(3月7日 加筆しました)

現在(2024年3月)RakutenTVで配信中の『Play Boyy the series』。

 

まず最初に、大きな覚悟と少なからぬ野心を持ってこの作品のために集まったすべての俳優を私は賞賛したいと思います。

多分、殆どが新人だと思うのですが、きっとかなりワークショップで俳優スキルを磨いたのではと思います。どの俳優も誠心誠意役に挑んでいるのが伝わるし、そして誰一人として「ちょっと下手かも?」みたいな隙がないと感じます。

 

ただこの作品、人物多すぎだし複雑だしで、そしてセックス描写多くて、途中放棄している人や脱落寸前のまま止まっている方がいらっしゃるのでは?

最終回まで見終わって思うのは、とにかくみんな観て!!ってことです。

前半は、あえて言葉で説明しすぎず、登場人物たちのシーン毎の切り替えも非常に淡々と行われるため、初見ではよくわからないことも多いです。ところが今、最終回まで見終わってからもう一度最初から見直すと・・・。すべてが、第1話に、そして第2話にも、漏れなく重要なカケラが散りばめられているのです。

この作品が始まったばかりのころは「ツッコミどころ満載」「ダラダラしてて話が分かりづらい」という声も聞こえましたが、実は精緻な脚本と非常に練られた演出でできています。

前半の人物が多すぎでわかりにくい、は確かに私も感じたので、人物をまとめてみました。基本的にネタバレはしていません。そして最終回までご覧になった方はぜひとももう一度、せめて第1話だけでも見直してみることをおすすめします。解像度が激増します!

ドラマ前半で美大生ソーイと先輩でありヌードモデルのティーナーなど登場しますが、まずは一旦置いておきます。

この物語の中心は、行方不明になったナンを、双子であるノンが探す物語です。

ナンはかつて、5人の学生だけでシェアハウスに住んでいました。

その彼らは、男性のセックスを提供する「Play Boyy」という組織でそれぞれ男性を買っていたり、またはたまたま出会った男性が「Play Boyy」に所属してたりするのです。

 

ナンとノン

ノン/プローム

双子のナンとは、親の離婚である時から離れ離れに暮らしていた。ノンはアメリカ在住。ナンを探すためにタイにやってきた。親はそれぞれ政治家。

髪に金髪のメッシュを入れてる。

プロームはPlay Boyyラウンジを取り仕切っている。メガネをかけている。

ナンのスマホの履歴でプロームから何度も多額の入金があったのを知り、プロームがナンの失踪に関連しているのではないかと思ったノンは、ナンのふりをして接触。

 

シェアハウスで共に住む4人と、元Play Boyyメンバーの4人。

ソーイ/ティーナー

過去にトラウマがあってセックスに恐怖を抱いている美大生ソーイ。メガネをかけている。友人たちがPlay Boyyラウンジから呼んだジャムとセックスを試みるができなかった。

過去にPlay Boyyに所属していた、美大生だったが現在はヌードモデルをしているティーナー。

ソーイの授業中にふたりは出会う。お互いに愛し合っているが、ソーイがなかなかセックスを受け入れることができない。

 

ファースト/スン

ファーストは家が金持ちで厳格な家の息子だが、そこを飛び出して友達と住んでいる。通常のセックスに満足できない。SM嗜好が強くシチュエーションプレイやサディステックなセックスを好む。髪は金髪。

スンはピザ宅配のバイトをしていて、そこでファーストに出会ってセックスをすることで関係が始まった。ファーストとはセックスの相性が「唯一」と思うほど合う。スンも過去にPlay Boyyに所属。鎖骨下にタトゥーを入れ、会話の多くは英語を使用する。

 

カプタン/キーン

カプタンは盗撮マニア。盗撮したエロ動画で小銭を稼いでいる。また、ナンが撮影したセックス動画を買い取っていた。大学内のラグビーのチームに入るためにコーチであるキーンとセックスをする。ひどく独善的で他人を利用したり寝返ったりする傾向がある。

キーンはコーチであるが、最初に見た時からカプタンに恋をしてしまう。キーンは過去にPlay Boyyラウンジにいたジャムを買っている。後述するナットとも知り合いである。

 

ポー/ジャム

ポーはプレームについて「兄」だと答えている。ある金持ちの息子でプレームはPlay Boyyラウンジを、ポーはミラクル洗車場の経営を任されている。が、ポーはただの息子ではなく養子であり、その彼の親は後述するジェイソン・リーである。ポーもサディステックなセックスを好み、特に相手への支配欲が強い。

ジャムはかつてPlay Boyyに在籍。その後、ミラクル洗車場で働きつつ、フリーで売春をしていたのをポーに見つかり、ポーと奴隷契約を結ばされる。

 

その他の重要人物

プーン/オープ

プーンはカプタン同様、大学のラグビー部。まじめで清廉潔白な奨学生であるが、貧困家庭のためにPlay Boyyラウンジで売春をしている。

そのプーンに客とのセックステクニックなどを教えたのが30代でこの仕事に就いているオープ。

オープはティーナー、スン、ジャムとかつての同僚であり、連絡を取り合っている。

オーブがPlay Boyyで働くきっかけになったことにはひとつの大きな理由がある。

ナット/ポップ

ナットはかつて麻薬の密売に加わっていた。そしてナットもナンと関係を持っていた一人。心の中に加虐嗜好と殺人嗜好を持っている。

ポップは自らの自慰動画をアップしてお金を稼ぎ、それを家に送金する貧困家庭の青年。

ポップはナン失踪後、初期化もされていないナンのノートパソコンを使用していたことでノンがそのアカウンとに連絡した。

ポップは自慰動画のやり取りでナットと知り合う。

 

チューター

ジャムは奴隷契約を破棄し、ポーから離れたあと、チューターと性的なパートナーになる。

チューターは著名なライター。

ジャムを奪われたと嫉妬したポーは、チューターを追い落とすためにカプタンに協力を頼んである卑劣な罠を仕掛けた。

チューターはそれにより社会的に失墜し、その仕返しとしてポーの家庭の秘密を暴こうとする。

 

ジェイソン・リー

ポーの義父。表の顔は実業家であり、慈善家である。しかしその実態は・・・。

 

オーナメントオーナメントオーナメント

以上が主要な登場人物です。

とにかくセックスシーンが長いですよね。(正直、観ながらウトウトしてしまう・・・)

ただ、このTanamin監督は以前から、「人間の感情とセックス」について様々な角度から描いた作品作りがひとつのテーマになっているのではと思っています。そしてタイを取り巻く格差社会もテーマの一つではないでしょうか。

この作品はエンタメという枠の中でそれらについて真っ向から描いています。

 

Tanamin監督は気になる監督のひとりでほぼずっとその作品を追っています。

過去にこのような記事を上げました。

 

 

この中で、Tanamin監督の特徴として「キュルキュルしてかわいい男の子を描く」というのがありましたが、なんとこの作品では「キュルキュルして可愛い男の子」に当てはまるのは・・・ギリギリ、ソーイぐらいでしょうか。いえもしかしたらTanamin監督本領発揮の可愛い系男子はポップかもしれません。他の、見た目がちっちゃくて可愛いファースト・カプタン・ポーには三人共サディステックで結構えげつない役どころなのが興味深いです。

それからこの記事の最後に、Tanamin監督がいい脚本に出会えることを望んでいると書きました。これまでの作品が脚本で損をしているように思っていたのです。

しかし今回は(残念ながら『War of Y』は未見ですが)『War of Y』『Play Boyy』そしてGMMの異色作『Only Friends』の脚本を書いている Den Panuwat Inthawatです。 その辺りもぜひ楽しんでもらいたいと思います。

 

とにかく、『Play Boyy』最後まで観てみてーー!