★★★★★★★★☆☆

1985年 116min.

ネタバレ バレてるんでしょうね、きっと。

敬称略

 

 

 監督 トビー・フーパー

 製作 メナヘム・ゴーラン、ヨーラム・グローバス

 脚本 ダン・オバノン、ドン・ジャコビー

 音楽 ヘンリー・マンシーニ、マイケル・ケイメン

 

 トム・カールセン大佐:スティーヴ・レイルズバック

 コリン・ケイン大佐:ピーター・ファース

 ハンス・ファラーダ:フランク・フィンレー

 ブコフスキー所長:マイケル・ゴザード

 パーシー・ヘーゼルタイン卿:オーブリー・モリス

 アームストロング院長:パトリック・ステュワート

 バンパイア:マティルダ・メイ

 ロジャー・デアブリッジ:ニコラス・ボール

 

 

 まあこれ、初めてこの映画のことを知った時はバンパイアですから血を吸うんだろうなんて思ってたんですけれども、どうも予告編ではそうでもないみたいでしたし、それならそれで「スペース」なわけですから、なるほどじゃあいったいどうなんや、なんてちょっと楽しみにして観に行ったことを覚えてますね。ただ監督がトビー・フーパーでしたから、ある程度の覚悟はしておりましたけれどもね。

 

 で、のっけからの鳴り響く曲は、えっこれがあのヘンリー・マンシーニ!なんて驚きましたよ。ヘンリー・マンシーニってったらもう「ピンク・パンサー」ですからね。それがこんなまったく違うオーケストラ様の曲を作曲したのかと思ったら、わたしちょっと感動すらしてしまいました。名曲ですよね。

 

 脚本はダン・オバノンですね。そうなるとやっぱり「スペース」なわけですし、「バンパイア」なわけですから、どうしても「エイリアン」とか「バタリアン」とかそっち系を期待してしまいますね。そう、期待してしまうんですよ。でもどうしても若干の不安はぬぐえませんね。だから要するに、監督も脚本も当たりハズレの大きい人、っていうイメージなわけです。キャノングループですしね……。ちなみに、冒頭はまんま「エイリアン」ではありました。

 

↑まあこれはこれで

 

↑なつかしいですけどね。

 

↑スペースシャトルのクルーです。

 

 なんかハレー彗星の探査をしていた英国チームのスペースシャトルがありましてですね、そのレーダーに映ったハレー彗星の中に、長さ240kmのなんかが映っててそれを調べに行こうと言っとりますよ。

 

 観ているほうからすれば、そんなん調べに行こうとするからや、とはなりますね。「エイリアン」での教訓がまったく生かされていないわけです。

 

↑こちらのSFXはやっぱりスゴイです。

 

 いつも言いますけれど、こういう感じってCGでは出せないと思うんですよ。まあわたしは技術屋じゃないですから(あ、建設現場の現場監督ですから違う『技術屋』ではありますけれども)、どこがどうって具体的には言えないのですけれども、なんかこうSFXのほうが味がある、て感じがします。

 

 で、彗星の中に映ったなにかはでっかい宇宙船でして、それをみつけて中に入るわけですよ。

 

↑宇宙船の内部はこうなっとります。

 

 やっぱりこれ「エイリアン」なわけですね、どっからどう見ても。「まんまエイリアン」なわけです。

 

 そうこうしてますと、

 

↑なんかコウモリみたいのが出てきましたよ。

 

 まあバンパイアですからね、そらやっぱりコウモリなのでしょう。原作はありますから、原作もそうだったのでしょうね、きっと。わたしは知りませんけど。でも原作のタイトルは「スペースバンパイア」ですから、きっとコウモリだったのでしょう。

 

↑サンプルを持って行こう、とか言い出して網かけてますよ。

 

 いやいやだからそんなん持って帰ったらアカンて、てなりました。でもどうなんでしょう、もし実際にこういう場面になったらやっぱり持って帰るのでしょうかね。放置したら次いつここに来られるかなんてわかりゃしないですしね。でもやっぱりわたしは、持って行ったらアカンて、とは思いました。

 

 さて、でその後、その宇宙船みたいなところの中で、一人ずつカプセルに入った全裸の男二人と同じく全裸の女一人を発見してしまいますね。それも持って帰る、と。ところがここから物語が動き出しますよ。いやまあ、もうとっくに動いてますけれど、なにしろ動くんですよ。

 

 えと、回収はしたんですけれども、けっきょく回収したスペースシャトルはなんらかの原因で交信できなくなって、戻ってこなくなります。で、30日後にお助けでもう一台シャトルを飛ばして、てことなのですね。

 

 そんなに簡単にシャトル飛ばせるんか、て思いましたけれど、そういえばこれいつの時代かなんて書いてなかったですから、きっとそういう時代なのでしょう。

 

 で、お助けチームが見たものは、火災で真っ黒こげになったシャトルの船内、なんてことになるわけです。

 

↑こんなんなってましたよ。

 

 でも全裸の3人は無キズだったわけです。

 

↑全裸のマティルダ・メイです。

 

 ここまでの流れはいいです。若干スピードがゆるいかな、というところはありますけれども、でもそれも極端に遅いわけではないですから、違和感はないです。

 

 で、マティルダさんは解剖されることになります。そう、こうやってけっこう早いウチから次々と「いやいやそんなことするから」案件が勃発するので目が離せない、てところなわけです。

 

 もちろんマティルダさんの魅力は大爆発ですね。

 

↑マティルダさん。

 

 いや、そらあーた、淀川さんかてコウフンしはりますわ、てなもんですね。昔は本作、なんか5回もテレビで放映されたそうですよ。あんたも好きねえ、て感じですけれど、今じゃそんなんゼッタイ、ムリでしょうね。一回ですら放映できないかもです。なんならこのシーン、おっぱいのところにモザイクかけそうですね。悲しい世の中になってしまいました。

 

 ここからマティルダさん、全裸のままで大活躍です。

 

↑キスして性器を、っじゃない、精気を吸い取って、

 

↑で、ミイラになってしまいましたよ。あ、ミイラは手前で寝てる方ですけどね。

 

 精気を全部吸い取られるわけですからね、そらミイラにもなるでしょうよ、て感じですけれど、まあそれでもこのお方、役得ではありますね。全裸の世にも美しいマティルダさんに抱きつかれて、抱きつかれただけでなく濃厚なフレンチ・キスまでされて、これが役得でなくて何と言いましょうか。このお方も脚本呼んで小躍りしたのではないでしょうかね。

 

 て、なんちゅう映画や、てわたし言ってしまいました。「全裸の女を手配して捜し出せ」て言ってましたからね。でもそれはそれで、みんなむらがるんちゃうか、て思ったりもしましたよ。

 

↑いやもうこんなんなったら映画なんて入ってきません。

 

 ちなみに、テレビもスカパー!もちゃんとモザイク入ってますから、DVDだけですね、こういううれしい、あ、いや、こういうハレンチなシーンを観られる、あ、いや、観させられるのは。だからみなさん、本作を観る時はちゃんとDVDを借りて、あ、いや、テレビで放映されたものを観るようにしましょうね。

 

 閑話休題。(←なのか?)

 

↑いや、これなんですよ。これぞSFX!なわけです。

 

 やっぱりCGだとリアルすぎて、こういう感じってでないと思うんですよ。いやだからって、CGを全否定しているわけじゃないですよ。CGのおかげで恐竜たちが現代によみがえったわけですし、怪獣やゴリラが街で大暴れするわけですし、戦争の悲惨さはよりリアルに表現できるわけですからね。適材適所、ということですよ。うまく使い分けてくれればいいのになあ、と思うのはわたしだけなのでしょうかね。

 

 ちなみにわたし、実家の隣人にこのミイラそっくりな人がいました。このシーン観るといつもその隣人を思い出すわけです。

 

↑精気を吸い取られる表現もいいじゃないですか。

 

↑ほんでもって、吸い取ると元に戻るわけですね。

 

 内容的には、2時間ごとにこうなるそうです。わたしちょっとここらへんで、ん?、とはなりました。この宇宙吸精鬼はなにをどうしたいのかがよくわからなくなってしまいまして。まあじっくり考えればわかりますし、別にわからんでも話はあらかたわかりますし、だからわからないなら、それはそれでいいんですけどね。でもなんかやっぱりちょっと心に引っかかるものを持ちながらしばらく観ることとなってしまったのはザンネンでした。

 

 ので、ちょっと整理してみます。

 

↑えと、マティルダさんは外に出てしまいましたね。しかも全裸です。

 

 まあ、全裸は置いといて。

 

 で、そのマティルダさんのおかげで、いや、せいで、こういう金髪ミイラが増えるわけです。まあ金髪だけじゃないですけど。

 

 じつはこのミイラさん、2時間経つとよみがえってだれかの精気を吸い取ることになるらしく。でもそこで精気をもらえないと、つまりターゲットを見つけられないと、そのまままたミイラになって息絶える、ということです。息絶える、もう終わり、なわけですね。だから次々と精気を吸っては元に戻り、吸われた方は2時間経つと精気を吸って、ていうことが繰り返されていくわけで、気がついたら街は吸精鬼だらけの大パニックの様相となってしまう、というわけです。

 

 でもわたしここでハタと気づきましたよ。じゃあミイラはミイラで、2時間経ったら自力で動き回ってターゲットを捜さなきゃならないじゃないですか。でもものはミイラですからね。そんな動き回れるほど頑強じゃないです。風吹けばチリになるくらいモロいのではないかと。じゃあこれ、ミイラが元に戻れる確率ってそうとう低いのでは、てなったわけです。どうなんですかね。原作ではそういうところは網羅されていたのでしょうか。まあ今後わたしがこの原作を読むことはほぼないのでしょうけれども、もし万が一読むことがあったら、そこを確認してみたいとは思いますね。

 

↑あ、かの金髪女性のミイラは、ちゃんと陰毛も金髪でした。

 

 そういうところはダン・オバノンらしいところなのかもしれませんよ。

 

↑で、爆発しました。

 

 なんか精気が吸えないと爆発する仕組みたいです。やっぱりバンパイア的には非効率なんだなとわたし確信しました。

 

↑さて、こちらが主役のカールセン大佐、スティーヴ・レイルズバックです。

 

 最初のシャトルに乗っておられましたね。何が起こったかの説明をしておられます。曰く。

 

 どうやら例のブツを回収すると、一人ずつ乗組員が狂って死んでしまい、なぜだかわからないけれども自分だけ生き残ってしまった。で、じゃあもうしかたないので全裸3体は宇宙船ごと燃やして、自分は脱出艇で逃げようとした、というわけです。

 

 まあ、そんなことだろうと思ったぜ、的な説明ではありますが、別に不快感はないですし、なあんだ、ともなりません。そこらへんは脚本力なのでしょう。若干やっぱり「エイリアン」感はぬぐえませんが……。

 

 ただやっぱりトビー・フーパーですかね。ちょっと腑に落ちない場面もあるにはあります。

 

↑えと、夜中の3時ごろに悪夢にうなされて絶叫して目を覚ますスティーヴ・レイルズバックのもとに驚いて集まる、の図なんですけれどもね。

 

 夜中の3時ですよ。いつもそれくらいの時間に寝るわたしだってパジャマには着替えてるのに、めっちゃ正装してるじゃないですか。なんなら、いま着替えてきたん?いうくらいの勢いですよ。こんな時間までこの二人はなにをしていたのでしょうかね。仕事、ですか?まあないとは言い切れませんけど、でも……、でしたね。

 

 あと、途中でスティーヴ・レイルズバックは催眠術をかけられます。そしたらなんとレイルズバック、マティルダさんが違う女に乗り移って男を誘惑して、なんてことをすらすらと説明した挙句、男の乗ってる車のナンバーまで言ってしまう、という暴挙に出ましてね。いやいやそれじゃなんでもアリやん、とはなりました。催眠術最強説浮上、なわけです。

 

↑こんなとこまでなんでわかるん、て。

 

 でもわたし、ここでもまたハタと気づきました。

 

 要するに、レイルズバックとマティルダさんは心がつながっている、とそういうことなのだ、と。愛し合っているということか、となったわけです。

 

 まあフツーだったら、いきなり愛してるって、となりますけれども、お相手の方は宇宙から来られた方ですからね。そういうこともアリなんじゃないのか、って思いますよ。ムリというほどのムリはないわけです。そもそもSFだから、というわけですし。だから、催眠術のところも全然問題ないというわけで、わたしここでちょっと反省した次第です。

 

↑この地球を同類で埋め尽くす、言うとられます。

 

 ここでわたし肚落ちでした。なるほど~、て。要するに宇宙吸精鬼は侵略者だったわけです。バルタン星人ですね。さすがよくできたお話、なのですね。

 

 そうしたところの説明も次のシーンでちゃんとされてます。

 

↑パトリック・ステュワート。「新・スタートレック」「X-メン」の方ですね。

 

 でこの方に、

 

↑マティルダさんが乗り移って事の説明をするわけです。

 

 やっぱりマティルダさんはレイルズバックを愛してしまったそうでして。一目ぼれ、てやつですね。だから容姿も、レイルズバックの意識の中に入り込んで理想の女にしてみた、ということです。宇宙は広いからそういう宇宙人もいるんやろなあ、とはなりますから、やっぱりムリはないですよね。それがムリなら、このお話自体がムリのオンパレードですからね。そこはもうこれありきなわけですよ。

 

 ただこのシーンでザンネンだったのは、マティルダさんとパトリック・ステュワートが入れ替わりながら話すもんですから、若干キモかった、というところですね。なんか、

 

↑レイルズバック、パトリック・ステュワートをじっと見つめたかと思うと、激しくキスしますよ。

 

 わたし、おえっ、てなりました。

 

 あとは、ちょっと盛り上がりに欠けるかなあ、というところでしょうか。もちろん最後はトンデモなことになるのですけれども、そこまでがちょっと静かに事が過ぎすぎで、という感は否めません。いや、おもろいんですよ内容的には。だからこそよけいにもったいないな、という気がするんですよ。そこがやっぱりトビー・フーパーなのかな、って思います。ここらへんで7つかな、なんて思ってました。

 

↑昔ながらの方法で殺した、だそうですが……。

 

 心臓に鉄の杭を打ち込む、ってやつですね。ただ「昔ながらの」て……。ちょっと現実と小説の世界がごっちゃになってしまったような気がしますね。そこは違うんじゃないかとは思いました。

 

↑さすがのわたしも、ここはCGのほうがいいとは思いました。

 

 だからやっぱり「適材適所」なのでしょう。この時代ではこれが限界なのでしょうから、そういうところはCGに感謝せねばならない、とは思います。

 

↑で、ロンドン大パニック!です。

 

 1時間30分ごろ、ようやくハデになってきましたよ。ここからガラッと変わるわけです。ただやっぱりこれ、極端なんですよ。メリハリとは違いますからね。いきなり真逆の雰囲気になっちゃいますから、ちょっと戸惑う結果となるわけです。もうだって首相まで殺られちゃいますからね。ロンドンを隔離、とか言ってますし。

 

 もちろん観てるほうはそれはそれで面白いですけれど、ちょっと時間がかかりすぎ、という感じです。メリハリでもっていってほしかったな、というのがわたしの要望ではあります。

 

↑レイルズバック(左)が説明してます。

 

 男の吸精鬼が魂を集めて、女の吸精鬼、すなわちマティルダさんを通して母船に送り込んでいる、だそうです。ほらね、とんでもないビッグスケールな話になってきましたよ。

 

↑こちらが母船です。

 

 で、マティルダさんは知識を得るためにレイルズバックとセックスしたのだけれども、その時に自分の身体の一部をレイルズバックに預けたらしいので、それを取り戻そうと

 

↑マティルダさんがレイルズバックを呼んでいるのだ、ということなわけです。

 

 まあまわりくどいですけどね、やってることは。でもお話的にはほんとよくできてる、とは思います。

 

↑そうこうしてても街はパニックです。

 

 もうこれ、なるほどなダン・オバノンです。このシーン、まんま「バタリアン」ですからね。

 

↑だからバンパイア言うよりゾンビなんでしょうね。

 

 ただタイトルを「スペースゾンビ」ってしちゃうとこれ一気にB級どころかC級、D級感満載になってしまいますので、やっぱり「スペースバンパイア」で正解だったとわたしは思います。

 

 えと、じつはここらへん、明らかに音楽が違う感じがしましてね。ヘンリー・マンシーニってほんとにこんな「ダイ・ハード」みたいな曲作るの、なんて思って調べて見ましたら、なんかところどころマイケル・ケイメンが音楽担当してたらしくって、それはそれでナットクいたしました。どうりで、という感じです。

 

↑ここらへんは「ポルターガイスト」ですね。

 

 リチャード・エドランドなのか、と思いましたが、違ってました。

 

 ちなみにいま「エドランド」って打とうとして「えどらんど」って打って変換したら「江戸ランド」って日光みたいになりました。しばし笑ったところです。

 

 えと、で。

 

↑光に包まれて、

 

↑コウモリ、なのでしょうか……。

 

 いやあいいじゃないですか、こういうアナログ感。わたし拍手喝采ですよ。最高です。ひとつ増やしました。

 

 で、大団円に向います。

 

↑レイルズバックはこんなことしとります。

 

 ケイン大佐がゾンビたちの相手をしているすきに、ですよ。ていうかレイルズバック、

 

↑ようこんなんで演技できたな、と思いましたよ。

 

 ひょっとしてスティーヴ・レイルズバック、名優なのかもですね。

 

 なんて思ってましたら、唐突に終わりました。どうやらレイルズバックは連れていかれた模様です。「コクーン」じゃないですけどね、それはそれでハッピーライフを送ることでしょう。ありがとうございました。m(_ _)m

 

 

今日の一言

「な、なんかみんな、うらやましいな……」

 

 

レビューさくいん

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