台風18号の対応で、職場の3人が徹夜をした。僕は翌朝6時台に、彼らの朝食用にセブンイレブンでおにぎりをたくさん買って持っていった。


幸い、大きな事故はなかったが、それでも小さな事故はいくつかあった。ホワイトボードに経過が記録されている。


徹夜をした3人のうち2人は翌日の仕事をほとんど休んだが、1人はそのまま仕事をして1日を過ごした。
「24時間以上寝てないだろ?大丈夫なのか?」
夕方になって声をかけた。僕も昼の間は、台風の後処理対応でずっと出張をしていて、ほとんど職場にいなかった。


「俺も帰りたかったんですけれど、次々にいろいろと起きてしまって。」
まわりから「ジャック・バウアーだ。」という声が上がる。
「24時間も働いて体がもつのか?」
「ジャック・バウアーは毎時間、事件に巻き込まれても大丈夫みたいですよ。」
「ジャック・バウアーは24時間働いたら、あとの364日は休みなんじゃないのか?」
「そんなことないでしょ。」
仕事は大変だが、ときどきバカなことを言って笑いあえるのが、今の職場のいいところだ。


そして、考えてみたら僕は「24」を見たことがないことに気が付いた。今後、見てみることにしたい。


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地元の運動会が12日にある。それは「皆既月食があります」程度の話しで「へえ。あるんだ。」くらいにしか考えていなかった。小学校を卒業してから、地元の運動会に参加したことがない。


地元の役員の会議に出席したとき、どうも今年は俺も運動会に出なければいけないらしいということが段々とわかってきた。そしてある朝、家のポストのなかに1枚の紙が突っ込まれているのを発見した。取り出してみたら、入っていたのは「むかでリレーの選手を委嘱します」という委嘱状だった。


委嘱状には、運動会の前に、練習の日が3日間もあると書いてあった。練習の初日は仕事もあったので休んだ。2日目に「本当に練習に行かなくてはいけないのか?」と地元の役員をやっている友達に聞いてみた。「応援練習もあるし、行った方がいい」という話しだったので、仕事が終わった後、午後7時30分頃から小学校のグランドへ行った。


グランドは照明が灯って明るかった。驚いたのは、百人以上の人がグランドで運動会の練習をしていることだった。なんだか知らないが、鉄の輪を回しながら走っているおっさんや、ボールをフラフープの輪に入れて引っぱりながら走っているおっさんもいる。


「なんとなくウロウロしていればいいから」という友達の助言にしたがって、僕はウロウロしながら、綱引きの練習やボールを後ろ向きに手渡しをしていく謎の競技の練習を見学していた。大縄跳びの練習では数十人がジャンプしている。


一応、むかでリレーの練習もした。むかでリレーというのは、むかで競争のリレーバージョンだ。4人が縦に並んで、まず1本のひもで互いの右足首を結ぶ。もう1本で左足首を結ぶ。その状態で走るのがむかで競争。むかでリレーは3組のむかで競争の組がバトンを手渡ししながらゴール目指して走るというものだ。この競技だけで、1チーム12人も必要になる。


よくこんなに人が集まるなあ、と驚きながら練習をしていた。
むかでリレーでは足が絡まって転倒するのでは、と不安な思いで走ったが、ゆっくりなら僕でも走れることがわかって少し安心した。


その後、集会場で応援練習があった。僕は応援団ではないので、見ているだけでよかった。
2回ほどの練習で、応援はほぼできあがっていた。
そしてそのあとは飲み会があって、11時近くまで飲んでいた。


そんな練習が、翌日もあった。
寝不足と二日酔いのせいで、金曜日は眠たくて仕方がなかった。


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土曜日は休みだった。午前中、アマゾン等の空いた段ボールを業者に持ち込んで引き取ってもらった。自宅で段ボールを十字に縛っている間は「こんなにたくさんあるのか」とため息をついていたが、業者のところに持って行ったときには「これだけですか」なんて言われた。広い倉庫のなかでは、僕が持ち込んだ段ボールはほんのわずかな数のように思えた。


午後はジムに行って、それからゆっくり休むつもりだった。
何しろ12日の運動会は、朝7時に集合なのだ。


そう考えていたら事故が起きて、土曜日の午後はずっと仕事になった。もうジムになんて行っていられない。本当に面倒くさいが仕事なんだから仕方がない。


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「ゲノムハザード ある天才科学者の5日間 」という映画を観た。


genomehazard

http://youtu.be/3B75BbzshyY
脚本が凝っている。化学の知識も医学の知識もふんだんに盛り込まれていて、俺が作りそうな理屈っぽい脚本だ。そしてアクションの盛り込みもちょっと過剰で、そこも僕好みだ。


genomehazard1

もっとも、ひとつひとつのカットはいいけれど、全体としては映像のテンポが今ひとつで、どこか視聴者を置き去りにしている感がある。緻密に作りすぎると余裕がない窮屈な作品になるんだなあ、とこの映画を観ながら思った。


genomehazard2

主演の西島秀俊の演技が素晴らしく、こんな俳優がいたらスタッフは楽だろうな、と思った。肉体的にも、態度にも、彼のストイックさが伝わってくるような映画だった。こういう人間にならないといけないんだろうなあ、と思った。

職場で技術を担当している部署の人たちと球の体積の出し方を話していた。
球の体積の公式は「4πr^3/3」なんだけど、ふと、ゆとり世代はπを3で計算していたことを思い出した。


「ってことはさあ、ゆとり世代にとって球の体積は、πと分母の3を互いに消しちゃえるから4r^3でいいんだ。」


ちょっと計算してみたら、実際に5%くらいしか差がない。正確にはπ/3だけの誤差が生じるだけだ。
そう考えると、πを3にしちゃうというのも意外と使える技術なのかもしれないと思った。


僕の部署では、球の体積の計算なんかしない。一応、新人の部下に、球の体積は概数なら4r^3で計算できることを伝えたが、全く興味がないようだった。
「球の体積なんて、大学に入って以降、1回も使ったことがありません。」
「俺は、気象予報士の試験で併合過程を学ぶ際に使ったけどなあ。」
「その併合過程って何ですか?」
「雲のなかで雨の粒が段々大きくなる過程のことだよ。」
「おそらく、一生、球の公式も併合過程って言葉も使わないと思います。」


「そうなのか。」と思った。俺はしょっちゅう使っているような気がしていたけれど、それは前の職場にいたときに、昼休みに中学数学を全部やり直していたせいなのかもしれなかった。


「でも、球の公式はAKBのセンターが誰なのかっていうことよりは意味がある知識だ。」と言うと、「それはそうですね。」なんて大人の対応をされてしまった。


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そんなことをいって家に帰ってきたら、気象予報士の試験結果が届いていた。専門分野は見込み通りに落ちていた。当然のことながら実技は採点もされていなかった。


今回、15歳の女の子が気象予報士に合格したらしい。素晴らしい。僕は理系の勉強を頑張っている女の子が多くなることは、いいことだと思っている。


僕はカール・セーガン博士の「COSMOS」を読んで育ったので、ヒパチア(どうやら最近ではヒュパティアと表記するらしい)の悲劇は繰り返さないようにしたいとずっと思っている。


ヒパチアは数学と天文学を専攻したアレキサンドリアの校長だった。彼女を虐殺して、西洋は科学技術については1000年近い眠りについてしまう。ヒパチアの悲劇は、人類の悲劇でもあった。


そんなわけで、僕は数学や天文学が得意な女性は無条件に応援したくなる。実は数学や天文学は、女性の方が向いているのではないかとも少なからず思っている。


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なかなか痩せないなあ、と夜、がっつり食べながら思っていた。気象予報士の試験を受けに東京に行くまでは、4月から毎日、腹筋を鍛えていたのだが、いろいろで挫折してしまい、今では何もしていない。


このままではいけないと思い、いろんな人に相談をした。いつも健康そうな人に聞いたら「ジムに行った方がいい」と言うので、ジムに行くことにした。


ジムに行く当日、「これからジムに契約に行く」と相談をした人に言うと、その人から「寿命が10年延びる」なんて少し大げさなことを言われた。


「マジで?俺、もともと200歳まで生きる予定だったから、210歳まで生きるのかあ。ちょっと長いな。」とぼやいていたら笑われた。


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それで、木曜日にジムに行って契約をして、機器の使い方などのオリエンテーションを受けた。


ついてくれたトレーナーが「どんな希望でも目標でも、恥ずかしがらないで言ってください。それでメニューを考えます。」と言うので、「じゃあ、10kg痩せたい」と言ったら「すぐに痩せますよ。10kgぐらいなら」なんて簡単に言うので驚いた。


土曜日に体力測定をすることになった。「世界一、持久力がありません。」と正直に言ったが、「最初からできるよりも、その方がやりがいがあります。」とトレーナーの人はどこまでも親切だった。


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それで金曜日の夜は、ゆっくり休むつもりだったが、麻雀に誘われて午前1時過ぎまで打っていた。コンピューターと違い、焼き鳥だのチップだの、現実の麻雀には面倒なルールがいろいろあって、大変だ。


6回やって4回くらい1位だったから、たぶん勝ったと思う。正確な点数は、また後日計算することになっていた。


午後2時頃に寝ることにして、顔を洗った。もう眠たくて仕方がなかった。


「日頃、勉強に集中しようと思っても無理なのに、どうして麻雀ならできるのだろう?俺は何をやってるんだろう?」と夜中に顔を洗いながら少し反省をした。


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土曜日の体力測定は午後1時からだった。
身長や体脂肪を測ったり、持久力測定のために自転車こぎもした。


心配していた持久力は、同年代の平均くらいだった。
脂肪が多く、思っていたとおり痩せる必要があるようだった。


筋肉量が多いのは意外だった。発達していて左右のバランスもよかった。
多少、頑張ろうといういう気になった。


それで日曜日もジムに行くつもりだったけれど、大雨注意報が出たので自宅で待機せざるを得なくなって、行けなかった。


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鴨川つばめの「マカロニほうれん荘」を最近の若者は知らないのだという。
アマゾンに売っていたので、全9巻まとめて買った。


macaroni

破壊的なギャグは未だに面白く、コマのなかの丁寧な描写にも時代を感じた。
セリフが長いことも意外だった。昔のマンガはこんなに饒舌だったのかと思い直した。


macaroni1

例えば7巻で、きんどーちゃん40歳とトシちゃん25歳が歯医者に行ったときは、わずかなコマのなかでこんなにしゃべっている。


○歯医者
きんどーちゃん「トシ 決めた?」
トシちゃん「ええ トシちゃんはこれだけ」
看護師「つぎの方どーぞ」
トシちゃん「この本借りてもいーですか?」
看護師「うちは図書館じゃありません」
トシちゃん「それじゃどこなんですか?」
看護師「歯医者です!」
トシちゃん「そーするとここは一見 図書館に見せかけておいて客をだまし 悪くもない歯を抜きとって金もうけをたくらむ悪質な暴力団の事務所なんですね」
看護師「ちがいます!」
トシちゃん「きんどーさん あんなこといってますけど」
きんどーちゃん「この女は大ウソツキで有名な女なのよ!おまけに金はないわ器量は悪いわ頭はカラッポだわで その上パンツもなければとりえもない!で 性格は凶暴で手のつけられない大酒飲み!前科6犯逮捕9回!雑食性のハ虫類で主にアフリカに住むが日本で発見されるのは大変めずらしいというどーしよーもない女なのよ」
看護師「うわーっ(泣く)嫁入り前の娘をつかまえて そんなのってあんまりよっ!ひどすぎるわー。あーん、あーん。」
きんどーちゃん「あんた嫁入り前にしちゃあ体の線がくずれてるわね。」
トシちゃん「ねん土がまだよく固まってなかったんじゃないですか?」


昔は夢中になって読んだものだが、今はかなり醒めた目でしか読めなくなっている。
きんどーちゃん40歳もトシちゃん25歳も、昔はもっと大人のように感じていた。


このマンガのなかの世界は、自由で無責任。どこまで面白さのみを追求できるかの実験的な作品だ。ロックへの愛も感じるが、反社会的な行動には甘えも感じる。


現実の重みを感じている今の僕は、もうこのマンガで描かれているような居心地のいい世界には2度と戻れないことを知っている。


最後まで面白く読んだけれど、この本に描かれている若さを失った今の僕には、苦いものが残った。


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映画「リアリティ・バイツ」をDVDで観た。


realitybites

http://youtu.be/xDYGo0UgIVM


この映画は、先日、前の職場の同僚と一緒に飲んだときに、25歳の別部署の部下から紹介されたものだ。


realitybites1

俺たちの世代を描いている。
この映画を彼がどうして観ようと思ったのかは俺には理解ができないが、この映画同様に、俺たちの世代の人間は、何かしらの夢を見てそして現実社会に噛まれて、夢を捨てて生きている。


realitybites2

映画では、現実に順応して賢く生きる男ではなく、最後まで夢を見続ける男を彼女は選択するが、それが正解だったのか、間違いだったのかは誰にもわからない。


最近の若者は夢を見ない。見てもとてもリアリティーのある夢を見る。だから傷つかなくて済む。うらやましくもあるし、何よりそれが賢い生き方だ。愚かな夢を追うことは、後悔ばかりの人生を歩むことになる。


それでも、上手に生きることがそんなに大切なのか。人生を振り返ったとき、貝殻のようにカラッポでいいのか。人はどう生きるのが正解なのか、そういうことをこの映画を観て考えた。


いい映画だと思う。この映画を「ズーランダー」のベン・スティラーが監督していたことが驚きだった。こういう映画を撮るだけの人間的な幅を彼に感じた。


U2の「All I Want Is You」なんて曲をこの映画のなかで初めて聴いたけれど、効果的に使われていた。U2はこういう初期の頃の曲が僕は好きだ。


いつか、僕がよくいく昔のロックが聴ける店に行って、この映画を紹介してくれた若者にビールをおごってやりたい。


ちょっとバカバカしいけれど、この映画には欠かせないナックの「マイ・シャローナ」でも聴きながら。

職場のバレーボールチームが地方大会を勝ち進んだので、土曜日はその応援に安曇野まで行った。


7チームが優勝を争うことになっていたが、今の職場のバレーボールチームは前回、優勝した強豪だ。そして、僕の前の職場のチームも勝ち進んでいた。このチームも毎年、地方大会を勝ち進んでくる。


前の職場のチームが毎年のように地方大会を勝ち進んでいたとき、僕は職場の新聞を毎月発行していた。その新聞は文章も写真も僕がほとんど作っていた。それでバレーボールチームの写真を撮りに行ったことが何度もある。


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僕の今の職場のチームは優勝までに3試合を戦わなくてはならなかった。最初の2試合はサービスエースが多い試合で、安心して見ていられた。


空いた時間には、前の職場の応援をしていた。前の職場の監督の隣に座って、手を叩いたり、声をかけたりしていた。若者が多く、アタッカーの跳躍力には目を見張った。きれいな女性もいてうらやましかった。


そして、当然のように前の職場のバレーボールチームと今の職場のバレーボールチームが決勝戦でぶつかることになった。


ゲームは3セットマッチ。前の職場は若者が多く、平均年齢は20歳台だろう。
それに対して、今の職場のチームは、平均年齢が40歳を超えている。そして、偉い人が多い。リベロのようにコート中を走り回って、ボールを拾っているのはもう50代に突入した課長だ。彼のほかにも課長がいる。


「どっちを応援するんですか?」今の職場のキャプテンに聞かれる。
「偉い人が多いし、今の職場の方を応援するけどさあ。」


相手チームの短パンを履いたきれいな女性の選手がトスを上げるのを見ていた。
今の職場のキャプテンも見とれている。


「迷うよな、実際。」
「ですよねえ。」


個人的には、きれいな女性の選手をずっと応援していたかったが、社会人として生きていくるということはなかなか難しい。今、タイプミスをして、社会人と打ったら、釈迦in人なんて変換されちゃったけれど、まあ、そんな気持ちだった。


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3セットマッチで1セット目は、前の職場のチームに取られた。喜んでいる姿が微笑ましかったが、そんなことも言ってられない。


「ドンマイ、ドンマイ。頑張っていきましょう。」などと言って手を叩いていた。
そして2セット目は多少苦しんだが、3セット目は圧勝し、2セットを連取して、優勝をした。


久しぶりの室内競技の観戦だったが、気合いのぶつかり合いが激しく、見ていて楽しかった。前の職場のチームは負けてしまったが、それでも全体から見れば2位なので、喜んでいた。


記念写真を撮ったあと、着替えて帰ることになった。僕たちのチームは満身創痍で、皆、それぞれに痛んでいるようだった。でも、どこか嬉しそうで、満足そうだった。


みんなに挨拶をして、また高速道路を運転して帰った。運転をしながら、来年はいったい、僕はどこの職場でどんな仕事をしているのかなあ、なんて思った。それから、思ったより楽しかったから、どんな職場でもスポーツイベントは積極的に行って応援しようと思った。


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日曜日は仕事だった。交渉相手の人が日曜日にしか時間を空けられないというので仕方がなかった。


ストレスが溜まるが仕方がない。


交渉ごとはまあまあうまくいった。月曜日にはこれらを文書にまとめて報告する。俺はどの職場に行ってもこんな仕事ばかりだが、まあ、仕方がない。


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御嶽山が噴火した。僕は大学時代に、雪上訓練で登ったことがある。


頂上付近で記念写真を撮った。でも、僕は寒くてゴーグルと目出帽で完全防備していたので、顔は全く映っていなかった。先輩に、ゴーグルは外せと言われたが、寒かったので拒否した。


御嶽山はルートははっきりしていて迷うことはあまり考えられないけれど、それでも3000メートル級なので、噴火がなくてもそれなりに危険な山だ。


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2年目の新人が突然、土曜日に電話をかけてきた。いまどき珍しい現場が大好きな男で、事務室でコンピューターに向かっているより、作業現場でロープワークを学んでいる方が幸せなのだという。まあ、気持ちはわかる。もっとも俺はロープワークも学ばずに寝ていたいけど。


「御嶽山が噴火しました。」
「そうみたいだね。」
「今、ふもとにいるんですが、何かすることありますか?」
「もう、ふもとに行ったのか?危ないからすぐに帰ってこい。おまえが遭難したら、俺が怒られるだろ。」
「ふもとじゃないです。松本です。呼ばれてもすぐに行けません。」
ふもとと松本を聞き間違えてしまった。
「…そうか。とりあえず、何もしなくていい。何か頼むときには連絡する。」そう言って電話を切った。


電話を切ったあと、なかなかいい反応だな、と思った。新人のハートはこのくらいでいい。


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ヒッチコック監督の映画「引き裂かれたカーテン」を見た。ポール・ニューマンが主演をしている。



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http://youtu.be/z2TlfRvNh8M


「引き裂かれたカーテン」というタイトルを見たとき、僕はどこかエロティックな映画を予感していた。おそらく美保純の主演映画「ピンクのカーテン」あたりからの連想だと思う。見たことはないけれど。


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「ポール・ニューマンがカーテンを引き裂いちゃうのかあ。やるなあ。」なんて思っていた。


実際には、エロさは全くない映画で、カーテンはピンクではなく、東西ドイツを分断していた「鉄のカーテン」のことだった。笑顔やふてぶてしさがポール・ニューマンの魅力だが、この映画では笑顔もふてぶてしさもほとんどなく、緊張した表情ばかりが続く。


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というのも、この映画では、ポール・ニューマンは、東ドイツに潜入し、核兵器を無力化する数式を、東ドイツの大学教授から引き出して、アメリカに持ち帰ることを使命とする、いわばスパイの役なので、まあ仕方がない。


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映画では、事情を知らないポール・ニューマンの婚約相手が勝手に東ドイツに付いてきてしまうことになっている。本当に女は面倒くさいけれど、仕方がない。


とまあ、そんな映画だった。ラストの逃げ方はあれでいいのか?と思ったけれど、かなりスリリングな場面もあり、なかなか楽しめた。現代のアクション映画のお手本ともいうべき映画で、ヒッチコックって本当にすごい監督だよなあ、と見ながら何度も思った。

診療情報管理士の自宅試験は、月曜日の敬老の日に集中して、一気に片付けた。コーディングは全く自信がなく、特に「胃腺腫」は最後までよくわからなかった。それでも、適当にコーディングをした。


この試験のおかげで、コーディングの練習がかなりできた。こういうことが試験に出るんだ、と思いながら、重たい本を何冊も広げて調べた。


本自体は重たいものの、1つの事象について調べなくてはいけない本は2冊だけでいいので、気象予報士の試験のように何種類もの天気図を見比べて、判断するという必要はない。また、答えは端的に明確なので、その点も悩みが少ない。見つかるか、見つからないか、究極的にはそういう話しだ。


きっと医療の現場では、そもそも先生のカルテでは「主病名」がわからなくて、先生に聞いたら怒られて、というのが一番の問題になるのだと思う。なんとなく、そんな気がするだけだけど。


それで、翌日に提出しようかと思っていたんだけど、敬老の日が「大安」だったので、月曜日のうちに提出することにして郵便局から郵送した。ふだんはそんなこと全く気にしないんだけど、ちょっと気にしてみた。


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今週末も野球の試合があった。以前の職場の近くだったので、以前の職部へ挨拶に行った。


「明日、近くの運動場で野球の試合があります。」と言うと、多くの女性が「頑張ってね。」と声をかけてくれる。「試合に出るんですか?」「僕は基本的にベンチを守ります。」


続けて「ぜひ、応援に来てください。」と言うと、「何の話しだったっけ?」という反応だった。かなり明確に「行きません。」というみんなの心の声を聞くことができた。


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夜は以前の職場の同僚と飲む約束をしていた。今の職場の野球部員も3人ほど連れて行く。
以前の職場は女性が多く、今の職場は男が多いので、何となく合コンという感じがする。


以前の職場の女性は、大人っぽく、きれいになっていた。
飲み会は盛り上がって、途中で仲居さんに「ちょっとお静かに。」と注意をされてしまった。


映画の話しにみんなが詳しいので、驚いた。しかも今まで観た映画のベストが「イントゥ・ザ・ワイルド」だという人が多く、そのセンスの良さにも驚いた。


機嫌がよくなりすぎて、いろんな約束をしてしまった。だいたい覚えているけれど、もしかしたら忘れてしまったものもあるかもしれない。


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翌日の野球の試合は、前回準優勝をしていたので、勝ち進むと思っていた。


ところが、第1試合を5対4で落としてしまい、それで試合が終わってしまった。あまりに早く試合が終わってしまったので、思わぬ空き時間ができた。もし本当に、以前の職場の同僚が応援に来てくれても、僕たちはもういなかったと思う。


野球部の部員を車に乗せて、自宅に送ったりしながら、午後2時頃にはまた地元に戻った。
本来なら、まだ試合をしている時間だった。


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木曜日の日に本社で会議があった。帰りに平安堂に寄って今日マチ子の「5つ数えれば君の夢」(秋田書店)というマンガを買って、バスのなかで読みながら帰ってきた。


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Five Starsというグループのアイドルが、高校生活を送りながら、アイドルの仕事もこなす。彼女たちが何を考えながらアイドルというお仕事をしているのか?そんなストーリーだ。


僕の職場に、彼自身がアイドルオタクとして有名な人がいる。彼は今週末も4連休にして、大阪から東京まで行くらしい。アイドルオタクの彼はおそらく食費以外のほとんど全てをアイドルに注いでいる。


彼に「アイドルっていう仕事は大変なのか?」と聞くと「大変ですよ。学校もあるし。」と言う。彼の携帯はアイドルからのメールでいっぱいだ。そういうファンサービスもしなければならないということだ。


今回、この本を読みながら、「誰かの夢」として生きるアイドルの誠実さや純粋さを感じた。「夢だから、完璧にしなければならない」のだという。


「誰かの夢」として現実を生きるアイドルは、「自分自身の人生」は生きづらい。そして、一生、アイドルを続けることもできない。そこに気がついているのか、気がついていて克服しているのか、人が持てないものを持っている彼女たちは、幸せなのか?重たいものを飲み込んだような読後感を持った。


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シドニー・ルメット監督の「その土曜日、7時58分」という映画をDVDで観た。


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http://youtu.be/8Jhrxn7QVDc


僕が思うのに、何よりすごいのは、フィリップ・シーモアとイーサン・ホークの演技力だ。
脚本は、よく工夫されているけれど、演技の力で相当カバーされている。


このような脚本を渡されて、そして演じきれる俳優という職業のプロ意識の高さに圧倒される。


beforethedevilknowsyourdead1

金に困った兄弟が、自分の両親の経営する宝石店を襲撃する。奪った宝石は換金して山分けにする。両親の宝石店は保険で安泰。めでたし、めでたし。


そういうはずだったのに、計画は最悪の結末。実行犯の弟は怖くなって、さらに人に依頼をする。そいつは、宝石店で母親に銃で撃たれ死亡。母親も撃たれて植物人間に。金は入らず、依頼した男の妻からは脅迫を受ける。


beforethedevilknowsyourdead2

金がないものだから、負の連鎖が続く。何も解決しない。


さまざまな登場人物の視点から描かれるこの映画は、短絡的な登場人物の姿をリアルに描いている。


この映画は、脚本的にはかなりの工夫はあるけれど、それほど優れているわけではない。正直、それほどいい映画だとも思わなかった。ただ、演技の力を見せつけられたような気がした。


***おまけ***


前回までに(7月の話しだけど)だいたい関数が出てくる式の説明は終わったつもりでいたけれど、診療情報管理士の専門試験に四分位偏差が出てきたので、追加する。四分位偏差を出そうと思うと、その前に四分位範囲が出てくるので、四分位範囲の説明もする。
そういうわけで統計の第11回目のテーマは「四分位範囲と四分位偏差」。


事例)野球チーム『DPC』の9人の仲間が集まってそれぞれの年収を確かめた。Aさん400万円、Bさん500万円、Cさん500万円、Dさん600万円、Eさん600万円、Fさん600万円、Gさん700万円、Hさん700万円、Iさん800万円だった。


この事例をつかってまず「四分位範囲」を出す。四分という言葉のイメージ通り、データを4等分する。データの25%目の数値を第1四分位数、データの50%目の数値を第2四分位数、データの75%目の数値を第3四分位数という。あたりまえだけど、データの50%目の第2四分位数は、データの真ん中の数字なので中央値と同じである。


(1)まず9人の年収を低い順に並べる。


(2)並べた順に番号を振っていく。


(3)中央値が何番目のデータかを考える。データ数に1を足して2で割ると、中央値が何番目か簡単にわかる。
(1+9)/2=5

(4)中央値が5番目の数だとわかったので、今度は中央値と最初のデータの真ん中がどこかを考える。それが、第1四分位数の場所だ。
(1+5)/2=3
データの3番目はCさんの500万円なので、第1四分位数は500万円になる。

(5)次に第3四分位数が、何番目のデータかを考える。中央値の5にデータ数を足して2で割ると、中央値と最後のデータの真ん中かが何番目かわかる。
(5+9)/2=7
データの7番目はGさんの700万円なので、第3四分位数は700万円になる。


(6)第3四分位数から、第1四分位数を引くと、四分位範囲が出る。
   700-500=200万円


〈解答〉200万円


ここから、四分位偏差を計算する。


四分位偏差は、四分位範囲を2で割るだけなので簡単だ。


200万円/2=100万円


〈解答〉100万円


〈余計なお世話の解説〉


1 四分位範囲とは
特異なデータがある等、平均値が使えないようなデータ集団があった場合、中央値を使うとデータ集団全体の性格がつかみやすいという説明をした。この四分位範囲はその発展形である。


四分位というのは、データを4つに(25%ずつに)分けることをいう。そして、最初の25%と最後の25%は捨ててしまい、残った50%の範囲がどこからどこまでかを求めるのが四分位範囲である。だから、四分位範囲は、データの半分は捨ててしまう。


2 四分位偏差とは
四分位偏差は、残った四分位範囲のデータのなかで、最も大きな数(第3四分位数)から最も小さな数(第1四分位数)を引いて2で割ったものだ。中央値から四分位偏差を足したり引いたりすると、データの重要な部分がその範囲に収まっている。あたりまえだけど。


だから、「平均値と標準偏差」に対応して、「中央値と四分位偏差」があると考えてもらってかまわない。


3 四分位偏差を求めるエクセルの式
探してみたけど、四分位偏差を一発で出す関数はエクセルにはない。QUARTILE関数を使うと、第3四分位数と第1四分位数が出せる。第3四分位数から第1四分位数を引いて2で割れば四分位偏差が出せる。


B3のセルからJ3のセルまでに数値を入れ(データが9つの場合)、QUARTILE関数を使って出すと、こんな式になる。


=(QUARTILE(B3:J3,3)-QUARTILE(B3:J3,1))/2


quartile

まあ、これで出るはずなんだけど、この前の専門試験の数字はこの式で出したら、微妙に数字が違うんだよなあ。どうしてかわからなかったけれど(調べるのも面倒だったし)、近い数字を使って提出しちゃった。たぶん、端数処理が原因だとは思う。

先週は野球の試合があった。試合前の練習でノックがあって、僕は届きそうなフライを捕ることができなかった。それでも、空中で身体の体勢を変えて、捕ろうとした。


左足から着地したときに、激痛が走った。すぐに水道に向かい、水を左足のユニフォームの上からかけた。応急処置はいつだってRICE処置(Rest(安静)、Icing(アイス)、Compression(圧迫)、Elevation(心臓より高く上げる)の英文の頭文字をつなげるとRICEになる)だと、頭の中では考えていた。


痛みは試合の間、ずっと続いていた。その日の試合では2打席立ったけれど、痛みはその後もなかなか引かなかった。


+++


今週の土曜日の秋祭りの本番まで、僕は2週間の間、毎晩、区の集会場に行き、準備を手伝っていた。そして、毎晩、作業のあとに飲み会があって、それにも全て参加をした。


その準備のために、2日と2時間、仕事を休んだ。車を車検に出したり、庭の草取りをしたり、祭りのことばかりしていたわけではないけれど、メインは祭りのためだった。


役員同士で飲んだときに、ついうっかり会長に約束をしてしまったので、一度は4斤分のサンドイッチを作って持っていった。僕はおいしいサンドイッチを作る自信があった。多少の不安はあったけれど、食べた後、仲間達から褒めてもらって嬉しかった。


満足に歩けないことはつらかった。目の前で青信号から赤信号に代わろうとしている交差点でも、走り抜けることができない。


+++


祭りの前日の金曜日は前夜祭で、僕たち役員は3次会まで参加が必須だった。それで夜12時近くまで飲んでいた。祭り当日の土曜日は朝7時30分から作業があったのに。


祭り当日、僕の仕事はカメラマンだった。御輿が各戸を回り、ご祝儀をいただくのだが、そのときに各戸の方々の写真を撮らなければならない。あとからお礼といっしょにご祝儀をくださった家に送るのだ。2人でチームを組んで撮るのだが、当然のことながら走らなければならない場面も多い。


祭り当日は、左足にモーラステープ(鎮痛消炎薬、母が薬局で買ったものが、家にまだあった)を貼り、万が一のためにロキソニン(効能に骨折の痛みが載っているほどの痛み止め)も用意をしていた。


地下足袋姿でかなり走ったが、モーラステープのおかげなのか、足が重く、多少引きずっていたものの、動けなくなるほどの痛みには襲われなかった。


+++


祭り自体は天候にも恵まれ大成功だった。朝の9時から夕方の9時近くまで、祭りは続いたが、もめ事もなく、事故もケガもなかった。僕たちは100人を超えるグループだったが、まとまっていた。基本的に自由にさせているのに、皆、役割をよく理解してまとまっていた。


「わっしょい、わっしょい」という大きなかけ声の中、僕たちのグループ特有の前後左右に自由に動き回る御輿は迫力があった。僕たちの御輿はかなり重い御輿で、担ぎ手は相当消耗するだろうけれど、勢いは凄まじかった。「これが俺たちの力だ」と主張しているかのようだった。見ているうちに「本当にすごいなあ」と嬉しくて泣けてきた。


神社できおったあと、小学校のグランドに行き、地域の11の区が集まってさらにきおい込みをする。11の御輿が集まって、花火が打ち上がるなかを御輿が走り回る。僕たちの御輿は自由に思いっきり走り回って2周する。僕は片手に提灯を持って、片手にカメラを持って、御輿の暴走を防ぎながら走った。足の痛みは気にもならなかった。


この日も夜は11時近くまで飲み会があった。足はかなり痛みだしていたが、それでも歩けないほどではなかった。


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僕たちのグループの会長は、僕の隣の家の同年生だった。中学校以降はほとんど接点もなかったが、彼に誘われて、僕も去年からこの会に入っていた。


会長は、多くの人から成功だったと声をかけられていた。挨拶のなかで「みんなのおかげです。」と言って涙を拭いた。僕以上に多くのものを犠牲にして、祭りを成功に導いて、嬉しかったのだと思う。


最後にいっしょに帰ったとき、そのときは2人きりだった。最後に握手をした。「本当に成功してよかった。ひいき目だけど、俺は俺の地区の御輿が一番、自由で力強くてよかった。いろんな人がそれぞれ努力したけれど、結局のところ、それも全て会長の力だ。」と声をかけた。「俺も会長に誘われて、この会に入ってよかったよ。」とも言った。会長は何度も飲み会で言っていたとおり「みんなのおかげだ」と言って泣いた。


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翌朝は7時から小学校のグランド清掃があった。そして10時からは集会場の片付けがあった。苦労して運び出して作り上げた御輿をまた片付ける。御輿の担ぎ棒を外し、苦労して巻いた紅白のサラシも、御輿に内蔵していたバッテリーもすべて外してしまう。


みんな笑いながら作業をしていたが、寂しさも感じた。昼にビールを飲んで(役員は除く)、カツ丼を食べると、もう祭りも終わりだった。みんな挨拶をして帰って行く。


僕たち役員は、その後、いろんな家にお礼を言って回った。ご祝儀の計算など役員はまだ少し仕事があった。今日は暑かった。昨日はまだ涼しかったので、「祭りが昨日でよかった」と役員同士で何度も話しをした。


空は今日も秋晴れだった。お礼のお酒を配る最中に、一升瓶が1本、僕の車のなかで割れてしまい、僕の車は日本酒の匂いでいっぱいになった。


全てのお礼が終わった後、日本酒で濡れた車のマットを集会場で洗った。軽く乾かした後、再び車に乗せた。ご祝儀の計算が終わり、役員もそれぞれ帰った。秋晴れの空を見ながら、夏が終わったな、と思った。


ただ僕の車だけは、日本酒の匂いが未だに消えず、祭りの余韻が残っているようだった。


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診療情報管理士の自宅試験が始まった。コーディングが全くできず、どうしてかなあ、と自問したら、そもそもできた試しがないことに気づいて、多少パニックになった。


専門分野の試験も合わせるとかなりのボリュームだ。もう休みを取ることも難しい。客観的には18日までに郵便局から返送すれば間に合う。でも、出張もあるし、平日に試験のための時間がとれるかわからない。月曜日の休日のうちに全てを終わらせるくらいのつもりでいないと、間に合わないだろう。


明日は朝から全力で、自宅試験に向かう。


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祭りの準備や本番のスケジュールは、担当の人が何度もシミュレーションを繰り返したものだったのだが、僕には随分とタイトに思えた。「無理なのでは?」と思ったことも1度や2度ではない。


それに天候だって、どうなるかわからなかった。そして自分自身も足を故障していたので、祭りを無事に乗り切る自信が全くなかった。突然の仕事が降ってくることにも怯えていた。


だから成功したときは、驚きもあったし嬉しかった。地区への信頼感も増したが、でもそれ以上に、自分自身に対して自信がついた。僕はかなり早めに消極的な結論を導きやすい欠点も自覚した。


諦めずに全力をずっと出し切ることの大切さを、この秋祭りで、僕は学んだような気がする。なるべく泣き言を言わないように誠実に努力をしていきたいと思うようになった。


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日曜日の夜は6時頃に寝た。ここのところ、満足に寝ていなかったので、すぐに眠ってしまった。


夜9時過ぎに、以前の上司から電話があった。何か緊急なことがあったのかと思い、緊張して電話に出た。
「飲みに行くぞ!」と言う。もうすでにかなり酔っているようだった。


「昨日まで祭りだったので、あまり寝てなくて。今日は勘弁してください。」と言うと、「そんなことは関係がない。駅まで出て来い。」と言う。


「ふざけんなよ。」文句を言いながら服を着る。駅前に行き、30分ほど立って待っていた。田舎の駅なので、多くの人が怪訝そうな顔で僕を見る。また左足が痛くなってきた。
ようやく元上司の姿が遠くに見えたので、そこまで歩いて行った。


握手をして、上司に連れられて歩く。「おまえはどうして、俺が飲みに行くというときに、さっさと出て来ないんだ。嬉しくないのか。」と言う。
「昨日まで祭りでほとんど寝ていないんです。」
「そんなことは関係ない。当たり前のことだ。偉くなったんだから、もっとしゃきっとしろ。」


僕がジーパンのポケットに手を入れていたのが気に入らなかったらしく、手を叩かれた。
「おまえ、俺と飲みに行くのが嫌なのか?」
そう元上司が言うので黙っていた。
「嫌なら、もう帰れ。」
軽く腕を押されて、足がもつれた。また左足が痛くなってきた。


それから、元上司は僕の方に振り返らないまま、駅から遠ざかっていった。僕はしばらく立っていたが、そのうちに全てがバカバカしくなり、家に帰ってきた。


家に帰って再び寝た頃、元上司からまた電話があった。
「俺はさっき、駅前まで行ったんだぞ。」と言うので「僕も行きました。」と言う。


「どこかで行き違ったのか?」と聞かれたが、何と答えたらいいかわからず、黙っていた。


「俺は、おまえのことが大好きなんだ。微力だが、俺が支えてやる。おまえは優秀だから大丈夫だ。俺が言いたいのはそういうことだ。」
「ありがとうございます。」
あまりよくわからないままお礼を言う。


「おまえ、本当にわかっているのか?俺は本当におまえのことが好きなんだ。地元のことも精一杯やれ。いつか一緒に酔おう。」
「わかりました。」
「酔っていて、すまん。それだけだ。」
正直、本当にわかっていなかったけれど、わかりました、とだけ言った。


それから酔っ払い特有の、同じ話を何回もしてくれるというサービスに付き合った。元上司が「おやすみ」と言ってくれたときは本当にほっとした。「お休みなさい」と言って電話を切った。


そしたら本格的に足が痛くなってきて、寝付けなくなった。本当に勘弁してくれよ、と思った。



でもまあ、こうしてブログが書けたので、まあよかったんだと思う。

今年から配属になった新人が、電気使用量についてkwhなんて書いてきたので、「ワットは大文字のWだ。」と訂正させた。「基本的に、人の名前が単位になっているのは、大文字だ。ボルトだって、摂氏だって、ニュートンだってみんな大文字だろ?」


「ニュートンって何ですか?」
「ニュートンを知らないの?高校で習わなかったのか?それなら中学生の頃、kg重って習っただろ。あれは質量×重力加速度だから、kg・g(重力加速度)だけど、理屈ではあれもニュートンだ。」
「高校では、習ってないです。それに中学でも習ってないです。」
「そんなことないだろ。上皿天秤で測れば月でも地球でも1kgだけど、バネばかりで測ると月では重さが6分の1になるって、習っただろ。その差は重力加速度だって。」
「そうでしたっけ?とにかく、僕の世代は化学を専攻しない限り、元素の周期表も知らないし、ニュートンとかも習いません。」


「ニュートンは物理だけどさあ。じゃあ、ハロゲンのふっくらブラで洋子がアタック(フッ素F、塩素Cl、臭素Br、ヨウ素I、アスタチンAtの語呂合わせ)とかも知らないの?」
「なんですか?それ。知りません。知っているのは、Hが水素とOが酸素だけです。」


そうか、知らないのか、と思った。「とりあえず、ワットのWは大文字で書け。」とだけ言っておいた。気象予報士の正式な解答が出て、専門科目の自己採点の点数がさらに下がり、15問中たったの9点だった今の僕には「そんなことも知らないのか」とは口が裂けても言えなかった。あれだけ努力したのに15問中たったの9点。そのことを考えると、悔しさや怒りや悲しみの混在した感情に襲われる。熟考して、答えを代えた問題も間違えているという事実が、またいっそうやり切れない思いにさせられる。


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気象予報士の勉強を本格的に始めた頃、テレビのケーブルアンテナへの電源供給を止めてしまった。そして、電源供給するのが面倒で(コンセントを入れるだけなので、大したことはないけれど)、最近はテレビ番組を自宅では一切見ていない。


いいことなのか悪いことなのかわからないが、テレビ番組がなくても生活には全く困らないことを改めて自覚した。これからしばらくも、テレビなしの(DVD再生機としては使うものの)生活を続けるつもりだ。


本当は、「雰囲気ゲー」と呼ばれる「ico」や「ワンダと巨像」といったプレステ3のゲームも買ってプレイしたい気持ちがあるのだが、購入から設定までが面倒くさくてやる気にならない。これも年を取ったということだ。


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今週は毎晩、秋祭りの準備に地区の集会場へ行った。準備作業後には必ず飲み会があった。
そんなわけで、1週間の間、毎晩10時過ぎまで飲んで、翌朝は毎日眠たかった。この準備は来週も1週間続く。


土曜日には野球の試合が朝から午後まであった。僕は、2軍の補欠だった。前日の午後6時まで大雨注意報が、そして土曜日も午後6時から注意報が出たのに、試合の間はよく晴れていた。


試合前の練習のノックで、僕は左足を捻ってしまい、ふくらはぎを痛めた。痛くてまともに歩けなかった。


それでも2試合で2打席、打たせてもらった。1打席目は3塁ゴロで2打席目は3球三振だった。最近、練習をしてないとはいえ、ひどい有様だった。


2試合目は先発投手の大不調で、1回に13点も入れられてしまい、なんだか大味の試合だった。2試合目、打席が回ってくるまで、僕は3塁の塁審をしていた。1回に13点取られたピッチャーは2回からはレフトを守っていた。よく見ると、左手にグローブをつけていなくて、右手に持っていた。「疲れすぎてやる気がなくなったのかな?」と思った。


レフトにフライが上がったとき、彼が右手のグラブのままボールをつかむのを見て、そう言えば、彼は左利きだった、ということを思い出した。
僕たちのチームは結局2敗して4チーム中、最下位だった。1軍は当たり前に優勝した。


でも、なんだか楽しかった。2試合目に試合直前にダラダラとベンチに来た若者2人に「当然、キャッチボールしてきたんだろうな」と偉そうに言うと、「ええ。言葉のキャッチボールを。」なんて言うので笑った。


日曜日も朝から祭りの準備がある。そして、来週の10日からはいよいよ診療情報管理士の科目試験が始まる。そんなわけで来週は、祭りの準備、それから祭り本番と、科目試験が重なってしまう。それから盆明けからずっと天気が悪く、職場に呼び出されることも多い。コーディングの方法などすっかり忘れているのに、復習をしている時間もない。大丈夫なんだろうかとも思うが、なんとかするんだろう。


そして、僕は今、診療情報管理士の勉強はもちろんだが、それ以外に、気象予報士の勉強も続けたいし、テレビドラマの脚本作成や英語の勉強もしたい。やりたいことはいろいろとあるのに、仕事とか家事とか面倒なことが多いなあ、と思う。でも、まあそれもなんとかするんだろう。


そして、考えすぎて途方に暮れたとき、来年の今頃、僕はどこで何をしているのだろうかと思ったりする。できることであれば、少しは時間的にも精神的にも余裕のある、幸せな環境にいることを望みたい。きっとそうなると信じている。

先週の日曜日に、気象予報士の試験を受けた。
僕は一般知識は受かっていたので、試験は専門知識からだった。


その専門知識の1問目で、僕はいきなり途方に暮れた。
それは、こんな選択肢だった。
「(気象)レーダーから発射された電波の伝搬経路上に山岳がある場合、電波が反射して伝搬方向が変わるため、山岳の向こう側の本来レーダーから見えない部分に降水エコーが観測されることがある。」


山があればレーダーが届かないことなど誰でも知っている。ただ「ことがある。」という文末が問題だ。1000回に1回くらいはレーダーが山の向こうの降水エコーを拾ってくる可能性だってありそうだ。


過去問で、レーダーの方向にビルがあった場合のレーダー画像を見たことがある。その画像では、レーダー画像がその方向だけ白くなって何も映っていなかった。でも、今まで山岳のレーダー画像で、レーダーの届かない部分が白くなっている画像を見たことがなかった。山岳の場合は形が複雑なので、すべてを跳ね返すというわけではないような気もした。


まだ正式な解答は示されていないが、いろんな会社が出している解答速報を見ると、どうやら正解は×で、レーダーから見えない部分の降水エコーを観測することは絶対にないらしい。


この問題は、この選択肢を切れるかどうかで正解か不正解かが別れる問題だった。僕は、迷った挙げ句に○にしてしまい、不正解だった。


試験のときに解答をしながら思ったのは、こういう教科書や過去問の知識では解けない問題が出ると勉強のしようがないよなあ、ということだった。1問目の気象レーダーの問題も「気象レーダーが山岳の向こう側の降水エコーを拾ってくることは「絶対に」ない。」などとは、どの教科書にも出て来ない。


もちろん教科書の知識で解ける問題も出るが、それはある程度の正解数までしか届かない。合格するにはプラスアルファが必要になる。


試験を受けてとても疲れたが、解答速報を見た途端に疲れがいっそう増した気がした。自己採点では、1問差で不合格になったようだった。しばらくは人と口も聞きたくないような気分になった。


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今週は、松本で2日間の研修があった。夜、古くからの友人に3年ぶりに会い、飲みに行った。彼と飲みに行くのはもう10年以上ぶりだった。


8月に入ってから、ずっと勉強をしていて、1回も飲みに行かなかった。あまりに飲みに行かなかったので、久し振りに酒を飲むのが少し怖かった。


でも、一緒に飲み出すと元気になってしまい、結局3軒もハシゴをして、ホテルに帰ってきたのは午前2時近かった。試験で疲れていたから、8時間は寝ようと思っていたのに。


翌朝7時に起きると、2日酔いで気分が悪かった。


昼休みに、昨日飲みに行った友人に会った。
「俺、昨日飲みに行ってわかった。俺は酒が大嫌いなのだと。」と言うと「わかりました。まんじゅう怖い、みたいな話しですよね。」なんて言われた。「そうじゃないよ。本当に、大嫌い。」


それから、ちょっと酔っていたときの記憶がフラッシュバックした。店の若いお姉さん2人に囲まれて、ご陽気に歌っている自分の姿だった。自己嫌悪で立っていられないくらいな気分になり、頭を抱えた。しばらくは酒なんか本当に見たくもないくらいに思った。


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今週は土曜日も日曜日も秋祭りの会議があり、どちらも飲み会がついている。昨日の土曜日の会議後の飲み会は1次会で帰ってきたけれど、飲み過ぎて今、2日酔いでつらい。


今日の日曜日の朝は防災訓練があり、午後には河川清掃がある。


土曜日には、部下にゴルフクラブのセットをあげる約束をして、ついでに打ちっ放しにも連れて行った。


本当は、古いクラブセットをあげるつもりだったのだけれど、誰かに記憶がないままあげてしまったのだろうか?どこにも見つからないので、新しいセットをあげることにした。僕はもうやらないからどうでもいい。


部下にゴルフクラブの握り方やスイングの仕方を教えた。練習場の使い方を教えて、それから2人で100球くらいずつ打った。相変わらず僕は地面を叩き、手の平が痛かった。


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9月には、診療情報管理士の後期の科目試験がある。そしてちょうどこの頃、秋祭りもある。秋祭りの準備は御輿づくりから始まるので、毎晩、行かなければならない。勝ち進んでいる野球部の試合も2日ある。仕事も最近はストレスフルだ。


そんなわけで、9月の週末はほとんど予定で埋まっている。いろいろと考えると、こんなにこなせるのだろうかと不安にはなる。


でもまあ、きっとこなせるし、何とかなるんだと思う。


いつの日か、南の島で「あの頃は忙しかったなあ。」なんて思いながら、モヒートなんかを飲んで、のんびりと暮らしたい。


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ロバート・レッドフォード監督の映画「クイズ・ショー」をDVDで観た。


quiz show
http://youtu.be/vb3y7StSOSM
多くの人がテレビの「クイズ・ショー」という番組に巻き込まれる。飽きられて視聴率が落ちれば、正解がわかっていても、出演者は間違えなければならない。


quiz show1

その不正を、ある男が暴こうとする。


しかしテレビ番組の不正は、それが大衆の喜びである間は不正ではない。テレビ番組は大衆が求めているものを映し出しているに過ぎない。大衆が見たがっているものを作り上げるのがテレビ番組で、そこに金が流れ込む。そういう「仕組み」なのだ。そこに映っているものが真実かどうかは問題とならない。


quiz show2


男が暴こうとしたテレビ番組の不正は、認められなかった。結局、出演者をいたずらに傷つけただけだった。


テレビ番組とはいったい何なのだろうかと、改めて考えさせられた。
万人受けする映画ではないが、いい映画だと思った。

僕の住んでいる街のゴミ袋は、「再生紙や製材の残り、樹皮等からつくられてい」るのだそうだ。紙袋なので、「「生ゴミ」を入れる場合には十分水切りし」ろと書かれている。


袋の内側には、クラフトテープのような光沢がある。ある程度は防水になっているのだろうと思っていた。それで、スイカを食べる度に、皮を放り込んでいた。


スイカの皮をゴミ袋に入れておくと、ショウジョウバエが発生する(正確には「発生」はしない。イタリア人が350年前に実験している。)。それで、僕はスイカの皮を放り込んだあと、上から軽くカビキラーを噴霧していた。基本的に塩素は毒ガスなので、きっとハエが来たりしないだろうと思っていた。実際、ハエはあまり寄ってこなかった。


僕は一人暮らしなので、そんなにゴミの量は多くない。2週間ほど経ってからゴミを捨てようと思った。でもゴミ袋の中身が半分にも満たなかったので、勉強部屋にあるゴミも入れちゃおうと思って、ゴミ袋を持って勉強部屋へ行った。


勉強部屋で、ゴミ袋の空いたスペースに上からゴミを入れた。それからゴミ袋を持ち上げた。その途端、ゴミ袋の底から大量の液体がこぼれた。底が破れたのだ。その液体は濃い茶色をしていて、ものすごく臭かった。うひゃあ、と思って、そのゴミ袋を持ったまま玄関まで走った。


もう、なんてこった。新しいゴミ袋を持って、玄関に行き、新しいゴミ袋のなかに、破れたゴミ袋を入れた。それから、大量のタオルをムダにしながら、こぼれた生ゴミの匂いのするすごく臭い液体を拭き取って歩いた。


玄関は生ゴミの香りに満ちていた。玄関もタオルで拭いた。それから、ゴミ袋を見てみたら、破れたゴミ袋を入れたゴミ袋からも液体が浸みだしていた。


うひゃあ、と思って、またゴミ袋を出してきて、そこに入れようと思ったけれど、体積が妙に大きくなっていて、入らない。


仕方がないので、大型のゴミ袋を持ってきて、底にタオルを敷き、全てのゴミ袋を中に入れた。なんとか収まったような気がした。たった1回分のゴミを出すのに、有料のゴミ袋を4袋も使ってしまった。タオルも何本使ったかわからない。自分を怒りたい気分だったけれど、相変わらず家中が生臭く、怒っている場合でもなかった。


ゴミ集積場にゴミを出したあと、家のなか2カ所でアロマのお香を焚き、ファブリーズをあちこちにして歩いた。


職場で同僚に聞いたら、スイカのような生ゴミはビニール袋に入れてから、ゴミ袋に入れるのだそうだ。俺は紙製のゴミ袋にはビニール袋は入れてはいけないのだと思っていた。


家の中はそれから4日くらい臭かった。でも誰も訪ねてきたりはしないので、それはそれでかまわなかった。生ゴミの匂いは最初はきついが、3分ほどで慣れることを知った。嗅覚細胞が麻痺しやすいことは知っていたけれど、本当だったんだと思った。


勉強部屋の変更はしなかった。臭くても普通に勉強をした。僕は面倒くさいことをやるよりも生ゴミの匂いに耐えることを選んだ。


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今週は、仕事が忙しく、毎晩残業続きだった。おまけに仕事のひとつひとつがストレスフルだった。


契約先が信じられないようなミスを犯し、おかげで、随分と俺が怒られる羽目になってしまった。その後処理も、その他の仕事の処理も本当に大変だった。


だから勉強どころではなかったんだけど、毎朝1時間は早起きして勉強をした。もっと前から勉強していれば、とは思ったが、もう過去の自分について責めるのはやめにすることにしたので、あまり考えないようにした。


ついでに、過去の他人への怒りや恨みも、腹立たしかった出来事も、全て許すことにして、全部そういう思いは捨てることにした。そんなことを考えるのはムダなことだと最近、考えるようになった。嫌なやつのことを思い出して再び怒りをたぎらせるよりも、許して忘れてしまった方がいい。


もう昔のことなんかどうでもいいと思ったら、すごく楽になった。これからの自分についてよく考えて、自分が努力することに集中しようと思った。


そんな風に考え出した途端に、いろんなストレスフルな出来事が次々と起きるのは不思議だけど、起きちゃったんだから仕方がない。そんなことで、自分を責めることも、もうやめにする。そのうちに、全てが好転するだろう。


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気象予報士の試験を受けるために、金曜日に夏休みを取った。

夏休みは取ったけれど、職場には行かなくてはならなかった。

午後1時頃に職場を出た。


金曜日のうちに、東京に行って、土曜日はホテルで勉強する予定だった。


試験会場は吉祥寺にある成蹊大学だった。

吉祥寺のホテルを探したが、取ることができず、立川に泊まった。


立川の近くの国分寺に叔父が住んでいた。大学時代は、いっしょに一人暮らし用の部屋を探してもらうなど、いろいろとお世話になった。その叔父が亡くなって、2年になる。


お参りをしたいと思い、叔父の家に行った。金曜日の夕方に行ったのだが、いろいろとごちそうになり、おばさんや従兄弟と話をしているうちに夜の10時を過ぎてしまった。


土曜日は一応、朝からホテルで勉強をした。

自信は全くないが、これが今の実力なんだから仕方がない。


とりあえず、明日は勉強してきたことを出し切れればそれでいいと思う。

それが難しいことはよくわかっているけれど。

台風が過ぎたあとも、天候は今ひとつクリアにならない。注意報や警報が出て、そのたびに警戒態勢に入る。


台風の間に起きた事故や災害、連絡した相手方等を記録したホワイトボードがある。台風が過ぎたあとそのホワイトボードを撮影をする。印刷してファイルしておく。それから、ホワイトボードから全てを消して倉庫に持っていき、収納する。


今週の月曜日の朝、「もう出てくるんじゃないぞ」と願いを込めて、ホワイトボードの隅々まできれいに消して、倉庫に収納した。


だから火曜日の朝に職場に行ったとき、収納したはずのホワイトボードが再び外に出ていて、いろいろと書き込まれているのを見て、とてもがっかりした。


日本に住んでいるんだなあ、という気がした。これがシンガポールであれば、台風は来ないし、地中海であれば1年中穏やかな気候で暮らせるのだろう。日本って大変だよなあ。やれやれと思った。


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会社所有の施設から、金属製の看板が4枚ほど外されて盗まれてしまった。
盗まれたのがいつのことなのかわからないほど、今まで誰も気がつかなかった。


どうも3年前に点検したときにはあったらしい。わかったのはそこまでで、実際に盗まれたのがいつのことかはわからない。


こんなものをなぜ盗むのか、僕にはよくわからない。純粋に金属材料として盗んだのか、あるいはマニアの犯行なのか。しかし、こんなものを盗みたがるマニアなどいるのだろうか?よくわからない。


それで、警察に届け出に行った。届け出には僕の生年月日や住所のほか、社長の生年月日も必要だと言われ、事務所に電話で聞く。盗まれた施設の番地や3年前の点検の日付なども必須だ。印鑑も必要だ。いろいろと面倒くさい。


その後、警察といっしょに盗まれた現場に行き、現場検証をした。このときは僕自身は盗まれた看板のあったところを指さすだけなので簡単だ。警察の人が写真を撮ってくれる。


「犯人が見つかりそうにない被害届は、検挙率が悪くなるから警察はいい顔しないよ。」と人からは聞いていたが、対応してくれた警察官は皆、親切だった。


被害届を出した証明書が必要かと言われたので、必要だと言うと随分と待たされた。所長が成人式に出席しているからではないか、という話もあったが実際には何が原因かはわからない。


待たされた部屋は鉄格子の入った小さな部屋で、防音用の壁に囲まれている。天井には岩綿吸音板が使われている。スチール製の机が置いてあり、机の上にはスタンドが1つ。座らされたイスの前には、足を入れるスペースがなく普通に足を出すと机を蹴ってしまう。十分な広さがあるはずなのに、どこか心理的に圧迫感を感じる。


1人で待っているときに、ふと、今日は元同僚でニュージーランドに住んでいるフィンクルの誕生日だということに気がついた。


待っている間に、小さな声で、「ハッピーバースデーの歌」を歌った。「Happy birthday Finky,Happy birthday Finky…」ハエが一匹、狭い部屋の中を飛んでいた。窓の外は曇っていたが、ときどき日が差すことがあった。でも、太陽は見えない位置にあった。きっと独房の中というのは、こんな感じなんだろうな、と思った。


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最近、苦情が多くて困っている。なかでも困るのは「この人は相談よりも治療が必要なのでは?」という人だ。


言っていることが支離滅裂。怒っていることはわかるのだが、「それはいつの話ですか?」と聞いていくと、どうやら10年以上前の話らしい。土地の話らしいのだが、地番はわからず、誰の所有なのかもわからない。何度も大声で話す同じ話を聞いているうちに、何も言わず受話器を置きたい衝動に駆られる。こんな非生産的な仕事がほかにあるだろうか?


地方の役場に問い合わせをする。「一度、顔を見てお話した方がいいですよ。」と言う。「でも一度名刺を渡すとそれこそ毎日、電話かかってきますけれど。」とも言う。役場の人が本気で助言をしてくれているのか冗談を言っているのかがわからない。
「そんな状態になるなら会えませんよ。」そう言って電話を切った。気分がまた暗くなってきた。


毎日、いろいろあって、やってられないなあと思う。でもまあやっていくしかない。


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気象予報士の試験まで1週間を切った。勉強もいよいよ大詰め。改めて実技試験の1時間以内の作業量の膨大さに驚く。


ここに来て、やらなければならないことの多さに気が滅入りがちだ。それでも、何もやらないよりはやった方がいいだろう。


残り少ない時間、できることは限られているけれど、有効に使いたいと思う。

昼休みに気象予報士の勉強をしているときに、部下が来て、「よくそんな計算をしますね。」と言う。「もう俺は数式を見るのも嫌ですよ。」なんてことを言う。


ピタゴラスが三平方の定理を発見していた頃、日本は縄文時代だった。つまり、ギリシャ人が直角三角形の性質を勉強していた頃、日本人は土器に縄目の文様をつけていた。日本人は数学の世界ではまだ新参者なんだよ。日本人の数学的な素養が千年くらい、ヨーロッパ人から遅れていても不思議はない。だから、俺たちが数式を苦手なのも仕方がないのかも。


なんてことを話した。部下は「はあ。そうですか。」みたいなことを言っていた。妙に納得していたのが少し気にはなった。


ヨーロッパ人がスポーツで日本人が勝てそうになるとルールを変えてしまう。腹立たしく思っているけれど、文化的・社会的なことで勝てるわけがないよな、とどこか僕は感じてしまう。エジプト人がピラミッドを建設していた頃、日本人はまだ竪穴住居に暮らしていたのだから、と。


そうは言っても、俺たちのハードディスク自体が(脳自体が)、ヨーロッパ人に劣っているとは感じていない。同じ日本人であっても、縄文人と現代人もさほど変わりはないだろう。だからもし、縄文時代から赤ん坊を1人拉致してきて、現代社会で育てれば、当然、我々よりも数学ができる優秀な人間に育つ可能性が、普通にあると僕は思う。


脳の構造の差ではなく、文化の差を僕は感じる。社会の成熟度と言ってもいいかもしれない。それは、誰か1人が勉強すればそれでクリアができるといったものでもないように思う。


そんなことを考えるようになったのも、もしかしたら仕事で、わけのわからない苦情がやたらと多いせいなのかもしれない。


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夏休みを1日取った。姉と施餓鬼会の法要に行く。暑い日だった。俺が白の長袖のワイシャツを着ていったら、姉に「暑苦しい。半袖にすればいいのに」と言われた。


最近、お墓参りもほとんどしていなかったが、姉が掃除をしてくれていたのでお墓はきれいだった。


久しぶりに本堂で、祖父が作った観音像を見上げた。だんだんと風格が増したように見えた。


お墓参りをしながら、昔、両親と祖父母がいた頃のことを思い出す。もうみんないなくなってしまった。


正直、暑い夏に施餓鬼会の法要になぜ行くのか、根本的なことを僕は知らない。でも、夏の1日に、先祖のことを思うなんて時があってもいいような気が、確かにした。


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気象予報士の勉強をしているが、あきっぽい性格なのか、なかなか勉強が持続しない。


少しは実力がついてきたのでは、と期待しながら専門分野の過去問を解いてみたら、15問中7問も間違えてしまい「いったい何の勉強をしてるんだよ」と腹立たしくなって、ますます勉強から遠のいてしまった。


択一の試験でさえこの有様だから、実技試験はいっそう悲惨で、どうしたらこんなに間違えるものかと驚くほどだ。


それでも、と思う。俺が仮に100人いるとしたら、100人のなかにはきっと、今の実力から努力を重ねて合格するやつが現れるだろうと。


自分がその合格するやつになるように、できるだけくさらずに、努力していきたい。


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土曜日の夜、寝ていたらあまりのうるささに目が覚めた。実は今年の2月の大雪で、家の雨樋が壊れていたのだが、別に気にも留めていなかった。


台風の大雨のせいで、その雨樋から溢れた水がトタン屋根に当たって大きな音を立てている。


近所迷惑だと思ったので、デスクマットをハサミで切って、トタン屋根の上に置いてみた。
少しは音が小さくなったけれど、あまり変わらなかった。


それで、雨樋の修理を頼むことにした。明日見積もりをしてくれるという。
いろいろあって、本当に面倒くさい。


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日曜日は朝から台風のせいで出勤だった。引継をして帰ってきたら、もう7時近かった。


今日は、本当は、高校時代の友人と飲む約束をしていたけれど、その友人に急な法事ができて、中止になった。


俺たちくらいの年になるといろいろなことが起きる。本当にいろいろあるなあ。


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竹村公太郎の「日本史の謎は「地形」で解ける」(PHP文庫)を読み終わった。


japanesehistoryssecrets

このシリーズは3部作になっていて、ほかに「文明・文化編」と「環境・民族編」がある。


既に、「文明・文化編」は読み終わって感心していたが、今回も驚くべき内容で、最後まで興味深く読んだ。


気象予報士の勉強は遅々として進まないが、こういう本はすぐに集中して読んでしまう。


江戸時代、土で作った堤防を監視し、土を固めて性能を維持するために、あえて吉原を堤防の先に作ったとか、赤穂浪士を守ったのは幕府自身であったことだとか、なぜ、川のない福岡がここまで発展したのか等々、「そうだったのか」と考えさせらる内容ばかりだった。


この本を頼りにするだけで、それなりのプレゼンが何本もできるだろう。最後まで、とても勉強になった。