ホームモンテッソーリのお手伝いで、度々いただくご質問に『小学校の算数の単位換算』があります。
1 km = 1000 m
1 m = 100 cm
1 cm = 10 mm
1 mm
このように丸暗記をした知識を元に、計算問題に取り組むということもあるかもしれません。
モンテッソーリ教育では、この単位という抽象概念をどう学んでいくか。
まず最初のステップは『具体物』です。
出発点は「具体物」
用意するのは20㎝くらいのヒモ。
子ども達に部屋の中で探検に出てもらいます。
「このヒモより長いものと短いものをそれぞれ探してきてくれる!?」
この第一段階だったら幼稚園生でも参加できるこのアクティビティー。
感覚の敏感期にいるこの時期のお子さんなら、「長いもの」の代表選手は園バッグのひもを見つけてきたり、「短いもの」はベランダのアリを捕まえてくるかもしれません(笑)。
まだこの段階では「単位」は知らない子ども達。
「長い」「短い」と感覚に訴える形で表現をします。
まさに、感覚教育の長さの棒と同じ概念です。
そしてこの後、初めて出てくるのが「定規」の存在。
ここで子ども達は初めて「センチメートル」という「単位」に触れます。
その他、モンテッソーリのエレメンタリーの子ども達は、このようなウォーキングメジャーを使って教室内の長さを測ってみたり。
果たしてこのメジャーは、いつ使うのかが効果的なのか考えてみたり。短いものを測るには、定規の方が便利だとしたら、それはなぜなのかをディスカッションしたり。また、教室の長さを表すには「cm」で表すのが適切なのかを自分自身に問いかけてみたりと、そもそも単位がなぜ必要なのか、単位があることでどう私たちの生活は便利になったのか…。
単位にまつわる学びの種はたくさんあります。
「単位」のストーリーも聞いてみよう
こんな風に、さまざまな角度から単位に触れた子たちは、もうすでに単位に関する興味は抜群。
種まきは十分なほど行われています。
そこで、やっぱり大切なのは「ストーリーテリング」。
単位にまつわるストーリーを当時の歴史と地理とを駆け巡りながら聞く時間は格別です。
じゃあ、単位換算はどうするの!?
この「ストーリーテリング」は「長さ」という大きな概念を紹介するだけでなく、実際その「シンボル」にまつわる意味や背景も紹介していきます。
例えば、こちら。
キロはギリシア語で「千」
センチはラテン語で「百」
ミリはラテン語で「千」
ギリシア語は「多い」、ラテン語は「少ない」という、倍量と分量の接頭辞のルールを元に、「メートル」を基準にしたとき、キロは「1000倍」、センチは「1/100」、ミリは「1/1000」ということを知っていく子ども達。幼児期の子どもにはまだ備わっていない論理的な思考も、小学生はどんどんと出来るようになってきます。
私たちが学んでいることには背景があり、意味があることを知っていくモンテッソーリのエレメンタリーの子ども達。日本の教育にはあまりないアプローチですが、こんな多角的な部分を娘はすごく気に入っています。
子どもをガイドしていくには、親が半歩先を歩かなければならない部分もありますが、1つ手法を知ると、自ら道を辿るようになるのもこの時期の子どもの特徴かもしれません。
テストで丸が付くことで感じる他者からの評価とはまた一味違った満足感を得られるモンテッソーリの学び。
一度体験すると、繰り返したくなる理由はここにあるのかもしれません。
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