終わった。え、終わった・・・・?
『Play Boyy』EP14。楽天TVでは最終回とある。
しかしエンドクレジットの前に出てきた文字は「to be continued」
EP14で描かれたことは、とても「最終回」という言葉を受け入れられるものではなかった。
1998年。映画館でウォン・カーウァイ監督『ブエノスアイレス』を観たあと。
言葉にならない思いで翌週も映画館に行き、そしてすでにレンタルビデオ屋にあったビデオを借りてとにかくそれを毎日毎日見続けていた。
香港からブエノスアイレスにやってきたゲイカップル、ファイとウィン。何度目かの喧嘩のあと、ファイはウィンのパスポートをどこかに隠し、ウィンはファイの部屋から出ていき、最終的にファイはウィンを置き去りにしたままブエノスアイレスから立ち去った。
ウィンのパスポートは? 置き去りにされたウィンはどうなるの?
何度も観れば隠れていた答えが見つかるのではないかととにかくこの作品を何度も何度も観たのだ。観る、というか探す、という行為に近い。その後、図書館に行ってありとあらゆる香港映画関係の書籍を読み漁った。そのどこにも、失われたパスポートについてもウィンの行方についても書かれていなかった・・・。
『Play Boyy』EP14を見終わった今の気持ちは、ちょっとあの時の感じに似ている。
EP14で、登場人物たちに何が起こり、そしてどんな状況にあるのか。
それをひとつひとつ見ていきながら、何かを探してみようと思う。
ノン
ポップから、ナットが秘密にしていたある動画をノンは受け取った。その直後、ノンは黒服の男たちに拉致される。勿論、Play Boyyラウンジの用心棒たちだ。それを指図したのはジェイソンなのか、それともプレームか・・・。
プレームは、唯一、自身のモノローグがないし、彼の本当の本心らしきものが描かれていない。それだけに非常に予断がならない・・・。捕らわれたノンがあまりに心配で、この14話で物語が一旦止まるということにじっとしていられない・・・!
ポップ、そしてナット
ポップがノンに託した映像とは・・・。その映像の角度からはこれがそうだとは思えないのだけれど、もしかしたら14話最後に流れた、ポップがナンを殺害した映像なのか。それならばポップはノンに贖罪の意味でそれを渡して自らは死を選んだというように取れる。それとも明らかにされていないジェイソンに関する映像なのか。
12話最後にポップはナットのPCからDeleteされた動画を見つけている。上半身が裸の男2人が映っているのだが、視聴者にはそれが何の動画なのか明らかにされていない。ただそれを見たポップが怒っている。嫉妬なのか、恐怖なのか。
ナットについて少し不明な点もある。書き上げた台本、ラストシーンが「ポップはひとりでこの世を去っていく」という不穏なエンディングだ。更にはナットは人を殺したいという衝動的な欲望を持っているらしい。現在は麻薬密売で囚われているがポップを失った今、彼がこれからどうなるのか。
ジェイソン・リー
ジェイソン・リーという男の描かれ方には幾つか謎がある。
彼の性的嗜好は未成年の少年に向かっている。かつてのオーブ、養子にしているポー、そしてソーンも実は彼と付き合っていたことが明らかになった。しかも付き合っている時はオーブもソーンもジェイソンに対して溺愛状態だったのだ。つまり、ある時期のジェイソンは相手にとって非常に魅力ある男なのだ。しかしオーブは年を取ったことで捨てられ、ソーンは無理やりにレイプされた。それなのに彼らの中にはまだ支配されている何かを感じる。オーブは言われるままに彼の組織で売春を続け、ソーンも性的暴行がトラウマになっているにもかかわらず、ナンのことでジェイソンと連絡を取っているのだ。
ジェイソンはポーに対しても執着が窺えるし、ポーの中にジェイソンに対して何らかの複雑な気持ちが垣間見える。
ソーイとティーナー
ナンが死んだときに激しくバイオリンを弾いていたが、それはこういうことだったのかとEP14での彼のモノローグでわかる。ソーイはこれ以降、この罪悪感を自分の中にどう納めていくのか。
そしてティーナーは見てしまった。ソーイによって描かれ、ソーイによって引きちぎられたジェイソンを描いた絵を。ソーイのトラウマの原因がジェイソンではないかと多分、気付くのだろう。ティーナーはそれによってどう動くのか。
怖れる人たち
オーブもブーンも、そしてジャムもスンもティーナーも、見つかれば殺されるのかもしれない。彼らを匿うファーストも無事ではいられないだろう。ポーの立場も非常に危うい。彼らはその恐怖の中にいて身動きを取ることができない。新しい人生を選択しようにも、この外の世界に彼らの命を狙うものがいる。その息苦しさと恐怖感。
彼らはどう自由になるのか。
この作品、全員が無傷ではいられなかった。
唯一の愛の象徴だったようなソーイとティーナーも、実はソーイがナンが死ぬことになる最後の引き金を引いたのだし、それはファースト・カプタン・ポーもナンが転落していくきっかけを作ったのだった。やはり愛の象徴的なふたり、ナットとポップが迎えた悲劇も胸が痛む。
カプタンの小遣い稼ぎの盗撮、ポーの嫉妬、それらはまるで「ちっ!」と言いながら地面を蹴って転がった小石のようなものだったが、それが転がるにつれて崖の上の岩石にまでなり、落下したときには下にいる人間を踏み潰すほどの大きな岩となっていた。
そうして誰かの人生を破壊していったのだ。
とにかく、続き・・・! 続きを見せて・・・!!
そして最後の最後には彼らが自分たちの状況に納得し、愛する人を愛し、明るい未来を目指してほしい。はやくーーーー。つづきみーせーてーーーー!!
それまで私は1話からもう一度見直すのだ。どこかに私が取り溢したものはないか。何かを探す旅に。