★★★★★★★★★

2013年 105min.

ネタバレ

 しないと前作からのつながりがわからないんですよ。

敬称略

 

 

監 督

 ジェイムズ・ワン

製作総指揮

 スティーヴン・シュナイダー

 ブライアン・カバナー=ジョーンズ

製 作

 ジェイソン・ブラム

 オーレン・ペリ

脚 本

 リー・ワネル

音 楽

 ジョセフ・ビシャラ

 

ジョシュ・ランバート:

 パトリック・ウィルソン

ルネ・ランバート:

 ローズ・バーン

ダルトン・ランバート:

 タイ・シンプキンズ

フォスター・ランバート:

 アンドリュー・アスター

ロレイン・ランバート:

 バーバラ・ハーシー

エリーズ・レイニア:

 リン・シェイ

スペックス:

 リー・ワネル

タッカー:

 アンガス・・サンプソン

カール:

 スティーヴ・コールター

 

 

 さて、一作目はこれほんとに怖かったですよ。ダメ父のパトリック・ウィルソンもあってそうとうにラストは手に汗握った感じでした。その続編ときちゃあ観ないわけにはいきませんね、というやつですよ。まあ「続編」というのがいまいち不安もありますけれども、スタッフもキャストもみんなまったく同じなら期待しかないというのも事実ではありました。そもそも監督がジェイムズ・ワンで脚本がリー・ワネルで音楽がジョゼフ・ビシャラなら怖いもんなしということです。怖い映画ですけど。若干、観る前にキャストを調べてたら、なんで前作で亡くなったはずのリン・シェイが出てるんやというのがわからなくってですね、自分のブログ読んだら「ラストでトンデモ」なんて書いてありましたので、とりあえず、なので一作目のそのラストを観てからの鑑賞となりましたよ。

 

↑オープニングは1986年のランバート邸です。

 

↑本編で出てくるバーバラ・ハーシーの若き頃、と。

 

 演じるのはジョセリン・ドナヒュー。なかなかに美人です。

 

 一作目で、パトリック・ウィルソンが子供のころ悪魔にあっちの世界に連れていかれたことがある、って言ってましたけど、その話から入るわけですね。

 

↑若きリン・シェイ(リンゼイ・シーム)。

 

 めちゃめちゃかわいいです。わたし完全にどストライクです。そして

 

↑若きパトリック・ウィルソン(ギャレット・ライアン)です。

 

 ようもこんな似てる人たち連れてきたな、の感は否めませんね。ナイスキャスティングなわけです。

 

 おさらいしときますと、一作目で説明してましたが、子どものころのパトリック・ウィルソンは幽体離脱のプロで自由自在に幽体離脱していた、と。で、その空の身体をのっとるべく悪魔がやってきてパトリック・ウィルソンの身体に入り込もうとすることが何度もあったので、その記憶を若きリン・シェイが消しに来た、ということですね。それをこのオープニングで観せている、という構図です。

 

 にしてもやっぱりこれ音楽がスゴイですよ。まあいまさらのジョゼフ・ビシャラなわけですが、あんまり話題にはなってないですよね。不思議でなりません。ホラー映画の音楽は、「オーメン(1976)」でわたしの大好きなジェリー・ゴールドスミスが、「ジョーズ」でジョン・ウィリアムズがアカデミー作曲賞を受賞してますが、それに匹敵すると思うんですけどね。

 

 さて、オープニングが10分で終わってタイトルが出て、現代に戻ってまず最初に

 

↑奥さんのルネ(ローズ・バーン)が警察の事情聴取を受けてます。

 

 一作目エンディングの翌日だそうですよ。なるほど、一作目からちゃんとつながってますね。一作目のエンディング部分はここで観せてくれますので心配ご無用です。そういう気配りはジェイムズ・ワン、リー・ワネルですからぬかりないわけです。

 

↑パトリック・ウィルソンは熱演だったですよね。

 

↑刑事役のマイケル・ビーチは「霊は信じない」と。

 

 いや、そうなんですよ。普通はこうやって事情聴取されるんですよ。人が殺されたり不可解な死に方してるわけですからね、これでなくっちゃならんのですよ。なのにホラー映画って、その後日譚は語られないじゃないですか。そういうところに踏み入ってるジェイムズ・ワンとリー・ワネルはほんとチャレンジャーやなとこちらもほくそ笑んでしまいます。

 

↑いや、ベイツ・モーテルかとは思いましたけど。

 

 そこはねらった感満載ですね。ここはおばあちゃん、要するにバーバラ・ハーシーの自宅で、ランバート邸を警察が調べる間、ランバート一家が居候するわけです。流れもなんの問題もありません。

 

 で、当然ですけど、

 

↑ピアノが勝手に鳴りだしたりして、速攻で事が起こりだします。

 

 いいじゃないですか、この休みなしの怒涛の恐怖。まさにジェイムズ・ワンとリー・ワネルコンビの真骨頂、なわけですね。

 

↑ベッドに寝ていたはずの赤ちゃんも下に落ちてます。

 

 で、この奇怪な現象を夫のパトリック・ウィルソンに言っても、

 

↑この、人を小バカにしたような顔でダメ夫ぶりをいかんなく発揮してます。

 

 相変わらず腹立たしいです。おまえ改心したんちゃうかったんか、て思いましたけど、よく考えたらパトリック・ウィルソン、一作目のエンディングで悪魔にとり憑かれとったな、と思い出しまして、そうなるともうこちらとしては「しめしめ」ですよね。

 

 ここまで20分でしたが、まったくそんな時間が経ったとは思えないほどスピーディーですよ。

 

↑で、奥さんはダメ夫パトリック(ダメパト)に言いくるめられてしまいました。

 

 わたし、「あかんて」て言ってましたね。

 

 一方で

 

↑この方たちも忘れてはなりませんね。

 

 左がタッカーのアンガス・サンプソン、右が我らがリー・ワネルです。

 

 こちらのふたり、一作目のエンディングで亡くなってしまったリン・シェイの死を悲しんでそのリン・シェイの家に来たのですが、そしたら

 

↑地下室へのドアが勝手に開いたりします。

 

 なんのしわざかはわかりませんけど、間違いなくこちらはキンチョーします。

 

 一方ベイツ・モーテルでも当たり前に怪奇現象が起こりますよ。

 

↑バーバラ・ハーシーは

 

 ダルトンの「後ろにだれかいる」の言葉で家の中を探索しますが、これもまたキンチョーなんですよ。もうですね、観ている側はどこも休むところがありません。

 

↑カガミ越しにこんなんですよ。

 

 たまらないですよね。

 

↑パトリック・ウィルソンだった負けてはいられません。

 

 怪しい雰囲気が出てて、いい演技です。今回は一作目の「ダメパト」とは違って、すでになにかがとり憑いている前提で撮ってますから、とことん怪しいです。わかりやすいですけど、それがいいんですよ。そもそもパトリック・ウィルソンの演技が秀逸ですから、怖すぎるわけです。

 

↑ここはけっこうビビりました。

 

 子ども時代のパトリック・ウィルソンのビデオ映像を見てみたら、うしろに大人になったパトリック・ウィルソンが映っているという。もうトリハダですよ。わたしチビりそうになりました。若干チビったかもしれません。

 

↑いや、めちゃめちゃ美人ですけどね。

 

↑いよいよ戦闘開始なわけですよ。

 

↑美人の奥さんがすっ飛ばされました。

 

 バーバラ・ハーシーの家でこれですよ。もうどこにいてもダメなわけです。しかも奥さん一人でですか。わたしにはムリですね。

 

 その後、バーバラ・ハーシーがリン・シェイの助手であるタッカー(アンガス・サンプソン)とスペックス(リー・ワネル)に協力を求めたので、二人だけではなにもできない助手たちは霊界からリン・シェイを呼び出そうと

 

↑霊媒師のカール(スティーヴ・コールター)を招集しました。

 

↑降霊会なわけです。

 

 まあこうなってくるとほんといろんなホラー的な要素が入ってて、しかもそれらをとことん掘り下げてやろうって感じもあって、とても好感が持てます。

 

↑その脚本を書いたのがこの人(リー・ワネル)なわけです。

 

 さてそうしてリン・シェイと無事交信でき、その導きで

 

↑バーバラ・ハーシーが若き頃働いていたという病院に来ます。

 

 ここに、リン・シェイを殺した女がいる、とそういうわけです。若干、例のお化け屋敷方式で大きな音で驚かせるところがありますが、でもこれ実際悪魔だったりなんだったりもそういう技を使って驚かせたりするならアリっちゃアリかもです。わたしこの映画観ててそう思うようになりましたよ。そもそも極力そういうシーンは抑えてますしね。また、こういうシーンだとけっこう長くってダレたりするんですが、とにかく緊張感が持続しているのでそれもないです。計算しつくされた恐怖が続くということです。

 

↑で、ここでパトリック・ウィルソンもタイヘンなことになりだしましたよ。

 

 歯が抜けたんですよ。なんかね、イヤですよね。けっきょく最後は助かるんだとわかってますから、そしたらなんか歯がない、って。まあ、「エクソシスト」のリンダ・ブレアのこと考えたら歯が一本なくなったくらいどってことないんでしょうけどね。リンダ・ブレアは頭部が一回転しましたからね。いくら悪魔が乗り移ったっていったって、リンダ・ブレアは生身の身体ですから、その頭部が一回転したらもう生きてはいないです。生きてましたけど。

 

 えと、パトリック・ウィルソンはこのあと女の声が聞こえますよ。お前の死んだ魂が肉体を滅ぼした、助かりたければ人間を殺せ、だそうです。そしたらパトリック・ウィルソンが言うに、「いやだ、そんことさせないでくれ、母さん」と。えと、母さんてバーバラ・ハーシーですよね。ほんとトンデモなことになってきましたよ。もちろんバーバラ・ハーシーの声音を使う悪魔の所業なのでしょうけれども、パトリック・ウィルソン同様こちらもパニックになってきました。どう収拾つけるんやろ、て。まさかパトリック・ウィルソンは実はバーバラ・ハーシーの実の子ではなくほかに本当の母がおり、その母の声だった、とかいうのか、それじゃ「オーメン」だわ、なんて思ってしまいました。ま、そんなことはなかったですけどね。

 

 ここらへんでは途中ハンディカムになったりもしますけど、わたしハンディカム映像って目がブレて痛くなってほんと大キライなんですけど、ここはそれもちゃんと抑えてあって逆にとても効果的になってます。ジェイムズ・ワンがよくやる手法ですよね。健在でうれしい限りです。

 

↑ここのシーンも見逃しがちですけど、わたしはスゴイと思います。

 

 いや、なにがって、ちゃんと懐中電灯の光だけで撮ってるんですよ。こういうシーンてよく、いやいや懐中電灯で照らしてこんなに明るくならんやろ、って言うことになりがちなんですけど、それもちゃんと配慮されてるわけですよ。当たり前なんですけど、その当たり前を当たり前にやるってのが映画を作るうえではなかなかに難しいわけです。さすがジェイムズ・ワンともう賞賛しかありません。

 

↑いやここはほんとに怖かったです。

 

 わたし、「うへぇ、こえぇよ~」って言いましたからね。言いながらあまりの恐怖で笑ってしまいました。

 

↑うーわ、て。

 

 あ、ここは病院から移動してきたところです。バーバラ・ハーシーとリー・ワネルたち4人が病院を探索していた時、バーバラ・ハーシーが昔そこにいた怪しげな患者を思い出して、そいつがキーマンや、てことになり、そやつの家へ来た、というわけです。リン・シェイの導きだ、と。

 

↑その家を探索してます。

 

↑で、どうやらおかしいぞ、言うとられます。

 

 いやいやここへ連れて来たのはリン・シェイじゃないぞ、というわけですよ。もういまさらですけど、まあ要するに先の降霊会で降霊したのは実はリン・シェイじゃなく別のだれかで、そいつがここへ連れてきたんだ、というわけです。

 

 で、こっからしばらく力入りますよ。

 

↑壁を叩いたら向こうから叩き返してくるんです。

 

 わたし気がついたらめちゃめちゃ肩凝ってました。

 

↑で、その壁が隠し扉になってまして、開けたらこれですわ。

 

 最初、「エイリアン」かて思いましたけど、

 

↑あ、死体か、と。

 

 えと、種明かしはですね、バーバラ・ハーシーが病院で思い出した患者はパーカーって男なんですけど、そいつが母親に言われて15人もの女性を次々と殺していた、てことだそうです。そのパーカーの母親の霊がここへ導いたのだ、というわけです。でもってパーカーは女装して女性を襲ってまして、もうなんかこうなると「サイコ」ありーの、「ポルターガイスト」ありーので、ホラー映画のデパートみたいになってきました。でもね、とにかく怖いですからまったくイヤミはないです。怖さがしっかり先に立ってますので、バッタもん感はまったくなく、ホラー映画としての心地よささえ味わえるという算段です。

 

↑だからこの一連のシーンはわたしずっと顔をしかめて観てました。

 

↑こちらのお方はいよいよヤバいです。

 

↑リー・ワネルは楽しそうです。

 

 まあ、そらそうやわな、とは思いましたけど。ある意味リー・ワネルもヤバいっちゃヤバいです。

 

↑で、カールがパトリック・ウィルソンを取り戻そうとしてます。

 

↑もちろんこうなりますね。

 

 パトリック・ウィルソンとカールの二人だけにして、なにかあったら助けに入ると言っていたリー・ワネルとアンガス・サンプソンは

 

↑無能でした。

 

 案の定、ではあります。

 

 まあでもおかげでカールは向こうの世界で

 

↑ほんもののパトリック・ウィルソンに会うことができました。

 

 そこでこのふたりでリン・シェイを捜す、ということになります。なにしろけっきょくずっとリン・シェイを捜している映画、ということなのですね。

 

 なんか突拍子もないような気もしますけど、でも流れとしてはまったくムリがないです。違和感、イヤミといったたぐいの負の感情はまったくわいてきません。さすがの脚本力、というべきなのでしょう。

 

 なんていってたら、

 

↑あれ、一作目のとこやん、てなりました。

 

 でもね、ここからのシーンがもう衝撃でしたよ。「シックスセンス」の最後の大どんでん返しにも匹敵するほどの驚きですよ。おほほ~、そういうことかよ~、ってなります。単なるホラーではないですね。ちゃんと計算されつくしてます。ほんとスゴイです。

 

 だから、

 

↑こんなシーンでも感動すらしてしまうのです。

 

↑さっきの写真の回答もここでされます。

 

 おおお~っ、て言いました。1時間15分過ぎてからはもういちいちすげえわ、です。

 

↑そういうことだったのです。

 

 ところが

 

↑こっちの世界ではこんなことになってます。

 

 パトリック・ウィルソンが美人の奥さんを襲ってるんですよ。はやく何とかしないと、って。ここらへんの静と動もしっかりとメリハリつけられてて、休めません。

 

↑このお方はもうすっかり変形してますし、

 

↑奥さんは大ピンチです。

 

 ホラー映画ってけっこうそうなんですけど、ちょっとこういうシーンではエロティシズムも感じますよね。ましてや殺られてる方がこれほどの超絶美人だともうなんともはやで。そういう部分はホラー映画のエンターテインメント性と言えるのではないかなとわたしは思います。単にエロいシーンを見せるというわけではないですからね、こちらは。いろんなエンターテインメントが詰まった良質なホラー映画、というわけです。

 

↑ということで、ここでは息子ががんばりました。

 

 愛するお母さんを助けるべく、愛するお父さんをバットでぶっ叩いてますが、パトリック・ウィルソンの肉体は大丈夫だったのでしょうか。そういうとこだけが本作での不安な部分ではありました。

 

↑向こうの世界ではこうです。

 

 さっきも言ったようにこの静と動が心地いいんです。しかもこのシーン、静なのに力入りますからね。休めないとはそういうことなんです。

 

↑救世主はやっぱりダルトンくんでしたね。

 

 本当のお父さんを捜しに行くんだ、と自ら立候補です。

 

 まあとはいえ、がんばれダルトンくん!ではあります。

 

 そして、

 

↑感動のシーンへといざなわれるわけです。

 

 やっぱりここは本気で感動しました。愛を貫くジェイムズ・ワンとリー・ワネルの真骨頂、というわけですよ。

 

↑監督と脚本家コンビの描く象徴的なシーン、です。

 

 やっぱ最後はこれだよなあ、で観了いたしました。

 

 ただですね、やはりどうしても腑に落ちない部分はあるわけで。

 

 ラスト、ダルトンくんがお父さんを救出に行きましたよね。その本当のお父さんは向うの世界でリン・シェイとカールと一緒にいましたけど、みんなそれは魂なわけで、ダルトンくんがお父さんを見つけて帰ってくると、お父さんの魂はこっちの世界の肉体に戻るわけですよ。でもそうなってくると、ほら、やっぱりこっちのお父さんの肉体って、歯は抜けてるわ、バットで頭ぶっ叩かれてるわ、ボロボロじゃないですか。長期入院を余儀なくされてもおかしくないと思うんですよね。魂が戻ってきたら肉体のキズは修復されるのでしょうか。そこらへんは言及されてませんので、やっぱりそこだけがどうしても腑に落ちない部分ではありました。ので、ひとつ減とさせていただきます。ご了承ください。

 

 

今日の一言

「ほぼポルターガイストやけどな」

 

 

レビューさくいん

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