★★★★★★★★★★

1979年 115min.

ネタバレ 名作に敬意を表して、盛大にしました。

敬称略

ちょいグロ画像アリ

 

 

 監督 リドリー・スコット

 製作 ウォルター・ヒル

 原案 ダン・オバノン

 脚本 ダン・オバノン

 音楽 ジェリー・ゴールドスミス

 エイリアンデザイン H.R.ギガー

 

 ダラス船長:トム・スケリット

 リプリー:シガーニー・ウィーヴァー

 ランバート:ヴェロニカ・カートライト

 ブレット:ハリー・ディーン・スタントン

 ケイン:ジョン・ハート

 アッシュ:イアン・ホルム

 パーカー:ヤフェット・コットー

 

 

 SFホラーの最高傑作でしょう。ま、ていうか、SFホラーなんてジャンルがあるのかどうかは知りませんけれども、いずれにしても、映画としても最高傑作、という感じではありますね。

 

 もうのっけから、ジェリー・ゴールドスミスの音楽が魅せるわけですよ。

 

 ジェリー・ゴールドスミス。わたしが一番好きな映画音楽家ですね。わたし以前にこのブログで、結婚式のBGMはすべて映画音楽にした、なんて言いましたけれど、やっぱりその時もジェリー・ゴールドスミス率高かったですし、その昔は映画のDVDから、オープニング曲やエンディング曲をカセットテープに録音して映画音楽全集なんて作りましたけれど、ほとんどジェリー・ゴールドスミスとジョン・ウィリアムズになるわけです。

 

 たしかに、ジョン・ウィリアムズはすごいですよ。現在、全世界で唯一交響曲を作曲できる人、って言われてますしね。でもね、「スーパーマン」「スター・ウォーズ」「E.T.」ってみんななんか同じに聞こえますよね。そういうところがどうにも、とわたしは思うわけですね。ところがジェリー・ゴールドスミスは違いますよ。まあそらたまには似たような曲もないこたないですけれども、ほとんどこれ、え、これ同じ人が作ったの、感満載なわけです。最後にこの人の作曲した映画を羅列しときますけれど、ビックリですよ。しかもそのどれもが完成度が高いときては、もうだれも文句は言えませんね。言いませんけどね。ここでも紹介しましたけど、「オーメン(1976)」でアカデミー賞なんてもう当たり前なのですよ。これしかとってないのがおかしいくらいなわけです。わたしが千葉に越した2004年の7月に、75歳なんて若さで亡くなられてしまったときはわたし、人目を忍んでそうとう泣きましたよ。もうこれほどの人は出てこないのでしょうね。ザンネンでなりません。

 

 さて、それはそれとして、映画ですが。

 

 監督はリドリー・スコット。本作の2年前に「デュエリスト/決闘者」なんて映画でデビューしてますが、本作が事実上の大作第一作、ということです。「トップガン」のトニー・スコット監督のお兄さんというのは有名ですね。

 

 で、リドリー・スコット。1977年に「スター・ウォーズ」「未知との遭遇」、1978年に「スーパーマン」というSF映画が先に公開されて大ヒットしましたから、なんとかこの「エイリアン」も成功させたいと、そうとう意気込んで作ったそうですよ。ホラーなんて触れたこともなかったということで、「エクソシスト」を何度も観て研究した、と。すごいですねえ。もうほんと、「スター・ウォーズ」「未知との遭遇」「スーパーマン」とそん色ない出来ですよ。ていうか、ホラー要素が入ってる分わたしは本作のほうがすごいとさえ思ってます。ここだけの話ですけど。なにしろオープニングがもうそうとう「スター・ウォーズ」意識しとるやろ、て感じでしたからね。

 

 音楽にしてもそうですよ。先の3作品はジョン・ウィリアムズ、本作はジェリー・ゴールドスミス。いろんな「負けられない戦い」があるのですね。

 

 ところでわたし本作、高校1年生の時に初めて「テレビで」観ました。わたしが映画狂いになるのは、生まれて初めて自力で映画館で観た「E.T.」からなのですけれども、その「E.T.」を観たいと思ったのは、この映画の影響が大だったと思います。今ではひょっとしたらこんな映画はテレビで放映できないかもしれませんから、つくづくいい時代に生まれたな、と思いますね。

 

 当時新発売された「ビデオデッキ」を、新し物好きなわたしの祖父が買ってくれて(驚くなかれ、買ってくれたのはソニーのβのデッキでしたけど)、そのおかげでビデオに録画することができたものですから、そういうタイミングもよかったですしね。もうほとんどテープが擦り切れるほど、何度も何度も観なおしたものですよ。それだけ衝撃だったわけです。

 

 そのテレビ版では、オープニングの字幕(英語の)が出るところはナレーション的に声優さんが日本語で読み上げてましたけれど、まだまだわたし映画なんて映画館で観たことはほとんどなかったわけですから、ああ、本国でもこうやって字幕を向こうの俳優さんが読むんだろうな、なんて漠然と思ってました。ちなみに日本語で読んでいたのは、声優さんでなく、リプリー役のシガーニー・ウィーヴァーの吹替をされていた野際陽子さんだったそうです。そういえばそうだったな、なんてけっこうな昔を(40年も前!)思い出したりしました。

 

↑宇宙船ノストロモ号ですよ。貨物船だそうですけど、めちゃめちゃデカいですね。

 

↑ノストロモ号の乗組員が冷凍睡眠から覚めるシーンです。

 

 このシーン、全員ほんとは全裸の設定だったそうですけど、なんかそれすると最低でも五か国で上映できなくなるってことがわかって、けっきょく隠すことになったらしいです。まあ、ザンネンなのかなんなのかですけれど、写真のようにヴェロニカ・カートライトの胸にテープが貼ってあるのはけっこうな違和感ではりました。

 

↑一等航海士ケイン役のジョン・ハート。

 

 本作の前の年に、先に「エレファント・マン」で観てて(これもテレビで、ですけど)知ってましたから、こんな男前だとは知りませんでしたけれど、その演技の幅の広さにけっこう度肝を抜かれたことを覚えてますね。まだ映画のなんたるかをわかっていないころにも関わらずそれですから、やっぱりすごい役者さんなのですよ。このブログでは「スケルトン・キー」で紹介しました。「ハリー・ポッター」シリーズのオリバンダー老人、と言った方がわかりやすいのですかね。わたしは知りませんけど。

 

↑ヴェロニカ・カートライト。

 

 けっこうちょいちょいいろんな映画に出られてましたけど、日本ではいまいちなじみが薄いですかね。2007年に旦那さんと死別されて、それ以来表舞台には出てないみたいです。

 

↑トム・スケリット。

 

 Wikipediaによると本作、けっこういろんな有名役者たちに様々な役でオファーかけたみたいですよ。なんか、ウィリアム・ハートとかジョン・ハード、サム・エリオット、デイヴィッド・ワーナー、ロディ・マクドウォール、ブライアン・デネヒー。こんな人たちが出てた「エイリアン」も観てみたいなあと一瞬思いましたけど、でもよく考えたらウィリアム・ハートやジョン・ハードはどっちかってえと社会派俳優だし、サム・エリオットは強すぎるし、ブライアン・デネヒーは太すぎるし、なんてなって、ロディ・マクドウォールとデイヴィッド・ワーナー(「オーメン(1976)」のカメラマン氏)が残りますけど、この二人はなんかかぶるし、そう考えると本作の配役は絶妙だった気がしますね。そもそもトム・スケリットが船長役ってのは最初っから決まっていたようですしね。「トップガン」のヴァイパー役の人ですよ。本作が出世作ですね。

 

 ていうかこれわたしいつも思いますけれど、こんなどでかい宇宙船で、たったこれだけのクルーで大丈夫なのですかね。船になんかあったときの修理班て、ヤフェット・コットーとハリー・ディーン・スタントンだけですよ。なんかとても優秀そうには見えないですしね。まあ、いいんでしょうけどね、たぶん。でもやっぱりわたしだったらこんな船に乗ろうとは思いませんね。命預けるわけですからね。まあ本作は、別のことで命やられますけど。

 

↑こういう、宇宙船を下から撮るってのはやっぱり「スター・ウォーズ」を意識してんでしょうね。

 

↑キレイですよ。

 

 「スター・ウォーズ」にも「スーパーマン」にも負けてませんね。CGなくてこれですからね、やっぱりこの当時の技術はすげえなあ、と思うわけです。

 

↑そうこうしてると宇宙船がいよいよ異星に降り立ちますよ。

 

 こんなことさえしなきゃ、ってのはまあ内容を知ってる者が思うことですけどね。でもザンネンでなりませんね。けっこうキンチョー感はありましたけど。

 

↑降りるときに地面が不安定で船体が傾いてパニックになりましたよ。

 

 そうとうな大ダメージのようですけど、ほんとにあの二人で大丈夫なんでしょうか。どうでもいいことで不安になってしまいました。

 

↑その二人です。左がハリー・ディーン・スタントン、右がヤフェット・コットーです。

 

 どう見ても大丈夫ではなさそうなのです。

 

 ところでですね、けっこうここまで、長いです。あのウォルター・ヒルが絡んでる(製作)わりには、映画の上映時間自体も115分ですからね。でも退屈はしないんですよ。ずっとキンチョー感があって、あっという間に時間が過ぎていきます。時間がかかるようなシーンでも、そこでまたジェリー・ゴールドスミスの音楽が効果的なのですね。なんか、観客を怖がらせるすべを完璧に知っている、という感じです。まんまとハマるのですね。

 

↑この宇宙船は「エイリアン」シリーズの象徴ですね。

 

↑で、化石になった謎の宇宙人、と。

 

 これ実際8mの大きさだったそうですよ。今だとCGなんでしょうけれど、作っちゃうってとこがすごいです。スタジオ見学なんかだと実際にこういうのが見られるわけですからね。CGしか使ってない映画だったらなにも残らないわけですから、やっぱり貴重なのです。まあこの宇宙人は、けっきょく最後まで何のことかはわかりませんでしたが。

 

↑探検してるとジョン・ハートが滑り落ちます。

 

 ここのシーンだけはあまりにもわざとらしくって、どう観てもジョン・ハートがわざと落ちたようにしか見えず、いつも失笑してしまいます。

 

↑なんかの卵が並んでます。

 

 最初はこれ、タマゴではなく女性器の形を完璧に再現していたそうで、それを見た全員があきれてしまって、けっきょくこの形になったそうです。もしこれそのままだったら、上映できたのですかね。テレビとかではどうなんでしょう。先ほどの全裸にしてもそうでしたけれど、なにかとお騒がせな映画ではあります。

 

↑卵の中身が透けて見えます。

 

 まあ、こうなった時点でヤバいと思わないと、とも思いますが、でもよくよく考えたらこの人たち、宇宙船に乗るような人たちですからね。好奇心は旺盛なわけですよ。例えばスペースシャトルに乗るような人たちだったら規則通り慎重に行動するのでしょうけれども、この時代背景ですと、宇宙なんて普通に行き来しているようですし、そういう危機感みたいなものは薄れているのでしょうね。触りたくもなるのでしょう。

 

↑でもね、こうなったらもうダメですよ。卵の口(て言うのか?)が開きました。

 

 ジョン・ハート、逃げなアカンて、なんて思ってましたよ。

 

↑中身こんなやし。

 

↑あー、そんな覗き込んじゃ、て思ったら……、

 

↑こうなりました……。

 

 だから言わんこっちゃない、てことですよ。まあとはいえここらへんは、われわれ観客も折りこまれ済みではあるわけですけどね。

 

 ここ、ジョン・ハートたちが外から戻ってくるとき、こんなんなってしまったジョン・ハートを入れろ入れないでトム・スケリットとシガーニー・ウィーヴァーが大モメするシーンがあるのですね。わたし当初は、「入れられない」って拒否ったシガーニー・ウィーヴァーがうぜぇとか思ってたのですけれども(当時高校生ですから、「拒否った」とか「うぜぇ」なんて言葉はありませんでしたなあ)、今は逆ですね。逆に、入れろ入れろと言ってるトム・スケリットのがウザいですよ。けっきょく入れちゃいましたけど、だからトンデモなことになるわけで、ほれみよ、という感じではありますね。以外に船長、わからずやであります。

 

↑若干引いてるトム・スケリットが笑えますが、

 

↑外でそれを見てるクルーたち。

 

 ヤフェット・コットーは、ずっと「冷凍しろ」って言ってるんですね。わたし、それが正解、って思わず言ってしまいましたよ。ジョン・ハートは凍っちゃいますけど、ほんと正論なわけです。でもね、でもやっぱり助けたいと思うのもわかりますよね。だからそこらへんの流れはムリはないですよ。入れろ入れないでけっきょく入れてしまうのも、ウザいですけど、意味はわかります。ただ、みんながみんな、なんかいがみ合ってるのがわたし的にはムリっちゃムリかもです。心配になっちゃうんですよね。それはやっぱり映画の本質ではないのじゃないでしょうかね。いや、でもそれが実はリドリー・スコットの煽りなのかもしれないですね。わかりませんけど、もしそうなら、まんまと罠にハマった、てことなのでしょうか。

 

 ちなみに、字幕見てましたらここのシーンでのヤフェット・コットーのセリフに「あれが何かわからぬ」って書いてありまして、いきなりの重鎮感にわたしズッコケました。せっかくの本格SFホラーが台無しであります。

 

↑遅ればせながらのシガーニー・ウィーヴァーです。

 

 この人も本作が事実上のデビュー作ですね。オーディションでは絶賛だったそうですよ。最初はメリル・ストリープにオファーを、なんてことだったみたいですけど、ほんとそうじゃなくってよかったと思います。身長182cmはビックリですね。そういえば「ゴーストバスターズ」で共演したリック・モラニスが子供に見えましたよ。

 

↑ここのこのシーンはわたし大好きです。

 

 なんかダラス船長のトム・スケリットがくつろいでるのか物思いにふけってるのか、てシーンです。こんな状況で、船長が一人でってのはどうかとも思うのですが、なんかでも安らぐというか、う~んちょっと違いますかね、どう言ったらいいのか難しいのですけれども、嵐の前の静けさとも違うし、まあいずれにしても好きなシーンなわけです。モーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」の第二楽章が心に染み入ります。

 

↑エイリアンの中身、です。

 

 なんかカキとかイカとか貝とかをふんだんにちりばめたそうですよ。おいしそうには見えませんけどね。

 

↑でジョン・ハート、いよいよこうなります。

 

 待ってました、って感じですね。ジョン・ハート、熱演であります。知る人ぞ知る、ですけど、ここのシーンは、役者たちにはなにがどうなるかって詳しいことは説明してなかったってのは有名な話でして、だからみなさん演技ではなく本気の表情してますよ。演技だったらどうなんでしょうね。表情は作れるけど、雰囲気はこんなにはならなかったのかも、と言うところでしょうか。のちにスピルバーグが同じことを「グーニーズ」でもやりましたけど、あちらは演者が子供たちだったので、いまいち良さはわかりませんでした。

 

↑で、こうなって……、

 

↑子エイリアンが飛び出てきて、

 

↑ヴェロニカ・カートライトに血しぶきが飛ぶ、ということになります。

 

 このシーンは偶然だったそうで、そら最高やん、て思いましたけれど、ヴェロニカ・カートライトにはサイアクやん、でしたのでしょう。

 

↑みなさんいい顔してますよ。

 

 うつろなハリー・ディーン・スタントンが笑えますね。

 

↑子エイリアン。

 

 この造形!キモいしコワいし。もう「造形美」ですらありますね。後ろで白い顔して手をけいれんさせてるジョン・ハートの演技は秀逸でした。

 

↑で、逃げて……、

 

↑イギリスの名優(イアン・ホルム)もこうなるわけです。

 

↑ジョン・ハートは葬られました。

 

 宇宙船でだれか死ぬと、ほとんどの映画がこうして外に放り出しますけど、これいつも観ててツライですね。もちろん亡くなってはいるんですよ。だからこれもアリなんでしょうけど、これずっと永遠に宇宙を漂うってわけですよね。まあ、どっかの星に落ちるかすい星や小さい星や宇宙の塵とかにぶつかる、なんてこともあるかもですが、基本、永遠に漂う、と。それやっぱり寂しいですよね。なんかいつもこのシーンではわたし、かわいそうやなあってノスタルジックな気持ちになるのです。

 

 さて、そしていよいよ船内がパニックになりますね。とりあえず捜しに行かなきゃ、というわけで、シガーニー・ウィーヴァー、ヤフェット・コットー、ハリー・ディーン・スタントンの組と、トム・スケリット、ヴェロニカ・カートライト、イアン・ホルムの組とに分かれます。で、前者の組でなんかみつけた、ってなって、さあ、なんて言ってたら実はネコだった、て。このシーン、キンチョー感バリバリでしたから、そんなオチかよ、的なところもいい演出ではあります。メリハリも大切なわけです。そのあとの、ホッとして思わず吹き出すってヤフェット・コットーの演技は秀逸でした。しっかりオーディションで選んでるだけのことはあるな、と思いますね。しかもこのネコのせいでハリー・ディーン・スタントンが分断されて一人になるってわけですから、脚本にもまったくムリはないですね。素晴らしいです。まあ、ヤフェット・コットーがなんか最後まで、自分は生き残るべきだ、と脚本に文句つけてたってのは引く案件ではありますが。

 

↑ネコちゃんも熱演です。

 

 さあそしていよいよ船長が殺られます。ほんとはね、船長が自ら行っちゃいかんのでしょうけれどね。責任感が強い、ってのはわかりますけど、やっぱりここは指示を出すことに専念すべきだとわたしは思いましたよ。で、案の定、まさかこんな早くに亡くなるとは、でありました。

 

 ところで、殺られるところははっきり見せてくれません。でもそれが効果的であります。何しろエイリアン自体の姿がよくわからないわけですから、観ているほうの不安は募るばかりなわけですよ。恐れ入ります、って感じです。トム・スケリットが殺られる一連のシーンはほんとに怖いですからね。

 

↑トム・スケリット船長の逃げたところにいたのでした。

 

 ホラー映画の王道であります。

 

↑イアン・ホルムは壊れました。

 

 突然なんかキレたりしてめちゃくちゃ怖かったのですけれども、要するにロボットがバグった、てことなのでした。文字通り「壊れた」わけですね。でもイアン・ホルム、イギリスの名優なのですからね、こんな役ではありましたが、大作デビューのシガーニー・ウィーヴァーが緊張してると知ると、なんか毎週末に自宅に呼んで食事させてたそうですよ。やさしいおじさんなのですね。

 

↑そんなやさしいおじさんも、映画ですとこんなしてかわいがってたシガーニー・ウィーヴァーの口に本を差し込んだりします。

 

↑その本が「平凡パンチ」だってのは有名な話であります。

 

↑ロボットでも名優には変わりないのです。

 

 さて、そんなこんなでいよいよ残るは、シガーニー・ウィーヴァー、ヤフェット・コットー、ヴェロニカ・カートライトの三人となります。えらいさびしくなったな、と思いますけど、よく考えたらそもそもクルーは7人しかいませんでしたからね。半分以下っちゃ半分以下ですけど、ももともと寂しかったのは間違いないところですね。

 

 で、その三人で脱出、てなるんですけど、ヤフェット・コットーとヴェロニカ・カートライトのふたりは燃料を取りに、シガーニー・ウィーヴァーは宇宙船の自爆装置のタイマーをつけにと二手に分かれます。そいでもってシガーニー・ウィーヴァーは、作業の途中にネコちゃんの声を聞いて捜しに行くことになるわけですね。これ、じつはリドリー・スコット監督、こんなトンデモな緊急事態にネコなんて捜しに行っておかしいと思われないか、ってずっと思ってたらしいですけど、それはなんか動物と一緒に住んだことのない人なんかな、ってちょっと思いました。いや、そら捜しに行くでしょうよ。エイリアンと一緒に死なせたりはゼッタイにしませんよ。これが人だったら、自力で何とかせえ、て思いますけど、動物はそうはいきませんからね。事態の把握はできないわけですから、こちらが助けてあげないと、なわけです。もしこれ最終的にネコちゃんも爆発に巻き込まれて、なんてことになっていたら、後味はそうとう悪いと思います。これが正解なのですね。

 

 で、そういう最後の三人のシーンは、基本シガーニー・ウィーヴァーがメインで映されますけど、合間合間にヤフェット・コットーとヴェロニカ・カートライトのシーンが挿入されます。でもってまたこれが絶妙な間で入ってきますから、緊張感がどんどん高まるわけです。じらしてじらして、おいおいあの二人はどうなった、て思いが限界になった時にぽっとその二人のシーンが入る、と。もう完全にしてやられてるわけです。

 

↑こうなるともうオワですな。

 

↑エイリアン、デカいし。

 

 でも意外にやせてますね、エイリアン。この船の中では、あんまりいいもの食べてなかったんでしょうね、きっと。実際は、スーツアクターがひょろひょろのアフリカ人の方だったらしいです。

 

↑で、まずヤフェット・コットーがこうなりまして、間髪入れずヴェロニカも殺られました。

 

 ヴェロニカ・カートライトは声だけで、殺られるとこは映ってませんでしたけど、それもまた正解、なわけです。恐るべし、リドリー・スコット、でありました。

 

↑シガーニー・ウィーヴァーがボルト締めます。

 

 わたしこのシーン、なんか好きなんですよねえ。金属の当たる音がとっても耳に心地よくって、癒されるのですね。

 

↑でもけっきょくすぐに恐怖に戻されます。

 

 ま、ホラー映画ですから当たり前なんですけどね。観客に休む暇などないのですよ。ちなみにこのシーンは、DVDのディレクターズカット版のみのシーンです。

 

 自爆装置のタイマーをかけてからのシーンは、けっこうライトの点滅が激しいので、現代の若い子たちが観たらヤバいかもなんて思って観てましたが、ほんと気をつけなきゃイカンと改めて思いました。

 

↑で、宇宙船大爆発です。

 

 なんとか無事にシガーニー・ウィーヴァーも逃げおおせて、船もエイリアンともども爆破、と相成ったわけですが、いやまこれ、こんなに大爆発する宇宙船を、ほんとにあの二人だけで直してたんか、て思いましたらわたし、笑ってしまいました。実際のところどうなんでしょうかね。どれくらいの大きさで、どれくらいのことをあの二人はわかっていたのでしょう。2122年というはるか未来の話ですから、なんとでもなるんでしょうかね。なんて思ってましたけど、よく考えたらあと100年じゃないですか。そらムリやろ、とこれまた改めて思ってしまったのでした。

 

↑さてこうして、すべてが終わってホッと一息となります。

 

 観客にも緊張感をほぐしてもらおうと、シガーニー・ウィーヴァーのサービスショットでお楽しみください、なんてことになります。いやまわたしこれ、最初は高校生ですからね、観たの。いやそりゃうれしいけど、なんなんこのシーン、て思いましたよ。よく覚えてます。

 

↑半ケツ大サービスですし。

 

↑そしたらいたんです、エイリアン!

 

 わたしこれ、口あんぐりでありましたよ。まあ確かに、残り時間もまだけっこうあるし、イヤな予感はしてたわけです。ただ、この残り時間で地球に帰っていろいろあるんやろな、とも思ってましたから、ほんとにここのこの絶望感はなかったです。

 

 で、シガーニー・ウィーヴァーの脱ぐシーンですけどね、これ当初は全裸になって(よほどリドリー・スコット、エロ親父とみました)、エイリアンがそれを見て自分との身体の違いに思わず見入ってしまう、というシーンがあったらしいのですけれども、それがもろもろの事情から頓挫になって、その名残でせめて下着だけでも、でこうなったそうです。まあ、宇宙服を着るときに大股開いてなんてシーンは、いたいけな高校一年生には刺激が強すぎましたが、それもいい思い出ではあります。

 

 まあ、それはそれとして、いやこれほんまにどないすんねん、と、どないしたらええねん、と思いましたね。最終手段はなるほどな攻撃をシガーニー・ウィーヴァーが見せてくれたわけですけどね、これほんと機転の利く人でよかったと、今でも思いますよ。自分だったらこんなこと考えつくかって思ったら、疑問符しかわいてきません。だいたい最初に観たときは、宇宙服を着だしましたから、それ着て闘うんか、って思いましたからね。そのおかげで、その最終手段を観て、おおおっ!てなったわけですから、つくづく自分がアホな高校生でよかった、と思った次第です。

 

↑最後の最後はきちんとエイリアンの最期を見せてくれました。

 

 よかったよかった、なのでありました。

 

 エンディングテーマも名作ですよ。

 

 あ、ちなみに、モロモロ突っ込みどころはあります。

 

 ① オープニング

 まだクルーも誰も起きてきてないところで、カメラが船内を映しますが、たぶんこれ、ネコのキャリーケースだと思うんですけど、中に入っているだろう何かが動いて、ケースがガタンてなるとこがあります。たぶんですよ、ネコが中で飛ぶかなんかしたんだと思いますけど、え、ネコこれ冷凍してないのか、っていう。何年生きとんねん、と。

 

 ② 脱出ポッドが全員分ないのはおかしくないか

 「みんなで逃げよう」というヴェロニカ・カートライト(だったと思いますが)に、「4人しか乗れない」というシガーニー・ウィーヴァー。え、て。そらアカンでしょう。なんかあったら3人は殺して逃げろ、てことでしょうか。

 

 ③ いやなんかクルーたち、いがみ合いすぎで。

 

 ④ 宇宙船の自爆装置のカウントダウンが遅すぎないか問題

 秒数を数えてると思うのですが、カウントダウンと同時にDVDデッキのカウント見てましたけど、全然違ってました。

 

 ⑤ 同じく自爆装置。

 いや、起動させると10分後に爆発ってのも、短すぎるような……。しかも5分経ったら解除不能。う~ん……。

 

 などと。

 

 ただまあ、これはこれとして、ほんとはひとつ減らしたいところではありますが、やっぱりSFホラー映画としてのパイオニア、ですからね。最後に、終わったとみせかけて実はそうじゃないよ、まだまだ終わらないよ、的な手法は、今のホラーじゃ当たり前みたいになってますよね。「ターミネーター」もそうでした。でもこの手法、本作が初めてだったそうです。いろんな意味で本作、歴史的な映画、というわけですから、そんな最高傑作に敬意を表して、満点10個といたしました。ご了承ください。m(_ _)m

 

 

今日の一言

「声はかわいいんだけどね、エイリアン」

 

 

おまけ

 

ジェリー・ゴールドスミス 主な映画音楽作品群

・猿の惑星 1968

・パットン大戦車軍団 1970

・トラ・トラ・トラ! 1970

・パピヨン 1973

・風とライオン 1975

・カサンドラ・クロス 1976

・オーメン 1976

・エイリアン 1979

・スター・トレック 1979

・ランボー 1982

・ポルターガイスト 1982

・トワイライトゾーン/超次元の体験 1983

・サイコ2 1983

・グレムリン 1984

・スーパーガール 1984

・未来警察 1984

・レジェンド/光と闇の伝説 1985

・ロマンシング・アドベンチャー/キング・ソロモンの秘宝 1985

・ランボー/怒りの脱出 1985

・ポルターガイスト2 1986

・勝利への旅立ち 1986

・ダブルボーダー 1987

・レンタ・コップ 1987

・インナースペース 1987

・ランボー3/怒りのアフガン 1988

・リバイアサン 1989

・トータル・リコール 1990

・グレムリン2 新・種・誕・生 1990

・ロシア・ハウス 1990

・フォーエヴァー・ヤング 時を越えた告白 1992

・氷の微笑 1992

・ミスター・ベースボール 1992

・ルディ/涙のウィニング・ラン 1993

・コンゴ 1995

・スタートレック ファーストコンタクト 1996

・エグゼクティブ・デシジョン 1996

・L.A.コンフィデンシャル 1997

・エアフォース・ワン 1997

・ムーラン 1998

・追跡者 1998

・ハムナプトラ/失われた砂漠の都 1999

・インビジブル 2000

・トータル・フィアーズ 2002

 

 

 

レビューさくいん

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