2024年4月、wabi-sabiに所属していたSantaがGMMに移籍っていうニュースには本当に驚かされたました。

だってSantaと言えば「SantaEarth」。

日本ではEarth姐さんと呼ばれてるwabi-sabiのキュートな小悪魔。『Until We Meet Again』で涙を誘った悲劇のInを演じたEarth。

『Love by Chance』ではTitleと、そして『UWMA』ではKaoとのCPを経て、いよいよSantaとの固定CP誕生。投稿されるTikTok動画にリアルCPじゃないかと噂されもしたSantaEarthだったのが、SantaがGMMに移籍とは・・・!

CP推しをしない私でもなんだか心がざわつきました。

そんなタイミングで2022年作『My Only 12%』を観てみました。

 

『My Only 12%』

監督       New Siwaj Sawatmaneekul

原作       Afterday

キャスト Earth/Santa/Prem/Afterday/Peak/Benz

約40分×全14話

2022年8月12日-11月11日放映

おやおや。なんとなんと。

この作品の原作は「Afterday」とありますが、作中の「ホム姉さん」を演じたエキゾチック美人、この方がAfterdayらしいです。

しかも彼女は『Bad Buddy』、そしてTee監督の新作『 I Saw You in My Dream 』の原作者でもあるそうです。

 

そのような原作のあるドラマですが、この作品はNew監督にとっての自叙伝的な作品でもあるのではないかと思いました。New監督はこの作品では監督だけでなくエグゼクティブ・プロデューサーでもあるため、その色合いは濃厚ではないかと思います。

そしてこの『12%』を世に送った2022年は、長年構想したまま止まっていたUWMAスピンオフ『Between Us』をもやっと世に出した年でもあり、彼の作品の総決算の年だったのではないかと思いを馳せるのです。

 

もしかしたらNew監督が『My Only 12%』についてインタビューに答えているものがあるかもしれません。しかし私には探せなかったのでここから先は勝手な憶測で書いていきたいと思います。

 

EP4でホム姉さんが「友達から借りてきたDVD、観る?」と言ってイウと一緒に観ますが、イウは途中でそこで描かれている男の子同士のキスシーンを観て怖れの入り混じった表情を浮かべます。イウが何かの衝撃を受けていることにホムは気付き、DVDを止めました。

その後EP5でイウは一人でそのDVDを観て、彼らの愛が親から理解を受けないということに酷く傷つきます。

この作品はがなにかといえば言うまでもなく2007年作のタイ映画『ミウの歌~Love of Siam』です。

これについては過去にブログで書きました。

 

 

ここで私は、

そしてね、『ミウの歌』の終わりが切ないの。現在のタイドラマを作る監督たちは『ミウの歌』を最後にめちゃくちゃ切ない気持ちで観終わったその後、今は最高にハッピーなエンディングの作品にしようとドラマを作り続けているんじゃないの?と思ってしまいました。や、もうほんと、ずっと後々まで引きずってしまいそうな切なさ。

と書いたのですが、『My Only12%』を観てその思いを強くしました。

何故なら『ミウの歌』に影響を受けて作られた2016年作のドラマ『Love Sick』にNew監督は編集として参加しているのです。

『My Only12%』作中で『ミウの歌』を観てショックを受けるイウは中学生である15歳。

現実のNew監督は18歳の頃です。

もしかしたらNew監督も学生時代から演劇部などに携わっていたのでしょうか。そしてこの『ミウの歌』に感銘と、そして悲恋で終わるという衝撃を受けたのかもしれません。

イウは卒業後に小説家になるのですがNew監督は映画制作に携わり、『Love Sick』を皮切りに『Make It Right』などに参加したあと、2018年に脚本・監督両方を担当した『Love by Chance』で一気に有名になっていきました。

 

また『12%』の中で特徴的なのが、「タバコの害」に関する啓蒙的なシーンと、家族に関する描写です。

時折、New監督作品にはなにかしらの啓蒙思想を感じることが多いです。ひとつはセイフティセックスについて。コンドームの必要や性病の検査、そして性行為の双方の同意について、幾つかの作品の中で時間をかけて描くところに特徴があります。

この作品でもタバコの害についての描写がかなりしっかりとされています。

自身の作品を視聴する若い人たち・・・特にゲイの子たちの健康や心身について、日ごろからとても真摯に考え、発信しているような気がします。

 

それから家族に関するシーンで感じたことがあります。

『UWMA』や『My Only 12%』で家族は需要なテーマになっています。

しかし、結構な頻度でIG投稿するNew監督ですが、記念日などによく「パパやママの写真」を投稿する人が多いけれどNew監督からあまり家族の写真が出ていない気がします(私が見落としてるだけかもしれませんが)。でも一緒に作品を作っている俳優たちとはとても「家族」的な雰囲気を感じられます。特にSammyやEarthやYachtなどwabi-sabiのメンバーたちとは一緒に旅行に行ったり遊びに行ったり。でもGMMで撮っている時もBehind The Sceneを見ているといつでも俳優たちの近くにいて寄り添っている姿が見受けられます。New監督の中での「仕事仲間たち」はとても「家族的なもの」なんじゃないかなあって思います。

New監督は大抵、自分でざっくりと演じてみせて、俳優たちのポジション決めも自分で決めているようです。そして俳優の強い感情からの泣きのシーンが終わるとすぐさまその感情のフォローをしているようです。

 

※『Love by Chance』でSaintとPerthのロッカーシーン演出

 

 

 

※同じく『Love by Chance』の夜のサッカー場シーン

 

※『 My Gear and Your Gown 』でPawinをフォローするNew監督

 

『12%』でもきっと、いつも俳優の近くにいたんだろうなあ、New監督は。

 

New監督にとって彼の作品の登場人物はそれぞれが分身でもあり、血を分けた大切なキャラクターなんだろうなと思えます。

特にこの『12%』のイウの姿にそんな感じを受けました。

 

オーナメントオーナメントオーナメント

 

さてこの『12%』は幼馴染みのイウとケーキが中学生から大学生になるまでの物語です。

常々、みんな高校生を演じるのだってキツいのになあと思っているのに、撮影当時はEarthは25歳で中学生を演じています。しかし大人になれていない赤ちゃん顔で、どこかいじめられ顔で、自意識過剰で不安定、そんな中学生をEarthが完璧に演じています。現在爆イケのSantaも2年前の18歳頃にやんちゃな中学生を演じきっています。

それが大学生パートになり、イウの中でゲイだというアイデンティティが確立され、演劇部の中で存在感を高め、誰かの被写体になることにも自信をもって受けることになったその顔は、中学生のイウではなく、現在のEarth姐さんの片鱗を表し、本当にその差は別人のようです。

そしてずっと幼馴染として共に小さなベッドで抱き合っていたイウとケーキが、大学生になり、お互いに対する気持ちがはっきりしたあと、今度は今までとは違う意味で抱き合うことになるのです。しかしあまりにもうイウが可愛いキャラだし、イウとケーキは「幼馴染」から「恋人」に移行できるのかなと思いながら観てました。しかしそれに対する「スイッチの入れ方」みたいなところの描き方が非常に自然でした。こういうところ、New監督は信頼できるなあ。

 

残念ながらSantaEarthというCPは『7Ploject』と『My Only 12%』で終わりみたいですね。

でもSantaもEarth姐さんも、まだまだタイ芸能界で羽ばたいていってほしいと思います。

そして大きくメンバーが変わったstudio wabi-sabiも、頑張っていってほしいなと思っています。