2つ目の記事です。こちらはインタビュー記事です。

以前私も挙げましたが、「ETBEの場合、イソブテンの調達が問題となり得る」という指摘がなされています。イソブテンは石油精製においては元々副産物ですので、それほどたくさん生産するつもりが無かったものです。

石油危機が次に訪れるときには、ETBEこそ供給不安に見舞われるのではないか、と私には思えます。

また、「エタノール直接混合派」からは、「石油業界がガソリンの販売量が減るような政策をそもそも支持するわけがない」という、以前言及しました当たり前の指摘がなされていますね。


(Quote)
バイオエタノールについて、ETBEを推進する石油元売りの業界団体、石油連盟の山浦紘一専務理事と、直接混合に向けエタノールの輸入増を目指すアルコールの国内販売最大手、日本アルコール販売の雨貝二郎社長に双方の立場を聞いた。
(聞き手は宇野沢晋一郎)


ETBEを推進  石油連盟 山浦紘一専務理事

--石連はエタノールの供給不安を指摘する。

「輸入に頼ると、エタノールの調達先はブラジル一国だけ。政治情勢や気候変動で供給が途絶する場合もあり、一国への依存は危険だ」

「農林水産省はガソリン需要の十分の一、六百万キロリットルを国内で製造すると言うが、それだけのエタノールを安定的に供給できるのか疑問だ。欧州は最大五・六五%のETBEを混ぜているが、これはエタノールの安定生産が可能な数字から割り出している。確実に供給する保証が必要だ」

--なぜ直接混合でなく、ETBEなのか。

「品質保証しやすい。直接混合では流通時に水分が混ざると、ガソリンと分離する。そのまま使うと自動車のアルミなどの部品が腐食し、オイル漏れなどが生じる可能性もある。水分混入を防ぐには製油所などの改修に三千億円かかる」

--ETBEは毒性が疑われており、スタンドの更新投資が必要だ。

「毒性については現在審査中だ。タンクからの漏出についてはしっかり感知する仕組みがあればいい。許容される範囲におさまるような対策を講じる」

--政府への注文は。

「ドライバーの安心のためには、供給不安や品質のばらつきがある燃料は我々は売れない。国産エタノールは歓迎したいが、安定した量と経済性に合う価格での供給を求めたい」


直接混合を支持  日本アルコール販売 雨貝二郎社長

--エタノールに供給不安はないか。

「ブラジルは二〇一〇年に三百万キロリットルの輸出余力を持つ。サトウキビ畑の広さは今は五百万平方メートルだが、十八倍ある放牧地を転用すれば余力は拡大する。紛争の絶えない中東に頼る石油より、供給安定度はむしろ高い。タイやインドネシアもエタノール生産の動きがある」

--なぜETBEでなく、直接混合なのか。

「運輸燃料の石油依存度を二〇三〇年に八〇%に下げるのが国の目標だが、ETBEで達成するには製造に使う石油製品イソブテンの調達が難しい。毒性も指摘され、スタンド一カ所あたり千五百万円の対策費が必要ともいわれる。直接混合ならタンク洗浄だけで導入できる」

--直接混合には水分混入による品質不安が指摘される。

「すでにブラジルから輸入したエタノールを自動車会社にテスト用に提供している。自動車会社はエタノールの直接混合燃料にブラジルなどで対応しており、国内だけ対応車にできないはずがない」

--政府への注文は。

「エタノールの導入が増えればガソリンの需要は減る。元売りに自主的な導入拡大を求めるのは酷だ。バイオ燃料を普及させるには、政府が元売りを政策的に支援する措置が欠かせないだろう」 (Unquote)
昨年12月22日(金)の日経産業新聞15面に、私の問題意識を網羅してくれている2つの記事が載りました。

今回と次回の投稿で、全文を掲載します。

簡単に言うと、「エタノール直接混合派」と「ETBE派」は別々に動き始める方向で、現在話が進んでいます。この流れが続けば、補助金も別々に認められることになります。

そして経済産業省は、私が推定した通り、「両方式を支援」しています。当初から意図したものだったのかどうかまでは分かりませんが。

ですから、「ETBE派は、すなわち石油元売り業界そのもの」だということです。

経済産業省が完全に石油元売り業界側に立ってくれているわけではない、ということでもあります。ということは、経済産業省の支援をどれだけ期待できるか、石油元売り業界にとってはよくわからない部分が残るということでもあるということです。

記事中には、「エタノールの導入がガソリンの消費減少を招くので、石油元売り業界に自主的にエタノール導入を求めるのは無理だ」という指摘が書かれています。(両論併記の中で書いてあるものですが)

そして、石油元売り業界の側は、「ガソリン消費減にならないよう、ETBEの導入を先行して始めてしまうのだ」とは、一言も言っていません。これこそが石油業界の本音だと、私が考えているところのものです。その本音を上手に隠している、というのが私の解釈です。

よく読むと、「ETBEに毒性があるかどうか調査が終わっていないにもかかわらず、ETBE導入を石油業界が見切り発車している」ことを示唆する内容も書かれています。

これで、政策の是非はともかく、情勢がどうなっているか、だいたいはっきりしましたね。

一言で言うと、石油元売り業界は焦っている、ということです。

私が思うに、京都議定書を実行すべく環境省が動き出したために、石油業界ものんきに構えていられなくなった、ということだと思います。

(Quote)
エタノール燃料 2方式に予算
直接か合成か 規格別れ走る
生産・流通巡り主導権争い

植物由来の輸送用燃料バイオエタノールが二〇〇七年度から二つの方式で実用化へ動き出す。石油元売りと、北海道農協などの煮陣営に分かれて別方式で取り組むエタノール普及策に、それぞれ補助金が出ることが財務省原案で決まった。二酸化炭素(CO2)排出削減へ効果が期待されるバイオ燃料だが、規格が統一されないまま、両陣営が生産・流通システムづくりを本格化する。

石油元売り各社はエタノールと石油製品を合成した「ETBE」をガソリンに混ぜて使う方式を採用する。来年四月から関東圏の五十のガソリンスタンドで販売を開始する計画だ。経済産業省はスタンドの補修などの費用として九億五千万円の補助金をこれに充てる。元売りは共同でETBEの製造装置なども整備する方針だ。

一方、北海道や沖縄では地元の農作物を利用して作るエタノールを直接ガソリンに混合し、燃料として販売する計画。北海道では地元農協が十勝に大規模なエタノール工場を建設する。ガソリンに三%混ぜた燃料(E3)の工場も苫小牧と釧路に建設し、系列のガソリンスタンドでの販売を目指す。農林水産省は施設の建設補助費などとして八十五億円を計上した。

環境省は沖縄県宮古島市でE3燃料の全島への普及を目指す事業などに二十七億八千万円の予算を付けた。経産省も七億六千万円を補助する。

二方式併存の背景には、エタノールの製造・輸入販売などの事業に着目する農協やアルコール販売会社などと、ガソリン需要の目減りを抑えつつ新燃料の主導権も握りたい石油元売りの思惑も見える。滋賀県立大学の山根浩二教授は「当面は全国規模で普及を目指すETBEと地域を限った取り組みのE3が併存する」とみる。バイオ燃料普及には今後もまだ幅広い議論が必要になる。 (Unquote)

躍進中のペトロブラスです。この記事は石油中心の記事ですが、少しエタノールについても書いてあります。

日本経済新聞朝刊 11月4日(土) 10面

[エタノール関連部分のみ概要]

・ゴイヤス州(内陸のサトウキビ産地)とサンパウロ州(海岸)を結ぶ九百キロメートルに及ぶエタノールパイプ来院の敷設を実施中

・アルコール輸送専用のタンカー確保に努力している

・輸出拡大を狙っている

とりあえず、エネルギー収支は頭に無いようです。

アメーバブログはブックマークを15件しか表示できません。少なくとも私のIDでログインする場合はそういう設定になっています。

15件は少ないです。

おかげで、表に表示したいリンク先がいくつも隠れてしまっています。

隠れているのを見るには、ブックマークの[一覧を見る]を押していただければ、表示されます。

そうすると、以下3つのリンク先が出てきます。

Sohbet Karbuz
Los Alamos National Laboratory
Lawrence Livermore National Laboratory

これらは、私から見ると、「軍事関連」です。わざわざブックマークしているのは、アメリカ人が「石油の減退」を明確に安全保障問題として捉えているので、私もアメリカの軍事動向に注意しようと思っているからです。

Los Alamos National Laboratory などは、代替エネルギー・省エネルギー技術開発に取り組んでいます。

Los Alamos は昨年、日本の(独)産業技術総合研究所と(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(いわゆるNEDO)との間に、エネルギー技術開発に関する共同研究協定を締結しています。研究所の副所長が9月に来日しました。

ちなみに、Los Alamos は、第二次大戦中に原爆研究開発プロジェクトを実施した研究機関です。我々が2発くらう原因を作った張本人の1人なわけですが、今やそこが、エネルギー技術開発について共同研究開発を申し入れてくるようになったというわけです。

個人的な意見ですが、これからアメリカ人が日本人を巻き込んで代替エネルギー・省エネルギー技術開発に取り組むことは官民(軍民?)問わず普通になっていくと私は思います。

アメリカでは「軍民問わず」は色々な意味で実現されていて、国立研究所たる Los Alamos の公開資料を読んでいると、研究所組織の管理業務(会社でいう管理部門)が民営化されていることがわかります。一種の業務請負だと思いますが、その請負者に Bechtel が含まれています。

いやいや、Bechtel さん、なかなか面白いこと考えますね。私の勤務先も見習って欲しいものです。

Sohbet Karbuz は個人のブログです。軍事への造詣が深い人物のようで、ピーク・オイルの軍隊への影響、地政学、などについて論じています。ときどき Energy Bulletin に記事が掲載されます。

先週の土曜日に、三菱重工業が General Electric と原発/風力発電で提携する、と報じられていました。そういう民民交流も含めて、日米間の結びつきが良くも悪くも強まると思います。

明けましておめでとうございます。

このブログでは、「 ~ の実験が行われた」とか、「 ~ が開発された」とか、「木を植えた」とか、「水中の藻がどうの」とか、延々と書いてます。

つまらんことをしている、とお感じの方もいらっしゃると思います。

また、「そんなことが実験されたところで、実用化されるかどうかわからない」と見えることも少なくないと思います。

私がこういうことをづらづら書いているのは、3つの予兆が出ていると直感しているからです。

予兆(1): セルロース系エタノール/ブタノールの液体燃料利用が「バイオ産業の化学工業への応用」への道を開く突破口となるだろう。

予兆(2): 化学工業へ応用されることにより、ゆくゆくは「植物体の中で人間が望む化学工業の原料を大量生産」し、「その原料を加工するバイオリファイナリー(biorefinery)」が登場し、「バイオリファイナリーや他の設備が統合されてバイオコンビナート(biocombinat)」へと発展するだろう。そうして、いずれは、バイオ産業が石油化学産業を圧倒する日が来るだろう

予兆(3): 植物と微生物の持つ能力を最大限に引き出し、石油(ガス)化学産業に依存せずにバイオ産業の助けを借りて食糧増産がなされるようになるだろう。

これはあくまで直感です。証明されたわけでもなんでもありません。

ただ、日経産業新聞や日刊工業新聞を毎日読んでいて、そして時々本屋で日経サイエンスなどを立ち読みしていて、職場の図書室に置いてある化学工学会や動力学会などの学会誌を読んでいて、こう思うのです。

「液体燃料、化成品生産、食糧生産の分野において、原材料としての化石燃料はいずれバイオマス由来の物質に取って代わられる」と。

「自然エネルギー利用の拡大や省エネルギー化の進展と並んで、この方向性で世の中には大きな流れが出来つつある」と。

毎週のように、バイオ産業の将来を示す予兆と私には思える報道がなされています。

これからも、そういう「一見つまらん」記事をたくさん取り上げていくつもりです。将来について考える材料として、少しずつ頭の中に収めていこうと思います。

早期のピークオイル到来の可能性を認識してから色々調べ始め、その挙句、こういう世の中の潮流が実はずっと前から少しずつ芽吹き始めていたことに改めて気づかされたのです。だからこそ、このブログをこの話題で始めたのです。
エネルギーや環境保護などに関する情報は、以下の諸団体から意外と多く得られます。

(1) 独立行政法人
(2) 公益法人(財団法人、社団法人など)

独立行政法人の情報は、官公庁の政策を直接反映していることが多いです。ですから、国がどうしようとしているかを観察するにあたっては、独立行政法人の動向チェックは必須だと思います。

私がときどき参照しているのは、以下の団体のHPや情報誌などです。

・(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構 ・・・ 通称: NEDO
・(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構 ・・・ 通称: JOGMEC
・(財)地球環境産業技術研究機構 ・・・ 通称: RITE
・(独)農畜産業振興機構 ・・・ ここは「砂糖類」のページのみ

以下はたまに参照します。

・(独)産業技術総合研究所
・(財)省エネルギーセンター
・(独)理化学研究所

ほかにも、農林水産省の「バイオマス・ニッポン」がらみと見受けられる動きをしている団体に

・(独)農業・食品産業技術総合研究機構
・(独)森林総合研究所

があります。前者はまだバイオ燃料研究を始めたばかりです。

このブログでは、上記の団体はすべてブックマークしてあります。これらは情報の宝庫です。みなさん、ウェブサイトだけでも活用しましょう。

以下は東京近辺在住の方にのみ申します。

上記の団体のうち、JOGMECだけは図書館を一般に開放しています。

JR川崎駅のすぐそばにある“Kawasaki MuzeMuza Kawasaki”という建物の中にあります。残念ながら平日の昼間しか開いていません。私も一回行っただけです。

もっとも、この図書館は「金属鉱物」関連のものですので、エネルギー関連の情報はそれほど多くはありません。それでも、やはり貴重な図書館だと思います。

エネルギーについて調べるにあたってほかに利用し甲斐のある一般に開放されている図書館としては、アークヒルズの中にあるJETROライブラリーも面白いと思います。ここも平日の昼間しか開いていません。

休日に利用するとなると、どうしても公共図書館になってしまいますね。

それではみなさん、良いお年を。

少し古いのですが、1990年代半ばの資料や2000年頃の資料から、化石燃料系液体燃料と蓄電池のエネルギー密度の大体の水準を調べることができました。

(重量エネルギー密度)
 化石燃料系液体燃料: 10,000 kcal/kg
 蓄電池      : >30 kcal/kg

(体積エネルギー密度)
 化石燃料系液体燃料: 4~10 kWh/liter
 蓄電池      : 0.04~1 kWh/liter

熱量を示す単位が kcal と kWh と異なっていて比較しにくいですが、無視してください。

要は、「炭化水素によるエネルギー貯蔵」と「電気エネルギーを化学エネルギーに転換して行うエネルギー貯蔵」との間に、桁の違うものすごい差がある、ということが分かっていただければここでは十分です。

資料が出た時点から6~10年経過していますので、今は蓄電池の性能がもっとよくなっているでしょう。

しかし、どう比較しようが、すごい差です。電池は全くかないません。

桁が違いますからね。そう簡単に差は埋まらないですよ。

石油系燃料を使うほうが、「より速く走れる自動車・より遠くまで走れる自動車・車内スペースをより広くとれる自動車・より強度の高い事故に耐えられる自動車」を作りやすいわけです。

現在では、蓄電池の主流は高性能のリチウムイオン電池になりつつあります。ハイブリッド車もリチウムイオン電池を使うことが多いです。また、ニッケル水素電池もまだ使われています。旧来の鉛蓄電池は次第に減ってきています。

しかし、いずれの電池を使おうが、ガソリンや軽油にエネルギー密度で負けている状況は基本的に変わっていません。

電気自動車でなく、ハイブリッド車が先に実用化されたのも、前述したインフラ面の理由もあると思いますが、エネルギー密度の面からも納得できると私は考えています。

ナトリウム硫黄電池も実用化されつつあります。この電池は現在実用化可能となっている蓄電池の中では最もエネルギー密度が高い部類に属します。残念ながら作動温度が高く(350℃くらい)乗用車よりも大きな機械になってしまいますので、自動車に積載できません。風力発電所に併設する電圧平準化用設備として導入されようとしています。(これはこれで重要だと思いますけどね)

ガソリン車の利点の2番目に移りましょう。エネルギー密度の話です。

「エネルギー密度」には、2種類の概念があります。


(1) 重量エネルギー密度
(2) 体積エネルギー密度

このいずれにおいても、化石燃料系液体燃料はたいへん優れているんです。少なくとも、電気エネルギーの媒体よりは。

重量エネルギー密度が良い(高い)、ということは、「軽い割に大きな運動エネルギーを発揮できる」ということです。

体積エネルギー密度が良い(高い)、ということは、「(エネルギーの貯蔵容器の容積が)小さい割に大きな運動エネルギーを発揮できる」ということです。

エネルギー密度は、エネルギー収支と並んで、エネルギー問題を考える上で、特に交通機関・運輸について考える上で重要な概念だと私は考えています(註)。もちょっと詳しく続けましょう。

- - - - - - - - - -

註: もっとも、その割には、数値データはあまり見かけません。どこかでエネルギー密度の数値データを見かけたら、何エネルギーであるかを問わず、ご一報ください。

ガソリンや軽油を燃料とする内燃機関が車両の動力源となることが、「エネルギーの人類史」的視点から見て、連続性があり電気エネルギーの利用より早く始まったのは必然と言える、と論じてきました。

一旦利用が広まると、インフラが整備されます。

自動車用の給油所が街中に立ち並びます。

田舎道にもやっぱり給油所が立ち並びます。

給油所に液体燃料を運搬するためのインフラも整備されます。

タンクローリー - 自動車の燃料を運ぶ自動車 - を自動車メーカーは製造販売します。

鉄道会社はタンク貨車を保有し走らせます。

石油会社は製油所にガソリンや軽油を分留する設備を設置します。製油所から貯蔵タンク、或は貯蔵タンクから給油所へと燃料を運ぶパイプラインも、敷設が可能な場所には敷設します。

こうして世の中、液体燃料で走る車両だらけになったわけです。

液体燃料を車両に注ぐ給油所だらけになったわけです。

液体燃料を運ぶタンクローリーとタンク貨車だらけになったわけです。

一旦こうしてインフラが社会に行き渡ってしまうと、これを例えば「電気自動車に電力供給するインフラ」で置き換えるのは容易ではなくなります。

「社会の慣性」とでも言いますか、そういう方向性ができあがってしまったわけです。

できあがってしまうと、ガソリン車やディーゼル車の利用は、電気自動車に対して一方的に有利になります。

「歴史的な連続性に由来するインフラの普及によって生まれた(どこででも安く使える)優位性」

これが、#182で述べた「石油系燃料で走る自動車の、電気自動車に対する利点の3番目」です。

しかし、大前提となっているところの石油供給が不足する、という事態になると、この有利さが一気に弱点になってしまうわけです。
あなたが昔のイングランドの発明家だったとします。

イタリアで蛙の足が震えたと聞いたからといって、突然「石炭なんかだめだ。電気を使おう!」と思うでしょうか?


薪の燃焼・「薪の蒸し焼き(木炭)」の燃焼

「石炭の蒸し焼き」の燃焼

「石炭の蒸し焼き」の燃焼を運動エネルギーに変換

「石油を急激に燃焼」させて運動エネルギーに変換

この4つの段階には連続性がありますね。どれもみな「ものを燃やして」います。


薪の燃焼・「薪の蒸し焼き(木炭)」の燃焼

「石炭の蒸し焼き」の燃焼

「石炭の蒸し焼き」の燃焼を運動エネルギーに変換

「電気エネルギー」を運動エネルギーに変換

これだと4番目に大きな飛躍がありますね。多分その時代の発明家でもそうそう思いつかないでしょう。


でもこれだと連続性があります。そして、歴史はその通りに進展しました。

薪の燃焼・「薪の蒸し焼き(木炭)」の燃焼

「石炭の蒸し焼き」の燃焼

「石炭の蒸し焼き」の燃焼を運動エネルギーに変換

「石油を急激に燃焼」させて運動エネルギーに変換

「石油を急激に燃焼」させて得た運動エネルギーを「電気エネルギー」に変換


ですから、ガソリンエンジンを搭載した自動車が電気自動車より先に登場したのには、私が思うに、必然性があったということです。

それだけ「人間はものを燃やすことにはなじんでいる」ということですよ。

「電気がピリピリ」ってのは、人類史の中では新しい事象だということです。雷という自然現象を除いて。