子どもとペットの死別
こんにちは!メンタル・サポート協会です。
核家族化が進み、また病院や施設内で死を迎える人が多くなり、子ども達が家庭内で近親者の死を経験することはほとんどなくなってきました。また外に野放しにされている猫や犬も見当たらなくなり、生き物の死を遂げる瞬間や経過に、立ち会える機会は減りました。
しかし、子ども達が生き物の死を経験することは、死を理解することやいのちの大切さを実感する重要な経験であると考えられています。
読み聞かせや博物館での勉強だけでは、得られない喪失感や悲哀感はどうしても強くなってしまいますが、それも大きな経験となり、命のはかなさ、有り難さ、尊さを肌で感じることができる機会です。
ある研究によると5,6歳くらいの幼児でも死への理解はしているという研究結果があります。
幼児でも大人と同じようにペットの死別によってペットロスにもなることもあるそうですが、生き物の死の経験は人格的成長に大きく影響を与えます。
この人格的成長に繋がっている家庭、そうでない家庭の対応の仕方に違いがあります。
それは、ペットの死の受け止め方、語り合いの違いです。
ペットロス経験をした子どもに対して両親が『子どもが可哀想だから』『死を受け入れられないかもしれない』と死を隠したり、語らなかったり、すぐに次のペットを買い与えたりする対応をした幼児はその成長が見られません。
両親が一緒に涙を流して悲しんでいると、子どもは『どうして泣いているの?』と不思議に思い『大好きだったわんちゃんが死んじゃったからだよ』『もう一緒に遊んだりお散歩したり出来なくなるから悲しいんだよ』とキチンと大人が悲しむことで理解が進みます。
子ども達がペットを育成する喜びと共に、生命の停止やもう2度と同じ命が蘇ることはない『有限の生命』『普遍性』をしっかりと語り合いながら、家族全員が理解する必要があります。
そして、子ども達には思いやりの心が芽生え、ペットや命があるのもに対してだけでなく、人間関係や自分以外のことに対しても感謝し、思いやりや共感観も身につくでしょう。ここで人格的に成長させなければ、『自分さえ良ければ良い』といった人間になってしまうでしょう。
また、最近、絵本も童話も誰もが死ぬことなく、皆が幸せに暮らしましたというような『死を日常生活から排除しようとすること』は、とても危険であると考えます。悲惨さや死のような否定的な心理体験を良しとしない社会傾向は、正常な人間の心理感覚を奪うと思われます。
大人達が、死を『不』『恐怖』と捉え、自らが死に触れたくない、考えたくないと遠ざけてしまわないように、しなければならないことも今後の課題かもしれません。