欲しいような、要らないような?
多くのファッションアイテム同様、腕時計にも流行り廃りというものがありまして、近年のラグスポブームはいうまでもありませんが、ブロンズケースも結構流行っていますよね。
ちょうど一年前にもこんな記事を書いていましたが、今年も引き続きブロンズ時計は各社からリリースされています。
読み返すとそこまで肯定的ではないのですが、当時から私自身の評価はあまり変わっていません。とはいえ一本はあってもいいかな?という気持ちが無きにしも非ず。
そう思っていたら、今年は非常に魅力的なブロンズ時計がリリースされていました。
Khaki Field Mechanical Bronze / HAMILTON
Ref:H69459530
ケース径:38.0mm
ケース厚:9.60mm
重量:-
ケース素材:ブロンズ
風防:サファイア・クリスタル
裏蓋:チタン
ベルト素材:カーフ・レザー
バックル:ピンバックル(チタン)
防水性:5気圧(50m)
価格:96,000円(税抜)
そう、ハミルトンが手巻きのカーキフィールドにブロンズケースを投入してくれたのです。これはもう最高の組み合わせじゃないですか?
経年変化を楽しむブロンズケースはドレスウォッチのガワには到底向いておらず、断然アクティブな用途の時計にマッチします。
その意味でフィールドウォッチの決定版ともいうべきカーキフィールドにブロンズケースを合わせるというのは待望といってもいいんじゃないでしょうか。
基本的なデザインは変わらず、アラビアン・インデックスが二重に取り巻く形で、判読性を高めると同時にアイコニックな表情を見せてくれます。
当然ミニッツインデックスも備え、針の長さも適切で、分単位での時間の読み取りも容易に行えます。もちろん黒文字盤に白いインデックスなので視認性も抜群です。
ヴィンテージ風の焼けた感じの夜光を針など一部に使っている点は好き嫌いが分かれるかも知れませんが、私はよく似合っていると思います。
でね、この時計は是非出来立てホヤホヤを見て欲しいんですよ。冒頭に挙げている公式HPの画像は既に少し酸化が起こっていますが、新品状態だと上の通りメチャクチャ綺麗なんです。
まさに発行されたばかりの10円玉のようには、淡く非常に美しい銅色を見せてくれます。
おそらくこの状態は一週間と持たないと思いますが、それが一層儚さを感じさせて魅力的です。この経年変化を愉しめるのはファーストオーナーの特権であり、ブロンズ時計の醍醐味です。
私も発売間もない頃に原宿のブティックで実物を見せてもらいましたが、本当に綺麗でした。
この感動を味わってもらうため一度に大量に作るのではなく、少量を順次生産するという話でしたので、予約など出来るなら是非そうして新品を手にしたい時計です。
本体はブロンズ製で、裏蓋はチタン製というのも素晴らしい配慮です。サージカル・ステンレス以上にアレルギー性が低く軽量なチタンは、ブロンズ時計の裏蓋としてこれ以上ない素材でしょう。
結果としてブロンズが肌に触れるのはラグとリューズが軽く当たるかどうかという程度に抑えられています。
やはりブロンズケース最大のネックはアレルギー性が強い事なので、この点への配慮は欠かせないですからね。
さらに言えばカーキフィールドは引き通しのNATOストラップと完璧にマッチしますので、これを装着してさらにケースと肌の接触を減らす事も出来るでしょう。
38 x 9.6mmという絶妙なサイズ感も文句なしですし、ヴィンテージスタイルのデザインに、ブロンズケースというパッケージはちょっと格好良すぎじゃないですか?笑
型番:H-50
ベース:ETA 2801-2
巻上方式:手巻き
直径:25.6mm
厚さ:3.35mm (ベースキャリバー)
振動:21,600vph
石数:17石
機能:センター3針
精度:-
PR:80時間
搭載するのはETAがハミルトン専用に開発した3針手巻きキャリバーH-50。
ベースキャリバーの8振動/秒を6振動/秒に改めて、パワーリザーブを80時間に延長しています。
テンプは簡易的ながらフリースプラングを採用しており、振動数は下がったものの高精度調整を可能にし、高い耐衝撃性も獲得しました。
手巻きの3針キャリバーなど一般的にはもはや化石と言っていい存在ですが、新世代型のノンデイト手巻きキャリバーを作ってくるあたりスウォッチ ・グループの規模の経済は半端ではありません。
ハミルトンやティソといった価格帯でこれほどの機械を使われると他ブランドはお手上げです。
ピカピカのブロンズケースを楽しんだらあとは徐々に変化する様子を伺う事もできるという、二度美味しいのがこの時計の良いところ。
価格もこのスペックで税込10万円程度ですから、バリューは非常に高いですね。
永遠の定番ともいえるカーキフィールドは一度は手にしておきたい時計ですが、その中でブロンズケースも楽しめるとなれば益々魅力的です。
酸化してくると衣服への色移りなどがありますから、半袖やカジュアルなスタイルに合わせるのが良いと思いますが、アクセサリーとしても良いポイントになるんじゃないでしょうか。
あとは実際の流通量がどの程度かという事が気になります。出始めた頃はブティックや旗艦店で数本入荷があったようですが、セカンドロット以降は未定という話でした。
オンラインショップでも現時点では入荷前となっているので、結構数は少ないのかもしれません。
ブロンズケースの時計というのは完全に趣味用で、経年変化を愉しむという以外では、(触れる箇所は僅かとはいえ)アレルギー反応が出るかもしれないし、服は汚れるし、別に安いわけでもない、と普通の人が積極的に買い求める要素はありません。
時計を何本も持っていて、ちょっと変化球も欲しいというマニア向けの商品です。ある意味でこの業界がそういったヘビーユーザーに大きく依存している象徴的存在といえるかも知れません。
だからノンデイト3針なんていう一般受けしないパッケージでも出せるわけですね。
で、やっぱり私のような人間はまんまとこれを称賛するんです笑
実際この時計はそうしたマニアも納得のスペックと完成度を誇っています。ブロンズの発色も各社黄味の強い色が多めな中で、赤味の強いこのハミルトンの色は凄くいいです。
という事で、なくても全く困らないブロンズ時計ですが、探している方にはこれはめちゃお勧めです。