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2012年秋

 

本来なら、5回目の

維持療法になる予定でしたが。

 

 

MRI画像には、

再び大きくなってきた腫瘍が

はっきりと映し出されていました。

 

 

「言葉が出ない。」

 

この症状は再発の度にあったので、

ある意味覚悟の上での受診でした。

 

 

予想通り、

N先生の表情は固かったです。

 

母の方を見ながら、

ゆっくりと説明を始めた先生。

 

その内容は、

 

「腫瘍が、少し大きくなっています。

今飲んでいただいているお薬が、

効かなくなってきたんです。

本来なら、今日もお薬を

お渡しする予定でしたが、

中止になりました。

お薬が無くなった分、

制約も無くなったので、

まずはお家で、ゆったりと、

好きな事をして、

好きな物を食べて、

体力を付けて下さいね。」

 

との事でした。

 

母は、意外に表情は明るく、

 

「あのお薬、苦手だったので、

それはそれで、良かったですおねがい

今日からまた気持ち悪い毎日が

始まると思っていたので、

無いと分かって、

正直ホッとしているんです。」

 

と言っていました。

 

N先生は、

 

「そうですね~。次の受診まで、

ゆっくり過ごして下さいね。

まだ血圧を測っていなかったので、

処置室で測ってもらってください。」

 

と仰って、

 

看護師さんは、母を処置室へ

連れて行きました。

 

 

N先生は私に、

 

「脳腫瘍は、使えるお薬が、

とても少ないんです。

これからの生活について、

ご家族で話し合ってください。

このような再発の仕方は、

非常に進行が早いです。」

 

と、深刻な表情でお話されました。

 

 

私は、恐る恐る聞きました。

 

今までの生活ができるのは、

あとどの位でしょうか?

 

 

「私の経験上、月単位、

だと思っています。

余命に関しても、

進行度合いによっては、

半年は厳しいかも知れません。」

 

 

この時の先生の見立てでした。

 

 

また来月、予約を入れておきます。

その時に、SWさんとも、

お話してみて下さい。

 

 

との事で、

この日は帰宅しました。

 

 

帰宅後の母は、

全然凹んでいませんでした。

 

症状が進行して、

状況を理解していないのか?

と思ってしまうくらいに。

 

 

毎日好きな事をして、

好きな物を食べ、

鼻歌を歌いながら畑に出て

(市民向けの畑を借りていました)

太陽を浴び

 

大好きな温泉に通い、

(通う頻度UP)

アロマを楽しみ、

 

毎日孫と戯れる生活でした。

 

 

そして、

3度目の再発を宣告されてから、

 

3週間ほどが過ぎた頃。

 

 

あれ?お母さん、元気だよね?

 

言葉もバンバン出てる!

 

 

なんで?

月単位、って言われ人とは思えないポーン

 

 

まさか、また小さくなってる?

 

いやいや、無治療だよ?

そんな訳ないはず。

 

 

そして、1ヶ月後の受診日が

やってきたのです。