1.石油業界が自陣営だけでETBE導入を強行しようとしていること。
2.環境省と農林水産省がエタノール直接混合を指向していること。
3.経済産業省はどっちつかずの態度をとっていること。
をこれまで述べてきました。
年末年始を過ぎ年度末が近づくにつれ、さらに動きが出てきています。
まずはこの話から行きましょうか。
日経産業新聞 1月16日(火) 15面
(Quote)
ETBEの輸入 石連、仏社と契約
バイオガソリン販売へ
石油連盟はバイオエタノール入りガソリン「バイオガソリン」向けの基材、ETBEを輸入する契約を結んだ。フランス企業から七千五百キロリットルを購入する。三月待つに新日本石油精製の根岸製油所(横浜市)に到着。製品化して、四月末から首都圏五十店でバイオガソリンの販売を始める。 (Unquote)
石油連盟は「エタノールとイソブテンを合成して製造したETBEをガソリンに数%(おそらく3%?)混合した液体燃料」を「バイオガソリン」と名づける予定だということですね。商標登録したんでしょうか。
というわけで、自動車をお持ちの首都圏在住のみなさん、3カ月後にガソリンスタンドで「バイオガソリン」を見かけたら、それはエタノールを混ぜたものではなく、ETBEを混ぜたものだ、ということを覚えておいてください。
それからもう一つ言えることは、「当分の間、日本の石油業界はETBEを生産できない」ということです。イソブテンとエタノールを合成する設備を製油所に増設する必要があります。ということは、設備投資が必要だということです。
石油会社の側から見ると、
・設備投資はできるだけ少なく済ませたい。どうしてもやるなら、「バイオガソリン=ETBE混合ガソリン」が本当にどのくらい売れるのか、売れ行きを確かめたい。(ただでさえ、ガソリン販売量が年々減少しているのに...)
・一方で、一般消費者からも政府からも、「環境保護に不熱心」と見られたくはない。
・京都議定書がある以上、「排出量削減に貢献している」という実績は作っておきたい。
・さらに、経済産業省・農林水産省・環境省を敵に回したくはない。特に所轄官庁の経済産業省は敵に回したくない。
・しかし、エタノール直接混合方式だと、エタノールが製油所を通らずにガソリンに混合される可能性を否定できないので、自らの売上減少に拍車がかかる可能性がある。これだけはどうしても避けたい。
というところでしょう。
そう考えると、
(1) まずETBE混合ガソリンを試験的に販売してみる
(2) 売れ行きが良ければ、設備投資する
(3) 系列ガソリンスタンドにエタノール直接混合ガソリンを販売させないようにする
というのが石油業界にとって最も合理的な選択肢と言えると思います。