インフォーマ INFORMA(ざっくりネタバレ) | これ観た

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基本アマプラ、ネトフリから観た映画やドラマの感想。9割邦画。作品より役者寄り。なるべくネタバレ避。演者名は認識できる人のみ、制作側名は気になる時のみ記載。★は5段階評価。たまに書籍音楽役者舞台についても。

『インフォーマ INFORMA』(2023)関西テレビ全10話

原作・監修 沖田臥龍

総監督 藤井道人(『青の帰り道』『デイアンドナイト』『新聞記者』『宇宙でいちばんあかるい屋根』『ヤクザと家族』『余命10年』他)

監督 藤井道人、逢坂元、曽根隼人、林田浩川

脚本 酒井雅秋(『任侠学園』他)、澤口明宏

 

桐谷健太、森田剛、佐野玲於、石橋蓮司、MEGUMI、山中崇、大島涼花、田島亮、一ノ瀬ワタル、高橋和也、西村元貴、淵上泰史、二ノ宮隆太郎、千葉哲也、般若、北香那、濱津隆之、横浜流星、宮川一朗太、ほのかりん、他。

 

週刊誌「タイムズ」の記者三島寛治(佐野玲於)は芸能ゴシップばかりで萎え気味。そんな三島に編集長長澤あすか(MEGUMI)から特別任務がくだる。長澤とは旧知であるインフォーマと呼ばれる情報屋のプロ木原慶次郎(桐谷健太)と組んでとある事件を探ることだった。もちろん、その事件及びインフォーマについて記事にすることも含まれる。三島は木原にポンコツ2号とあだ名され、危険な業務につく。

事件は国土交通副大臣山本(入江崇史)に次ぎ、橘建設の常務取締役石原(滝裕二郎)の、二人の火だるま殺人事件に始まる。次に狙われるのが暴力団瀧澤組組長瀧澤力也(千葉哲也)とあたりがつき、すったもんだありながらも仲間である半グレ集団六車(むぐるま)連合、癒着のある刑事丸山(高橋和也)らと共に事件の真相、犯人へと近づいていく…。

 

実行犯は殺し屋冴木亮平(森田剛)とその仲間キム(一ノ瀬ワタル)岡林(田島亮)の謎の集団だった。

しかし冴木に指示を出していたのは、元国土交通省大臣石上兼人(石橋蓮司)で、火だるまに処した三人に恨みを持っていたという怨恨による犯行だった。

石上の息のかかった養護施設で冴木と木原は出会った。施設教員にも虐待されるいじめられっ子だった木原にとって冴木は兄と慕う頼もしい存在だった。でも、ある日、そこから冴木だけが正式に石上の養子にいくことになった。

石上は家庭に恵まれない才ある子供たちを引き取り、彼らには世直しと称して、世の中にはびこる悪を粛正していく傭兵を育て上げるのを目的としていた。そうした傭兵が「謎の集団」と呼ばれ、その中に冴木とキム、岡林がいたのだった。

また、その後インフォーマとして暗躍する木原とも石上は情報源として繋がりを持っていた。

 

そうして5年前の事件が起こる。白川グループ代表取締役白川(池内万作)の未成年淫行事件の際、相反する謎の集団との戦いで木原は舎弟河村愛之介(横浜流星)を冴木に殺される。三島がポンコツ2号と呼ばれるには理由があり、愛ノ介が愛すべきポンコツ1号だったのだ。六車連合の組長河村恭介(淵上康史)は愛ノ介の実兄であり、木原の弟分でもある。また、木原のエスでもあるキャバ嬢のナナ(北香那)は愛ノ介の恋人でもあり、愛ノ介が殺された時、ナナのお腹には子供がいた。

 

木原が河村と共に冴木に対して愛ノ介の復讐を考えていることも織り込み済みで、本当の石上の目的は性癖所以であり、殺人兵器とも呼べる最高傑作冴木と、復讐に燃える木原の闘いが見たかったのだ。病に侵されている石上は冴木が木原に敗れ、最終的に木原に殺されることを切望していた。すべては仕組まれていたのだった。

 

そもそもの石上の恨みが一般的にみてすごく小さな事で(大臣職失脚の際、火だるまにした三人が笑ったこと。果たして何の笑いだったのか真実はわからないのにだ)、そんなの他人からしたらコメディでもあり(それを知った時の呆れたような冴木の顔…というか森田剛の顔、すごく良かった※1)、でもだからこそ怖い。知らぬ間に人を傷つけ恨みを買ってしまってるということがあるということ。このドラマの場合、多くの人を巻き込み、人生をかけて晴らすことになってるのが恐ろしい。

 

途中、耐えられなくなった三島がおりることになってしまうのだが、ベテランとはいえなあなあでやってきた記者箱崎(山中崇)が、まだくすぶる記者魂から代わりを務め、大怪我を負ってしまうのは気の毒でならなかった。記者というかジャーナリストってどれだけ命を張れるかではなく、衝動で取材をするもんだと思ってたし、衝動の前には正義でもなんでもない我欲があるだけだと思ってたからなお。だから箱崎のような記者は多くいるだろうけど、三面か一次ソースを正確に伝えるだけにしときゃあいいんだ。と思ってる。
 

桐谷健太に森田剛ときて、LDHなのに想像以上に良かった佐野玲於、チンピラ具合が良かった横浜流星、その他役者はいい感じに揃ってるのに、刑事部長に猫組長はないだろ…と。たいした台詞もないが、そのたいした台詞でもないものががっかりさせられるものだった。お友達感覚で起用はやめて欲しい。お話がしっかりできていただけに。そういえば『ムショぼけ』にも出ていたっけ。

 

テンポよく情も愛も笑いもあり、話の層も適度で、締めも良く、面白かった。30分10話の尺に無駄なく収まってるのが素晴らしい。

 

※1このシーンだが、恨みの理由を問う瀧澤に石上が「あの時、笑ったろ」と話すのだが、この言い方が間といい、すごく良かったし、隣りにいた石上の秘書川俣(宮川一朗太)の表情も良かった。当然瀧澤は「は?」だ。このシーンは秀逸だった。(8話目)

 

★★★★(★)