2005年春、悪性脳腫瘍が判明した母。
(後にグレード3→グレード4の膠芽腫へ転化)
余命3年以内と言われながらも、18年間戦った母の、奇跡の記録です。2023年他界。
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2018年・5月頃の事。
夕飯時のお話です。
この日は、旦那は仕事で不在、
私と母と子ども達だけでした。
母は、四点杖を使い、
自分の席に向かって歩いていました。
私は、その時キッチンにいました。
すると、ガタン!
と大きな音がして、
「アーッ!」
と、母の叫び声が聞こえました。
転んだ!と、すぐに分かり、
母の元に駆け寄りました。
床に倒れた母の頭の周りの床には、
かなりの量の血が・・・
すぐにタオルを持って来て、
出血している部分に当てて、
止血を試みました。
同時に、意識があるか確認。
母は、「痛い・・・」
と言いながらも、
呼びかけには反応がありました。
タオルはどんどん赤くなり、
これは自力での止血は、
難しいかも!と焦りました。
頭からの出血って、
傷自体は小さくても、
かなりの量なんですよね。
すると、声を聞いて駆け付けた
当時小3の息子、ソウが、
「お母さん!救急車呼ぶよ!」
と言って、119番通報しました。
私は止血を続けながら、
ソウが話す言葉を聞いていました。
救急です!
(火事ですか?救急ですか?への答え)
はい、本人から見て孫です。
8歳です。
はい、母がいますが、
血を止めるために手が離せないので、
代りに僕が電話しました。
○○陽子です。
はい、昭和2○年7月5日生まれの
67歳です。
転んで頭から血が出ています。
今、母がタオルで止めていますが、
止まったかわからないです。
はい、わかりました!
すぐに伝えます。
A市○○町3丁目○-○○です。
あ、僕、出来るので大丈夫です。
それか、近所の人に声を掛けます。
宜しくお願いします!
と、言っていました。
大人顔負けの言葉で、
ハキハキ受け答えるソウが、
とても頼もしく感じました。
ばあばの誕生日を覚えていたんだ!
そして、ソウは、
リク!(←小1の弟)
Sさんをを呼んで来て!
(Sさんは母と仲良しのご近所さん)
リクは、
「分かった!」
と言って呼びに行きました。
その間、ソウは私に、
・救急車はB消防署から向かっている。
・血液には出来るだけ触れない。
・できるなら他の大人を呼ぶ。
・サイレンの音が聞こえたら誘導する。
という内容を伝えてきました。
間もなくサイレンが聞こえ、
ソウは誘導するために外に出た所、
Sさんが来て下さり、
「ソウ君、がんばったね!
もう大丈夫だよ。」
と、役目を代わって下さりました。
救急隊員の方が到着し、
出血の状態を確認。
この時点で、布を当てると、
少し滲む程度まで止血できていました。
救急隊員は、手慣れた様子で
ガーゼと包帯を使って
簡易的な処置をして下さり、
私はようやく両手が自由になりました。
急いで保険証や限度額認定証、
診察券やお薬手帳を準備しました。
「ソウ!よくここまで出来たね。
ばあば、大丈夫だからね。
リクも、頑張ったね。
お母さん、本当に助かったよ!」
と言うと、二人は誇らしげに
ニッコリ笑っていました。
Sさんからも、
「8歳で救急車を呼べたのは、
本当にすごいし、
リクくんもまだ6歳なのに、
ちゃんと私達を呼びに来てくれて、
状況を上手に説明出来て、
おばちゃん感心しちゃったよ。」
と褒められ嬉しそうでした。
「yukiちゃん、お子さん達の事は、
私が見ているから大丈夫!
心配しないで陽子さんに
付き添ってあげて。」
Sさんの優しさに甘えて、
救急車に乗り込みました。
救急隊員の方は、
・脳腫瘍の既往あり。
・癲癇の既往あり。
という事を考慮し、
かかりつけの病院に、
搬送の交渉をして下さり、
無事に受け入れが決まりました。
母は傷の痛みも治まり、
だいぶ落ち着いた様子でした。
救急隊員の方々。
道を譲って下さった方々。
全ての方々へ、感謝の気持ちが
溢れていました。
救急科に運ばれ、
CTで、脳に出血などが無いか、
診てもらったところ、
画像ですぐに分かる出血は無しでした。
その後、脳外科のこの日の当番の
K先生が駆け付けられ、
「大変でしたね~、大丈夫ですからね。
ただ、念のため2~3日、
入院して様子見ましょうね。」
と優しく母に説明されました。
その後私は入院の説明を聞き、
母と一緒に病棟に上がり、
ナースステーションで、
入院の手続きをしました。
母は、
「さみしいな・・・」
と呟き涙ぐんでいました。
そうだよね。
お家が一番だもんね。
「大丈夫!すぐに帰れるよ。
明日の朝、来るからね。」
そう言って、
後ろ髪を引かれつつ、
帰宅しました。
帰宅すると、まだSさんが居て下さり、
「どうだった?」
と心配そうに聞かれました。
「CT撮ってもらいましたが、
今のところ大丈夫みたいです。」
と答えると、
良かったね、まずは一安心だね!
と。
子ども達もホッとした様子でした。
Sさんにお礼を言うと、
お互い様よ、気にしないで!
と、帰って行かれました。
転倒防止策、考えないと。
と強く思った出来事でした。