2024年4月、wabi-sabiに所属していたSantaがGMMに移籍っていうニュースには本当に驚かされたました。

だってSantaと言えば「SantaEarth」。

日本ではEarth姐さんと呼ばれてるwabi-sabiのキュートな小悪魔。『Until We Meet Again』で涙を誘った悲劇のInを演じたEarth。

『Love by Chance』ではTitleと、そして『UWMA』ではKaoとのCPを経て、いよいよSantaとの固定CP誕生。投稿されるTikTok動画にリアルCPじゃないかと噂されもしたSantaEarthだったのが、SantaがGMMに移籍とは・・・!

CP推しをしない私でもなんだか心がざわつきました。

そんなタイミングで2022年作『My Only 12%』を観てみました。

 

『My Only 12%』

監督       New Siwaj Sawatmaneekul

原作       Afterday

キャスト Earth/Santa/Prem/Afterday/Peak/Benz

約40分×全14話

2022年8月12日-11月11日放映

おやおや。なんとなんと。

この作品の原作は「Afterday」とありますが、作中の「ホム姉さん」を演じたエキゾチック美人、この方がAfterdayらしいです。

しかも彼女は『Bad Buddy』、そしてTee監督の新作『 I Saw You in My Dream 』の原作者でもあるそうです。

 

そのような原作のあるドラマですが、この作品はNew監督にとっての自叙伝的な作品でもあるのではないかと思いました。New監督はこの作品では監督だけでなくエグゼクティブ・プロデューサーでもあるため、その色合いは濃厚ではないかと思います。

そしてこの『12%』を世に送った2022年は、長年構想したまま止まっていたUWMAスピンオフ『Between Us』をもやっと世に出した年でもあり、彼の作品の総決算の年だったのではないかと思いを馳せるのです。

 

もしかしたらNew監督が『My Only 12%』についてインタビューに答えているものがあるかもしれません。しかし私には探せなかったのでここから先は勝手な憶測で書いていきたいと思います。

 

EP4でホム姉さんが「友達から借りてきたDVD、観る?」と言ってイウと一緒に観ますが、イウは途中でそこで描かれている男の子同士のキスシーンを観て怖れの入り混じった表情を浮かべます。イウが何かの衝撃を受けていることにホムは気付き、DVDを止めました。

その後EP5でイウは一人でそのDVDを観て、彼らの愛が親から理解を受けないということに酷く傷つきます。

この作品はがなにかといえば言うまでもなく2007年作のタイ映画『ミウの歌~Love of Siam』です。

これについては過去にブログで書きました。

 

 

ここで私は、

そしてね、『ミウの歌』の終わりが切ないの。現在のタイドラマを作る監督たちは『ミウの歌』を最後にめちゃくちゃ切ない気持ちで観終わったその後、今は最高にハッピーなエンディングの作品にしようとドラマを作り続けているんじゃないの?と思ってしまいました。や、もうほんと、ずっと後々まで引きずってしまいそうな切なさ。

と書いたのですが、『My Only12%』を観てその思いを強くしました。

何故なら『ミウの歌』に影響を受けて作られた2016年作のドラマ『Love Sick』にNew監督は編集として参加しているのです。

『My Only12%』作中で『ミウの歌』を観てショックを受けるイウは中学生である15歳。

現実のNew監督は18歳の頃です。

もしかしたらNew監督も学生時代から演劇部などに携わっていたのでしょうか。そしてこの『ミウの歌』に感銘と、そして悲恋で終わるという衝撃を受けたのかもしれません。

イウは卒業後に小説家になるのですがNew監督は映画制作に携わり、『Love Sick』を皮切りに『Make It Right』などに参加したあと、2018年に脚本・監督両方を担当した『Love by Chance』で一気に有名になっていきました。

 

また『12%』の中で特徴的なのが、「タバコの害」に関する啓蒙的なシーンと、家族に関する描写です。

時折、New監督作品にはなにかしらの啓蒙思想を感じることが多いです。ひとつはセイフティセックスについて。コンドームの必要や性病の検査、そして性行為の双方の同意について、幾つかの作品の中で時間をかけて描くところに特徴があります。

この作品でもタバコの害についての描写がかなりしっかりとされています。

自身の作品を視聴する若い人たち・・・特にゲイの子たちの健康や心身について、日ごろからとても真摯に考え、発信しているような気がします。

 

それから家族に関するシーンで感じたことがあります。

『UWMA』や『My Only 12%』で家族は需要なテーマになっています。

しかし、結構な頻度でIG投稿するNew監督ですが、記念日などによく「パパやママの写真」を投稿する人が多いけれどNew監督からあまり家族の写真が出ていない気がします(私が見落としてるだけかもしれませんが)。でも一緒に作品を作っている俳優たちとはとても「家族」的な雰囲気を感じられます。特にSammyやEarthやYachtなどwabi-sabiのメンバーたちとは一緒に旅行に行ったり遊びに行ったり。でもGMMで撮っている時もBehind The Sceneを見ているといつでも俳優たちの近くにいて寄り添っている姿が見受けられます。New監督の中での「仕事仲間たち」はとても「家族的なもの」なんじゃないかなあって思います。

New監督は大抵、自分でざっくりと演じてみせて、俳優たちのポジション決めも自分で決めているようです。そして俳優の強い感情からの泣きのシーンが終わるとすぐさまその感情のフォローをしているようです。

 

※『Love by Chance』でSaintとPerthのロッカーシーン演出

 

 

 

※同じく『Love by Chance』の夜のサッカー場シーン

 

※『 My Gear and Your Gown 』でPawinをフォローするNew監督

 

『12%』でもきっと、いつも俳優の近くにいたんだろうなあ、New監督は。

 

New監督にとって彼の作品の登場人物はそれぞれが分身でもあり、血を分けた大切なキャラクターなんだろうなと思えます。

特にこの『12%』のイウの姿にそんな感じを受けました。

 

オーナメントオーナメントオーナメント

 

さてこの『12%』は幼馴染みのイウとケーキが中学生から大学生になるまでの物語です。

常々、みんな高校生を演じるのだってキツいのになあと思っているのに、撮影当時はEarthは25歳で中学生を演じています。しかし大人になれていない赤ちゃん顔で、どこかいじめられ顔で、自意識過剰で不安定、そんな中学生をEarthが完璧に演じています。現在爆イケのSantaも2年前の18歳頃にやんちゃな中学生を演じきっています。

それが大学生パートになり、イウの中でゲイだというアイデンティティが確立され、演劇部の中で存在感を高め、誰かの被写体になることにも自信をもって受けることになったその顔は、中学生のイウではなく、現在のEarth姐さんの片鱗を表し、本当にその差は別人のようです。

そしてずっと幼馴染として共に小さなベッドで抱き合っていたイウとケーキが、大学生になり、お互いに対する気持ちがはっきりしたあと、今度は今までとは違う意味で抱き合うことになるのです。しかしあまりにもうイウが可愛いキャラだし、イウとケーキは「幼馴染」から「恋人」に移行できるのかなと思いながら観てました。しかしそれに対する「スイッチの入れ方」みたいなところの描き方が非常に自然でした。こういうところ、New監督は信頼できるなあ。

 

残念ながらSantaEarthというCPは『7Ploject』と『My Only 12%』で終わりみたいですね。

でもSantaもEarth姐さんも、まだまだタイ芸能界で羽ばたいていってほしいと思います。

そして大きくメンバーが変わったstudio wabi-sabiも、頑張っていってほしいなと思っています。

 

2023年12月辺りにはやるのかと思っていた2024年のドラマ制作発表Part2がまさか4月後半にずれ込むとは・・・。

しかしこの最近、GMMにwabiーsabi勢がたくさん加入したことと、そしてその彼らがすでに新作Teaserに入っていること、またこれまでは欠かせないバイプレイヤーだったPawinの名が一切登場していないことなど考えると、この数か月は水面下でものすごい調整が入っていたのだろうと伺えます。

 

GMM制作発表は視聴者である私たちにとっても一つの大きな祭りですね!

前回のPart1はこちら。

 

 

Ossan's Love Thailand

まさしく一大プロジェクト!

プロデューサーはAof監督かなあなんて思ってたけれど違ったみたい。

エグゼクティブ・プロデューサーに名を上げてるのはGMMTV社長Tha氏!

監督 Au Kornprom Niyomsil(『My School President』など)

主演 Earth/Mix

 

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まさしく一大プロジェクト!

プロデューサーはAof監督かなあなんて思ってたけれど違ったみたい。

エグゼクティブ・プロデューサーに名を上げてるのはGMMTV社長Tha氏!

可愛くて騒々しくてだらしがない男「春田」をEarthがどう演じるのかがポイントか。

Leap Day

2月29日生まれのDayとNight。4年に一度のこの日に彼らは大切な人が奪われる呪いにかかっている。

監督 Chik Sakon Tiacharoen

出演 Pond/Dew/Gun Atthaphan

 

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オカルト的サスペンスってところかしら。

 

The Heart Killer

監督 Jojo Tichakorn Phukhaotong (『Only Friends』『Friend Zone』他)

主演 First/khaotung/Joong /Dunk

 

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一年に一度はJojo監督作がないと!
これまでJoongDunkは甘々な作品が多かったけれども、ドラマではまだまだ彼らの魅力が出しきれてない気がしていた。そういう意味で期待値高い。

Khaotungがいつのまにかセクシーな俳優になっているところもポイント高い。

私として一番の期待作。

 

Friendshit Forever

監督   Koo Ekkasit Trakulkasemsuk (『Faceless Love』『The three Gentle Bros』 )

主演  New/Boun

 

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一番驚いたのが先日wabi-sabiからGMMに移籍発表があったばかりのBounがこの新作にNewと並んで出演していることでした!

 

Perfect 10 Liners

監督 New Siwaj Sawatmaneekul

主演 Force/Book /Perth/Chimon/Mark Jiruntanin Trairattanayon /Junior Panachai Sriariyarungruang

 

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原作がJittiRainだそうです。

Part1で発表になり現在放映中の『We Are』もNew監督作ですが、Part2もこの作品の他にもNew監督手掛ける作品が。
Nadao出身でGMMに移籍したJuniourは『Cherry Magic』以降からMarkとCP出演です。
ちなみにNew監督はなるべく同じ座組で作品を作っていくタイプなのではないかと思います。この作品に出演する殆どが過去にNew監督作品に出演しています。PerthはLBC2以来!

 

Us

監督  Fon Kanittha Kwunyoo (『MyPrecious』『23.5』)

主演 Emi/Bonnie/Sing

 

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『23.5』に続いてGMMで手掛けたGL作品。主演のEmiは最近、脇役だが強い目力と高くない声で印象深いポジションを担っている。Teaserを見ても暖かさや女性特有の柔らかくて甘い髪の香りが漂ってくるようです。

 

 

Hide & Sis

監督 Snap 25 Team

主演 Piploy/Lookjun/Jan Ployshompoo/Luke Ishikawa/Pepper/Chimon/Fluke Gawin

 

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TeaserはTillyBirdsのMV「Who I Am」みたい。
ドロドロでエグいやつ。あー観たい!

観たいけれどもいつもBL観るのに忙しくて、大抵こういう作品は観ないうちに終わってしまう。

あら。共演の、PepperとLookjunは交際してるんですって!

 

Thame Po

監督   Mui Aticha Tanthanawigrai (『The Shipper』)

主演  Est /William/Lego/Hong /Nut

 

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いつか出るだろうと思ってたのがやっと出たわね。

「LYKN」ドラマ。そして主演のPoを演じるのが、どこかで見た顔だけど誰か思い出せなかったけれど・・・「A Chance to Love」のMeanくんの兄ちゃんを慕うゴヒンの役をやっていた男子でした!

wabi-sabiから移籍したSammyちゃんも出演するようです。がんばってー!

 

Break Up Service

監督  Nat Thachai Komolphet (『Enigma』『Why You Y...Me?』)

主演 Off/Jolin/Godji/Foei 

 

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誰かの関係を終わらせることを商売とする「Break Up Service」のボスがOffくん。かっこいいOffくんが楽しめそう!

 

Revamp

監督   New Siwaj Sawatmaneekul

主演  Boun/Prem/Santa/Mark Jiruntanin Trairattanayon

 

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この作品は脚本がBounくんなの? 去年、wabi-sabiで発表されたこの作品がGMMに移り、監督や主演もそのまま続投で制作されるようです。GMMからはMarkとKayが参加。これで今季のGMMヴァンパイアものは2本に?

 

Sweet,Tooth,Good Dentist

 

監督   Pepzi Banchorn Vorasataree

主演  Mark Pakin/ Ohm Thipakorn Thitathan

 

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Pepzi監督は『Bad Buddy』ではADを、そして『KinnPorsche』『My Stand-in』で監督を務めています。正直Teaserがいいとは思えなかったけれど、Pepzi監督と主演のMarkがどうなるのか、これも楽しみな作品の一つです。

 

The  Dark Dice

監督   Keith Kritsada Kaniwichaphon

主演  Gemini/Prim

 

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なんかいきなりダークなゲームの中に入っちゃう系ね。それをクリアしないと戻れない的な? かつてこの手のポジションはNanonだったと思う。今はそれをGeminiが担うのだなあ。 Primちゃんもずっと高校生モノの主演ポジションにいるけれど現在まだ20歳で、彼女はデビューが早かったのね。『Blacklist』の時などまだ15歳だったんだ!

 

The EX-Morning

 

監督  Lit Phadung Samajarn(『SOTUS』『My Engineer』『Love Mechanics』)

主演  Krist/Singto

 

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満を持しての登場のKristSingto。

そしてここまでAof監督の名前が挙がってないのですが、どうやらこの作品の脚本を担当するらしいです。

 

 

Scarlet Heart Thailand

 

監督  Fon Kanittha Kwunyoo (『MyPrecious』『23.5』)
主演  Tu/Win Metawin/Phuwin/Tay/Fourth/Nanon/Fourth/Perth

 

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オリジナルは中国の作品だそうです。時代物は衣装にもセットにもお金がかかるよね。つまりこういう作品がGMMでも作れるほどの資金力を持ったってことでしょう。メンバーも豪華で世界に打って出る気満々の作品となりそう。
 
そして最後の記念撮影です。
Part2もPart1同様、フロントのセンターを担うのがGeminiFourth。社長の両隣にKristとWin。ここが鉄壁というところがなんかすごいなー。
 

辛いなあ。物語の終わりを見届けることは。

 

元々映画やドラマは好きなのだけど、タイドラマにハマって以来、とにかくすごい勢いでドラマを観ている。そして当然のことながらどの作品も「最終回」を迎える。

ものすごく好きで、毎週楽しみにしていて、何度も泣いたりもして、途中でもう一回最初から見直したようなドラマでも、その最終回は軽やかにきれいな色のリボンに結ばれてストンと心の中に仕舞われるものがある。ここ最近で言えば『My School President』『Only Friends』『Last Twilight』などがそうだった。

最終回を迎えても終われない気持ちで何度も箱の蓋を開けたり閉めたりしては何かを探し続けようとしてしまう作品が『KinnPorsche』『愛の香り』『Play Boyy』だった。

きれいに終わったのに、あのパパンダーオの村にティアンとプーパー隊長たちキャラクターは永遠に残ったまま、セットは解体され、演じた俳優も監督も物語を降ろしたのだなあと思うととてつもなく喪失感を持った『1000stars』もある。ああちょっとその感じに似てるな、今の気持ち。

それが今日、『The Miracle of Teddy Bear』を見終わったばかりの私の気持ちである。

ああ。物語は終わった。

ナットの心の中にはタオフーはずっと存在している。

そして私の心の中にも、ナットとタオフーはきっといるだろう、まだしばらくは。

いつしかその姿は薄らいでいくのだとしても。

 

『The Miracle of Teddy Bear』

2022年3月公開作品 全16話

監督  Paajaew Yuthana Lorphanpaibu 

キャスト

ナット Job Thuchapon Koowongbundit

タオフー Inn Sarin Ronnakiat

 

あらすじ

ドラマの脚本家ナットは母親マタナーとふたり暮らし。部屋には「大切な人にもらった」テディベア、タオフーがいる。ところがある日突然、そのタオフーは人間となってしまった。記憶喪失の不審人物としてナットに追われるタオフーだが、心を病んでいるマタナーはタオフーに家に残るってくれるよう望む。

そのようなファンタジー展開かと思いきや、ナットを取り巻く人間関係が中心となったミステリーの要素も強い作品である。

出演者は他に、ナットの親友ケーン、ケーンを愛するソーン、ナットとケーンが働くドラマ制作会社の同僚プリップ。そして彼らの家族やナットが昔好きだった先輩などなど。

 

オーナメントオーナメントオーナメント

 

とりあえずこの作品のネタバレになることは書きません。未見の方はこれから一つずつ物語の広がりを楽しんでいってください。

ネタバレなしで感想を書いていきます。

前半は話数が重なるにつれ、この作品の中に流れている登場人物たちに共通する思いは「自分は誰からも必要とされていないのではないか?」という不安だということがわかります。

こう書くと人によっては「青臭い」「未だにそんなことを考えるの?」と思うかもしれません。しかしこの問いかけは思春期だけでなく人生の幾つかのステージで何度も襲ってくるのです。

誰からも愛されない自分は?

仕事で必要とされない自分は?

生物として子孫を残すことができない自分は?

そして老いていく自分は?

作品の中で彼らが抱える孤独な苦しみは観ている私たちにとって密接なものです。特に最後の、老いていき自分をコントロールできなくなる自分に存在する理由があるのか。これは誰でも直面する問題です。

その彼らそれぞれが、自分が必要とされる理由を見つけ、自らの存在を肯定していこうとする、これはそういう物語になっています。

 

生きていく過程は、大切だと思っていたものを一つずつ失っていくことを経験することでもあります。それと同時にそれがどんなに不可能だと思えても、大切なものを得るために願ったり希望を持ったり前に進もうとしていくものでもあります。

物語の後半は、絡みあった出来事がほどかれていき、そしてほどかれることで痛みを伴う真実が少しずつ露呈していきます。その中で、ナットの側にずっとあり、悲しい時に抱きしめていたテディベアであったタオフーの無垢な表情と、どんなことがあってもナットの幸せだけを願う姿が、いつまでも心に残り続ける作品です。

 

前半、ナットの親友ケーンはナットの片思いする同僚のプリップの髪を掴んだり、ケーンに恋するソーンに対してのあまりのつれない態度、またナットがキレやすくて母親やタオフーに対して怒鳴るシーンなどがキツく感じました。ただ後半にそれらの理由が明らかにされていったときにようやくそれらのシーンに納得していく構造になっています。とは言えオープンリーゲイやトランス女性の監督による作品を多く輩出する近年のGMM作品であれば、この辺りの表現はもう少し違っていたものになったかなと感じる演出表現がいくつかありました。

しかし脚本面では、カミングアウトに関することやゲイを取り巻く社会について、そしてヘイトとそのヘイト発言に対する返答などは、非常に見るべきものがあります。ていうか是非見てほしい!!

とても啓蒙的であり、こんな作品がCH3というタイの有名テレビ局で制作されたということが本当に素晴らしいし、そして羨ましい。

 

これは日本ではU-NEXTで配信されています。

私はタイドラマにハマった2020年、『Why R U?』を観るためにU-NEXTに入りました。その後タイBLドラマはすべて観ましたが中でも『Lovely Writer』『Not Me』『KinnPorsche』などの名作があり退会する暇がありませんでした。しかしいつからかタイドラマの配信が減り、新作が来てもポイント制(しかも視聴期間が短い!)という状態が多く、しばらくU-NEXTから遠ざかることになりました。

この『The Miracle of Teddy Bear』もわりと長い間、ポイント制でした。しかし現在は見放題です。本当はいろんなプラットフォームで多くの人に見てほしい作品です。ただほんと、この作品のためにU-NEXTに入ってもいいと思いますよ!

・・・とこうして誰かにこの作品をオススメすることで、今、心の中に空いてしまった穴から気を逸らそうとしているわたしです。

そう。人って、ものすごく辛いことも悲しいことも、そして楽しかったことも、時々こんな風にちょっとだけ気を逸らしながら違うところをちょっと眺めたりして、そのうちに少しずつ忘れたりしながら過去のいろいろをひとつずつきれいな箱の中に仕舞っておくものなんですよ。『The Miracle of Teddy Bear』は、そんなお話なんです。

 

 

タオフーに、ナットに会いたくて、彼らのIGのアカウントをフォローしたんだけど、(@inpitar/@jobbiijob)俳優であるその彼らの写真はもう、タオフーではなく、ナットではないのよね。そんなことにも物語が完結したこの喪失感が募るわ。

でもInnくんはGMMでの新作『Wandee Goodday』が控えてるから、また新しい顔を見せてくれるのを楽しみにしている。

心の中のタオフーは大切にしながらも。

 

終わった。え、終わった・・・・?

『Play Boyy』EP14。楽天TVでは最終回とある。

しかしエンドクレジットの前に出てきた文字は「to be continued」

EP14で描かれたことは、とても「最終回」という言葉を受け入れられるものではなかった。

1998年。映画館でウォン・カーウァイ監督『ブエノスアイレス』を観たあと。

言葉にならない思いで翌週も映画館に行き、そしてすでにレンタルビデオ屋にあったビデオを借りてとにかくそれを毎日毎日見続けていた。

香港からブエノスアイレスにやってきたゲイカップル、ファイとウィン。何度目かの喧嘩のあと、ファイはウィンのパスポートをどこかに隠し、ウィンはファイの部屋から出ていき、最終的にファイはウィンを置き去りにしたままブエノスアイレスから立ち去った。

ウィンのパスポートは? 置き去りにされたウィンはどうなるの?

何度も観れば隠れていた答えが見つかるのではないかととにかくこの作品を何度も何度も観たのだ。観る、というか探す、という行為に近い。その後、図書館に行ってありとあらゆる香港映画関係の書籍を読み漁った。そのどこにも、失われたパスポートについてもウィンの行方についても書かれていなかった・・・。

『Play Boyy』EP14を見終わった今の気持ちは、ちょっとあの時の感じに似ている。

 

EP14で、登場人物たちに何が起こり、そしてどんな状況にあるのか。

それをひとつひとつ見ていきながら、何かを探してみようと思う。

 

ノン

ポップから、ナットが秘密にしていたある動画をノンは受け取った。その直後、ノンは黒服の男たちに拉致される。勿論、Play Boyyラウンジの用心棒たちだ。それを指図したのはジェイソンなのか、それともプレームか・・・。

プレームは、唯一、自身のモノローグがないし、彼の本当の本心らしきものが描かれていない。それだけに非常に予断がならない・・・。捕らわれたノンがあまりに心配で、この14話で物語が一旦止まるということにじっとしていられない・・・!

 

 

ポップ、そしてナット

ポップがノンに託した映像とは・・・。その映像の角度からはこれがそうだとは思えないのだけれど、もしかしたら14話最後に流れた、ポップがナンを殺害した映像なのか。それならばポップはノンに贖罪の意味でそれを渡して自らは死を選んだというように取れる。それとも明らかにされていないジェイソンに関する映像なのか。

12話最後にポップはナットのPCからDeleteされた動画を見つけている。上半身が裸の男2人が映っているのだが、視聴者にはそれが何の動画なのか明らかにされていない。ただそれを見たポップが怒っている。嫉妬なのか、恐怖なのか。

 

ナットについて少し不明な点もある。書き上げた台本、ラストシーンが「ポップはひとりでこの世を去っていく」という不穏なエンディングだ。更にはナットは人を殺したいという衝動的な欲望を持っているらしい。現在は麻薬密売で囚われているがポップを失った今、彼がこれからどうなるのか。

 

 

ジェイソン・リー

ジェイソン・リーという男の描かれ方には幾つか謎がある。

彼の性的嗜好は未成年の少年に向かっている。かつてのオーブ、養子にしているポー、そしてソーンも実は彼と付き合っていたことが明らかになった。しかも付き合っている時はオーブもソーンもジェイソンに対して溺愛状態だったのだ。つまり、ある時期のジェイソンは相手にとって非常に魅力ある男なのだ。しかしオーブは年を取ったことで捨てられ、ソーンは無理やりにレイプされた。それなのに彼らの中にはまだ支配されている何かを感じる。オーブは言われるままに彼の組織で売春を続け、ソーンも性的暴行がトラウマになっているにもかかわらず、ナンのことでジェイソンと連絡を取っているのだ。

ジェイソンはポーに対しても執着が窺えるし、ポーの中にジェイソンに対して何らかの複雑な気持ちが垣間見える。

 

ソーイとティーナー

ナンが死んだときに激しくバイオリンを弾いていたが、それはこういうことだったのかとEP14での彼のモノローグでわかる。ソーイはこれ以降、この罪悪感を自分の中にどう納めていくのか。

そしてティーナーは見てしまった。ソーイによって描かれ、ソーイによって引きちぎられたジェイソンを描いた絵を。ソーイのトラウマの原因がジェイソンではないかと多分、気付くのだろう。ティーナーはそれによってどう動くのか。

 

怖れる人たち

オーブもブーンも、そしてジャムもスンもティーナーも、見つかれば殺されるのかもしれない。彼らを匿うファーストも無事ではいられないだろう。ポーの立場も非常に危うい。彼らはその恐怖の中にいて身動きを取ることができない。新しい人生を選択しようにも、この外の世界に彼らの命を狙うものがいる。その息苦しさと恐怖感。

彼らはどう自由になるのか。

 

オーナメントオーナメントオーナメント

この作品、全員が無傷ではいられなかった。

唯一の愛の象徴だったようなソーイとティーナーも、実はソーイがナンが死ぬことになる最後の引き金を引いたのだし、それはファースト・カプタン・ポーもナンが転落していくきっかけを作ったのだった。やはり愛の象徴的なふたり、ナットとポップが迎えた悲劇も胸が痛む。

カプタンの小遣い稼ぎの盗撮、ポーの嫉妬、それらはまるで「ちっ!」と言いながら地面を蹴って転がった小石のようなものだったが、それが転がるにつれて崖の上の岩石にまでなり、落下したときには下にいる人間を踏み潰すほどの大きな岩となっていた。

そうして誰かの人生を破壊していったのだ。

 

とにかく、続き・・・! 続きを見せて・・・!!

そして最後の最後には彼らが自分たちの状況に納得し、愛する人を愛し、明るい未来を目指してほしい。はやくーーーー。つづきみーせーてーーーー!!

それまで私は1話からもう一度見直すのだ。どこかに私が取り溢したものはないか。何かを探す旅に。

(3月7日 加筆しました)

現在(2024年3月)RakutenTVで配信中の『Play Boyy the series』。

 

まず最初に、大きな覚悟と少なからぬ野心を持ってこの作品のために集まったすべての俳優を私は賞賛したいと思います。

多分、殆どが新人だと思うのですが、きっとかなりワークショップで俳優スキルを磨いたのではと思います。どの俳優も誠心誠意役に挑んでいるのが伝わるし、そして誰一人として「ちょっと下手かも?」みたいな隙がないと感じます。

 

ただこの作品、人物多すぎだし複雑だしで、そしてセックス描写多くて、途中放棄している人や脱落寸前のまま止まっている方がいらっしゃるのでは?

最終回まで見終わって思うのは、とにかくみんな観て!!ってことです。

前半は、あえて言葉で説明しすぎず、登場人物たちのシーン毎の切り替えも非常に淡々と行われるため、初見ではよくわからないことも多いです。ところが今、最終回まで見終わってからもう一度最初から見直すと・・・。すべてが、第1話に、そして第2話にも、漏れなく重要なカケラが散りばめられているのです。

この作品が始まったばかりのころは「ツッコミどころ満載」「ダラダラしてて話が分かりづらい」という声も聞こえましたが、実は精緻な脚本と非常に練られた演出でできています。

前半の人物が多すぎでわかりにくい、は確かに私も感じたので、人物をまとめてみました。基本的にネタバレはしていません。そして最終回までご覧になった方はぜひとももう一度、せめて第1話だけでも見直してみることをおすすめします。解像度が激増します!

ドラマ前半で美大生ソーイと先輩でありヌードモデルのティーナーなど登場しますが、まずは一旦置いておきます。

この物語の中心は、行方不明になったナンを、双子であるノンが探す物語です。

ナンはかつて、5人の学生だけでシェアハウスに住んでいました。

その彼らは、男性のセックスを提供する「Play Boyy」という組織でそれぞれ男性を買っていたり、またはたまたま出会った男性が「Play Boyy」に所属してたりするのです。

 

ナンとノン

ノン/プローム

双子のナンとは、親の離婚である時から離れ離れに暮らしていた。ノンはアメリカ在住。ナンを探すためにタイにやってきた。親はそれぞれ政治家。

髪に金髪のメッシュを入れてる。

プロームはPlay Boyyラウンジを取り仕切っている。メガネをかけている。

ナンのスマホの履歴でプロームから何度も多額の入金があったのを知り、プロームがナンの失踪に関連しているのではないかと思ったノンは、ナンのふりをして接触。

 

シェアハウスで共に住む4人と、元Play Boyyメンバーの4人。

ソーイ/ティーナー

過去にトラウマがあってセックスに恐怖を抱いている美大生ソーイ。メガネをかけている。友人たちがPlay Boyyラウンジから呼んだジャムとセックスを試みるができなかった。

過去にPlay Boyyに所属していた、美大生だったが現在はヌードモデルをしているティーナー。

ソーイの授業中にふたりは出会う。お互いに愛し合っているが、ソーイがなかなかセックスを受け入れることができない。

 

ファースト/スン

ファーストは家が金持ちで厳格な家の息子だが、そこを飛び出して友達と住んでいる。通常のセックスに満足できない。SM嗜好が強くシチュエーションプレイやサディステックなセックスを好む。髪は金髪。

スンはピザ宅配のバイトをしていて、そこでファーストに出会ってセックスをすることで関係が始まった。ファーストとはセックスの相性が「唯一」と思うほど合う。スンも過去にPlay Boyyに所属。鎖骨下にタトゥーを入れ、会話の多くは英語を使用する。

 

カプタン/キーン

カプタンは盗撮マニア。盗撮したエロ動画で小銭を稼いでいる。また、ナンが撮影したセックス動画を買い取っていた。大学内のラグビーのチームに入るためにコーチであるキーンとセックスをする。ひどく独善的で他人を利用したり寝返ったりする傾向がある。

キーンはコーチであるが、最初に見た時からカプタンに恋をしてしまう。キーンは過去にPlay Boyyラウンジにいたジャムを買っている。後述するナットとも知り合いである。

 

ポー/ジャム

ポーはプレームについて「兄」だと答えている。ある金持ちの息子でプレームはPlay Boyyラウンジを、ポーはミラクル洗車場の経営を任されている。が、ポーはただの息子ではなく養子であり、その彼の親は後述するジェイソン・リーである。ポーもサディステックなセックスを好み、特に相手への支配欲が強い。

ジャムはかつてPlay Boyyに在籍。その後、ミラクル洗車場で働きつつ、フリーで売春をしていたのをポーに見つかり、ポーと奴隷契約を結ばされる。

 

その他の重要人物

プーン/オープ

プーンはカプタン同様、大学のラグビー部。まじめで清廉潔白な奨学生であるが、貧困家庭のためにPlay Boyyラウンジで売春をしている。

そのプーンに客とのセックステクニックなどを教えたのが30代でこの仕事に就いているオープ。

オープはティーナー、スン、ジャムとかつての同僚であり、連絡を取り合っている。

オーブがPlay Boyyで働くきっかけになったことにはひとつの大きな理由がある。

ナット/ポップ

ナットはかつて麻薬の密売に加わっていた。そしてナットもナンと関係を持っていた一人。心の中に加虐嗜好と殺人嗜好を持っている。

ポップは自らの自慰動画をアップしてお金を稼ぎ、それを家に送金する貧困家庭の青年。

ポップはナン失踪後、初期化もされていないナンのノートパソコンを使用していたことでノンがそのアカウンとに連絡した。

ポップは自慰動画のやり取りでナットと知り合う。

 

チューター

ジャムは奴隷契約を破棄し、ポーから離れたあと、チューターと性的なパートナーになる。

チューターは著名なライター。

ジャムを奪われたと嫉妬したポーは、チューターを追い落とすためにカプタンに協力を頼んである卑劣な罠を仕掛けた。

チューターはそれにより社会的に失墜し、その仕返しとしてポーの家庭の秘密を暴こうとする。

 

ジェイソン・リー

ポーの義父。表の顔は実業家であり、慈善家である。しかしその実態は・・・。

 

オーナメントオーナメントオーナメント

以上が主要な登場人物です。

とにかくセックスシーンが長いですよね。(正直、観ながらウトウトしてしまう・・・)

ただ、このTanamin監督は以前から、「人間の感情とセックス」について様々な角度から描いた作品作りがひとつのテーマになっているのではと思っています。そしてタイを取り巻く格差社会もテーマの一つではないでしょうか。

この作品はエンタメという枠の中でそれらについて真っ向から描いています。

 

Tanamin監督は気になる監督のひとりでほぼずっとその作品を追っています。

過去にこのような記事を上げました。

 

 

この中で、Tanamin監督の特徴として「キュルキュルしてかわいい男の子を描く」というのがありましたが、なんとこの作品では「キュルキュルして可愛い男の子」に当てはまるのは・・・ギリギリ、ソーイぐらいでしょうか。いえもしかしたらTanamin監督本領発揮の可愛い系男子はポップかもしれません。他の、見た目がちっちゃくて可愛いファースト・カプタン・ポーには三人共サディステックで結構えげつない役どころなのが興味深いです。

それからこの記事の最後に、Tanamin監督がいい脚本に出会えることを望んでいると書きました。これまでの作品が脚本で損をしているように思っていたのです。

しかし今回は(残念ながら『War of Y』は未見ですが)『War of Y』『Play Boyy』そしてGMMの異色作『Only Friends』の脚本を書いている Den Panuwat Inthawatです。 その辺りもぜひ楽しんでもらいたいと思います。

 

とにかく、『Play Boyy』最後まで観てみてーー!

 

1つ前にブログで『Something in My Room』を推しましたが、ここでは感想を書いていきます。

まだご覧になってなく、これから観る予定の方は読まないほうがいい、かも。

でもこれを読んで「おや?それなら観てみようかな」と思ってくださる方がいたら嬉しい。

現在(2024年2月)楽天TVで購入できます。そして1話は無料です。

 

行き過ぎた愛情

この作品を観て気付いたのですが、Tee監督は「行き過ぎた愛」をかなり大きなモチーフにしていることが多いのではないでしょうか。ちょっと過去作を振り返ってみます。

まずはTee監督の監督デビュー作『TharnType』

後半の重要なパートはTharnにずっと片思いをしていたLhongの策謀です。それは「片思い」の範疇を越えた行き過ぎた愛でした。Tharnと付き合う男を次々と貶めていきました。Tarに関しては数人の男にレイプさせ、さらにそのTarを使ってTharnとTypeを引き裂こうとするのです。しかもLhongはTharnの音楽仲間でありどんな時も味方であるという立場で常にTharnのそばにいたのです。こういうことをどうやらLhongは高校生の頃からやっていた様子。完全なるサイコパスです。

『Lovely Writer』ではLhongほどではないのですがAoeyの思いも独りよがりであり屈折を経て行き過ぎたものでした。ストレートにGeneに好きだと言うこともできたのに、Nubsibを好きなふりをして嫉妬させようとしたり、そうかと思えば突然告白をした挙句に強引にGeneに迫ったり、最後にはIGライブでGeneとNubsibについて暗に交際をアウティングして自分は傷ついているアピールをするなど、プロの俳優としてあるまじきことをするのです。

また「行き過ぎた愛」はAoeyだけではなく、ファン達が俳優に寄せる思いも時に「行き過ぎた愛」になってはいないか、とこの作品は警鐘を打ち鳴らしているのです。

 

さてそれでは『Something in My Room』。

この作品では3人による「行き過ぎた愛」が語られています。

まずはDreamと付き合っているLak先輩です。

公開されているCut版はDreamとLakのパートはかなり削られているように思います。それで二人の関係がわかりにくいのですが、どうやら二人は交際しているという設定のようです。そしてLakはDreamとPhatの中を邪推して彼らを盗撮することを試みます。Dreamの家にも彼女に断りなく(親には断りを入れているようですが)ちょいちょい入っているようです。そんなストーカー的な一面を見せています。勿論Dreamは盗撮を知った時点でLakから距離を置こうとしていたようです。

 

次に、Phobの生前、お互いに付き合っていたわけではないが何らかの気持ちがそこにはあったとされるBen。

Benは誰かを好きになるとその人と出会うためにカメレオンのように自分の色を変え、策略を立てるのです。あのユーミンの名曲「まちぶせ」のように、偶然を装って出会いを作り、そして好きな人を振り向かせるように仕掛ける。Benはそういう人でした。「行き過ぎている」わけではないけれど、誰かを好きになるたびに脚本を練り、衣装を考え、演出する、まさに劇場型の人間でした。

 

そしてこの物語で最高に行き過ぎた愛を持っていた人、それがNuanでした。

この物語を全部見てからもう一度EP1に戻ると、彼女のセリフひとつひとつや奇矯な行動の意味を知り、戦慄します。

NuanはPhobの父親Khinをずっと思っていたのです。

Phobも、そしてPhobの母親もKhinとNuanがキスするところを見てショックを受けます。しかしその後のKhinのセリフから考えるともしやKhinにとってはほんの出来心での一瞬のことだったのかもしれません。でもNuanにとっては長い片思いの末のことだったのでしょう。

Phobの母親とPhobの死後、KhinはNuanから逃げるようにして引っ越しました。

なんとNuanはその家をすぐに自ら買い、そして賃借として出したということなのでしょう。

好きだった男がかつて家族で住んでいた家を買う。そこに住み憑いた成仏していない息子の霊を使って恋しい男を探し出させる・・・。すごい、もうどんだけの策謀家?しかもそのために自分の死んだ父親の霊まで呼び寄せて。

そして賃借で貸したものの、たまに家に侵入してその家にあるかつての男が座ったであろうソファを楽しみ、もうそこにはない男の気配を嗅ぐようにして愉しむ。ザ・キング・オブ・片思いじゃん!!

 

毒親

さて、この行き過ぎた愛情を持つ人々、『TharnType』のLhong、『Lovely Writer』のAoey、『Something in My Room』のNuan。3人に共通しているのは両親との葛藤です。彼らの親たちは子供たちの意思を全く尊重せず、親の決定ばかりを子供に押し付ける、いわゆる毒親でした。彼らは幼いころから孤独を味わい、そして自ら望むことはすべて親に阻害されたと感じています。そのため彼らの愛情表現も歪められたものになっています。

Nuanは自分の愛情を遂行するためにすでに死んでいる父親の霊を呼び寄せ、「父さん、助けて」と言います。しかし父親の霊が彼女の求めを断ろうとするといきなり「愛してもいない男との見合いを迫ったくせに!結婚が嫌で毎日泣くしかなかった」と怒りを露にするのです。時代を考えればこのようなことは多々あったのだと思いますがNuanにとってはこの両親も間違いなく毒親だったのでしょう。

 

『Something in My Room』の中では親子関係でもうひとつ、強烈なシーンがあります。

それはPhobと母親の関係です。

Phobはかつての両親の部屋であるメモリーカードを見つけ、それをPhatに再生してもらいます。そこには在りし日のPhobと母親の幸福そうなツーショットが。そしてある動画を見つけました。それはPhobの母親が亡くなる前に最後に残したメッセージでした。

そこには息子への愛情が語られているかと思いきや・・・。

「知ってた?わたしはPhobもお父さんのことも憎んでいたの」と語り始めるのです。

雑誌などでモデルをしていた彼女は結婚と妊娠でその仕事を諦めることになりました。その原因となった自ら産んだ子供を彼女は愛することが出来なかったのです。そして子育ての中で徐々に息子のことが愛おしくなってきたのだけれど、それでも嫌悪感を消すことが出来なかった、と告白するのです。

これは・・・すごい告白だと思う。

そしてこういうことって往々にしてあることだと思う。

親が理解してくれることを描いているタイBLの中で、こんな風に女性の苦しみを描いている作品はなかなかないと思います。子供を産んだら女性はすべてがいい母親にならなくてはいけない、というのも一つの社会の押し付けなのです。

とは言えPhobに罪はなく、Phobにとってこのような呪いのような言葉を残す彼女は毒親とも言えます。

でも、こういうことを描こうとしているからこそ、私はこの作品が好きなのだと思います。

 

死ぬということ

私の年になると、終活という名のもと、相方が先に死んだら仕事はどうしたらいいのかとか、葬式はどうやってとか、どうやって生きていこうとかいろいろ考えますし、一人残された後で自分が死ぬときは孤独死なのかとかこれまたいろいろ考えます。その時は病気で苦しいのか痛いのか、嗜好は正常に働いているのかどうかとか。

でも、「死の向こう側に誰かが待っていてくれる」という考え方は、そういった現実的なあれこれを吹っ飛ばして、とても幸せな気持ちになります。

まあまあ壮年を迎えたPhat。普通に死ぬにはまだ若いはずだけれど体は癌に蝕まれているようです。そして一度は結婚したが別れ、母親も亡くなり、寂しい生活を送る中、Phobのことを考えています。そして死の間際、Phobが迎えに来てくれるのです。若い時に出会ったままの姿で。ようやく再会したふたり。手を取って長い死の旅を共に歩いていくのです。

死んだら生まれ変わる、という考え方もありますが、ここでは死後は生きているよりもはるかに長い旅に出るそうなのです。様々な悲しみや苦しみから切り離された、とても幸せで長い旅に。

なんつーかなあー。もう、泣くよねーー。泣くしかないよねー。『Life 線上の僕ら』と同様のラストシーンだし、あれも号泣したけれど、これもほんと号泣するわ。

 

 

私、死ぬ前に『Life 線上の僕ら』と『Dear Doctor』と『Something in My Room』それぞれのラストシーンを観ながら死んでいけたらいいなあ・・・。先に向こうに行った人の顔を思い浮かべながら幸せな気持ちで歩いていくんだ。

今日、やっと『Something in My Room』を観終えました。

2022年の作品なので今更感あるけれど、ちょっと推させてください。その前に・・・

ちょっとボヤかせて・・・

これは2022年の作品で、その当時Youtubeで観ていたのですが、その時は途中で視聴をやめてしまったのです。そして去年7月に楽天TVで配信されたのでずっと気にはなってましたがすぐに購入せず、先日にやっと購入しました。

そして見始めたのですが、途中で何度も仲良しさんたちに「わたし、『Something in My Room』を買ったんだけど、これ、買わない方がいいよ・・・」とメッセージを送りたい気分でした。とにかく見ていても集中できず、1話分見るのに2日かかってたかも・・・。

最初の第1話は結構面白い感じだったのです。でもなんだろう、主役のパットがあまり動きがないというか、なんか行動がはっきりしない感じなのです。そして数話観ていて変なことに気が付きました。最初に必ず「previously」があるのですが、例えばこれはEP4冒頭でEP3のあらすじが流れるのですが「あれ?こんなシーン無い・・・」ということに気付くのです。

そう、主人公パットの行動の意味が微妙に不明だったり、どこか話に整合性が足りないのは、これがタイ放送版であり、元々1時間10分ほどある作品が役50分になっているからなのです。えええー、もうどゆことーーー?大抵楽天TVで購入するドラマは「UNCUT版」になっているのですが、なぜかこの作品はUNCUT版がYOUTUBEでは勿論、楽天TVでの配信でも観ることが出来ないのです。

そのせいかこのドラマの前半がなんとなく集中力を欠くのです。何度視聴をやめようと思ったことか。でも、いやいやTee監督だし、しかも購入したんだし・・・と思って、割と頑張って見続けていきました。

ところが・・・!

 

やはりTee監督作だった!!

これは全10話なのですがEP6になってやっと・・・!やっと面白くなってきました。

その立役者は、Benを演じた Green Phongsathorn Padungktiwong です。このGreen、Tee監督作『Lovely Writer』ではGeneの大学の同級生を演じ、たった1話登場しただけで爪痕を残しました。その後『The Tuxedo』で主演。実は『2MOONS』『2MOONS2』『our Skyy』のPickーRoma編にも登場しているそうです。脇役が長い人ですが非常にいい演技をする俳優だと思います。で、Benというキャラクターは中盤に登場するキャラクターですが、やはりこの作品でもしっかりと爪痕を残していきますし、彼の登場から物語も急展開してきます。もう、この顔見て? 最高の泣き顔じゃない??

 

私は作品を観るきっかけは誰が監督なのか、がかなり大きな動機になります。

Tee監督は『TharnType』での例えば長回しでのキスシーンとか、あの頃の他の作品にはない上質なエロティックさで、その監督の名を胸に刻みました。そしてその後の『Lovely Writer』、これでもう監督の大ファンに。そして2023年の『愛の香り~I Feel Linger You in The Air』も新たにTee監督の代表作の一つになりました。

しかし2022年の『Something in My Room』は一体どうしたんだろう・・・?と思っていたのです。それほど話題にはなってなかったみたいだし、Youtubeで追ってた時もどこかパッとしない印象だったのです。

でも。このドラマの後半に来て、これももうさすがのTee監督の作品だよという想いが強くなりました。

ただ、本当にUNCUT版で見たい作品です。

ドラマのデータサイト「My Drama List」では、この作品のCUT版は口コミ点数が7.6なのですがUNCUT版は8.3なのです。ちなみに『愛の香り』が8.9、意外なことに『Lovely Writer』が8.0です。(2024年2月現在)

この『Something in My Room』が実はいい作品だということがこの評価からも伝わってきます。

 

ネタばれせずにどんな作品かと言うと・・・

これはパットが母親と共に引っ越しをしてきた家に、ポップという名の幽霊がいて・・・という物語です。
そして勿論BLです。
ただこのブログで何度も書いていますが、既にタイBLはボーイ・ミーツ・ボーイの物語の枠を越えています。
この物語のメインテーマは愛であるのですが「行き過ぎた一人よがりの愛情」について多くの分量を割いています。そして「親子」についての描き方が大変にエグいです。これはもう褒め言葉です。
愛情における危うさをキワキワの線で描いているところがこの作品の醍醐味です。
まずは楽天TVで1話無料を観てみるのがいいかと思います。
そして・・・ところどころ脳内で補完しながら(本来ならUNCUT版を観たいところですが!)ご覧になってください。楽天TVでのレビューも☆5つ中、2.4点と低いです(2024年2月現在)。みんなUNCUT版ではないことにがっかりしています。正直私もそうです。それでもこれはかなりいい作品だったので、Tee監督の作品がお好きな方は是非、観てほしい作品です。
 
オープニングは音楽も映像も大変良くて好き。
 
『Oxygen』のスパナットくんも頑張ってる!
 
Teaserはこちらです。

 

そんなわけで・・・おすすめ作品です!

 

 

『Love by Chance』『Why R U?』でSaintくんのファンになりましたが、この2作以降の作品のプラットフォームに縁がなく、というかそれらはBL作品ではなく、それが一番の理由で私は観ていないのです。

しかし、Saintくんが自身の事務所、IDOL FACTORYにおいてエグゼクティブ・プロデューサーとして作り出す作品は現在のところLGBTQ作品です。『Secret Crush On You』『GAP』に続き、3作目となるのがこの『The Sign』。

最初のTeaserを観た時、うわあ、Saintくんの興味を持っていることてんこ盛りの作品なんじゃないの?!と思いましたが、現在TELASAの配信で見ていてその思いは強くなるばかり。

Saintくんは非常に敬虔な仏教徒として有名です。

『The Sign』の中にはインド神話に登場する「ナーガ」が大きなモチーフになっています。

ナーガとは、釈迦が悟りを開く時に守護したとされ、仏法の守護神となっているそうです。

そしてアクション。

元々アクション映画が好きなんじゃなかったかな?出演作品でも『Let's Fight a Ghost』でアクションシーンに挑んでいます。

そして色っぽいNCシーン。『Secret Crush On You』でも登場するのはみんな可愛い男の子たちですがNCシーンは結構気合が入ってました。

役者のタイプには、監督の意図を忠実に再現してなり切るタイプと、自分のアイデアをどんどん出して一緒に作っていくタイプがあると思います。かつての出演作品『Love By Chance』と『Why R U?』のBehind The Sceneを観ているとSaintくんは明らかに後者だと思うのです。俳優としてどっちがいいということはないし、監督との相性もあると思います。ただ、早くから演技に関するアイデアを持っていて、それを表現したい欲求が明確だったSaintくん。

『The Sign』にはそのSaintくんが表現したいと思っているモチーフが満載なのです。

 

ただまあ作品の質と言う点では、例えば第7話など見ていると、主人公たちは優秀な特別捜査班なのですが、その捜査会議でみんなが自分の恋愛観などを話していたりするシーンとかなあー。

残酷な事件とその背後で蠢く権力組織、アクション、そしてインド神話を背景とした生まれ変わりの物語・・・とモチーフはとても面白いので、冗長な部分を消してもっと辛口にして、セリフではなくて表情や行動だけでそれぞれの想いや嫉妬や憎しみを表現してくれたらもっと萌えるのになあというのが私の正直な感想です。残酷シーンが多いからそれでバランスを取ろうとしているのかもしれないけれどその点はちょっと残念。

でもIDOL FACTORY、応援してますから!

 

 

全12話の作品の11話目。

多くの人が恐れるラス前の回。

 

でも私はこどもの頃から第11話が一番好きでした。

ミステリーやSFが好きだったのですが、謎解きや話の回収がメインとなる最終回よりももっともクライマックスを迎える最終回のひとつ前がとにかく面白いと思って観ていました。

ここ最近の私の中で忘れられない「第11話」は『Bad Buddy』です。PranとPatふたりだけのあまりにも幸福な時間をふたりの意思で終わらせ、「帰ろう」「頑張れ、相棒」という言葉で家に帰ったふたりのラストショットを観た時から1週間、最終回の直前まで泣いていました。

そしてもうひとつ。「最終回前の大きなうねり」は常套手段となりつつあり、その意味では、あえてそれをやらなかった『My School President』第11話はすごいと思っています。『My School President』はこれまでのGMMのBL作品の中でよく使われていたプロットや演出を意識的に排除したのでは、と思っています。その結果、観る側にストレスを感じさせずに毎回幸福を重ねていき、しかも飽きさせないという稀有な作品になっていたと思います。

 

しかし最終回1つ前がただ最終回を盛り上げるために用意された過剰なエピソードと、それによる主人公たちの悲観・悲しみ・絶望を描き、それに対して批判を受ける作品もあることは確かです。

では『Last Twilight』の第11話はどうだったでしょう。

私は、これぞまさに「11話」としての真価を発揮した回だったと思いました。

Aof監督がこの作品の中で伝えたいこと、視聴者に提起したいことすべてが表現されていた回だったと思うのです。

 

第10話の終わりにDayが角膜移植手術を受けられるというエピソードが入りました。そして11話予告に入っていた手術シーン。

これを観た先週、いろいろ考えました。

「角膜手術に成功する」

この時点でのこれではあまりにご都合主義ではないかと思えました。

視覚の障害がなくなること→ハッピーエンドという図式では、あまりに視覚健常者=幸福、視覚障害者=不幸、と言っているようで、それまでこの物語が描いてきたものと相違してしまいます。

でも、視覚に障害を受けた人間にとって再び見えるようになるということはやはり希望ではないか。それを「ご都合主義」といって切り捨てるわたしは何者なのだ?

この1週間、私の中ではそういう問いかけが渦巻いてました。

それらの回答がこの「11話」にあったと思います。

 

Dayの角膜移植手術は成功をしませんでした。

 

しかしこの物語のこれまでの回でも、そして手術失敗して数か月後という設定でも描かれているのはDayがこの世界でよりよく生きていくための戦いと努力です。

Day自身が心を開くことから始まり、外出をし、音声だけで映画を楽しみ、信頼できるパートナーと共にマラソンに参加し、ダンスをし、旅行に行き、そして白杖を使用することを受け入れました。見えない目の代わりに嗅覚を使って絵を描くことにも挑戦しました。

かつてDayは優秀なバドミントン選手でした。それは元々優れていた身体能力に加えて諦めない心とプライドで絶え間なく努力をしてきた結果だったのだろうと想像できます。視覚を失ってもDayはその強さで前に進もうとしています。

私たちは『Last Twilight』を観ながら、この社会が障害を持たない人を中心に構成されていることを読み取っていきます。でもその中で障害を持った人が他の感覚を総動員して生きていく姿を見ながら、では弱者とはなにか、ということも考えます。
普通と変わらない、ただ目が見えないだけで。
そんなセリフがありますが、では「普通」とはなにか。
誰かの手が必要な時はどんな人にもあり、すべての人がいつでも弱者にもなるし強者にもなる。だからこそこれは特別な人の物語ではなく、普通、つまりはすべての人への物語なのです。

事故で、病気で、または老いていくことで私たちはいつでも「弱者」と呼ばれる側に行く可能性が高くなっていきます。年齢を重ねるほどそれはとても他人事とは思えなくなります。

その時、私がその人のそばにいる人間ならどう寄り添うか。

その時、私がその側に行ったらどう生きていくか。

 

この物語では障害を持ったDayがそのことで他人に対して卑下するセリフがほとんど出てこないことが興味深いです。

反対に、Dayに寄り添うMhokが11話でこう言います。

「俺はDayに迷惑をかけているか?」と。

健常者であるMhokが新しい仕事に挑戦し、それが認められて海外での仕事を与えられるかもしれない。しかしそこに盲目のDayを連れていけないだろうし、しばらく別れてしまうことになるかもしれない。Dayにその不安や不自由、寂しさを与えることに対してMhokは謝っているのです。

これまで観てきた物語の多くが「目が見えないことであなたに迷惑をかけてごめんなさい」と登場人物に言わせてきました。それだけにこのMhokのセリフにハッとしました。

障害を持つ人間が謝ることを強いてきた物語。しかし『Last Twilight』では、彼らが謝る必要などひとつもないということを表明しているのです。
 

11話では、自分が目を離した隙にDayになにかが起こるのではないかと不安を募らせるMhokを描いてますが、「実際にDayの身に何かが起きる」または「何もなかったが不安にさせるような言動を取ったDayにMhokが怒る」など、これまた最終回前的な常套シーンを作らなかったことも本当に誠意を感じます。

不安でDayを探したけれど、ひとりでホテルの部屋を出ていたDayを温かい目で見つめるMhok。なんて優しいシーンなんだと思います。

 

 

そして愛を告白するMhokの覚悟の表情と震える声。

本当に美しいシーンで、何度見ても何故か泣いてしまいます。。。

 

 

しかし、皆さんご承知の通り、この後にDayはMhokに別れようと言うのですよね・・・。

 

そんなん言わなくたっていいじゃん!「嘘つかんといて!」「わかったごめんね!」それでいいじゃん。それでまたふたりで仕切り直して仲良くやっていけばいいじゃん!!

 

過去の私なら絶対にそう思った。

でもね、Aof監督が視聴者に伝えたいこと、それは「時間」についてなのだと思うのですよ。

恋から関係が始まっていきます。でもそれが永続的な関係になっていくためにはお互いそれぞれの自立が必要なのだとこの物語は語っています。目が見えないDayが、過去の刑により仕事を与えられなかったMhokが、それぞれ自立して人生をより良く生きていくこと。その上でないと自分にもパートナーにも愛情を与えることができないのではということだと思います。それは簡単なことではなく、それに時間を要したとしてもそれでも彼らが獲得しないといけないものだとこの物語は語っているのです。

『1000stars』のティアン(Mix)が事故で亡くなったトーファンに対する後悔と感傷で過疎の村でボランティア講師をするだけでなく、ちゃんと学業を修め、教師になるための勉強をして資格を取り、その上で村に戻って隊長に向き合おうとするように。

『Bad Buddy』のPranとPatが親の庇護下にいる間は親の気持ちを尊重し、仕事によって自立したのちに二人の関係をオープンにしていくように。

Aof監督のテーマは、時間をかけて自立したのちに成熟させていく人生の物語なのだと思います。

 

だからこそAof監督がこの作品の中で「恋愛における嫉妬」に一切時間を割いていないことについても、私はとても賞賛しています。

Dayがかつて片思いしていたAugustの行為について、Mhokは闇雲に嫉妬をせず、まずはAugustの出方を観察し、そしてDayの気持ちを尊重します。

Mhokの元彼女で、その後も何かあるとお互いに助け合う関係のPorjaiについて、Dayは嫉妬することなく、信頼さえしています。

物語が無駄な嫉妬の感情に揺らされることがなかったことが、私には非常に心地良かったです。

 
11話ではやっぱりいっぱい泣いちゃったけれど、でも最終回を、MhokとDayの幸せを、彼らに関わるDayの兄NightとPorjai、DayとNightの母親の幸せを待ちながら心して観ようと思います。
 
 

ポイント還元セールがあったり、期間限定ポイントが溜まったりとか、更には割引クーポンが出ると絶対に買っちゃうよね、楽天TV。

でも毎回、何買う?何買う?ってすごく迷うし友人に聞いたりもする。

みんなそれぞれ好みがあるから難しいけれど、この半年ぐらいで買ったもので私が超絶おススメするものをちょっと書いておくわ。

誰かに参考になるといいなー。

 

『愛の香り~I Feel You Linger in the Air』 

これを2023年終盤に購入して観ながら「わーー、ヤバい、今年のベスト作品の1位2位が塗りかえられるーーー!!」と思ったわ!

『TharnType』『Lovely Writer』を生み出したTee監督。他にもGMMで監督したり、UpくんのJUSTUPと共同で制作したりしてるけど、今回はYYDS EntertainmentとDee Hup Houseの共同制作ってことね。YYDS、もしかして資金があるのかしら。この作品、お金がかかってるっぽいもの。正直ね、資金があればこんだけの作品が出来るんだってことを知らしめてるように思っちゃった。

Tee監督は毎回NCシーンが激しくはないけれども本当に素晴らしく色っぽくてエロい。上がっていく呼吸、熱を帯びて敏感になっていく肌、そういう表現が最高でわないの。あと、ふたりのハグのあまりの切なさにね、もうどんだけ泣いたことか。主演のNonkul、なんでそんなにパッツン前髪?!でもそれさえも佳き! Blightは普段はヤンチャそうだけど、この作でのヤイ様の清潔で高貴な雰囲気も佳きかな。

 

 

『Laws of Attraction』

『クンチャイ』で一世を風靡したJamFilmのCP主演作2作目。オトナBLとしても人気高し!ふたりのケミは絶対に観るべきねっ。

 

『奇蹟』

タイBLの監督や脚本家が男性が多く、そして監督やスタッフに当事者の方が多いようだ。台湾BLは女性監督や女性脚本家が多く、それが良い場合もあれば時々「これって女子好みの『ザ・BL!』って感じ!」と思う箇所もある。

『奇蹟』は、義兄弟であり背の高い陳毅(チェン・イー)と、すごく喧嘩が強くてちびっこな艾(アイ・ディー)のシーンに「わー、BLマンガでよく見る構図!」ってのが多いのだ。

私は年上のインテリヤクザもどきのファン・ジョールイに恋してトロけそうな目をしてる白宗易(パイ・ゾンイー)にやられちゃって大好きな作品よ。

 

『8番目の感覚』

韓国BLもすっごい増えてきてヤバい。『You Are Mine』『JunとJun』『フェンスの外はハッピーエンド』『新入社員』などを購入しましたが一番のおススメは『8番目の感覚』でした。どこか名作『To My Star 2』と比較されることも多いこの作品。抒情的な映像美が冴えてます。実はこれ、レンタルで買ってしまったのよね。後悔してる。購入すれば良かった・・・。

 

 

『ボクらの恋愛シェアハウス』『ボクらの恋愛シェアハウス2』

BLではなく韓国のリアリティショーなんだけど、もう何回でも観れる。脚本がないから、誰がどう動いて気持ちがどう変わるか全く予想がつかない。そして主役も脇役もないのだから、誰がカップルになるのか本当に読めない。

一般人だとわかっていてもつい推してしまうし、何故か泣ける。人との距離、コミュニケーション方法、そしてタイミングなど、正直これ、めっちゃ人間関係の勉強になるわー。

 

オーナメントオーナメント

さてさて。私はまだ『Abusolute Zero』も『Pit Babe』もお気に入りにいれたまま観ていない。Tee監督の『Something in My Room』だって観たいのよ。あの『クンチャイ』も観てないし・・・。なのに『Play Boyy』買っちゃったー・・・。正直、なかなか進まない・・・。

 

ではではーー!