昨年12月22日(金)の日経産業新聞15面に、私の問題意識を網羅してくれている2つの記事が載りました。

今回と次回の投稿で、全文を掲載します。

簡単に言うと、「エタノール直接混合派」と「ETBE派」は別々に動き始める方向で、現在話が進んでいます。この流れが続けば、補助金も別々に認められることになります。

そして経済産業省は、私が推定した通り、「両方式を支援」しています。当初から意図したものだったのかどうかまでは分かりませんが。

ですから、「ETBE派は、すなわち石油元売り業界そのもの」だということです。

経済産業省が完全に石油元売り業界側に立ってくれているわけではない、ということでもあります。ということは、経済産業省の支援をどれだけ期待できるか、石油元売り業界にとってはよくわからない部分が残るということでもあるということです。

記事中には、「エタノールの導入がガソリンの消費減少を招くので、石油元売り業界に自主的にエタノール導入を求めるのは無理だ」という指摘が書かれています。(両論併記の中で書いてあるものですが)

そして、石油元売り業界の側は、「ガソリン消費減にならないよう、ETBEの導入を先行して始めてしまうのだ」とは、一言も言っていません。これこそが石油業界の本音だと、私が考えているところのものです。その本音を上手に隠している、というのが私の解釈です。

よく読むと、「ETBEに毒性があるかどうか調査が終わっていないにもかかわらず、ETBE導入を石油業界が見切り発車している」ことを示唆する内容も書かれています。

これで、政策の是非はともかく、情勢がどうなっているか、だいたいはっきりしましたね。

一言で言うと、石油元売り業界は焦っている、ということです。

私が思うに、京都議定書を実行すべく環境省が動き出したために、石油業界ものんきに構えていられなくなった、ということだと思います。

(Quote)
エタノール燃料 2方式に予算
直接か合成か 規格別れ走る
生産・流通巡り主導権争い

植物由来の輸送用燃料バイオエタノールが二〇〇七年度から二つの方式で実用化へ動き出す。石油元売りと、北海道農協などの煮陣営に分かれて別方式で取り組むエタノール普及策に、それぞれ補助金が出ることが財務省原案で決まった。二酸化炭素(CO2)排出削減へ効果が期待されるバイオ燃料だが、規格が統一されないまま、両陣営が生産・流通システムづくりを本格化する。

石油元売り各社はエタノールと石油製品を合成した「ETBE」をガソリンに混ぜて使う方式を採用する。来年四月から関東圏の五十のガソリンスタンドで販売を開始する計画だ。経済産業省はスタンドの補修などの費用として九億五千万円の補助金をこれに充てる。元売りは共同でETBEの製造装置なども整備する方針だ。

一方、北海道や沖縄では地元の農作物を利用して作るエタノールを直接ガソリンに混合し、燃料として販売する計画。北海道では地元農協が十勝に大規模なエタノール工場を建設する。ガソリンに三%混ぜた燃料(E3)の工場も苫小牧と釧路に建設し、系列のガソリンスタンドでの販売を目指す。農林水産省は施設の建設補助費などとして八十五億円を計上した。

環境省は沖縄県宮古島市でE3燃料の全島への普及を目指す事業などに二十七億八千万円の予算を付けた。経産省も七億六千万円を補助する。

二方式併存の背景には、エタノールの製造・輸入販売などの事業に着目する農協やアルコール販売会社などと、ガソリン需要の目減りを抑えつつ新燃料の主導権も握りたい石油元売りの思惑も見える。滋賀県立大学の山根浩二教授は「当面は全国規模で普及を目指すETBEと地域を限った取り組みのE3が併存する」とみる。バイオ燃料普及には今後もまだ幅広い議論が必要になる。 (Unquote)