さて、「解決策」を一旦まとめてみましょう。

まず第一段階として、「省エネ化が進み、必要な燃料の量が少なくなるので、元々供給量がそれほど多く出来ない『再生可能エネルギー』が総供給に締める割合が大幅に上がる」ということでした。

第二段階としては、「省エネ化が進むと、エネルギー生産に必要なエネルギー投入量が相対的に減るので、エネルギー収支が改善し、エネルギー生産が終わった時点で手元に残るエネルギー量が相対的に増えるだけでなく、現状エネルギー収支があまり良くない『再生可能エネルギー』の実用化が近づく」ということでした。

第三段階としては、「バイオ燃料について言えば、『システム生物学』を中核とする技術革新によって生産力が増強される」ということです。

例えば、既に挙げたブラジルでは、ガソリンに対してエタノールを混ぜる割合を政府が規制していますが、その割合(だいたい20%+α)から、全ガソリン供給に対するエタノール供給の割合が、おおむね25%程度であることがわかります。

ということは、現状のエタノール生産量が維持されたと仮定した上で「第一段階」が実現した状態を想定してみましょう。

仮に燃費が50%向上すると仮定するとします。

「石油が減退する」という前提を受け入れるので、石油の供給が増えず、よってガソリンの供給量が増えない、という前提を受け入れると仮定しましょう。

そうしますと、

ガソリン供給量:エタノール供給量 = 100:37.5

と試算できますね。

この場合、もし全体のエネルギー消費量が変わらず、かつエタノールを優先して使用すると仮定すると、ガソリン供給量が少し余ります。ガソリンのエネルギー密度がエタノールの1.7倍程度であることを考慮しますと、7.5だけガソリンが余る計算になりますので、

ガソリン供給量:エタノール供給量 = 92.5:37.5 = 100:40

にほぼなります。これと「100:25」の現状とを比較すると、エタノールのエネルギー供給に占める存在が大幅に拡大したことが分かりますね。

さて、ここで一つの考えです。

これだけエタノールの存在が大きくなったところで、更にエタノールの供給量を大幅に増やせる、となったら、「エタノール社会」が近づくと思いませんか?

私はそう思っています。

一昨日の投稿で、「北海道の農業関係者にとってビジネスチャンス」と書きました。

十勝地方では、農林水産省の支援の下、エタノール製造についての研究開発が以前から着々と進んでいます。

最近の記事を2つご紹介しましょう。

日経産業新聞 2006年12月18日(月) p17

(Quote)
バイオエタノール装置を導入

【釧路】十勝圏振興機構(とかち財団)は研究用のバイオエタノール蒸留装置を導入した。JA北海道中央会が早ければ二〇〇九年度の開始を目指すバイオエタノール生産などに向けた研究に活用する。

まず規格外小麦などを昨年度に同財団が導入した装置でエタノール分が約一〇%になるまで発酵。それを新たに導入した蒸留装置で九〇%以上の濃度とし、さらに水分を除いて一〇〇%近い無水エタノールにする。蒸留装置は新たな資源循環システム研究のため、北海道農業研究センターが中心となり購入した。

混合ガソリンの走行試験では製造したバイオエタノールをガソリンに三%混ぜて使用する。試験は来年二月二十六日まで、計十八台の車両で実施。燃費や始動性、加速性などをチェックする。一般市民の九台も参加。試験結果を分析して効率的なエタノール生産に向けて技術を磨く。 (Unquote)

もう一つ。

日経産業新聞 1月5日(金) p10

(Quote)
科学技術予算 ポイント解説 ~6~
テンサイでバイオ燃料 農水省
温暖化対策 手厚く

農水省の二〇〇七年度の科学技術関連予算は千二百九十億円。...(中略)...

北海道などで栽培されるテンサイから糖を精製、これを発酵させてエタノールを量産する施設の整備を進める。バイオ燃料の普及を進めるうえでは、ガソリンスタンドの施設改良と協力が課題だが、農水省は農協系列のガソリンスタンドを利用できるのが強み。 ...(後略)... (Unquote)

というわけで、十勝地方を中心とした北海道で、「農産物の生産→工場での加工→ガソリンスタンド等の物流→消費者による使用」を一貫した実験が行われるわけです。

関連URL:
http://www.tokachi-zaidan.jp/industry/index_building.html

昨日の投稿で引用した記事はなかなか考えさせられます。

冒頭の文章の主語が「政府は」となってましたね。

この「政府」とはいったい誰のことなのでしょうか? 内閣府も財務省も法務省も文部科学技術省も防衛省も、みーんな含めた政府なのでしょうか?

日経が「政府は」と書くとき、その定義を日経は示してくれません。

これまで日経を読んだ経験から最大公約数的な定義を推定すると、

「内閣として意志決定に必要な(各省庁の)部門・部局の誰もが、法制度的に反対不能になったか、或いは反対する意志を持っていない状態が確保されたとき」

に、日経は

「政府は ... する」

という記事を書いていると思います。

2001年の中央省庁改革法施行後は、内閣での意志決定は以下のように行われるようになりました。

(1) 議案は首相が発議(ほつぎ)する。

(2) 閣議は全員一致により議決する。

これは2000年までとは異なります。2000年までは、法律に規定の無い「事務次官会議」が全員一致で議決した議案だけが閣議の議案として担当閣僚から提出され、閣議の決議も全員一致によりました。

「担当閣僚から」という部分に下線をわざわざ引きました。なぜかというと、当時は、

(1) 全省庁の官僚トップ(事務次官)が全員一致した案件しか閣議に出なかった。これは官僚機構が閣議の議事進行を左右できたことを意味する。また、各省庁に「閣議の議題を決めるにあたっての拒否権があった」ことをも意味している。

(2) 閣議の議案はその案件の担当省庁の大臣だけが発議できた。逆に言うと首相は、その閣議で何を議題にするか自分で決められなかった。

(3) (不勉強だった)担当大臣は長年の慣習で事務次官会議が決めた案件でないと閣議に議案として提出しなかった。

官僚と族議員の時代が長く続いた背景には、こういう制度的な理由があったのです。逆に言うと、小泉さんと安倍さんが、それまでの歴代首相と違って見えるのも、制度が変わったからです。

以前は、閣議で何を話すか首相が自分で決められなかったんですから。議題が官僚の思うがままだったんですから。

そして私の記憶が正しければ、その時代「事務次官会議で通った案件は、通常『政府は...する』と記事で書ける案件」でした。

今はどうなんでしょうね。

私の推定に過ぎませんが、現在では「首相が承認した事項は、閣議での議決前であっても、『政府は...する』と表現できる事項である」ということだと思います。

もしこの推定が正しければ、バイオエタノールの直接混合案は官邸の支持を得ている可能性が高いことになります。

しかし、とうとう政府が正攻法で押してきました。1面記事でしたのでご記憶の方も少なくないのではないかと思います。

日本経済新聞朝刊 1月24日(水) 1面

(Quote)
バイオ燃料普及へ新法
政府検討 給油所で混合可能に 税減免も

政府はバイオ燃料の普及を促す新法を制定する検討に入った。燃料の品質や安全性などの検査を条件に、ガソリンスタンドでもバイオ燃料の混合を認め、地場の農産物から生産したバイオ燃料を利用しやすくする。...(中略)...

経済産業省や財務省などは二月に検討会を設け、「新燃料利用拡大基盤法(仮称)の具体案作りに着手する。二〇〇八年の通常国会に法案を提出する方針。

...(中略)...

法案に盛り込むのはバイオ燃料の品質管理や課税の仕組み。ガソリンの品質検査は現行制度では全国三十カ所の製油所で行っているが、バイオ燃料はコメなど地場の農産品でも生産できるため、産地に近い油槽所やガソリンスタンドでも混合できるようにする方針。混合作業を行うガソリンスタンドなどに登録を義務付け、品質検査を実施、ガソリン税も混合するスタンドなどで課税する。

...(後略)... (Unquote)

ガソリンスタンドや油槽所での混合を認める、というのがおそらく最大の注目点ですね。

この法律がもし成立したとして、ガソリンスタンドなどの小売業界がエタノールのガソリンへの混合を自前で行うことを受け入れるなら、それは日本の石油元売り業界にとっては手痛い敗北となるかもしれません。また、全国各地の農協や農業法人や取引先企業、特に北海道の人達にとっては、新しいビジネスチャンスになる可能性があると思います。(エネルギー収支の話はとりあえず置いておきます)

欠点としては、ガソリンスタンドと税務署にとって徴税事務が増えそうだということですか。製油所でまとめて課税する方が事務的には簡単でしょうね。これが理由で自前でエタノールを混合するのを嫌がるガソリンスタンドも出てくる可能性はあると思います。

そう考えてくると、

(1) エタノールをガソリンに混合するガソリンスタンドにどういう優遇措置をつけるか

(2) 揮発油税法を改正して、エタノールにガソリンに対する価格上の優位を与えるかどうか

が重要かもしれませんね。二月に開かれる検討会に財務省が参加するのは必須と言えましょう。

来年の1~6月に開催される通常国会での提出を目指すわけですから、これからたっぷり法案検討過程を観察できそうです。今年最大のブログねたになったりして。 ^^

「エタノール直接混合ガソリンを系列ガソリンスタンドで販売させないようにする動機が石油業界にはある」という内容のことを書きました。

これもすでに新聞で書かれています。

forever2xxxさんによると、テレビのニュースでも言ってたそうです。

日経産業新聞 1月22日(月) 11面

(Quote)
バイオ燃料、販路確保に苦慮

植物を原料につくるエタノール燃料の普及を目指す環境省が、流通経路の確保に苦慮している。同省はガソリンに三%分のバイオエタノールを混ぜて自動車用燃料として活用したい考えだが、給油所などに影響力を持つ石油連盟が協力に難色を示しているためだ。アルコール燃料が普及し、その分ガソリン消費量が減ることを懸念しているとみられる。廃木材からアルコールをつくるプラントは今月、動き始めた。だが流通経路が無ければアルコールは余るばかりだ。

二〇〇〇年から〇一年ころにはアルコール系燃料「ガイアックス」が一時的に普及した。その後、ガイアックスの供給は止まったが、ガイアックス給油所は普通のガソリン給油所に転校して存続しているところが多い。環境省は「時代の先を読み独自の経営判断をする給油所はある」と、望みをつないでいる。 (Unquote)

なかなか、環境省・農林水産省側も苦しんでいるようです。

ま、日々の売上に直結しますからね。石油会社も必死です。

ちなみに、今月動き始めた「廃木材からアルコールをつくるプラント」とは、この会社の工場のことです。

http://www.bio-ethanol.co.jp/

1.石油業界が自陣営だけでETBE導入を強行しようとしていること。
2.環境省と農林水産省がエタノール直接混合を指向していること。
3.経済産業省はどっちつかずの態度をとっていること。

をこれまで述べてきました。

年末年始を過ぎ年度末が近づくにつれ、さらに動きが出てきています。

まずはこの話から行きましょうか。

日経産業新聞 1月16日(火) 15面

(Quote)
ETBEの輸入 石連、仏社と契約
バイオガソリン販売へ

石油連盟はバイオエタノール入りガソリン「バイオガソリン」向けの基材、ETBEを輸入する契約を結んだ。フランス企業から七千五百キロリットルを購入する。三月待つに新日本石油精製の根岸製油所(横浜市)に到着。製品化して、四月末から首都圏五十店でバイオガソリンの販売を始める。 (Unquote)

石油連盟は「エタノールとイソブテンを合成して製造したETBEをガソリンに数%(おそらく3%?)混合した液体燃料」を「バイオガソリン」と名づける予定だということですね。商標登録したんでしょうか。

というわけで、自動車をお持ちの首都圏在住のみなさん、3カ月後にガソリンスタンドで「バイオガソリン」を見かけたら、それはエタノールを混ぜたものではなく、ETBEを混ぜたものだ、ということを覚えておいてください。

それからもう一つ言えることは、「当分の間、日本の石油業界はETBEを生産できない」ということです。イソブテンとエタノールを合成する設備を製油所に増設する必要があります。ということは、設備投資が必要だということです。

石油会社の側から見ると、

・設備投資はできるだけ少なく済ませたい。どうしてもやるなら、「バイオガソリン=ETBE混合ガソリン」が本当にどのくらい売れるのか、売れ行きを確かめたい。(ただでさえ、ガソリン販売量が年々減少しているのに...)

・一方で、一般消費者からも政府からも、「環境保護に不熱心」と見られたくはない。

・京都議定書がある以上、「排出量削減に貢献している」という実績は作っておきたい。

・さらに、経済産業省・農林水産省・環境省を敵に回したくはない。特に所轄官庁の経済産業省は敵に回したくない。

・しかし、エタノール直接混合方式だと、エタノールが製油所を通らずにガソリンに混合される可能性を否定できないので、自らの売上減少に拍車がかかる可能性がある。これだけはどうしても避けたい。

というところでしょう。

そう考えると、

(1) まずETBE混合ガソリンを試験的に販売してみる

(2) 売れ行きが良ければ、設備投資する

(3) 系列ガソリンスタンドにエタノール直接混合ガソリンを販売させないようにする

というのが石油業界にとって最も合理的な選択肢と言えると思います。

昨年8月の#58で「サウジアラビアの石油産出量頭打ち?」を示唆していると思われる platts というウェブサイトのニュースについて述べました。

ASPOが昨年6月に ASPO Newsletter No. 66 で掲載してくれていました。ここでお知らせしておきます。

このPDFファイルの3ページ目から4ページ目にかけて載っています。

http://aspo-ireland.org/newsletter/Newsletter66.pdf

メキシコのカンタレル油田とサウジアラビアのガワール油田の2つだけで、全世界の石油産出量の1割を占める規模です。カンタレルはすでに減退が始まったと(ロイターで)報じられていることは前述しました。ガワールはどうでしょうか。

ロシアの天然ガス産出がそろそろ減退するかもしれない可能性について、昨年10月7日付の#114で示唆しました。

すでにSGWさんが投稿されてますが、先週、産経新聞にその可能性を指摘する記事が掲載されました。記事の主題は、「ロシアが、天然ガス産出国カルテル結成へ向けて活動している」ことを報ずるものですが、最後の二段落に "Peak Gas" についてさりげなく書いてあります。

産経新聞 1月23日(火) 1面

(Quote)
露 ガスOPEC着々 世界5位 アルジェリアと連携

(前略)

ロシアが現時点で「ガスOPEC」を提唱するのは、豊富な天然ガスを反米勢力結集のテコとする政治的思惑に加え、長期的にはロシアのガス生産が頭打ちになる懸念があるためとみられる。

露世界経済国際関係研究所(IMEMO)のナジプ・バイコフ研究員は、「欧米が対抗組織をつくることも考えられ、現段階での『ガスOPEC』創設には不透明さが残る」とする一方、「国内のガス田は生産がピークに達しており、今後は何らかの国際組織で産出割り当てや調整を行う必要がある」と指摘している。 (Unquote)

もちろん、燃費やエネルギー収支の向上だけでは、量的な解決が全きものになることはなさそうではあります。

やはり、バイオ燃料の「土地の単位面積あたり生産性」をあまりエネルギー投入を増加させずに向上させる必要がありそうです。

これについては、バイオテクノロジーがいずれ解決するだろう、と私は考えています。

そのうちに、別のブログテーマで論じようと思っていますが、ここである程度論じることにします。

#70で述べましたが、「システム生物学」という学問分野があります。非常に新しい分野です。おそらくここ3~4年程の間に始まった分野です。

システム生物学は、「生物を、遺伝子/細胞内器官/細胞/組織/器官/(一個の)生体、の各レベルにおける生化学反応の連鎖全体を、網羅的に統合的に捉える」ことを目指している学問分野です。

皆さんも、「 ~ の遺伝子が解読された」という報道は、ときどき目にされていると思います。ヒトゲノムなんかそうですし、イネもほぼ解読されているようです。

しかし実は、そこからが大変なのです。現状、バイオテクノロジーの研究者達は、

「遺伝子それ自体(の塩基配列)は解読できた。しかし、どの遺伝子がどのようにして生命現象を発現しているのか、その詳細はほとんど分からない」

という状態に置かれています。

生命現象がどのように発現しているのかを知るには、上記の「遺伝子/細胞内器官/細胞/組織/器官/(一個の)生体」の各レベルにおいて、生化学反応がどのように発現し、どのように連鎖していくのか、その全体像を把握する必要があるのです。

この「連鎖全体を網羅的に捉える」ことは以前は不可能でした。

電子顕微鏡があるじゃないかって? 確かにそうですが、電子顕微鏡は生きた細胞の観察はできません。対象を真空中に置く必要があるので、死んだ細胞しか観察できないのです。

「生きた細胞の中で起こりつつある化学反応の連鎖を、部分部分の動きから全体的な流れまで網羅して観察できないか」

これが研究者達の願いでした。

そして現在、技術・エンジニアリングの進歩により、これが可能になりつつあります。それも1分子レベルで。

このことが今後10年20年の間に「生命現象がどのように発現しているのか」に関する知見を劇的に増加させるだろう、と私は考えています。また、「このことが、生体を人工的に設計して望む機能を持たせることを、将来可能にするだろう」と考えています。

ですから、限られた土地面積の中において、或は乾燥地や寒冷地など植物にとって悪条件の多い土地においてすら、バイオ燃料の増産が将来可能になるだろう、と考えています。

以前はそう思ってはいませんでした。しかし、バイオテクノロジーについてあれこれ調べた結果、今はこう考えています。

量の不足だけでなく、質の悪化についても、改善が見込めると私は考えています。

自動車とバイオ燃料について考えて見ましょう。

仮に農場で燃料作物、例えばサトウキビを生産したとします。

広い広い面積の農場のあちこちで収穫したサトウキビを精製工場へと運ぶわけです。

収穫機とトラックが燃料を消費しますね。エネルギー収支悪化要因です。

でも、ちょっと考えてみてください。将来は自動車の燃費が改善するんじゃなかったでしたっけ?

収穫機だって、一種の自動車です。これも燃費改善の余地があるのではないでしょうか。

実際、ハイブリッド車の構造を考えてみると、農機や建機には燃費改善の余地が相当あるだろうことを推定できます。

自動車が走るとき、特に市街地を走ると、頻繁にブレーキをかけてスピードを落とし停止します。停止後また発進し加速していきます。

この「ブレーキをかけてスピードを落とし停止する」というプロセスは、「旅客や貨物を運ぶ」という本来の機能を考えると無駄な動作です。

この無駄があるために、ブレーキをかけなければ本来必要が無いはずの「停止後また発進し加速する」という無駄なプロセスをもう一段階踏む必要が出るわけです。

この最初の無駄なプロセス - ブレーキをかけてスピードを落とし停止する - の間にモーターを回して発電・充電し、その充電した電力を2段階目の無駄なプロセス - 停止後また発進し加速する - の際に消費するのが、ハイブリッドシステムの基本コンセプトです。

建設機械や農業機械にも、無駄な動作が必ずあるはずです。それが多ければ多いほど、燃費向上の余地は増えます。実際、建設機械については、そういう「無駄な動作を利用した充電機構」の研究開発がすでに始まっている旨、新聞で読んだ記憶があります。

この燃費向上の余地を人々が埋めようとするとき、バイオ燃料生産に投入しなければならないエネルギー - EROEI のうちの後半 - "energy invested" - を結構減らせるのではないか、と私は考えています。投入するエネルギーの少なからぬ部分は、輸送・物流に投じられていますから。

ここにも希望がありそうです。

とりあえず、「省エネ化はエネルギー収支を向上させる」というテーゼを掲げておきましょう。このことについては、後ほど再び考えてみることにします。