☆男の子が生まれやすい人、女の子が生まれやすい人 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

本論文は、過去の妊娠でのお子さんの性別と、今回の妊娠のお子さんの性別に関連があるかどうかについて検討したものです。

 

Plos One June 23, 2023(日本)https://doi.org/10.1371/journal.pone.0287752 

要約:日本の 出生コホート研究「日本環境子ども調査(エコチル調査)」のデータから単胎出生児98,412名を対象に過去の妊娠でのお子さんの性別と、今回の妊娠のお子さんの性別前方視的に検討しました。なお、不妊治療による妊娠と流産、人工中絶、死産、多胎妊娠の既往の女性は除外し、62,718名を対象としました。結果は下記の通り(有意差のみられた項目を赤字表示)。

 

既往妊娠       男児   女児   男女比   P値   オッズ比(95%信頼区間)

0人        14313名 13561名  1.055    基準        〜

1人 男      6385名  5976名  1.068   0.290   1.01(0.99〜1.04)

   女      5820名  5599名  1.039   

2人 男男     1407名  1279名   1.100   0.058   1.05(0.99〜1.13)

   女女     1098名  1113名   0.987

3人 男男男     145名  124名   1.169   0.075   1.19(0.95〜1.50) 

   女女女     89名   108名  0.824

4人 男男男男    21名   12名   1.750   0.167   1.48(0.75〜2.93)

   女女女女    9名   12名   0.750

2人以上 男児のみ 1574名  1416名  1.112    0.014   1.07(1.01〜1.13)

     女児のみ 1199名  1234名  0.972

 

解説:妊娠した子供の性別は親にとって大きな関心事です。フィッシャーの原理によれば、生物の性比は1:1でバランスがとれています。 人間の男/女比もほぼ1:1ですが、わずかに男性が多くなっています。これは、男児より女児の流産が多いためであると考えられています。 これまでの研究によると、過去の妊娠でのお子さんの性別と次の妊娠のお子さんの性別の類似性が指摘されています。本論文は、過去の妊娠と今回の妊娠のお子さんの性別の関連について前方視的に検討したものであり、過去の妊娠と同じ性別の子どもが生まれる傾向があることを示しています。しかし、この理由を明らかにするには、さらなる研究が必要です。

 

下記の記事を参照してください。

2021.10.23「母体ストレスは性比に影響しない

2020.11.23「プロサッカー選手のお子さんは女児が多い!?

2019.8.25「☆X精子とY精子の新たな選別法TLR7/8:男女生み分け

2017.10.12「リン酸カルシウムで男の子の産み分けは?

2016.5.7「☆精液所見による体外受精妊娠の男女比の違い」
2016.1.4「女の子が欲しい時、夫に痩せてもらう?」

2015.4.19「Q&A667 精子無力症で生み分けは?」
2015.3.4「タイムラプスを使って女の子の胚を選別できる?」

2014.12.29「☆着床前診断(PGS)したらどうなる?」
2014.12.14「地球温暖化により女児が増加!?」

2014.9.19「Q&A452 精子の重さ」
2014.6.14「☆体外受精、顕微授精による赤ちゃんの男女比」

2014.5.18「☆抗菌剤による避妊から学ぶ、膣内感染防御の巧妙な仕組み」
2013.6.27「☆性別の選択(男女生み分け)その2」
2013.6.20「☆性別の選択(男女生み分け)その1」
2013.3.10「発育が速い胚盤胞は男の子になる?」
2012.11.27「女性のストレスが強いと女の子が生まれる?」