9月5日、上流の東部丘陵地でアウトレットなど大型開発がいっぱい進行しているので、長谷川の状況について、住民の皆様らと現地調査した。現地調査から、課題・問題点を検討した。
1、 長谷川は氾濫を繰り返してきた河川で、京都府が改修を急務としている危険な天井川
城陽市の南東部に位置する青谷川と長谷川は災害を繰り返してきた木津川の支川で、流域面積は40㎢で延長は3040mである。うち天井川の区間が1000mある。しかも天井川がJ Rと国道とを交差し水路橋で跨いでいる極めて被害リスクが大きい河川である。
J Rと国道を跨ぐ2つの水路橋は1961年の建設で、約60年経過し老朽化が進行している。
漏水もある天井川であり、十分な堤防の補強が急務である。堤防の法面は1:2の勾配が必要だが、私が簡易に測った箇所(J R水路橋の下流の左岸)では1:1.6の勾配しかない。添付の京都府資料でも1:1.6となっている。
構造物の劣化の状況については、草木が繁茂していたので目視では確認できなかった。
京都府は天井川である弥陀次郎川決壊を契機に「天井川の関する技術検討会」を設置し、府内全ての天井川が決壊リスク被害リスクなどを分析した。その結果、長谷川は、府内38の天井川のうち、4番目に改修が必要な河川と結論づけられた。然るに整備計画や改修の具体化は放置されている。
2、 日常管理が十分にできていない川
構造物の日常点検や、砂の供給量の多い河川での堆砂の除去や、草木の除去は河川法により河川管理者に課せられた日常管理である。
しかしながら、写真にあるように河道内の草は伸び放題で、ガマの穂の状況などから昨年以前から草刈りがなされていない様だ。この状態では目視による構造物の日常点検は不可能であり、京都府がきちんと点検をしていないこともまた明白である。
写真にあるように仲谷橋下流には2mほどの土砂堆積が放置されているばかりか、河道の真ん中に樹木が家屋の屋根ほどの高さにまで大きくなっている。近隣住民らが土木事務所に要請しているが返事すらなされていないとのことであった。
3、 上流で保安林を解除して行う東部丘陵地開発は危険
こうした状況の長谷川の上流で、アウトレット開発をはじめとした巨大開発が、住民の反対をよそに工事着工された。
このように、日常管理すらできていない危険な天井川の上流での保安林解除を強行して行われる巨大開発は容認できるものではないし、保安林解除の要件を満たしていないことは明白である。
また、上流地域の東部丘陵地は、「古宇治川」の砂利が多い地層で、ほぼ全量の雨水を浸透させ、下流の河川にはほとんど洪水を供給していないという特異な地域である。だから豊富な地下水がある地域でもある。この地域の地表をアスファルトとコンクリートで覆い、全量を危険な天井川に流すことは許されないものであるしん。しかも、長谷川の洪水浸水想定区域図によれば、宇治・久御山・城陽に及ぶ内水氾濫常襲地域である。上流での大規模な開発は危険であることが、長谷川現地調査で明らかになったのではないだろうか。