職場のバレーボールチームが地方大会を勝ち進んだので、土曜日はその応援に安曇野まで行った。


7チームが優勝を争うことになっていたが、今の職場のバレーボールチームは前回、優勝した強豪だ。そして、僕の前の職場のチームも勝ち進んでいた。このチームも毎年、地方大会を勝ち進んでくる。


前の職場のチームが毎年のように地方大会を勝ち進んでいたとき、僕は職場の新聞を毎月発行していた。その新聞は文章も写真も僕がほとんど作っていた。それでバレーボールチームの写真を撮りに行ったことが何度もある。


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僕の今の職場のチームは優勝までに3試合を戦わなくてはならなかった。最初の2試合はサービスエースが多い試合で、安心して見ていられた。


空いた時間には、前の職場の応援をしていた。前の職場の監督の隣に座って、手を叩いたり、声をかけたりしていた。若者が多く、アタッカーの跳躍力には目を見張った。きれいな女性もいてうらやましかった。


そして、当然のように前の職場のバレーボールチームと今の職場のバレーボールチームが決勝戦でぶつかることになった。


ゲームは3セットマッチ。前の職場は若者が多く、平均年齢は20歳台だろう。
それに対して、今の職場のチームは、平均年齢が40歳を超えている。そして、偉い人が多い。リベロのようにコート中を走り回って、ボールを拾っているのはもう50代に突入した課長だ。彼のほかにも課長がいる。


「どっちを応援するんですか?」今の職場のキャプテンに聞かれる。
「偉い人が多いし、今の職場の方を応援するけどさあ。」


相手チームの短パンを履いたきれいな女性の選手がトスを上げるのを見ていた。
今の職場のキャプテンも見とれている。


「迷うよな、実際。」
「ですよねえ。」


個人的には、きれいな女性の選手をずっと応援していたかったが、社会人として生きていくるということはなかなか難しい。今、タイプミスをして、社会人と打ったら、釈迦in人なんて変換されちゃったけれど、まあ、そんな気持ちだった。


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3セットマッチで1セット目は、前の職場のチームに取られた。喜んでいる姿が微笑ましかったが、そんなことも言ってられない。


「ドンマイ、ドンマイ。頑張っていきましょう。」などと言って手を叩いていた。
そして2セット目は多少苦しんだが、3セット目は圧勝し、2セットを連取して、優勝をした。


久しぶりの室内競技の観戦だったが、気合いのぶつかり合いが激しく、見ていて楽しかった。前の職場のチームは負けてしまったが、それでも全体から見れば2位なので、喜んでいた。


記念写真を撮ったあと、着替えて帰ることになった。僕たちのチームは満身創痍で、皆、それぞれに痛んでいるようだった。でも、どこか嬉しそうで、満足そうだった。


みんなに挨拶をして、また高速道路を運転して帰った。運転をしながら、来年はいったい、僕はどこの職場でどんな仕事をしているのかなあ、なんて思った。それから、思ったより楽しかったから、どんな職場でもスポーツイベントは積極的に行って応援しようと思った。


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日曜日は仕事だった。交渉相手の人が日曜日にしか時間を空けられないというので仕方がなかった。


ストレスが溜まるが仕方がない。


交渉ごとはまあまあうまくいった。月曜日にはこれらを文書にまとめて報告する。俺はどの職場に行ってもこんな仕事ばかりだが、まあ、仕方がない。


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御嶽山が噴火した。僕は大学時代に、雪上訓練で登ったことがある。


頂上付近で記念写真を撮った。でも、僕は寒くてゴーグルと目出帽で完全防備していたので、顔は全く映っていなかった。先輩に、ゴーグルは外せと言われたが、寒かったので拒否した。


御嶽山はルートははっきりしていて迷うことはあまり考えられないけれど、それでも3000メートル級なので、噴火がなくてもそれなりに危険な山だ。


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2年目の新人が突然、土曜日に電話をかけてきた。いまどき珍しい現場が大好きな男で、事務室でコンピューターに向かっているより、作業現場でロープワークを学んでいる方が幸せなのだという。まあ、気持ちはわかる。もっとも俺はロープワークも学ばずに寝ていたいけど。


「御嶽山が噴火しました。」
「そうみたいだね。」
「今、ふもとにいるんですが、何かすることありますか?」
「もう、ふもとに行ったのか?危ないからすぐに帰ってこい。おまえが遭難したら、俺が怒られるだろ。」
「ふもとじゃないです。松本です。呼ばれてもすぐに行けません。」
ふもとと松本を聞き間違えてしまった。
「…そうか。とりあえず、何もしなくていい。何か頼むときには連絡する。」そう言って電話を切った。


電話を切ったあと、なかなかいい反応だな、と思った。新人のハートはこのくらいでいい。


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ヒッチコック監督の映画「引き裂かれたカーテン」を見た。ポール・ニューマンが主演をしている。



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http://youtu.be/z2TlfRvNh8M


「引き裂かれたカーテン」というタイトルを見たとき、僕はどこかエロティックな映画を予感していた。おそらく美保純の主演映画「ピンクのカーテン」あたりからの連想だと思う。見たことはないけれど。


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「ポール・ニューマンがカーテンを引き裂いちゃうのかあ。やるなあ。」なんて思っていた。


実際には、エロさは全くない映画で、カーテンはピンクではなく、東西ドイツを分断していた「鉄のカーテン」のことだった。笑顔やふてぶてしさがポール・ニューマンの魅力だが、この映画では笑顔もふてぶてしさもほとんどなく、緊張した表情ばかりが続く。


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というのも、この映画では、ポール・ニューマンは、東ドイツに潜入し、核兵器を無力化する数式を、東ドイツの大学教授から引き出して、アメリカに持ち帰ることを使命とする、いわばスパイの役なので、まあ仕方がない。


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映画では、事情を知らないポール・ニューマンの婚約相手が勝手に東ドイツに付いてきてしまうことになっている。本当に女は面倒くさいけれど、仕方がない。


とまあ、そんな映画だった。ラストの逃げ方はあれでいいのか?と思ったけれど、かなりスリリングな場面もあり、なかなか楽しめた。現代のアクション映画のお手本ともいうべき映画で、ヒッチコックって本当にすごい監督だよなあ、と見ながら何度も思った。