Q&A3797 第二子希望で質問 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 2022.12.15「Q&A3511 2人目希望で質問で質問した者です。時間があいてしまいましたが、ご回答いただきありがとうございました。

 

リュープリン2周期投与後、ST法+胚盤胞移植で2回妊娠、出産1回、流産1回の妊娠歴があります。
クリニックの方針でBL1を追加培養せず4日目に移植(私の希望で2個同時)しましたがBT10 hCG 3.0でした。その後、保険で採卵してしまい、自費移植はできないとのことでSEETとスクラッチで移植しました。したがって、必勝法であるST法での移植ができておりません。
1 リュープリン+SEET 4AB→5AB BT10 hCG 3.4 E2 295 P4 20.60
2 リュープリン+スクラッチ 3AA→BL1 BT10 hCG 41.5 E2 311 P4 6.94→BT16 hCG 2.5

アスピリンとイントラリピッドは投与しており、1と2の間に子宮鏡検査で慢性子宮内膜炎疑いでビブラマイシンも服用しました。

①スクラッチで着床はしましたが、スクラッチも有効と考えていいのでしょうか。
②判定日低hCGは着床の窓のずれの可能性があるというブログを拝読しました。BT10 hCG 41.5は低hCGと捉えて良いのでしょうか。
③MIRAという着床の窓の検査があるようですが、ネットで調べても情報があまりありませんでした。ERAやERPeakとどのような違いがあるのか、またそれぞれの精度など教えていただけませんでしょうか。
④検査未実施で、流産や着床の妨げになる原因として、卵管水腫の可能性を挙げられました(おりもの等自覚症状はなく、エコー上も気になる所見はないと言われていますが、チョコレート嚢胞と片側卵管狭窄があります)。造影剤アレルギーがあるため卵管造影検査はできず、FTで手術と検査の同時実施ができると言われましたが、この提案は妥当でしょうか。

 

A 

①保険適応のスクラッチは前周期に実施するのですが、それで着床しているようなので、スクラッチも考慮して良いと思います。
②hCG 41.5は低hCGとは捉えませんが、hCG 3.0と2.5は低hCGになります。したがって、着床の窓検査はやっておいた方が良いでしょう。
③論文検索してみましたが、MIRAという着床の窓の検査は見つかりませんでした。最近、ERAの診断は意味がないという論文ばかりですので、着床の窓検査はERPeakでの実施をお勧めします。
④造影剤アレルギーがある方の卵管水腫の診断にはMRIが良いと思います。もし卵管水腫が見つかった場合には、腹腔鏡手術が必要であり、同時にチョコレート嚢胞の処置も可能です。なお、FT手術では卵管水腫の処置もチョコレート嚢胞の処置もできません(子宮寄りの卵管閉塞と卵管狭窄の治療のみが可能)。卵管狭窄の診断は卵管造影検査でしかできませんので、どのように診断されたのか疑問が残ります。

 

下記の記事を参照してください。

2023.3.25「☆ERA通りの移植とERA検査なしの移植の軍配は?

2022.9.18「☆ERA検査は有害!?

2022.8.28「☆ERA検査の有用性は否定的!? メタアナリシス

 

なお、このQ&Aは、約3週間前の質問にお答えしております。