美しきGMT
皆さんそんな事に興味あるのか知りませんが、少し前からブルガリのアンバサダーに山下智久さん(36)が就任されています。
で、新作のアルミニウム・ウォッチを着けた宣材写真なんかは、めちゃくちゃ格好いい訳ですよ。
<クロノグラフモデルを着用>
出典:www.webchronos.net
有名タレントが着用しているからという理由で時計を勧めるなんて、時計ブログにあるまじき動機ですが、まあ一つのきっかけになる事はありますよね。
せっかく気付いたのだから、これを掘り下げてみましょう。
一連のアルミニウム・コレクションの中でも一際私の目を惹いたのは新作のGMTウォッチでした。
Aluminium Watch GMT / BVLGARI
出典:www.bulgari.com
Ref:103554
ケース径:40.0mm
ケース厚:9.70mm
重量:68.6g
ケース素材:アルミ/チタン
風防:サファイア・クリスタル
裏蓋:チタン
防水性:100m
価格:375,000円(税抜)
鬼才ジェラルド・ジェンタが手掛けたBVLGARI•BVLGARIをベゼルにあしらったアイコニックなデザインを継承する新作GMTは、カラーリングも目を惹くスタイリッシュなスポーツウォッチ。
一般にGMT(第二時間帯表示機構)といえばツートーンベゼルですが、このモデルでは24時間計は文字盤外縁に配されています。
ネイビーと赤と白のカラーリングは落ち着きと華やかさを併せ持ち、ブルガリらしいエレガントな表情を演出していますね。
トリコロールはありふれた配色なんですが、各色のトーンをいかに調整するかで出来上がりの雰囲気がまるで異なる訳ですが、実に素晴らしい。
やはりポイントは暗いトーンのネイビーでしょうね。深みと落ち着きのあるいい色です。
文字盤はセンターセコンドにGMT針を持つセンター4針のレイアウトのためかなり針高があります。それでもケース厚が9.7mmと10mmを切っているのはいいですね。
φ40 x 9.7mmというサイズは現代的ですが、大きすぎるわけでもなく、多くの人にとって使いやすいサイズではないでしょうか(個人的にはφ38mmくらいが最高ですが)。
ダイアルはマット仕上げのネイビーがベースで、12、6時がアラビア数字、他がバー・インデックスというお馴染みのフェイス。
3時位置にデイト窓を配し、その外周に昼夜をバイカラーで塗り分けた24時間表示リングがセットされています。
ベゼルには言わずもがなBVLGARI•BVLGARIが刻印されていますが素材はラバー。ここでカジュアルな素材を持ってくる辺りがブルガリのにくい所です。
ミドルケースはアルミ製ですがリューズと裏蓋はチタン製。
詳しい方ならご存知かと思いますが、アルミニウムは腕時計の外装に適した素材ではありません。それは汗による腐食が避けられないからです。
元来アルミニウムは表面に酸化皮膜を形成するため外気に晒されただけでは腐食しない金属ですが、塩分などを含んだ水に触れると酸化皮膜が破壊され腐食するのです。
SSより75%、チタンと比べても40%軽いというアルミですが、この腐食耐性の弱さゆえに時計のケースに用いられることは今日では非常に稀です。
この問題にどれほど本モデルのアルミ素材が対応しているのかは正直謎です。しかし最もよく直接肌に触れる部分となる裏蓋とリューズをチタン製としているので、この部分の腐食は起こりません。
裏を返せばやはりアルミ部分は腐食するのかも知れませんが、こればかりは使ってみないと分かりませんね。
ともかくこのアルミという素材のおかげで時計自体は非常に軽く、総重量が68.6gしかありません。これは薄型ドレスウォッチ並みで、100m防水のスポーツウォッチとしてはかなり軽いです。
サイズもそれほど大きくないので装着感はさぞ軽快でしょう。
スタイリッシュなデザイン、軽快な装着感、高い実用性と揃えばかなりMinority’s Choice にとっても魅力的な選択肢です。
型番:B192
ベース:Sellita SW 330-2
巻上方式:自動巻
直径:25.6mm
厚さ:4.10mm
振動:28,800vph
石数:25石
機能:センター3針デイト+GMT
精度:-
PR:56時間
搭載するのはB192という名のSW 330-2。薄型の旧世代型汎用ムーブメントです。しかし地味にPRを56時間まで伸ばしていたりと中々侮れません(対応するETA 2893-2は42時間とするメーカーが多い)。
今セリタってこういう地道な改良でETAを部分的にでも上回ろうろしているんでしょうか?ちょっと意外でした。
テンプの仕様など基本設計に関して陳腐化は否めませんが、一時代を築いた傑作機ETA 2892-A2の系譜(ジェネリックですが)と考えれば、質の低いムーブメントでは決してありません。
むしろ小規模メーカーが繰り出す謎の自社製ムーブメントよりはかなり信頼性とメンテナンス性は高いといえるでしょう。
マニファクチュール化して久しいブルガリの新作ともなれば、インハウス・キャリバーを期待したくもなりますが、ここは価格を含めた戦略的パッケージということでしょうね。
出典:monochrome-watches.com
そう、このモデルはこれまで述べた長所に留まらず、価格も非常に魅力的なのです。なにせ税抜では40万円を切ってくるのですから。
ブルガリ・ブルガリは近年これくらいの価格帯で同社のエントリーラインを担ってきた訳ですが、他社が軒並み大幅な値上げを断行する中で、このGMTの価格は手が届く感があります。
ムーブメントは汎用と割り切って、素材も貴金属ではないですから、まあ妥当っちゃ妥当なんですが、相対感でいえば結構良いポジションにいると思います。
外装がよく出来ているので安っぽい感じはありませんし、カジュアルに使うことが多い時計がヒヤヒヤするほど高額では嫌ですもんね。
ブルガリという世界的ハイブランドの時計という所まで考慮すれば、凄くいい選択肢を提案してくれているように思います。
唯一気に入らない所があるとすると、ストラップです。このカクカクした関節のあるストラップは何なんでしょう?
機能的な意味があるとも思ってなかったんですが、関節を設けるとフィット感が良くなるのでしょうか?
確かにラバーはしっかりした物だと曲がりが悪く、細腕にはブカブカしてしまう事もありますから、それを緩和する効果があるのかもしれません。
あとはデザインというのも勿論あるでしょう。私は全然好きではないですが。
まあ実際着用してみるとさほど目立たないのでそれほど気にする事もないのかな。
汎用ムーブにソリッドバックなので機械好きにはそこまで受けないかも知れませんが、ブルガリらしくシャープかつ洒落たデザインが特長であり全体としては非常に良い時計だと思います。
…という言い訳が立つので、本当は山Pの格好良さにあやかりたいだけ、という人も進んで買ってください笑