昨日の投稿で引用した記事はなかなか考えさせられます。
冒頭の文章の主語が「政府は」となってましたね。
この「政府」とはいったい誰のことなのでしょうか? 内閣府も財務省も法務省も文部科学技術省も防衛省も、みーんな含めた政府なのでしょうか?
日経が「政府は」と書くとき、その定義を日経は示してくれません。
これまで日経を読んだ経験から最大公約数的な定義を推定すると、
「内閣として意志決定に必要な(各省庁の)部門・部局の誰もが、法制度的に反対不能になったか、或いは反対する意志を持っていない状態が確保されたとき」
に、日経は
「政府は ... する」
という記事を書いていると思います。
2001年の中央省庁改革法施行後は、内閣での意志決定は以下のように行われるようになりました。
(1) 議案は首相が発議(ほつぎ)する。
(2) 閣議は全員一致により議決する。
これは2000年までとは異なります。2000年までは、法律に規定の無い「事務次官会議」が全員一致で議決した議案だけが閣議の議案として担当閣僚から提出され、閣議の決議も全員一致によりました。
「担当閣僚から」という部分に下線をわざわざ引きました。なぜかというと、当時は、
(1) 全省庁の官僚トップ(事務次官)が全員一致した案件しか閣議に出なかった。これは官僚機構が閣議の議事進行を左右できたことを意味する。また、各省庁に「閣議の議題を決めるにあたっての拒否権があった」ことをも意味している。
(2) 閣議の議案はその案件の担当省庁の大臣だけが発議できた。逆に言うと首相は、その閣議で何を議題にするか自分で決められなかった。
(3) (不勉強だった)担当大臣は長年の慣習で事務次官会議が決めた案件でないと閣議に議案として提出しなかった。
官僚と族議員の時代が長く続いた背景には、こういう制度的な理由があったのです。逆に言うと、小泉さんと安倍さんが、それまでの歴代首相と違って見えるのも、制度が変わったからです。
以前は、閣議で何を話すか首相が自分で決められなかったんですから。議題が官僚の思うがままだったんですから。
そして私の記憶が正しければ、その時代「事務次官会議で通った案件は、通常『政府は...する』と記事で書ける案件」でした。
今はどうなんでしょうね。
私の推定に過ぎませんが、現在では「首相が承認した事項は、閣議での議決前であっても、『政府は...する』と表現できる事項である」ということだと思います。
もしこの推定が正しければ、バイオエタノールの直接混合案は官邸の支持を得ている可能性が高いことになります。