここまでに示した通り、「渡る」の合唱アレンジもひとつの展開と見做していて、これは言わば「正方向への発展」だと捉えていますが、対して「負方向への発展」を担ったのが「少女はあの空に惑う」だと理解していて、向きが異なる分「惑う」に受けた衝撃のほうが大きかったです。
ということで、ここからは「惑う」のレビューに入ります。第8話~11話までのOP曲で、アニメでは初めに曲名が出る演出であったため、毎話律儀に画面の文字情報を読んでいた人は一足先に「あれ?」と思ったかもしれませんね。折り返し地点を過ぎて、多くの人が「渡る」に完全に馴染んだであろう段階での「惑う」の登場には、僕もご多分に洩れず不意をつかれました。
完全に違う楽曲が据えられていたのであれば、ここまで驚きを強調しません。たとえばクールの切り替わりでの主題歌変更は定石ですし、1クールアニメでも特殊OPや特殊EDによって一時的に別の曲になることは珍しくないからです。途中から2番になったり歌い手が変わったりする変化の付け方もありますが、それでも驚きの程度は並と言えます。
勿体を付けた書き出しをしていて恐縮ですが、「渡る」から「惑う」への変化がレアなのは、「サビだけが異なる楽曲の登場」である点で、これこそが主張の肝なのでした。歌詞を見れば一目瞭然ですが、「渡る」と「惑う」はサビ以外のセクションを共有しています。つまりBメロ終わりの"聞こえた"を経て、「渡る」の美しいサビメロが来ると期待していたら、"教えて空に果てはあるの?"という意味深な問いを抱く、翳った旋律に攫われてしまう仕掛けになっているわけです。この鮮やかな転身で、僕は一段と『ひそまそ』に引き込まれました。
独り善がりの感想を記しますが、破壊された街や曇った表情のキャラクターの描写が馴染むような、険しさと哀しさを孕んだビジョンが脳内に勝手に浮かんでしまうほどに、「惑う」のサビが醸している悲痛な趣が好みです。実際の作品内容とは異なる妄想を書いているだけなので誤解なきようお願いしますが、正直この「惑う」を聴いて、「ここから先は登場人物が死にまくるんじゃないか」と不安を覚えたことを白状します。だって歌詞が"たためぬ翼/与えて二度と戻らないよ/流れ星はまぼろし"ですよ?徒にキャラを減らすことを推奨したいわけではありませんが、このくらいの暗い展望を予感させてくれただけでも、「惑う」の果たした効果は大きいと称賛します。
―
ここからは「中身の濃いレビューには発展させられそうにない曲」をまとめて紹介します。こう書くとネガティブに聞こえるかもしれませんが、スペースを作ってまで紹介しようと思うくらいにはお気に入りの楽曲群であることに留意してください。「発展させられそうにない」のは、僕の技量不足&時間不足によるものです。
![]() | Memories/涙はみせない 1,296円 Amazon |
『こみっくがーるず』OP曲・ こみっくがーるず(赤尾ひかる、本渡楓、大西沙織、高橋李依)による「Memories」(2018)。通称「まっすろな未来」のおかげで、若干のギャグっぽさが独り歩きしている風潮は否めませんが、楽曲自体を冷静に判断するならば、明るさの裏に切なさを滲ませた、ガールズ奮闘記に相応しい良曲だと思います。
…と言いつつも、やはりかおす先生(赤尾さん)の舌足らずの発声は大きな魅力でした。冒頭の「まっすろな」もとい"真っ白な"もキュートですが、"「ああ、あんな風に」"のへにょへにょした感じも味わい深いです。かおす先生には応援したくなる類のどうしようもなさがありますが、赤尾さんの演技によってその面が一層光っていたので、ハマリ役だったと言えるでしょう。
これだと「可愛い系」の感想になってしまうので、きちんと「切ない系」の要素にもふれますと、サビの"きっと悔いのない青春の一歩!"の部分で、リズム隊のアレンジが広やかなものに変化するところがお気に入りで、マイペースでも前進していく姿勢や、開けた未来が想像出来るサウンドスケープである点が素晴らしいです。
―
![]() | 大丈夫(初回生産限定盤)(DVD付) 1,445円 Amazon |
『レイトン ミステリー探偵社 ~カトリーのナゾトキファイル~』1st ED曲・花澤香菜「大丈夫」(2018)。振り返りの第十弾では同作の1st OP曲である「チェンジっ!」(2018)を簡単にレビューしましたが、そちらが言わば「王道」のつくりであったのに対して、こちらは子供向けのアニメの主題歌としては「変化球」だと捉えています。
なぜなら、サビの旋律が切な過ぎるからです。放送時間帯が朝であることも考慮すると、ここまでセンチメンタルな趣を強めたのは攻めているなと思います。この良い意味で定石にとらわれていないところは、本曲の作詞作曲が槇原敬之さんによるものであることと無関係ではないでしょう。むしろ槇原さんのナンバーとして考えると、とても得心のいく切なさだと言えます。
"霧がすこしずつ晴れて"の後は明るいクロージングとなるので、「大丈夫」という曲名から翻って連想出来る不安を浮き彫りにするための、必要な「影の部分」であることは理解可能で、"霧"の語彙選択も含め、ロンドンを舞台とする作品内容にも寄り添っていて流石です。あとは右側で終始奏でられているギターリフも論功行賞ものだと認識していて、音程は変われど常に同じパターンを維持しているので、ダンスチューンらしいリズミカルさが生まれている点が好みでした。
―
![]() | トマレのススメ (初回限定盤) 1,594円 Amazon |
『踏切時間』主題歌・駒形友梨「トマレのススメ」(2018)。坂井竜二さんによる歌詞がお気に入りのナンバーです。当ブログで坂井さんのお名前を初めて出したのはこの記事(「Endless Journey」の項)にてですが、リンク先には更に関連記事へのリンクを貼ってあるので参考になるかと思います。
「トマレのススメ」という曲名からして巧いですよね。踏切の待ち時間にフォーカスした作品内容にもぴったりで、前に'進む'ために一度歩みを止めてみることの大切さが'薦め'られています。サビの"立ち止まれば 見えて来る/目の前には キミの背中/ここからは未来しかない"では、停止=後退ではないことが説かれていて共感しましたし、冒頭の"“踏み切るためには 足を止めなくちゃ”"を、"何気ない瞬間の/何気ない哲学"と表しているところも文学的で素敵です。
―
![]() | TVアニメ「 多田くんは恋をしない 」エンディングテーマ「 ラブソング 」 1,142円 Amazon |
『多田くんは恋をしない』ED曲・テレサ・ワーグナー(CV:石見舞菜香)「ラブソング」(2018)。アニメは観ていない…というか途中で切ったのを後悔している残念な状態でのレビューとなり申し訳ありませんが、この後悔の一因として本曲の素晴らしさがあることは否定出来ないため、回りくどいですが観ていないなりに作品と音楽を評価しているのだとご理解いただければ幸いです。
僕が本曲で絶賛したいのは、サビの"どんな君でも"の"も"の母音[o]が下降していくラインで、これがなかったら単に「綺麗な曲」の域を出ていなかったのではとさえ思っています。解説が後回しとなりましたが、本曲はサンボマスターが2009年にリリースしたナンバーのカバーで、同バンドおよび作詞作曲を担っている山口隆さんに抱くイメージまで含めて向き合ってみると、この[o]に究極の切なさが宿っているのにも納得です。
―
以上、【'18春アニメ・アニソン(切ない系)編】でした。更新が一週間空いてしまってすみません。年始の実質的な初週による慌しさもありますが、'19冬アニメも続々と始まっているので、新しい主題歌をインプットするほうにエネルギーを割いていました。残り6記事となりましたが、ピッチを上げないと1月中に書き終わらないので、なるべく早くアップするように努めます。