あなたを抱きしめる日まで
夏?ドラマは珍しくあれこれと趣味に合うものが多かったので、いくつか見ています。実家と違って21時~とかドッカリテレビの前に座るなんてとても許されないので、もっぱら翌日の昼休みのTVer…便利な時代になりましたね。ほんと。「あなたを抱きしめる日まで」(2013)・フィロミナ(ドラゴミロフ侯爵夫人、M)ロマンス小説とダイエット記事が大好きらしい普通のおばちゃんで元看護師。去年チタン製の人工股関節にしたそう。素晴らしい物や人は百万年に一度!と褒め称える。1955年に息子に対する全ての権利を放棄する書面に、婚前交渉の罪を反省して自分の意思(っていうけどそう仕向けられただけだよね)で署名。息子が自分を想ってくれてたか知りたい一心でマーティンとアメリカに渡った。息子探しを手伝ってくれているマーティンが、10年前に息子と握手してたと知っていたく感激。僅かなエピソードでも聞きたい!嬉しい!カトリック教徒だけど特にゲイやバイにも偏見無く、息子がゲイだったと知っても特に反感なくそのまますんなり受け入れた。繊細だったからねぇ。全く謝罪もされないけど、色々飲み込んでシスターヒルデガードを赦した。悩んでたけど記事化を快諾。・シックススミス(ジェデダイアとライバルがすぎるオクタヴィウス)ブレア政権下の運輸大臣の広報担当として仕事してた元BBCジャーナリストだったけどクビになった。フィロミナの経験を本にしたあと、ロシア史の本を書いたそう。ケイト夫人との結婚は20年目。神はもう信じていない。修道院内で出産で命を落とした母子たちの墓が荒れ果てて放置されてる事に怒りを感じる常識人。フィロミナが朝食バイキングに夢中な間に移民局の記事からアンソニーを見つけ、あれよあれよと、マイケル・ヘスまでたどり着いた。実はBBCワシントン支局に居た時に、マイケルと握手して一言交わしてた。シスターヒルデガードには怒りしかないけど、フィロミナの為にマイケルの墓にイエス像を供えた。・祭りで出会った謎のイケメンやたら手が早い。行きずり過ぎて責任の取らせようもない。…の割に、フィロミナさんの息子の父親の名前は海外版Wikipediaにバッチリ出てるな。逃げ得させず責任取らせることは難しかったんだろうか。・シスターヒルデガード未婚の母達に子供を手放すよう書面で迫り、実母の監督下から引き剥がした子供達をアメリカの金持ちに売り飛ばしてたシスター。まだ存命。子供と再会できなかろうが出産で命を落とそうがそんな母子の墓が荒れてようが、婚前交渉の罰!私を裁くのはイエス様だけ!この人の独断で子供の販売がされたっていうよりは、当時のカトリック教会全体の宗教的偽善でもっての一部修道会が盛んにやらかしてたはハタ迷惑なムーブメントだったんだろうなと言う感じはするけれど、それでも一言、やらかした罪は認めてほしい。・シスタークレア多分全容を知った上で隠蔽に加担している現代のシスター。当時のシスター?いやまぁ生きてるけどボケててなんも覚えてませんよ面会は無理です駄目です。流石に息子の墓参りは邪魔しなかった。・シスターアヌンシアタフィロミナとも年が近いからか同情的。フィロミナにこっそり撮ったアンソニーの写真をプレゼントした。すでに故人。・キャスリーンフィロミナの少し後に、多分似た境遇で女の子を産んだ。メアリーが連れてかれるのを察知してフィロミナに相談してた。・サリーマーティンがなんかすごい社会面ネタ掴んだので大喜び。・ジェーン兄がいるなんて知らなかった。パーティ会場の派遣スタッフ?みたいな仕事中にジャーナリストを見つけて、母とマーティンを結びつけた。・マイケル・ヘス逆子で産まれた出生時の名前はアンソニー・リー。3才だった1955年に育児室の仲良しのメアリーとくっついていたら、二人まとめてアメリカに養子に売られた。裕福なヘス夫妻の養子にされて、優しい養母と厳しい養父の教育のもと弁護士になり、共和党の主任法律顧問なんかをしていた。自分がアイルランドからの養子だと知って彼も彼で母を探していた。母と記者がマイケルの存在を突き止めた時には、1995年に既に故人になっていた。母がいつか自分を見つけてくれることを期待して、所縁のあるロスクレア修道院への埋葬を希望。「2つの祖国と多くの才能をもつ男」・メアリーキャスリーンの娘。やっぱり母親の同意なく、アンソニーごと連れて行かれた。こちらは謎の改名はされてない。裕福な養父母と過ごした子供時代には養父が厳しすぎてあまり良い思い出はなく、今もなんか3人の子供の母親になってるけど、なんか生活は苦労してそう。物心着く前すぎて、実母に思う事はとくにない。・ピートマイケルの恋人。家にまでやってきたマーティンは追い返したけど、流石に老婦人は足蹴にできず迎え入れ、マイケルの動画を見せ墓所を教えてくれた。マイケルの希望通りロスクレアに埋葬出るよう尽力。・ジェーン・ラッセル「紳士は金髪がお好き」でマリリンと共有してた女優さん。ロスクレアで1952年に子供を買って養子にしたと修道院の地元で噂されている(※真偽不明)確かに3人のお子さんは皆養子だけども。・ロスクレア聖心修道会カトリックの修道院。未婚の妊婦を収容して、安全に子供を産ませて、子供と未婚の母を保護はする。…母親の方は4年間の無償奉仕が義務付けられる上、修道院出るには100ポンドなんて大金が必要だったし、親権放棄の書面を書かされる。子供は母親の同意なくアメリカの金持ちに1人1,000ドルで売り渡して知らん顔。証拠も隠滅済み。流石に現代では母子の収容や金銭が絡む養子縁組はしてない普通の修道院になってるっぽい。養子縁組の書類?火事で燃えましたね。裏庭の焚き火だけど。聖心会の本部も養子縁組の書類は出し渋る体質。実際のフィロミナはアメリカまでは行ってないそう。動き回ったジャーナリストのおかげで、息子を再び抱きしめる事はできなかったけど、それでも生きているうちに息子の人生を知ることができて本当に良かった。一個人の資質は優れていても、全体見ると問題抱えていない完璧クリーンな宗教って、あんまりないイメージ。逆も勿論。仏教・神道だって、昔は天台宗だっけ稚児灌頂とか…あったけど、流石に今日日古い意味での御稚児さんなんかもいないだろうし、そもそも「素晴らしい教義」の理想実現のために子供を取り上げてついでに売り飛ばすとかいう事案と縁遠い。ただ住職・宮司家族だけがドン引きレベルのド級の金満やってるところあるしねぇ。運転手付きセンチュリー乗ってる僧侶を知ってるし、きょうだいで殺人事件起こったあそこの神社とかも大概だったし。カトリックガチ勢な信徒のみなさんからしたら、この修道院の振舞は「罪深い不道徳な女から子供取り上げて何が悪いの?」「裕福で素晴らしいカトリック的な白人家庭に子供をあっせんして何が悪いの?」なんでしょうか。「昔はそういう時代だったけど今はやってないからヨシ!」なんでしょうか。その割にはこの問題も青少年に対する性犯罪の大問題も一般人が納得できるレベルでの解決を図ろうと積極的に動く気もなんか無さそうですけど。不祥事ってだいたい教団内部で握りつぶされて滅多にニュースにならないですしね…。一応学問としてのキリスト教は修めていますけど、仏教徒からしたら、神罰なのかなんかしらん、ただの地上での代理人風情が絶対的な権威でもって黙らせて来るのも納得いかないし、私自身カトリックどころかキリスト教徒でもない単純な人間なので、シスターを罵るマーティンへの共感しかない。自分が純潔守ったから?だから余計にフィロミナのような境遇の女性が憎いのか?と個人的な妬みもあるのかとすら思ったし、何ならあの朽ちた墓の14歳の少女なんかに至っては、宗教的に中絶も許されなくて修道院に来るしかなかった犯罪被害者だったかもしれないじゃん。死者に対してひどい扱いするのも罪故の報いって全行程してる辺りも、それどうなんですかね。宗教が世俗でも権力持ちすぎなんですよね…未だに田舎だと破門されたらコミュニティからも排斥されるし。その辺ゆるいというか、日本的というか、白黒つけずにふわっとした状態の緩衝地帯がある仏教・神道の良いところだと思います。在家でいる分には戒律戒律やかましくないし。一番の被害者はフィロミナとその息子。フィロミナ本人が認識しているように未婚の母子家庭ではマイケルは弁護士、さらに政治顧問なんて素晴らしい出世を果たす栄光は手にできなかったかもしれないけれど、それぞれがお互いを探そうとした事がやっぱり当事者にとっては母子の愛が大事だったというか、そういう事なんだと思う。信心深いフィロミナがシスターヒルデガードを赦した事はフィロミナ自身心に折り合いを付けるためにも必要だったのかもしれないけれど、う~ん…う~ん…。断罪されろ!とまでは言わないけど、教会の顛末に関してはモヤモヤが消えない。けれど、子供を50年恋しく思い続けたフィロミナにとっては一つの区切りと言うか…でもほかにもこういう母子沢山いるんだよなぁ…。墓石の前に立つおかあちゃんが切なすぎる。この映画も邦題が素晴らしいと思います。「フィロミナ」だと見なかったかな~何かな、人名?で終わっていたかも。それにしてもアメリカにキャッキャしてる可愛いおばあちゃんから、目の前のマーティンが生前の息子に会ってた!力強い握手!喋った言葉は!?とマーティンの記憶の中のわずかな欠片をかき集めて宝物のようにしみじみ大切にする姿、全てのみこんで赦すことにした毅然としたマダムまで幅が広すぎて、ジュディ・デンチがとても素晴らしかった。