今年も「認定訪問調査」がやってきた。
年に1回、市の調査員の方が家に来て、今年1年間の「介護度」を決定するための調査を行う。
昨年が初回で、今年が2回目。毎年実施される。
昨年は「要介護1」をもらった。
別に無理に介護度を上げたい訳では無いのだが、
現在、週6回のヘルパーさん、週1回のデイサービスを利用しており、
遠距離介護を続けるには、この介護サービスは何とか続けたい。
介護度が下がったのでは、何かを削らなければならないかもしれない。
今回も万全の準備をして臨んだ。
まず「母の状況」と書いたA4用紙1枚を作成。
昨年も作成したが、
「母がいかに認知症なのか」を書いたメモ。
しかも昨年のをベースに、この1年間で追加された症状を「赤」で追記した。
赤い部分が1/3くらいを占め、去年より認知症がレベルアップしていることが一目でわかるようにした。
当日朝、予定の時間に調査員の方がいらっしゃった。
挨拶を済ませ、早速質問開始。
質問内容は、ほぼ昨年と同じだった。
・生年月日、氏名、年齢は?
・今の季節は?
・自分で食事を作るか?ご飯は毎日炊いているか?
・歯磨き、お風呂には自分で入れるか?
・つめは自分で切れるか?
・毎日眠れるか?
・何時に起きるか?
・医者や買い物に自分で行けるか?
・TVは何を見る?
・最後に、私(調査員)の名前は何だったか?
ざっくりこんな内容。
別にありのままを見てもらえば大丈夫だし、僕が答えてはいけないので黙っているのだが、
介護度をキープするためには、そこはそれなりのアピールが必要。
「つめは自分で切れるか?」のときに、母は「自分で切ってるよ」と答えた。
すると調査員の方が「"つめ切り"を見せてください」と。
探し出す母。
しかし、引き出しを開けたら、孫の写真を発見し、
「これ私の孫ですわ。うちの子(僕)はこの子一人なんですけど、もう一人欲しかったんですけどね。流産したらできなくなって・・・」
といつもの、「1日いると10回聞かされる話」のひとつを始めた。
そこでここはチャンス!と思い、
「お母さん、お母さん、今、つめ切りを探してたんと違うん。」と、
関係ない方向に話が行ってることをさりげなくアピールすることに成功。
さらに母は、また次の引き出しで「はがき」を発見し、
「これ、大阪の友人で、栗熊に住んでたときに・・・」とまた長々と関係ない話をし始めたので、
「もうお母さん。つめ切りはどうなったん?」とさりげなく言うことに成功。
さらに母はつめ切りを見つけるのにモタついているので、僕は調査員の方を見ながら、わざと首をかしげる…。
よし!有効打3発!
話は続き、調査員の方が「TVは何を見てますか?」のときに、
母は「いつも見てますよ。向こうが手を振ってきたら、振り返してあげたら喜んでくれてね。」と。
キター!お母さんナイス!
僕はすかさず、
「え?お母さん。TVに手を振ったら、喜んでくれたん?」と言うと、
母は「そうや。いつもしてくれるよ」と。
「お母さんのこと、向こうは見えるん?」と言うと、
「見えるに決まってるやん!アホかあんたは!」と。
調査員の方も、どうしていいのか…という顔をしている。
よし!決定打!
こんな感じで、僕は終始黙ってはいるのだが、母のおかしな行動を逃さず、「わかりやすく」することに成功。
その後、母を除いての、僕と調査員の2人での面談でも、
「さっきのとおり、話がすぐ脱線して、全然話がまとまらなくなりました。」
「TVに話かけるようになって…。しかも"違う!"と言っても、むしろ怒り出すんです。」
とダメ押し。
調査員の方にはしっかり伝わったようで、調査員の口からも「認知度の進展が見受けられますね」と言ってくれた。
あと注意したのは、なんでもかんでもヒドいと言うと、すべてを誇張しているように思われてはいけなので、
できること・・・例えば、料理とか風呂とか着替えとか、こういう本当に問題のないことには
「そういうのはできます。問題ないです」と正直に答えた。
だからさっきの「おかしな点」がしっかり印象に残ってくれたのでは?と。
結果は1ヶ月以内に出る。
介護度が落ちないように…祈ってください。
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